美女とカエル
目次
作品メモ
ふたつ前のエントリー『紳士泥棒/大ゴールデン作戦』でバカラックの音楽を聴き、ひとつ前のエントリー『お熱い夜をあなたに』でジャック・レモンのコメディをリストアップしていたら急にこの映画を見たくなりました。
社長夫人とは知らずに美しい女性と恋に落ちてしまった会社員の話。
彼女も夫とはすっかり気持ちが離れていて、会社員に惹かれるものを感じます。
設定的にはW不倫になりますが、じめじめドロドロは無し。
出世したものの今いち冴えない男が、真の生きがいに目ざめ美女と人生をリブートする姿が、カエルの王子様のおとぎ話になぞらえて描かれます。
主人公の証券マン、ハワード・ブルベイカーにジャック・レモン。
社長夫人カトリーヌにカトリーヌ・ドヌーヴ。
アメリカの人気俳優にフランスの美人女優を組み合わせた構図で、ドヌーヴの珍しいアメリカ映画出演作。他にはバート・レイノルズと共演した『ハッスル』ぐらいしか思い浮かびません。
やり手のテッド・ガンサー社長にピーター・ローフォード。
リフォームにしか興味が無いハワードの妻フィリスにサリー・ケラーマン。
カトリーヌたちを屋敷に誘った占いが得意な富豪夫人グレース・グリーンロウにマーナ・ロイ。
フェンシングが大好きなその夫アンドレにシャルル・ボワイエ。
ハワードの友人の弁護士シュレーダーにジャック・ウェストン。
他に富豪夫妻の運転手役で、『チャーリーズ・エンジェル』のボスレーでおなじみデビッド・ドイルが登場。
あっと、キョーレツなガングロ秘書ナオミは、Dee Gardnerという女優さんで他に何本か出演作があるようです。
監督スチュアート・ローゼンバーグ、脚本ハル・ドレスナー、撮影ミシェル・ユーゴー。
なんともロマンティックな邦題ですが、実際にはNYが舞台でパリは出てきません。
原題は「エイプリル・フール」
バート・バカラック
なんといってもバート・バカラックの音楽あってのこの映画。
一本のロマコメとして見たときに評価は人によって分れるかもしれませんが、バカラックの音楽が流れた瞬間小賢しい批評は吹っ飛んでいき、ただひたすらそのステキな世界に浸っていたくなります。
甘美なテーマ曲”The April Fools” は本編では中頃と最後に流れます。
歌詞は名コンビのハル・デヴィッド。
冒頭のパーティで歌われていた”I Say A Little Prayer For You”もバカラック&ハル・デヴィッドの名曲ですね。
邦題「小さな願い」W。
サビのところは、パーティの客みたいに「ふぉえば♪ あんでば♪♪」と一緒に歌いたくなります。
※14/9/28追記
IMDbによれば、バカラックはこの2曲の提供で、他にマーヴィン・ハムリッシュが曲を書いています。
DVD化
※17/6/5項目追加
情報寄せていただきました。
ようやく国内でDVD登場です。
なんと日本語吹き替え付き♪
ロケ地
IMDbでは、
Manhattan, New York City, New York, USA
Stamford, Connecticut, USA (Outdoor railroad station scenes)
Studio City, Los Angeles, California, USA (CBS Studio Center)
TWA Terminal, JFK International Airport, Jamaica, Queens, New York City, New York, USA
今回は手持ちのVHSでチェック。
良い画質と音質で楽しみたいので、日本でのDVD化熱烈希望です。
OPのビル
社長の住まいがある豪華なマンション。
後半車でやってくる場面で周辺が映っていましたので、場所がわかりました。
国連ビルのすぐ北側。
お屋敷
富豪の豪邸。
ボーリングのレーンまであったりします。
場所は不明。
国連ビルのそば
0:45。
一夜明けて車でやってくるところ。
これでOPのビルが国連ビルのすぐそばだということがわかりました。
野外音楽堂
ハワードがひとり思い悩むところ。
後ほど2人でバイオリンの演奏を聴きます。
セントラル・パークのこちら。
撮影地としてポピュラーかと思いますが、当サイトの今までのエントリーで言えば『愛情物語』、『ティファニーで朝食を』。
©1996 milou アルバム「ニューヨーク」から |
画像は以前milouさんから提供していただいたもの(いつもありがとうございます♪)
撮影は1996年とのことです。
会社が入っているビル
ビルの前に赤い立方体が斜めに立っています。
マリン・ミッドランド・ビル(Marine Midland Building, HSBC Bank Building)W
140 Broadway
Red Cube
イサム・ノグチ1968年作。
ビルの竣工は1967年。
当時できたばかりですね。
池のほとり
0:58。
ハワードが子供の時のエピソードを話すところ。
セントラル・パークのこのあたり。
- Google Maps(SV) ……ここからの眺め
- Google Maps(45°) ……この位置で南向き
- Bing Maps(概観図)
- WikiMapia
- http://www.panoramio.com/photo/5607490 ……ここからの眺め
鷲の像
0:59。
鷲の羽に抱かれて微笑む2人。ロマンティックな前述テーマ曲が流れて良いムード。
よく考えてみたらただ2人がぼーっとしているのを撮っているだけなのに、バカラックの音楽がかぶさるとそれだけでこの上なくステキな場面となります。
我々が同じことをやったらどんなもんかはわかりませんが、とりあえず場所はセントラルパーク動物園。
具体的には中央にあるアシカのプールの周りで、いくつかあるようですが、おそらく西側にある向かい合ったペアの南側。
背景に青緑色の屋根の高層ビルが見えますが、おそらく『パリのめぐり逢い』でキャンディスの部屋があったところ。
あの映画もヒロインの名前が女優さんと同じでした。
バー
シュレーダーと話をしたところ。
看板がはっきり写ります。
DELMONICO’S
56 Beaver Street, New York, NY 10004
空港ターミナル
ラストはこちら。
TWA Terminal, JFK International Airport, Jamaica, Queens, New York City, New York, USA
終わってみればたった2日間のドラマ。
勢いでこうなっちゃった感もあり、この先パリで2人がどうなるのかかなり心配ですが、それは野暮というものですね。
If we’re just April fools
I don’t care,
we’ll find our way somehow
No need to be afraid
True love has found us now
ロケ地マップ
※17/6/5 項目追加
資料
関連記事
バート・バカラック
- 『007 カジノ・ロワイヤル』 Casino Royale (1967)
- 『マックィーンの絶対の危機』 The Blob (1958)
- 『ミスター・アーサー』 Arthur (1981)
- 『何かいいことないか子猫チャン』 What’s New Pussycat (1965)
- 『幸せはパリで』 The April Fools (1969)
- 『明日に向って撃て!』 Butch Cassidy and the Sundance Kid (1969)
- 『最高の恋人』 Mr. Wonderful (1993)
- 『紳士泥棒 大ゴールデン作戦』 Caccia alla volpe (1966)
更新履歴
- 2017/06/05 「DVD化」「ロケ地マップ」項目追加 Picasaへのリンクをアルバムアーカイブへ変更
- 2014/09/28 「バート・バカラック」追記
- 2014/09/26 新規アップ
コメント
この映画は未見ですが、INAGARA様の「ロケはすべてNYでパリは全く出てこない」の冒頭記述を不思議に思い、ストーリーを調べてみました。成る程、最後の最後でパリの意味が分かるのですね。ということは 原題の陳腐なThe April Foolsを『幸せはパリで』と訳した人は天才的なコピーライターですね。外国映画の平凡な原題をロマンチックで魅力的な邦題に付け替えるという日本人の繊細の現れでしょうが、中でもこの題名こそは1,2を争う名タイトルではないでしょうか。
YOUTUBEで他の4分ぐらいの映画シーンを見てみると、カトリーヌ・ドヌーヴは吹き替えでなく、自分で英語を喋っているようですね。フランス人なのになぜこんなに英語がうまく話せるのか、不思議でなりません。そういえば、我がアラン・ドロンもテレビのインタビューで見事な英語で受け答えをしていました。日本人には到底真似ができないです。
赤松さん、こんばんは。
数えたわけではありませんが、最も多く邦題に使われた都市名はやっぱりパリではないかと思ったりします。
今度はバカラックの音楽が使われた映画を何本か取上げようかと思っていますが、『何かいいことないか子猫チャン』のロミー・シュナイダーも吹替えではないように思えます。
アメリカ進出を狙っていたから……ということかもしれませんが、このくらいの俳優さんたちなら英語ぐらいペラペラ話せて当たり前なのかもしれませんね。