ヴィットリオ・デ・シーカ監督の遺作
作品メモ
『ひまわり』のソフィア・ローレンが素晴らしかったので、続けて覚え書きを少々。
今年(2009年)のアカデミー賞授賞式をNHKBSのダイジェスト放送で見ました。
主要部門では候補者の数だけ紹介役の俳優たちが登場し、ひとりずつ短いスピーチでその業績をたたえるという趣向でした。
ソフィア・ローレンは主演女優賞部門でシャーリー・マクレーンやハル・ベリー、ニコール・キッドマン等と一緒にステージに登場しましたが、黄色いドレスに身を包み、ゴージャス通り過ぎてど迫力の存在感。 → Google 画像検索
メリル・ストリープを紹介したのですが、彼女に向かってステージの上から腰に手を当て、
「メリルは驚くべき才能の持ち主です」
なんて言えるのは、世界広しといえどもソフィア・ローレンぐらいなものではないでしょうか。
少なくともアメリカの女優さんならありえない光景と堂々たる振る舞いに、一種陶然とした気持ちになりました。
1934年生まれということで御年○○歳の計算になりますが、生涯現役で映画ファンを魅了し続けていただきたいと思います。
さて、『旅路』ですが、ヴィットリオ・デ・シーカ監督30本目にして最後の作品となり、監督はこの年(1974年)に亡くなっています。
日本でも海外でも映像ソフトが出ていない状態で、今から見るとなるとスカパーやケーブルなどでの放送に期待するしかないかもしれません。
私自身は確か昔地上波で深夜枠に放送されたときに見たきりです。
物語については、資料に挙げた映画サイトをご覧ください。
この作品、デ・シーカ監督の中では少し世評がが低いかもしれません。
やや大時代がかったメロドラマが受け入れられなくなっていたというのがあるでしょうし、相手役のリチャード・バートンが70年代に入りやや精彩を欠いていたということもあったかと思います。
それでもイタリア各地の情景とともに、大人の男女の心情がしっとりと描かれ、監督らしさは十分出ている作品だったのではないでしょうか。
ふたりはこのあとイギリスのドラマ『逢いびき』でも共演していますが、いたずらに陰鬱にメロするだけで、オリジナル版(『逢びき』)にはちょっと及ばなかったような気がします。
→ 『逢いびき』 『逢びき』
原作
公開当時ハヤカワ文庫NVで『旅路』というピランデルロの短編集が出ていて、ジャケットが映画のスチル写真を使っていました。
原作はその中に収められている短編で、あっという間に読むことができます。
余談ですが、ピランデルロといえば小松左京さんが大学(京大文学部)の卒論でテーマにした作家です。
『旅路』公開の数年後に朝日新聞で連載された『こちらニッポン…』は、ピランデルロの代表作『作者を探す六人の登場人物』へのオマージュとも言える作品となっています。
ラストについて(ネタばれ)
ロケ地
IMDbでは
Milan, Lombardia, Italy
Naples, Campania, Italy
Palermo, Sicily, Italy
Rome, Lazio, Italy
Venice, Veneto, Italy
……とイタリア観光都市巡りのようです。
詳しくは、いずれここに追記していこうと思います。
※14/5/7追記
「いずれ」と書いておいて5年もほったらかしでした。ぱっと見わかるところを少しだけ追加。
パレルモの病院(14/5/7追記)
馬車でやってくるところ。
パレルモ大聖堂W の前。
- Google Maps(SV) ……ちょうどこのアングルですがバスが邪魔 orz
- Bing Maps(概観図・南向き)
- WikiMapia
入っていった建物はこちら↓。
確証はありませんが内部の撮影もこちらで行われたのではないでしょうか?
Palazzo AsmundoW
http://www.palazzoasmundo.com/
ヴェネツィアのホテル(14/5/7追記)
Hotel DanieliW
http://www.danielihotelvenice.com/
今までのエントリーで言えば『エヴァの匂い』でも登場。
資料
ロケ地マップ
▼21/8/9 項目追加
更新履歴
- 2021/08/08 「ロケ地マップ」項目追加
- 2021/05/10 画像リンク修正
- 2018/09/08 画像のリンクをアルバムアーカイブからGoogleフォトに切り替え
- 2014/05/07 「パレルモの病院」「ヴェネツィアのホテル」追加
- 2009/04/30 新規アップ
コメント
こんにちは。すでにご存知かもですが、YouTubeに英語字幕付きで全編アップロードされています。画像もきれいだし、なかなかの優れものです。日本語のソフトは今日まで出ていませんね。
「ひまわり」は、あれだけ何度も公開されてテレビ放送もされて、ソフト化もされているのですが、同じ監督の同じ時期の映画でも、これだけ扱いが違うのですね。私も未見ですので、さっそく観たいと思います。でもそういってすぐ動画が削除されちゃうという悔しい思いを人生何回したことか・・・。これは2014年のアップロードなので大丈夫かもですが。
ttps://www.youtube.com/watch?v=PcRAejF9oTE
>ピランデルロといえば小松左京さんが大学(京大文学部)の卒論でテーマにした作家です。
京都大学は、イタリア語イタリア文学専修があるんですよね。東京大学だと「南欧語南欧文学研究室」になるんですが、これだとスペイン語やポルトガル語も入るんですかね? ちなみに前にカタルーニャ語をちょびっとみたら、フランス語とスペイン語のまさに中間のような趣がありました。
Bill McCrearyさん、こちらでもどうもです。
YouTubeの動画、知りませんでした。これは字幕入りですし使えますね。
自分の環境では関連動画に同じふたりの『逢いびき』が表示されていましたが、これも現在入手可能な形ではソフトがないんですよね。
他に『河の女』や『栄光の丘』みたいなのが並んでいて、これで週末つぶれそう 🙂
良い情報ありがとうございました。
カタルーニャ語は中間ぐらいの感じですか。たとえばスペイン語ネイティブからみて、なんとなく近い筋の言語のようには感じられても、いきなりの理解や会話はちょっと無理ぐらいでしょうかね。
何かで触れたような気がしたので自分のサイトを検索したら(笑)『ラスト・デイズ』でした。こういうのはスペイン語すらわからないで字幕や吹き替えで見ているわけですから、外国映画には見えない壁がたくさんあるわけですね。