目次
作品メモ
フランソワーズ・アルヌール出演作をもう一本。
ひとつ前のエントリー『ヘッドライト』のアンリ・ヴェルヌイユ監督作。
そちらでも書きましたが、2人の組み合わせは、
- 『幸福への招待』Paris, Palace Hôtel (1956)
- 『ヘッドライト』Des gens sans importance (1956)
- 『Le Mouton a cinq pattes』(1954)
- 『過去をもつ愛情』Les amants du Tage (1954)
- 『禁断の木の実』 Le fruit défendu (1952)
リスボンを舞台に、妻殺しの重荷を背負った男と、夫殺しの疑惑がかけられた女の愛を描いたメロ&サスペンスです。
原題は『テージョの恋人たち』で良いのでしょうか?
テージョはリスボンが面する川の名前。
主人公のタクシー運転手ピエールにダニエル・ジェラン。パリ解放の日に自宅に帰還したところで妻の不貞を目撃、その場で射殺してしまったという過去を持っています。裁判では無罪となりましたが、妻を殺めたという重荷を背負ったまま流れ流れて今はリスボンに、という設定。
貴族の未亡人カトリーヌにフランソワーズ・アルヌール。夫が自動車事故で亡くなり莫大な遺産を相続。周囲の視線から逃れるようにリスボンにやってきたのでした。
事故はカトリーヌが仕組んだのでは?との疑惑から彼女をマークするルイス警部にトレヴァー・ハワード。良い雰囲気となった2人の前に立ちはだかり、執拗にあの手この手で揺さぶりをかけてきます。
製作ジャック・ゴチエール、原作ジョセフ・ケッセル、脚本ジャック・コンパネーズ、撮影ロジェ・ユベール、音楽ミシェル・ルグラン、歌(ファド)アマリア・ロドリゲス。
ロケ地
IMDbでは、
Lisbon, Portugal
Nazaré, Leiria, Portugal
リスボンのランドマークが次々登場、2時間サスペンス的ご当地映画ともなっています。
『さらば夏の光』でチェック済みの場所もありましたが、見どころが重なるのは仕方のないところ。
個人的には細い路地を行く可愛らしいトラムにもっと活躍して欲しかったかも。
階段
パリ解放の日、凱旋したピエール。
ピエールが車から降りて上っていったのは、『ヘッドライト』にも出てきたようなモンマルトルの階段。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps(概観図)
- WikiMapia
- https://ssl.panoramio.com/photo/4421905
- https://ssl.panoramio.com/photo/83385913
弁護士との会話
パリ北駅すぐ北側に架かるこの橋の南側を、西から東向きに渡っています。
タイトルバック
舞台となるポルトガル、リスボン。
カメラがゆっくりパンして海を捉えます。
カメラ位置はこちら。
Miradouro de Santa Luzia (サンタルチア展望台)
『ロシア・ハウス』のカメラ位置のすぐ近く。
役所の回廊
ビザの延長を済ませたピエールたちが出てきたところ。
すぐ後に写るアーチがある建物ですね。
広場はコメルシオ広場 (Praça do Comércio)W
アーチと街路
車がやってきたのは、Rua Augusta。
アーチはArco da Rua Augusta (Rua Augusta Arch)W
左折した角はこちら。
この画像はその角からもう1ブロック北側のあたり。
ホテル
カトリーヌを降ろしたところ。ロビーが豪華♪
0:23頃ルイスがやってくる場面でも登場。
場所は不明ですが、入口に急な階段があって、ロビーが広々という構成が少し不自然なので、それぞれ別の場所のように思えます。
カフェ
絵はがきを売っている子供と話すところ。
地形や周囲の建物から場所がわかりました。
こちらの広場の真ん中にある像のすぐ後ろ(北側)。
映画では像はフレームに入っていません。
実際にカフェがここで営業しているのか、撮影用に用意したものかは不明。
像は初代テルセイラ公爵Wという人物。
クラブ
場所は不明。
アパート
0:24。
ホテル住まいから一転、急な階段に面した庶民的な住まい。
背景に塔が見えますが、こちらの郵便局のようです。
なのでアパートも判明しましたが、あくまで階段の場所ということで示しますと……
ナザレの海岸の後手をつないでラブラブで戻ってくる時に登場するのは、階段を上りきったこちら。
参考までに階段の一番下。
路地とか狭い階段とか大好きなので、ここもぜひ上ってみたいです……
買物に来た広場
カトリーヌが少年とやってきたオベリスクのある広場はこちら。
レスタウラドーレス広場(Praça dos Restauradores)W
広場の南側からやってきて、広場の縁を東に向っていきます。
カメラが一緒に右にパンした時に低い柱のようなものが写りますが、それがこれ。
向った建物はこちら。
店の看板、映画では”pinoquio”ですが、SVでは”pinnoquio”ですね。
なぜ”n”がひとつ増えたのか、謎。
船上
0:32。
ガイドが「テージョ川です」と案内した時、船が進んでいたのは冒頭の回廊がある広場の前あたり。
ナザレ
0:36。
『さらば夏の光』でチェック済み。
ルイスとピエール
0:59。
ルイスがピエールのタクシーに乗ったのはこちら。
行き先のバー、King George’sは架空の名前でしょうか。
外観の場所も不明。
遊園地
不明。
埠頭
具体的な場所までは特定できませんでした。
ロケ地マップ
※2014/08/09追加(15/10/23更新)
「パリが舞台の40-50年代フランス映画」
※15/10/23追加
「リスボンが舞台の映画」
より大きな地図で リスボンが舞台の映画 を表示
資料
関連記事
フランソワーズ・アルヌール出演作
- 『パリジェンヌ』 Les Parisiennes (1962)
- 『フランス式十戒』 Le diable et les 10 commandements (1962)
- 『ヘッドライト』 Des gens sans importance (1956)
- 『大運河(グランド・カナル)』 Sait-on jamais… (1957)
- 『女猫』 La chatte (1958)
- 『学生たちの道』 Le chemin des écoliers (1959)
- 『禁断の木の実』 Le fruit défendu (1952)
- 『過去をもつ愛情』 Les amants du Tage (1955)
更新履歴
- 2015/10/23 「ロケ地マップ」更新・追加
- 2014/08/09 「ロケ地マップ」追加
コメント
1950年代―高校生だった。場末の映画館で”Les Amants du Tage”というフランス映画を見た。なにか、«愛の究極»というような強烈な印象を持ったのを憶えている。
人間て、哀しいなというような感覚が在った。リスボンの酒場、というかカフェというか、アマリア・ロドリゲスが歌う”barco Negro”―Tageがテジョ川というのをはじめて知りました。Tageは固有名詞だとけんとうはついていましたけど。
『暗いはしけ」と訳されていたが、ダニエル・ジェランガ同時通訳みたいにフランス語訳する場面にしびれましたね。
しかし、こんな作品が、DVD/BlueRayで売られていないフランス文化がおもしろい。
どうしてなのだろうか?
あと、『幸福への招待』『学生たちの道』『ヘッドライト』などの作品もあった。
どうして、フランソワーズ・アルヌールさんの映画が入手できないのだろうか。彼女は存命なのでしょうか? もう故人でしょうか?
以上
Isabeauさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
リアルタイムでご覧になったのですね。
大陸の西の端という独特の雰囲気は、映画館の暗がりで見ればいっそう印象深かったかもしれませんね。
フランソワーズ・アルヌールさんはまだご存命のはずです(80代半ば)。
愛らしくて日本人好みのルックスのように思えますが、日本ではDVD化作品が限られるようですね。このあたりのフランス映画はマーケット的にソフト化が難しいのかもしれません。
フランス版Amazonなどを見ると、本国ではいろいろ出ているようです。
こちら↓はFrançoise Arnoulでの検索結果です。
http://goo.gl/v6QPKq
『過去をもつ愛情』は私は中古VHSで見ましたが、YouTubeにもアップされているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=0c4hrUAeXrA