『マニトウ』 The Manitou (1978)

作品メモ

前のエントリー『ファール・プレイ』同様、サンフランシスコが舞台で、バージェス・メレディスが脇役出演している1978年の映画です。
ジャンルは180度異なってこちらはホラー。それもかなりの珍作です。

ヒロインは首の後ろに腫瘍ができてしまったカレン(スーザン・ストラスバーグ)。
腫瘍はぐんぐん大きくなるとともに中で何かが動いています。
サンフランシスコの病院で調べてみるとなんと中身は胎児でありました。
不安になった彼女は旧友で心霊研究家のハリー(トニー・カーチス)に相談します。
久々に会った2人は相談事もどこへやら、たちまちいいムードになったりしますが、肝心の治療の方は腫瘍をとりのぞこうとメスを握ったお医者さんがなぜか自分の手を切ってしまうという事故が起きてあえなく中断。
さらにレーザーを使った手術を試みますが、今度は装置が暴走し、レーザー光線をあたりに乱射して大事故となってしまったのでした。

一方ハリーの周辺でも不思議な出来事が起き、彼は斯界の権威ドクター・スノウ(バージェス・メレディス)のもとを訪れます。
ドクターの話では、強大な力を持ち何百年もの間転生を繰り返してきたネイティブ・アメリカンの祈祷師(メディスンマン)が、今度はカレンの首から転生しようとしている、彼女を救うには別の祈祷師の力が必要だとのこと。
(バージェス・メレディスの出番はこれだけ)

ハリーはなんとか祈祷師ジョン・シンギング・ロック(マイケル・アンサラ)の協力を得て、病院に連れてきます。
腫瘍はもう大きくふくれあがり、産まれる寸前。
カレンはうつぶせになり耐えるしかありません。
ジョンはマニトウ(精霊)の力を集めて悪霊を退散させようとしますが、カレンを通じてその名を知ると茫然とするのでした。
「ミスカマカス……」
それは彼の力が到底及ばない最強最悪の祈祷師。
やがて人々が遠巻きに見つめる中、ミスカマカスは膜を破り、悠然とこの世に誕生します。

果たしてハリーはカレンを救い、ミスカマカスを撃退することができるのでしょうか??

……といったお話。

こんな風に書いていてもB級の香りがぷんぷんと漂ってきますが、実際にはC級D級果てはZ級の奈落の底まで見えてくるような(ある意味)楽しい映画です。

それでもわざわざエントリーを立てたのは、ラストの驚愕の展開にあります。
昔80年頃に名画座で見ていて、想像を絶する出来事に椅子からずり落ちそうになりました。
当時同じ経験をされた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

ここから先は、次の「作品メモ(ネタばれ)」で書くことにして……とにかく、おかげで個人的にはへたに出来の良い映画よりずっと記憶に残る珍作となっています。
トニー・カーチスやスーザン・ストラスバーグなど、こんな映画に出て俳優さん的には大丈夫か心配になりますが、少なくともウィリアム・ガードラー監督にとっては、それまでの作品と大差ない出来映えで終わるところが、見事うっちゃりでホラー映画史(のすみっこ)に名前をとどめることができたかもしれません。
ただ残念なことに監督はこの映画のあと次作のロケハン中にヘリコプター事故で亡くなっています。

もうひとつ、記憶に残るのがラロ・シフリンの音楽。
重厚なテーマ曲はネイティブ・アメリカンな雰囲気たっぷりでイケてましたし、随所に流れる愛のテーマともいうべき曲が、映画の内容には似つかわしくなくとても美しく(かつ通俗的)、いわば『世界残酷物語』の「モア」のような効果(と違和感)をもたらしていました。

DVD化(2011年3月追記)

なんとDVD登場♪
さすがallcinema SELECTION。

http://www.allcinema.net/dvd/manitou.html

作品メモ(ネタばれ)

お話の続き……

復活したミスカマカスの強いこと強いこと、気がつけば大自然のマニトウを呼び寄せ、病院の1フロアまるごと凍りつかせていたりするのです(他のフロアでは普通に業務が行われてはいるのですが……)。
こうなるとジョンが召喚できるレベルのマニトウではまったく太刀打ちできません。
カレンの病室に向かうものの、猛吹雪に吹き飛ばされるハリーとジョン。
勝ち誇るミスカマカス。
もはやこれまで……と思われたその時、やけくそになったハリーが手近のタイプライターを投げつけます。
何故かひるむミスカマカス。
大昔の祈祷師にはタイプライターが持つ機械のマニトウは操れず、不意打ちをくらったのでした。
それならコンピューターなら? と思いつき、病院中のコンピューターをフル回転させます。
ふたたびカレンの部屋に向かうとそこにはなんと異次元の宇宙空間が広がっていたのでした。
虚空にはカレンのベッドとその向こうにミスカマカスの邪悪な姿が浮かんでいます。
ジョンはコンピューターのマニトウを呼び寄せようとしますが、
「ダメだハリー、白人のマニトウ、私には来てくれない……(おい!)」

万事休すと思われた矢先、突然カレンがむっくり起き上がるではありませんか。
なんとコンピューターのマニトウはカレンに呼び寄せられたのです。
カレンはチャージをすませると、「は~~っ!!」と両の手のひらを前に突き出します。
すると、かめはめ波か波動拳か、手のひらから鋭いビームが飛び出して、ミスカマカスを直撃。
ミスカマカスも反撃しますが、これまでのようなゆとりは見られません。
興に乗った?カレン、うれしそうに「は~~っ!! は~~っ!!」とたたみかけます。
虚空に飛び交うビームの嵐。
TVゲーム的死闘の果てに、とうとうミスカマカスは消滅。
そのビジュアルイフェクトはどーみても『2001年宇宙の旅』のスターゲート・コリドー(のものすごいチープ版)。
平和が戻った病室で、ハリーがカレンをひしと抱きしめたことは言うまでもありません。

このラストのバトル。
木に竹を接いだといいますか、瓢箪から駒といいますか、 B級映画を撮り続けた監督がやけくそでぶちかましたようなでたらめなノリとパワーがありました。
B級映画のマニトウが集まってとてつもないパワーを発揮してしまったとも言えましょうか。

まあ冷静に考えれば、オカルトブームに乗って企画を進めていたら途中で宇宙SFブームが来てしまってなんだかわからないまま作り上げてしまった、それだけのことかもしれませんが、昔名画座で見ていて椅子からずり落ちた後、奇妙に盛り上がってしまったことも事実です。

オーラスで「1969年 東京の15才の少年の胸に腫瘍が発生。腫瘍は膨張し鮮明ではないが、明らかに人類の胎児であった」などともっともらしいテロップが出ます。
それを見た日本の観客は、「ないない」と心の中でつっこんだことと思いますが、そもそもこの映画、観客数がどれほどいたのか、そのあたりも気になるところです。

ロケ地

IMDbでは

Hollywood, Los Angeles, California, USA
San Francisco, California, USA
South Dakota, USA

というわけで、サンフランシスコが主な舞台となっています。

ハリーの家

ハリーがちょっと怪しげな占い師として営業している仕事部屋兼自宅。
坂の上にありケーブルカーがすぐ近くを通るといういかにもサンフランシスコ的な物件ですね。
この↓右側の建物という想定だと思います。

日本庭園

ハリーとカレンが待ち合わせた場所。
ゴールデン・ゲート・パークにあるこちら。

Japanese Tea Garden  

思えば、この日本的描写がラストのテロップに繋がっているのでしょうか??

病院(外観)

あちこち探してみましたが、おそらくこの建物だと思います。

  • Google Maps(SV)


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ラスト、ジョンの乗ったタクシーは建物の前からCalifornia Streetの東の方へ走り去っています。
向かいには、『タワーリング・インフェルノ』で撮影に使われたBank of America Center(当時。現在は555 California Street)があります。
 → 『タワーリング・インフェルノ』

資料

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