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『お熱い夜をあなたに』 Avanti! (1972)

お熱い夜をあなたに [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『紳士泥棒 大ゴールデン作戦』同様、イタリアはイスキア島が舞台の映画をもう一本。
イスキアでロケした映画は、たとえばIMDbではこんな風にリストアップされています。

当サイトで取上げてきたのは、

IMDbのリストと照合してみると、他に見たことあるのは『クレオパトラ』ぐらいでしょうか。

この『お熱い夜をあなたに』は、ビリー・ワイルダー監督+ジャック・レモンのコメディということで、『お熱いのがお好き』や『あなただけ今晩は』を足して割ったような類似品タイトルとなっています。
いっそ『お熱いのがお好きなあなただけに今晩はアパートの鍵貸します』とかどうでしょう 🙄

父親が事故で亡くなったとの連絡を受けてイスキア島にやってきたアメリカの大実業家。すぐに引き返すつもりでしたが、手続が繁雑で週末のためやむなく島で過ごすはめに。
どうも父親は同乗していて一緒に死んでしまった女性と毎年この島で逢瀬を楽しんでいた模様。その女性の娘がやはり遺体を引き取りにやってきていたのですが、独特なキャラの彼女と接したり、熾烈なビジネス社会とは別世界の島のモードにひたっているうちに、彼の心にいつのまにか変化が……
……といったお話。

ばりばりのビジネスマンがのんびりした風土と接するところで面白みが発酵していく様は、当サイトでチェック済みの『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』あたりに近いものがあるかもしれませんね。

主人公のウェンデル・アームブラスター・ジュニアにジャック・レモン。
ヒロインのパメラにジュリエット・ミルズ。これまでのエントリーで言えば、『衝撃の告発!QBセブン』。とあるものでは隠しきれない素敵なものも披露してくださいます。
大活躍のホテルの有能な支配人カルロ・カルーチにクライヴ・レヴィル。これまでのエントリーで言えば、『ヘルハウス』。他に『刑事コロンボ/策謀の結末』のアイルランドの作家役が印象に残っています。全然イタリア人じゃないですね。

原題の「アヴァンティ(Avanti)」は、ノックされたときの「どうぞ」。反対にノックする時は「ペルメッソ(Permesso)」で、主な舞台となるリゾートホテルでは、この「ペルメッソ」「アヴァンティ」が幾度も繰り返されます。

元々は、サム・テイラー(サミュエル・テイラー Samuel A. Taylor)の戯曲のようです。同じビリー・ワイルダー監督の『麗しのサブリナ』もやはりサム・テイラーの戯曲が基になっているようですね。
映画の脚本のお仕事は他に、『愛情物語』『めまい』『さよならをもう一度』等。ヴィットリオ・デ・シーカとマレーネ・ディートリッヒの『モンテカルロ物語』では監督もしているようです。

監督ビリー・ワイルダー、脚本ビリー・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンド、撮影ルイジ・クヴェイレル、音楽カルロ・ルスティケリ。

ジャック・レモンとビリー・ワイルダー

ジャック・レモンとビリー・ワイルダー監督作との延べリストを作ろうと思いましたが、大変そうなので即中止。
この組み合わせの映画は(たぶん)全部で7本。
他にタイトルが混乱しやすいジャック・レモン出演作も併せて、自分用のメモとして並べてみました。
もちろん全部ではありません。年代逆順。
『新・おかしな二人/バディ・バディ』は、ビリー・ワイルダー監督にとっては最後の作品、ジャック・レモンはこの後数本出ています。

タイトル 年代 監督 脚本
新・おかしな二人/バディ・バディ<未>
Buddy Buddy
1981 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
フロントページ
The Front Page
1974 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
おかしな関係・絶体絶命
The War Between Men and Women
1972 メルヴィル・シェイヴェルソン ダニー・アーノルド
メルヴィル・シェイヴェルソン
お熱い夜をあなたに
Avanti!
1972 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
幸せはパリで
The April Fool
1969 スチュワート・ローゼンバーグ ハル・ドレスナー
おかしな二人
The Odd Couple
1968 ジーン・サックス ニール・サイモン
恋人よ帰れ!わが胸に
The Fortune Cookie
1966 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
女房の殺し方教えます
How To Murder Your Wife
1965 リチャード・クイン ジョージョ・アクセルロッド
ちょっとご主人貸して
Good Neighbor Sam
1964 デヴィッド・スウィフト エフレット・グリーンバウム
ジェームズ・フリッツェル
あなただけ今晩は
Irma La Douce
1963 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
アパートの鍵貸します
The Apartment
1960 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
お熱いのがお好き
Some Like It Hot
1959 ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド

ロケ地

IMDbでは、

Faro di Carena, Capri Island, Italy (Heilicopter landing place and lightouse)
Amalfi Coast, Amalfi, Salerno, Campania, Italy (Resort Island)
Campania, Italy
Fiumicino Airport, Rome, Lazio, Italy (Leonardo da Vinci Airport/aeroplane sequence)
Hotel Excelsior Vittorio, Piazza Tasso, Sorrento, Naples, Campania, Italy (Hotel)
Ischia Island, Naples, Campania, Italy (Resort Island)
Naples, Campania, Italy
Neapolitan Islands, Naples, Campania, Italy (Resort Island)
Palatino Studios, Rome, Lazio, Italy (studio) (interiors)
Piazza Tasso, Sorrento, Naples, Campania, Italy (Hotel)
Rome, Lazio, Italy
Sorrento, Naples, Campania, Italy

空港

出発したのはおそらくジョン・F・ケネディ国際空港。
今とはだいぶターミナルの外観が違っています。

到着したのはローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ空港(というアナウンス)。
撮影はこちらのようです。

Fiumicino Airport, Rome, Lazio, Italy

水中翼船

水中翼船が入ってきた港は、『太陽がいっぱい』『スカンポロ』で登場したこちら。

“GRAND HOTEL EXCELSIOR”と書かれた迎えのバンがやってきたのは港沿いのこの道。

ホテルまで

カーブを描いた上り坂はこちら。

もう少し進むと、『太陽がいっぱい』『スカンポロ』で登場した坂道。
どうしても撮影ポイントは限られてしまいますね……

ホテル

0:17
到着したホテルは、実際にはイスキア島ではなくイタリア本土ソレントにあるこちら。

Hotel Excelsior Vittorio, Piazza Tasso, Sorrento, Naples, Campania, Italy (Hotel)

後半レストランのテラスからの眺めもこの場所からのもの。

安置されていた教会

0:32
『スカンポロ』でも登場した、イスキア島西端のこちら。

Santa Maria del Soccorso

桟橋

裸で飛び込んでしまった桟橋も前述のホテルの真下あたりと思われますが、調査中。

馬車

馬車で回っている時に見かけたポスターは、ロベール・アンリコ監督の『ラムの大通り』 Boulevard du rhum (1971)で、上映していたのは『ある愛の詩』(1970)。

見晴台

漁師たちに見つかって逃げて上がったところ。
イスキア島のこちら。

通り過ぎた教会

その後バイクに乗って通り過ぎるところ。イスキア島のこちら。

Chiesa San Vito (Church of San Vito)

ヘリポート

ヘリコプターが降り立ったのは、イスキア島ではなく近くのカプリ島の南西端。
おそらく普通の駐車場をヘリポートに擬装しています。

Faro di Carena, Capri Island, Italy (Heilicopter landing place and lightouse)

カプリ島はこれまで『軽蔑』でチェック済みですが、ちょうど島の反対側ですね。

ロケ地マップ

イスキア島で撮影された映画をまとめて。
島を中心にしていますが、ズームアウトすると他の地域も見られます。
大きな地図を開いた方がご覧になりやすいかもしれません。


より大きな地図で イスキア島 を表示

資料

更新履歴

コメント

  1. 赤松 幸吉 より:

    ビリー・ワイルダーとジャック・レモンコンビのアメリカ映画がイスキアでロケをしているとは意外だった。

    ただ、inagara様の記述からすれば、この映画のロケ地は他のソレントやカプリ島などと組み合わされているみたいですね。特にホテルについては、確かにあんな巨大なホテルはイスキアにはありません。中型・小型のホテルが数多く散在しています。

    イスキアは「太陽がいっぱい」で日本人に少しは知られるようになりましたが、まだまでナポリやカプリ島を訪れても、イスキアまで足をのばす日本人は少ないようです。とても風光明媚で素朴な島なので是非訪れてください。

    映画の題名は同じような邦題ばかりで本当にややこしいですね。それにしても『お熱いのがお好きなあなただけに今晩はアパートの鍵貸します』は傑作ですね。

    これでイスキア・シリーズはおしまいか、少し寂しいな。

  2. 居ながらシネマ より:

    赤松さん、残念ながらイスキア島シリーズはこれでネタ切れです。
    記念に?まとめたマップも作ってみました。
    『太陽がいっぱい』は単独でもマップがありますが、こうやって他の映画と一緒にしてみるとまた違った楽しみかたができそうですね。

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