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『知りすぎていた男』 The Man Who Knew Too Much (1956)

知りすぎていた男 [Blu-ray]

ケ・セラ・セラ

作品メモ

ひとつ前のエントリー『逃走迷路』同様、先週のDlifeで特集された「ランチでショックなヒッチコック」の1本。今夜(9/13)も放送されるようなので、急遽アップ。

http://www.dlife.jp/hitchcock/

暗殺者の家 [DVD] イギリス時代の『暗殺者の家』(1934 原題同じ)のセルフリメイク。
こちらではもちろん「ケ・セラ・セラ」は流れません。

シリアスだった『逃走迷路』に比べて、『知りすぎていた男』は子供が誘拐されるという深刻なお話にも関わらず、ユーモアたっぷり、主演俳優もぐっと味わい深く、とても楽しめる一本となっています。
特に最後の最後は、ヒッチコック監督作の中でも最上級のオチの付け方ではないでしょうか?
こういうの個人的に大好きです。

出張帰りに家族とモロッコを旅するアメリカの医者ベン・マッケンナにジェームズ・スチュアート。ヒッチコック作品は『ロープ』『裏窓』に続いて3本目。この後の『めまい』を入れて全部で4本。
その妻でミュージカル女優のジョー(ジョセフィン)・コンウェイ・マッケンナにドリス・デイ。
マラケシュへ向うバスでトラブルから助けてくれたフランス人ルイ・ベルナールにダニエル・ジェラン。当サイトでは『過去をもつ愛情』

撮影ロバート・バークス。
音楽バーナード・ハーマン。コンサートの場面で指揮者として登場。

ロケ地

IMDbでは、

Avenue Bab Jdid, Marrakech, Morocco Djemaa el Fna, Marrakech, Morocco (Marrakech main square)
Marrakech, Morocco
Morocco
Royal Albert Hall, South Kensington, London, England, UK (finale)
The Souqs, Marrakech, Morocco
Hôtel la Mamounia, Avenue Bab Jdid, Marrakech, Morocco (hotel)
Ouarzazate, Morocco
Paramount Studios – 5555 Melrose Avenue, Hollywood, Los Angeles, California, USA (studio)
South Kensington, London, England, UK
St Saviour’s Church Hall, St Saviour’s Church, Brixton, London, England, UK (Ambrose Chapel) (demolished)
St Saviour’s Church, Brixton, London, England, UK (church)
Blenheim Gardens, Brixton, London, England, UK (Jo calling from the phone box)
Brixton, London, England, UK
Camden Town, Camden, London, England, UK (Dr. Ben McKenna arrives in taxi and searches for Ambrose Chapel)
Camden, London, England, UK
London, England, UK
Mayfair, London, England, UK
Park Lane House, Park Lane, Mayfair, London, England, UK (embassy) (demolished)
Royal College Street, Camden Town, Camden, London, England, UK (Dr. Ben McKenna arrives in taxi and searches for Ambrose Chapel)
Vicary Street, Brixton, London, England, UK (as Ambrose Street, now demolished, part of Blenheim Gardens Estate)
Park Lane, Mayfair, London, England, UK
Plender Street, Camden Town, Camden, London, England, UK (Dr. Ben McKenna arrives in taxi and searches for Ambrose Chapel)

とかなり細かく載っています。
いつものように特に資料は用意せず、このリストとウェブマップをたよりに画面とにらめっこでチェックしていきました。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

バスが着いたところ

設定ではマラケシュWで、撮影場所も同じ。
くぐった門は判明しませんでしたが、やってきた広場はIMDbのリストにあるこちら。

Djemaa el Fna(ジャマ・エル・フナ広場)W, Marrakech, Morocco (Marrakech main square)

俯瞰ショットはこのくらいのアングルでしょうか。カメラ西向き。

一番目立つ塔はクトゥビーヤ・モスク(Koutoubia Mosque)W

©1986 inagara

珍しく自前の画像もどうぞ(撮影1986年2月)。

例によって俳優のアップになるとスクリーンプロセスを多用していますが、現地で撮影したとおぼしきショットもしっかりありますので、俳優たちが実際にマラケシュを訪れたことは確かなようです。
モロッコは1956年3月に独立していますが、映画ではまだフランス領の模様。

ホテル

一家が馬車でやってきたところ。

Hôtel la Mamounia, Avenue Bab Jdid, Marrakech, Morocco (hotel)

映像でも大きくホテル名が写りますし、「ホテルはマモニアかラメナラですね?」とセリフでも念を押しています。

事件

翌日大道芸で賑わう広場。
肩の上に次々乗っかるアクロバットのショットで、手前左側から入ってくる後ろ姿の人物が、恒例ヒッチコック監督のカメオ。
やはりカラーとなるとスクリーンプロセスがバレやすいですね……

©1986 inagara

こちらも珍しく自前の画像。
スクリーンプロセスの背景はもしかするとこのあたりかもしれません。
事件が起きた時、一家の背景に写っていた塔にも似ていますが、おそらく別。
似たような塔はいくつもあるので、参考程度ということで。

アンブローズ・チャペルを探して

最初に電話帳で得た手掛かりは、”Chapell Ambrose, 61 Burdett st, Camden Town”ですが、架空の番地でしょうね。
カムデンタウンへ向ったベンがタクシーから降りたのは、こちら。

Royal College Street, Camden Town, Camden, London, England, UK (Dr. Ben McKenna arrives in taxi and searches for Ambrose Chapel)
Plender Street, Camden Town, Camden, London, England, UK (Dr. Ben McKenna arrives in taxi and searches for Ambrose Chapel)

背後の建物にある道路標識が”ROYAL COLLEGE STREET”と読めましたので、この場所に関してはIMDbのリストは不要だったかもしれません。
今回数年前にWOWOWで放送したときのものをチェックに使いましたが、こういった細かい道路標識までしっかり読み取れるので、作業がサクサク進みました 🙂

ベンが歩いて行ったPlender Street沿いの右側の建物は建て替えられていますが、背景突き当りの建物は今でも残っています。
後ろから来た男をやり過ごしたのはこの角。

続く門のショットの場所が上記の場所と現実にもすぐ近くなのかは不明。

アンブローズ・チャペル

建物ではないかとひらめいたジョーがやってきたところ。
電話帳には”Ambrose Chapel, 17 Ambrose st W.2″とありますが、こちらも架空のものでしょう。

アンブローズ通りとして登場しているのはIMDbのリストによるとこちら。

Vicary Street, Brixton, London, England, UK (as Ambrose Street, now demolished, part of Blenheim Gardens Estate)

Vicary Streetは現在見当たりませんが、映画の中では電話ボックスのショットで背景の道路標識が”VICARY STREET”となっています。
IMDbのTriviaによると、Blenheim Gardens Estateの建設によりなくなってしまった通りとのこと。
Blenheim Gardens Estateはマップではこちらのエリア。

Google Earthの時間スライダーを使うと、このあたりで1945年12月の空中画像を見ることができます。
確かに現在とは道路構成が違っていますね。

映画の中で日差しは逆光ではありませんし、突き当りがT字路となっているようですので、おそらく南北に何本か走っている通りのどれかで北向きのカメラで捉えられたものと思われます。
左側の教会はマットペインティングではなく、ホンモノのようです。
(1945年12月の空中画像で)教会のような大きめの建物がかろうじて確認できるのが、東から3本目の通りの南端近く。
今のマップではこのあたり。

さらに警察の車が去って行くショットで、通りの出口右側に白い窓枠のお店と縦長ポスターが見えますが、これは電話ボックスの背景と同じもの。

まとめると、教会のある通り(設定では Ambrose Street)は、リアルではVicary Streetだったところで、教会があったのは通りの南端近くの西側、電話ボックス(のセット)は南端の東側、電話ボックスの背景に見えたポスターの貼ってあるお店は南端の西側にあり、その道路標示”VICARY STREET”は小道具ではなく実際のものであった、と推測されます。

大使館

1:27頃。
IMDbでは、”Park Lane House, Park Lane, Mayfair, London, England, UK (embassy) (demolished) “とありますが、解体済みとなると確認のしようもありませんでした。

ただ、門の向かいに”REGENT HOUSE”という建物が見えますが、こちらに似て見えます。

もしこの場所となると、大使館はその向かい(東側)にあったことになりますが、今はいかにも高級集合住宅というたたずまいとなっています。

上記住所とは全然違うので(Park LaneではなくPalace Gate)間違っている可能性はかなりありますし、あるいは上記住所は内部撮影の場所を示しているのかもしれません。あくまでメモということでご了承を。

アルバート・ホール

ロイヤル・アルバート・ホールW

最初のショットは北側から。

看板に”CONDUCTOR BERNARD HERRMANN”とあります。
後ほど本人登場。

こちらの画像は以前『フォロー・ミー』用にmilouさんから提供していただいたものです。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1981年とのことです。

こちらは内部。
暗殺者もターゲットも2階席のように見えます。

大使館内部

うまい手を使って治外法権の場所に入ることができた2人。
おそらく内部はセットではなくどこかの邸宅を借りたものかと思いますが、このあたりは大使館の外観同様資料がないと解明は難しいかと思われます。

ロケ地マップ


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資料

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更新履歴

  • 2014/09/13 新規アップ

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