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『ハリーとトント』 Harry and Tonto (1974)

ハリーとトント [DVD]

作品メモ

前のエントリーで『結婚しない女』を久々に見返したので、その勢いで『ハリーとトント』もチェック。
やはりポール・マザースキーが監督・製作・脚本(共同)。
こちらも昨年ようやくDVD化されました。

住み慣れたニューヨークを離れた老人が猫を連れて旅を続け、行く先々でさまざまな出会いを重ねていく姿が描かれます。
老人がハリーで猫がトント。
典型的なロードムービーで、ひとりひとりはそれほど深く掘り下げられませんが、かえってその方が印象に残ったりします。
エンドクレジットでキャストは登場順に並んでいますが、しめくくりはもちろん、”…and TONTO”。
そのトント、2匹が演じ分けていたそうな。

ハリーを演じたアート・カーニーは、アカデミー賞とゴールデングローブ賞で最優秀主演男優賞受賞。
他の候補者は『オリエント急行殺人事件』のアルバート・フィニー、『レニー・ブルース』のダスティン・ホフマン、『チャイナタウン』のジャック・ニコルソン、『ゴッドファーザーPart2』のアル・パチーノ……となかなかすごい顔ぶれです。
1918年生まれとのことで、撮影当時まだ50代半ばのはず。受賞に値する見事な演技でした。
IMDbのフィルモグラフィーを見ても、他の映画出演作は正直あまり記憶に残るのがありません。
個人的には『摩天楼ブルース』ぐらいでしょうか。
2003年に亡くなっていますが、新聞記事ではやはり「『ハリーとトント』の……」という紹介でした。

出演は他に……
シカゴで書店を営む長女シャーリーにエレン・バースティン。出番は短いですが印象に残ります。
嫁さんとの板挟みに苦労していた長男バートにフィリップ(フィル)・ブランズ。
ロサンゼルス在住の次男エディにラリー・ハグマン。『ダラス』のJ.R.役でブレークする数年前で、濃い目のエネルギーをすでに充填中。
ベンチの友人ジェイコブ・リベトフスキーにハーバート・バーゴフ(名演!)。
ヒッチハイクの娘ジンジャーにメラニー・メイロン。
初恋の相手ジェシー・ストーンにジェラルディン・フィッツジェラルド。
酋長サム・ツー・フェザーズにチーフ・ダン・ジョージ。

チラ裏メモ

おぼろげな記憶ですが、むか~し映画本編を見るより前に漫画化されたのを見た記憶があります。
少女マンガのような絵柄だったでしょうか。
いちばん覚えているのが、コミューンに行こうとするジンジャーにシャーリーが「ダメダメ、あんなとこ妊娠しにいくようなものよ」というところ。

Blu-ray発売

※15/4/12項目追加

ハリーとトント [Blu-ray] 2015年4月22日発売予定。
日本限定初Blu-ray化とのことです♪

 

ロケ地

IMDbでは、

Batavia, Illinois, USA
Chicago, Illinois, USA
Geneva, Illinois, USA (Geneva Motel)
Hollywood, Los Angeles, California, USA
Las Vegas, Nevada, USA
Los Angeles, California, USA
Manhattan, New York City, New York, USA
Newark Liberty International Airport – 10 Toler Place, Newark, New Jersey, USA
Santa Monica, California, USA
Sedona, Arizona, USA

空港以外は具体的ではないので、いつものように映像をじ~っと見つめる他なさそうです。
設定としては、ニューヨークからシカゴを経て西海岸までというルートのはず。

交差点とベンチ

Broadway ave.が111th st.と交わるところ。
ハリーは北向きに歩いてきます。

手がかりが少なく苦労しましたが、道路の雰囲気からBroadwayではないかと思い、交差点をひとつずつチェックしていって見つけました。

この場面、新聞売りのおじさんが良い味出しています。
俳優さんではなく、実際の町の人でしょうか。
この場面に限らず、どこでも周りにいる人たちはエキストラではなくリアルな町の人や通りすがりのように見えます。
こうした臨場感たっぷりの街頭ロケもこの映画の魅力のひとつ。
大作映画などでよく見られる、周囲が全員エキストラという「整然とした雑踏」とは対極にある、人間味たっぷりの世界となっています。

ハリーのアパート

本当に壊されてしまったかもしれません。

物件

断られるところ。
調査中。

空港

IMDbのリストにあるように、ニューアーク・リバティー国際空港 W

Newark Liberty International Airport – 10 Toler Place, Newark, New Jersey, USA

バスでやってきた町

シカゴ行きのバスでやってきた町。

バスから降りたところ

墓地。

中古車ディーラー

ここで買ったクルマは、1955 Chevrolet Bel Air

ジンジャーたちを乗せるところ

男と別れるところ

モーテル

看板に”GENEVA MOTEL”とあります。 そのまんま実在。

Geneva Motel
33 W. 209 Route 38, Geneva IL
http://www.genevamotelinn.com/

ジェシー・ストーンに会いにやってきた町

老人ホーム

シカゴ

車中で歌って盛り上がるのは、フランク・シナトラの「シカゴ(我が町シカゴ)」。

書店

設定では”CASSANDRA”という店名。
住所も表示されていますが、これは架空のものでしょう。

ここで再会するノーマン。
キネマ旬報データベースでは「彼女(長女)の次男」とありますが、長男のところの息子です。

※2013/02/08追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました(いつもありがとうございます♪)。
住所は架空ではなく標示されていた”56 E. OAK ST.”のままではないかとのことです。
マップではこちら↓

建物自体はあたり一帯含めてすっかり変わっていますが、ご指摘の通り確かに通りの奥の建物に見られる縦長窓が映画と一致します。

シャーリーと歩く湖畔

背景で特に目立つグレーの高層ビルは、

John Hancock Center W
875 North Michigan Avenue, Chicago IL United States

アリゾナの電話ボックス

長男の家に電話するところ。
地形から見てこのあたり。

ステファニーの車にのるところ

雪山を背景に”LOS ANGELES”という紙を持ってヒッチハイク。
場所の特定は難しいでしょうか……

ラスヴェガス

ステファニーの車から降りるのは、Plaza Hotel & Casino W の車寄せ。

画面中央に柱がどーんとありますが、その向こう側は今ならフレモント・ストリート・エクスペリエンス W があるところ。
撮影当時はまだありません。

立ちションしたのもこのロータリー。

次男エディの車に乗るところ

ロサンゼルスだと思いますが、場所は調査中。

この場面、ハリーに怪しい秋波を送る立ちんぼの男はマザースキー監督自身。
セリフはありませんが印象に残るおいしい役。

ラスト

ベニスビーチ W の北側(サンタモニカ寄り)。
女性と話していたのはこのベンチ。

砂のお城を造っていた子供はマザースキー監督の実の娘。
クレジットはされていません。

背後に見える桟橋は、Pacific Ocean Park W の名残。
1967年に閉鎖されていて、現在は完全に姿がなくなっています。
閉鎖される直前、ここでテレビシリーズの『逃亡者』最終話が撮影されています。
『ハリーとトント』でもシルエットとして確認できるタワーが、リチャード・キンブルと真犯人が格闘を演じたところ。

ロケ地マップ

※17/2/26追記

 

資料

更新履歴

  • 2017/02/26 マップ更新 「ロケ地マップ」追記

コメント

  1. milou より:

    シカゴの Cassandra 書店ですが架空ではないようです。
    通りの雰囲気はかなり変わっているが現SVで階段で上がる中二階(?)の店はglasses,ltd という店(だけ)ですが場所的にここだと思われます。
    証拠(?)は道路を渡るとき右突き当たりに見える茶色いビル(1030 N.State St. との交差点北西角Newberry Plaza) の縦に長い窓のような部分が一致するからです。

    ただしglasses,ltd の番地は50でLoews の映画館が58なので56なら右隣の店になりますが、もしかしたらi以前はつながっていたのかもしれない。

  2. inagara より:

    milouさん、コメント毎度ありがとうございます。
    すごい!確かに縦長窓が同じですね。
    この記事書いたときのことはもう忘れてしまいましたが、おそらくSVでちょっと見てあたりの様子が全く違っているので、ないものとしてしまったのだと思います。
    SVをチェックすると、映画館のすぐとなりの建物の扉の下に「54/56」とあるので、こちらの方かもしれませんね。
    あと、ついでにタグに「猫」を設けました(笑)。猫が登場する映画につけていく予定です。

  3. Bill McCreary より:

    どうも、ご挨拶が遅れましたが、今年もよろしくお願いします。

    年末年始、この映画のIMDbを確認しましたら、ロケ地情報がだいぶ詳細になっていまして、上の「56 E. OAK ST」もしっかり記載されています。昨年コメントした『突然炎のごとく』でもそうでしたが、WikipediaやIMDbというのも当然ながらいろいろデータが積み重なっているので、可能でしたら適宜参照していったほうがいいのかもですね。

    今はそういうこともないのでしょうが、『おしゃれ泥棒』なんかも住所そのまんまのところがありましたし、昔はそういうところはおおらかだったんでしょうね。

    それにしても『ブルース・ブラザース』の記事などを読んで痛感したのですが、シカゴも再開発がすごいですね。映画の舞台がまるっきりなくなっているところが少なくない。この映画のシカゴのシーンも、当時とはまるで違うのでしょうね。

    また今年もロケ地を回ってみるつもりですので、協力できそうな際はご連絡いたします。

  4. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、こちらこそ今年もどうぞよろしくお願い致します。
    IMDb見ましたが、確かにぐっと詳しくなっていますね。以前はアルファベット順だったような気がしますが、今は何順なのでしょうね??(……照合するのに目が疲れる……)
    IMDbのシステムがよくわかりませんが、ロケ地情報やトリビアは、ユーザー登録して情報を寄せると審査の上登録されるみたいなものでしょうか。
    拙サイトも自力でチェックできるのは限りがありますので、皆様の情報をいつも楽しみにしています。また何か情報がありましたら、お気軽にお寄せください。よろしくお願い致します。

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