目次
作品メモ
何本か前のエントリー『イタリア式バス旅行』は、チャーミングな女性がイタリア周遊バス旅行のツアコンをつとめる楽しいコメディでしたが、こちらは若かりし日のロミー・シュナイダーがイスキア島の観光バスのガイドを演じた映画。
未公開映画で、日本ではおそらくソフト化も放送もなかったかと思います。ここでは便宜上『スカンポロ』と表記していますが、正式な邦題ではありません。
Scampoloはヒロインの名前。まだ若いのに親はいなくてひとりでボート暮らし。イスキア島の観光バスでガイドをして生計を立てています。
その彼女が恋したのがまだ駆け出しのビンボーな建築家の卵。コンペ出品作を懸命に仕上げて郵送したつもりでしたが、宛名不明で届いていないことがわかり彼女は作品をたずさえて会場のナポリへ向かうことに……
……といったお話だと思われるのですが、なにせ日本語字幕がないので内容は定かではありません 😕
イタリアが舞台ですが、製作は西ドイツ。
ドイツでの公開は58年2月で、おそらく撮影は57年。公開日で見ると、シシー3部作の掉尾『エリザベート3 運命の歳月』(DVDタイトル。CS放映時は『シシー ある皇后の運命の歳月』)に続く作品のようです。
ヒロイン含め皆(「チャオ!」と「ボンジョールノ!」以外)ドイツ語をしゃべっていますが、イタリアでの公開は当然イタリア語に吹き替えられていたことでしょう。
見どころはまだ18,9歳の可愛らしいロミー・シュナイダーと、イスキア島の風景。
『太陽がいっぱい』のわずか数年前の島の様子があちこちフィルムに収められ、比較して見ても楽しめる1本となっています。
今から見るとなると、ドイツ盤DVD……はなかなか気軽にはいかないでしょうから、やはり動画サイトでお試ししたくなるところですね。
ロケ地
IMDbでは、
Ischia Island, Naples, Campania, Italy
Naples, Campania, Italy
OPの港
『太陽がいっぱい』でもとある場面で撮影場所に使われた港。
OPのカメラ位置は西側で、東向きのアングル。
- Google Maps(SV) ……対岸の景色
- WikiMapia
見晴台
0:03。
観光バスがやってた見晴台。
眼下に見える岩山は『太陽がいっぱい』のラストで背景に見えていたところ。
『太陽がいっぱい』では東側からのアングルでしたが、『スカンボロ』ではほぼ真北から。
見晴台自体は思ったより内陸にあり、探し出すのに手間取ってしまいました。
- Google Maps(SV)
- Google Maps(SV) ……見下ろした岩山
- WikiMapia
スカンポロの船
港に係留されているボートで、ひとりで生活しているという設定ですね。
警官がバイクでやってきたのは、港の東側のこちら。
スカンボロの船が舫っていた杭はおそらくこれ。
桟橋のある広場
バイクから降りたのは、『太陽がいっぱい』で何度も写った桟橋のあるこちら。
ここで待機していた観光バスに乗ります。
広場周辺がたっぷり写されますが、『太陽がいっぱい』の2年前の様子をここで見ることができます。
観光コース
アラゴネーゼ城
0:14。(1:06も)
アラゴネーゼ城(Castello Aragonese)W
http://www.castelloaragoneseischia.com/
ちょうどこのアングルで写ります。
お城からの眺めは上のようなものですが、ここでのポイントは桟橋。
上の画像では大きな桟橋がひとつしか見えませんが、『スカンポロ』ではとなりに短い桟橋がもう一本見えます。
『太陽がいっぱい』にも登場していたもので、撮影用に作られたセットではなくそれ以前からあったことがこれでわかりますね。
(その前に観光客が到着した場面で背後にも見えますが、こちらのショットの方がわかりやすいです)
別荘
港を見下ろせるこの坂の途中。
ここで正解だとすると面白いことに『太陽がいっぱい』のとある場面で使われた建物と同じになります。
絵になってかつ撮影に使える物件は限られるでしょうから、重なってしまったのでしょうか。
白い教会
0:36
団体客をガイドする海辺の白い教会。
Santa Maria del Soccorso
カフェ
0:58
海辺
1:09
2人で腰を降ろしていたのはこちら。
ナポリ
広場と王宮
1:26
Piazza del Plebiscito(プレビシート広場)Wと王宮W
内部はスタジオ撮影でしょうか。
ロケ地マップ
イスキア島で撮影された映画をまとめて。
島を中心にしていますが、ズームアウトすると他の地域も見られます。
大きな地図を開いた方がご覧になりやすいかもしれません。
より大きな地図で イスキア島 を表示
資料
関連記事
ロミー・シュナイダー出演作
- 『すぎ去りし日の…』 Les choses de la vie (1970)
- 『サン・スーシの女』 La passante du Sans-Souci (1982)
- 『スカンポロ』 Scampolo (1958)
- 『ラ・カリファ』 La califfa (1970)
- 『何かいいことないか子猫チャン』 What’s New Pussycat (1965)
- 『夕なぎ』 César et Rosalie (1972)
- 『太陽がいっぱい』 Plein Soleil (1960)
- 『太陽が知っている』 La piscine (1969)
- 『恋ひとすじに』 Christine (1958)
- 『暗殺者のメロディ』 The Assassination of Trotsky (1972)
- 『華麗なる相続人』 Bloodline (1979)
- 『追想』 Le vieux fusil (1975)
- 『離愁』 Le train (1973)
更新履歴
- 2014/09/24 「ロケ地マップ」追加
- 2014/09/14 新規アップ
コメント
この映画を紹介していただき感激しています。「太陽がいっぱい」のファンにとっては2~3年前のイスキアが見られるのは、まるで夢のようです。ルネ・クレマンもこの映画を参考にして、イスキア島のロケ地を決定したのではないかと思われるほどです。
特に、ラストの岩山あたりは当時はほとんど知られていなかった地域ではないでしょうか。それを「太陽がいっぱい」以前にカメラに収めているなんて驚嘆です。
桟橋はやはり2本だったのですね。この映画ではっきりとわかります。「太陽がいっぱい」にも出ていた大きな樽や黄色い大きなウリのような果物も再会できて懐かしかった。
イスキアは数多くの映画のロケ地になっていますが、この映画のように99%がイスキア・ロケというのはとても貴重です。
願わくば、ロミー・シュナイダー出演作に「太陽がいっぱい」(カメオ出演)もお遊びで加えて欲しかった。
コメントがこの映画についてでなく、「太陽がいっぱい」ばかりになってご免なさい。
赤松 幸吉さん、コメントありがとうございます。
この映画、今となっては『太陽がいっぱい』の舞台のほんの数年前の姿を見ることができるという点がすごい付加価値になっていますよね。じっくり見比べてい見ると、いろいろ発見があるかもしれません。
この岩山、正式名称は何と呼べば良いのでしょうね??
このすぐそばで撮影された映画を次の記事でとりあげる予定ですので、またお読みいただければ幸いです。
それから『太陽がいっぱい』をロミー・シュナイダー出演作に入れておきました。確かに出演してますものね。
あの岩山の名称はどこを探しても載っていません。写真にはすべてS.Angelo と表記されているだけで、S.Angelo はあの岩山の麓にある集落を指しているだけで、あの山の名前ではありません。「太陽がいっぱい」のファンにとっては象徴的な山ですが、地元の人にとっては名もない普通の山かもしれません。
唯一この岩山のS.Angelo 以外のcaptionを見つけましたが、それはTorre[m 106]とあります。調べてみるとこれは「塔」という意味でかっては要塞地だったのでしょう。
この岩山は「太陽がいっぱい」公開当時はほとんどの人が陸続きではなく、島だと思っていたはずです。私もその一人です。
この岩山ロケの映画をアップしてくださるようで楽しみにしています。