『ザ・ヤクザ』 The Yakuza (1974)

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“This giri…It means obligation, right?”
“Burden.”

作品メモ

【映画チラシ】ザ・ヤクザ //高倉 健

ひとつ前のエントリー『追撃機』(1958)のロバート・ミッチャムが今度はホントに来日、高倉健さんや岸恵子さんたちと競演した異色作。
テーマはタイトルがすべてを物語っているでしょうか。
日本を舞台に、任侠の世界とその精神を真正面から描いています。

親戚をたどればまずは『ブラック・レイン』(1989)でしょうけど、このあたりの分野への関心、憧れ、蘊蓄……つまりはオタクぶりは『キル・ビル』(2003)などにも通じるものがありそう。
「その世界」の描写もそうですが、途中から複雑になっていく人間関係と心理描写もまたディープで、日本人であるはずの自分でもついていくのがやっとのほど。
『ブラック・レイン』が個人的には物足りなかったのとは対照的となっています。
とはいえ、やっぱり残念に思う描写があることも事実で、人によりどのあたりにポイントを置くかで評価が変わってきそうな映画です。

詳しい解説や物語は資料にあげた各映画サイトをご覧ください。
いっとき見る機会がとても限られていましたが、最近はHD放送もされたりショップによってはレンタルもされたりしていて、だいぶ見やすい環境となっているようです。

「オブリゲーション」

「義理」に相当する言葉として何度か出てくる”obligation”。
この英単語を知ったのは、本編を見る前、猪俣勝人さんが現代教養文庫で続けて上梓されていた『世界映画名作全史』でした。
昔も今も映画本の類いはほとんど読みませんが、このシリーズに関しては文庫という手軽さもあって学生時代に次々手にした記憶があります。
その中で(たぶん「現代編」)『ザ・ヤクザ』が取り上げられていて、「ギリとはオブリゲーション(義務)なのか?」と訊かれた健さんが、「バードン(重荷)だ」と答えるくだりが引用されていました。

健さんかっけー、と思わずうっとり。
残念ながら猪俣さんの評価はあまり高くなかったと記憶していますが、関係なしにすっかり本編見る気になった自分がいたのでした。

補足しますと、これは映画半ば、ハリーと一緒に来日した若者ダスティと健さんとの会話。
厳密に引用すると、

“This giri…” (この義理だけど……)
“Giri? Hai.” (義理? はい)
“It means obligation, right?” (義務のことなのかな?)
“Burden.” (重荷です)
“Burden?” (重荷?)
“It’s called ‘the burden hardest to bear.'” (「堪えがたいほどの重荷」と言われています)

健さんかっけー(再)。
この後のやりとりもステキなのですが、ぜひ実際にご覧になってご確認を。

キャスト&スタッフ

日本のヤクザとの取引でトラブってしまい娘を誘拐されたジョージ・タナーにブライアン・キース。
タナーに娘の救出を頼まれたハリー・キルマー(Harry Kilmer)にロバート・ミッチャム。
その友人で元ヤクザの田中健に高倉健。
健の妹英子に岸恵子。ハリーが日本でMPだった時に知りあい、相思相愛の仲となった彼女。ハリーが用意したバーを今でも切り盛りしています。
英子の娘花子に 日本語は「ハイ、ハイ」が一番得意なChristina Kokubo。

東野組の親分東野に岡田英次。
東野の使いでタナーのもとへやってきた加藤ジロウに侍田京介。
ヤクザ界の相談役五郎にジェームズ・シゲタ。
タナーの用心棒でハリーと行動を共にするダスティにリチャード・ジョーダン。
ハリーの旧友で日本文化に造詣の深いオリバー・ウィートにハーブ・エーデルマン。
ハリーたちを狙う殺し屋に汐路章。

製作・監督シドニー・ポラック、製作総指揮俊藤浩滋。
レナード・シュレイダーの原案を弟ポール・シュレイダーが脚本化。これが脚本家デビュー。
撮影岡崎宏三、デューク・キャラハン。

Yakuza 音楽デイヴ・グルーシン。
サントラも入手可能。

ロケ地

IMDbでは、

Japan
USA
California, USA
Kyoto, Japan
Malibu, California, USA (scenes at Kilmer’s house)
Osaka, Japan
Port of Los Angeles, Los Angeles, California, USA (opening scenes)
Tokyo, Japan

手持ちは数年前のスターチャンネルのHD放送で、解像度は良好。細かいところも調べる気になりました。

男(ダスティ)がよりかかっていた建物にPORT OF LOS ANGELES BERTH 156(ロサンゼルス港第156埠頭)とあります。 IMDbのリストにもあるように、実際のロサンゼルス港。

加藤の車が停まったのはここ。

タナーのオフィスはこの上階という設定。
BERTH 156の建物はこの建物の北側にあったはずですが、もう無くなっているようです。

ハリーの家

Malibu, California, USA (scenes at Kilmer’s house)

羽田空港

ホンモノのターミナルでしょうね。

ダスティの家

見上げたビルは調査中。

農村が変わり富士山が見えなくなっても
日本はやはり日本
日本人は日本人だ

夜の街

オリバーのセリフがかぶさる夜の街。

商店街

横からの移動撮影。
場所不明。

交差点

カメラが右から左にパンしたのは、渋谷駅前のスクランブル交差点。
今ならパンの途中で渋谷109が写るはずですが、開業は79年とのことで影も形もありません。

地下街

背景がぼやけているので断言はできませんが、照明や看板の形から、新宿サブナードと思われます。

盛り場

う~ん、おそらく新宿歌舞伎町と思われますが、不明。
もし中央左寄りに見える「碁」が歌舞伎町の新宿碁会所だとしたら、さくら通りの靖国通りから少し入ったところとなります(カメラ北向き)。

この場面で、田中健がフィリピンの残留日本兵であったことが語られます。
横井庄一さんが日本に戻ってきたのは1972年。小野田寛郎さんは1974年。

花屋

不明。

夜の街

横からの移動撮影。
大人なお店が並んでいるところ。
設定は新宿、撮影もそうでしょうか。

キルマーハウス KILMER HOUSE

着物姿の岸恵子さんが美しすぎるこの場面。
ロバート・ミッチャムとのマッチングも良かったですね。
『ブラック・レイン』が物足りなかったのは、岸さんみたいな女優さんが出ていなかったこともあったかも(と小声で言ってみる……)

場所は新宿という設定でしょうか。
ハリーが持っていたのは、帝都無線のレコード。
撮影場所は不明。表の通りが新宿では無いような気もします。

※14/12/11追記
コメント欄で都人さんから情報を寄せていただきました。
撮影は京都の木屋町通りに面したお店とのことです。 詳しくはぜひコメント欄をごらんください。

剣道場

京都にある田中健の道場。
場所をつきとめるのは無理ですね。

※15/12/10追記
コメント欄で情報いただきました。
京都市左京区にあるこちらとのことです(ありがとうございました♪)。

旧武徳殿W

By Laben
via Wikimedia Commons
(CC BY-3.0)

平安神宮のすぐお隣ですね。

料亭

健と会話するところ。
庭に虚無僧が居るというクールなお店。
場所は調査中。ここは行ってみたいので、ご存知の方教えてください。

夜の三門

タナーの娘が捉えられているところという設定。
場所不明。粘ればわかるかも。

英子と散歩

スナックが並ぶ路地。
周囲の店名や路肩の形などから京都市内のこちらではないかと思うのですが、どうでしょう??

会議場

五郎に会いに来たところ。

国立京都国際会館W
京都府京都市左京区宝ケ池
http://www.icckyoto.or.jp/

呼出アナウンスの「マルハシ株式会社のアベさま」が五郎のことでしょうか?

クラブ

♪心を思えば言葉を失う

挿入歌”Only the Wind”、作詞は阿久悠さん。
こちらで試聴できます。

http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=7011088&style=music

夜の町・パチンコ店

1:02頃、ヒットマンたちと対峙した後。 新宿コマ前。

『東京暗黒街・竹の家』に比べると、パチンコもだいぶ進化しています。

※16/8/29追記
コメント欄で外国人健さんファンさんに情報寄せていただきました。
田中健は新宿コマ(当時)Wの前を進んできて、「ゲームセンター」とあるパチンコ店に入ります。
この建物は、東亜会館(現・第二東亜会館)W)で、パチンコ店は現在マルハンとなっています。
新宿コマは2008年いっぱいで閉館。現在は、新宿東宝ビルがゴジラと一緒にそびえ立っています。

稲荷神社

1:10頃、街中にあるお稲荷さん。
おそらく京都? 調査中。

※14/12/8追記
コメント欄でてびちさんから情報を寄せていただきました。
渋谷百軒店奥にある千代田稲荷神社でした。
通りの奥右手に見える名曲喫茶「ライオン」の袖看板でおわかりになったとのこと。
お見事でした 🙂

※14/12/11追記

By inagara (CC BY 3.0)

映画に近いアングルで。
千代田稲荷神社の側から道玄坂の方を見たところです。
緑の袖看板が名曲喫茶ライオン。

By inagara (CC BY 3.0)

そこから振り返ると、角に神社。

By inagara (CC BY 3.0)

ロバート・ミッチャムが寄りかかった鳥居。

By inagara (CC BY 3.0)
By inagara (CC BY 3.0)
By inagara (CC BY 3.0)

参考画像ですが、名曲喫茶ライオン。

討ち入りの家

コメント欄で都人さんから情報を寄せていただきました。
キルマーハウス同様木屋町にあり、現在日本料理レストラン。

ラストの空港

※16/8/29項目追加

ラストの空港は、大阪国際空港(伊丹空港)W

上っていくエスカレーターは、南ターミナルのこちら↓

デッキはこちら↓

ロケ地マップ

新宿と渋谷を中心に。


より大きな地図で (ちょっと昔の)日本が舞台の外国映画 を表示

「昔の日本で撮影」ロケ地一覧

このシリーズけっこう続けてきたので、ここらで一覧作ってみました。
作品は年代逆順、地名や施設は大ざっぱに西から東に並べています。

タイトル 年代 京都 平安京 八坂の塔 富士山 富士屋ホテル 羽田空港 渋谷 新宿 芝大門 日比谷 東京駅 銀座 浅草
ゴースト・イン・京都 1982
ザ・ヤクザ 1974
歩け走るな! 1966
OSS117/東京の切り札 1966
双頭の殺人鬼 1959
追撃機 1958
Stopover Tokyo 1957
サヨナラ 1957
東京暗黒街・竹の家 1955
トコリの橋 1954
東京ファイル212 1951
東京ジョー 1949

※15/10/12『歩け走るな!』、「東京駅」追加

資料

更新履歴

  • 2016/08/29 「夜の町・パチンコ店」追記 「ラストの空港」項目追加
  • 2015/10/12 「昔の日本で撮影 ロケ地一覧」に『歩け走るな!』「東京駅」追加
  • 2014/12/11 「稲荷神社」に画像追加。「キルマーハウス」追記。「討ち入りの家」項目追加。
  • 2014/12/08 「稲荷神社」追記

『ザ・ヤクザ』 The Yakuza (1974)” への12件のコメント

  1. コメント失礼します

    1:10頃の稲荷神社、渋谷百軒店の「千代田稲荷神社」ではないでしょうか?
    お稲荷さんへ向かう、ロバート・ミッチャムと高倉健が歩く夜の歓楽街のカットで、
    路地中程右手に映る緑色の袖看板が今も現存する名曲喫茶ライオンのものと思われます

    宜しければご確認下されば幸いです

  2. てびちさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
    これはよくおわかりになりましたね。
    通りの向こうの方はちゃんと下っていますし、確かにここです。
    今とすっかり違うので、百軒店だとは全く気づきませんでした。
    ライオンだけが変わっていないのにはビックリですが 🙂

    とりあえず本文に追記させていただきますが、今週一度渋谷へ寄るはずなので、コッソリ足を伸ばして最近の様子見てきます(行くのは昼間です……念為)

  3. コメント失礼します。

    てびちさんのコメントを拝見して、わたくしも少し情報を。

    キルマーハウスは京都です。
    その頃は木屋町に面した所にあったお店です。
    英子と散歩の場所からも近いところです。
    その店は私が学生時代から通っていた洋食屋さんで、あるときにマスターから『ザ・ヤクザ』という映画の撮影に使われたと聞いていたのですが詳細は今回DVDを見て確認しました。
    マスターは高倉健を思わせる雰囲気の人ですが、娘さんの名前が花子ちゃんだったのを思い出し驚きました。
    シドニー・ポラックは当初違うお店を想定していたようですが、たまたま入ったこの店を大変に気に入って撮影を頼み込んだようです。
    そのお店が忙しくて撮影に1日か2日しかあてられなかったので、凝り性のシドニー・ポラックはハリウッドに同じ内装のセットを作って撮影したそうです。
    そのお店は、今は木屋町から先斗町に抜ける路地の中にありますが、カウンターの向こうに映る洋酒の棚やキャビネットはそのままの雰囲気で、壁に架かる額や置物もそのままのものがあります。

    ロバート・ミッチャムがキルマーハウスから出て壁にもたれたときにキルマーハウスの看板の灯りが消えますが、その壁はまだ木屋町沿いに残っています。

    また、最期の東野組親分の所に討ち入るシーンですが、これも今回DVDを見て思いつくところがありました。
    これも木屋町沿いに今もある場所ですが、キルマーハウスからはちょっと離れて北の方です。
    昔は個人のお宅だったようですが現在食事の出来るお店になっています。
    高倉健とロバート・ミッチャムがフェンスを切って侵入するシーンから小さな滝や流れのある庭や大きな石灯篭などが見える場面はそのままです。
    また斬り合いになる座敷も内装は変わっていますが
    雰囲気は残っていますしそこで食事が出来ます。
    今のお店の方は撮影の事は気付いてられないと思います。
    お店の名前などは今も営業中で了解も取っていないので今回は差し控えますが、是非京都へ来られる時はご連絡いただければご案内したいと思います。

  4. 都人さん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
    キルマーハウスは木屋町でしたか。内部はセットだと思っていましたが、実際のお店でも撮影されていたのですね。健さんを思わせるマスター、気になります 🙂
    討ち入りの家はまったくわからなかったので、これでスッキリしました。
    詳細にヒントいただいたので、どちらも場所はわかりましたが、マップで明示するのは避けることにしますね。
    次に京都へ行ったときにはぜひこのあたりも散策してみようと思います。ありがとうございました。

  5. コメントありがとうございます。
    内部の画像もWikipediaにありましたので、確認できました。
    本文で「つきとめるのは無理」と書いてしまっていましたが、お判りになる方にはお判りになるのですね。
    お見事でした 🙂

  6. 初めまして、お邪魔します。

    ザ・ヤクザは私の一番好きな映画です。健さんの上演によって日本語と日本文化び興味深いになりました。このページを作ってくれてとても感謝しております。

    夜の町・パチンコ店は現在のマルハンではないでしょうか。健さんがTokyo Milanoを渡って現在のマルハンのところに入りましたと思います。

    そして、質問があります。キルマーさんが刺さったお風呂は誰かがどこに知りますか。

    よろしくお願いします。

  7. 外国人健さんファンさん、コメントありがとうございます。
    この記事が外国の方にもお役に立ててとても嬉しいです。

    録画しておいたBlu-rayがうまく再生できないので、パチンコ店はDVDを買うかレンタルして確認してから追記させていただきます。
    お風呂もどんな場所だったかちょっと思い出せないので、すみません、これも数日お待ちいただけますか。
    (お分かりになる方いらっしゃいましたら、レスお願いします。)

  8. 居ながらシネマさん、お返事ありがとうございます。お風呂と言いましたが正しい言葉ではないと思います。プールや温泉プールみたいところでした。そして、先日は新宿のK’sシネマで「健さん」というドキュメンタリーを拝見しました。素晴らしいです。少し「ザ・ヤクザ」シーンも出ました。嬉しかったです。

  9. 外国人健さんファンさん、パチンコ店、確認しました。
    おっしゃる通り、現マルハンです。
    記事内では「新宿コマ前」と表現してしまいましたが、新宿コマはもうないのでこれではわかりませんよね。記事に追記しますが、作業は今夜になってしまいますので、ご了承ください(平日日中は仕事してますので)。

    お風呂は1:03頃ですね。これはセットだと思っていたので、追究しませんでした。
    セットにしてはしっかり作っていますので、もしかするとリアル?? でも女性のお風呂場が透けて見えるのはいくらなんでも……
    というわけで、今のところまったくわかりません。

    画像集ありがとうございます。初めて見るものばかりです。これはとてもうれしいですね 🙂
    キルマーハウスは他の方から情報寄せていただきまして記事でも書きましたが、京都の木屋町通りです。それ以上は書きづらかったのでマップ位置までは書いていませんが……
    今ストリートビューで見たら、テナント募集の看板が出ていました。

  10. 久々にレンタルで本編を見返しました。
    外国人健さんファンさんご指摘のパチンコ店を追記したほか、ラストの空港が伊丹だとわかったので項目追加しました。

    外国人健さんファンさんがリンクをつけてくださった現場スチル集で、5枚目が空港のエスカレータのところですね。
    その前、4枚目は会議場の外で五郎と話す場面。
    1枚目と12枚目は、ラスト近く、健さんがけじめをつけるところだと思いますが、ここでは岸惠子さんの出番はないので、きっと応援にきたのでしょうね。この場所は気になるので調査中です。

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