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『女猫』 La chatte (1958)

女猫 [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『最後の橋』同様、ベルンハルト・ヴィッキの出演作。
フランス映画のためか、DVDのパッケージでは「ベルナール・ヴィッキィ」と表記されています。
もともとは俳優のベルンハルト・ヴィッキ。IMDbを開くと、『パリ、テキサス』の画像が真っ先に出ますが、冒頭の医者が彼だったのかと、再発見。

→ IMDb > Bernhard Wicki (1919–2000)

『女猫』は、占領下のパリでレジスタンスとして活躍する女性コーラが主人公。楚々としているようでちょっと小悪魔も入っている感じ、下品にはならない色香と可愛らしさが持ち味のフランソワーズ・アルヌールが、黒いコートに身を包み、あまり表情を崩さずにヒロインをクールに演じます。

「ベルナール・ヴィッキィ」はそのお相手。彼女の正体をあばくために一般人になりすまして彼女に近づくドイツ軍将校役です。
コーラを追い詰めるハインツ・ミュラー大尉にクルト・マイゼル。
レジスタンスの指導者にベルナール・ブリエ。 監督アンリ・ドコアン、撮影ピエール・モンタゼル、音楽はジョゼフ・コスマ(コズマ)。

DVDのジャケットに「フィルム・ノワールの傑作!」とかありますが、レジスタンスものもフィルム・ノワールと言うのでしょうか。映像は確かに暗い場面が多いですけど……
冒頭に実話を基にしているような断り書きが出ますが、それにしてはシリアスに徹し切れていない部分もあるような。おそらくお話は相当アレンジされていることでしょうけど、その分彼女の魅力はしっかり出ている作りであるとは思います。
同時期日本では新東宝で『女間諜暁の挑戦』てなキワモノ的タイトル、しかしてその実態は(新東宝なりに)案外シリアスな映画がありましたが(チャンネルnecoで見ることができました)、比べてみると面白いかもしれませんね。

ところで、タイトルの読みは「めねこ」で良いのでしょうか。
キネマ旬報データベースを見たら、「めねこおんなねこ」と併記してありました。
山城新伍さんが撮った映画にこのタイトルがありましたが、あちらは確か当時「めねこ」と呼ばれていたような記憶。

続編

IMDbのユーザーレビューを読んでビックリ。
これには続編がありフランソワーズ・アルヌールがまたコーラを演じているとのこと。

La chatte sort ses griffes (1960)

未見なので内容はわかりませんが……

ネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。
ラストで裏切り者として撃たれてしまったのに、どうつながるのか気になるところです。
Wikipediaを見てみたところ、どうやら重傷を負っただけで命はとりとめたという設定のようでして。
さすがに『男たちの挽歌』みたいなつながり方ではなかった模様……

とにかく続編ができたということはそれなりにヒットしたのでしょうね。

フランソワーズ・アルヌール

……と聞いて、ゼロゼロナンバーサイボーグとフランスの女優、どちらを思い浮かべるでしょうか。

画像検索すると、両者がごっちゃに出てきます 😀

もしかすると女優さんの名前をそっくり拝借したとなるといろいろ問題があるかもしれませんので、名前の由来については曖昧にしておいた方が良いのかもしれませんね。
名前だけでなくルックスも似ているように思えるのですが……

009 RE:CYBORG 公式設定資料集 何度もアニメ化されていますが、最新の『009 RE:CYBORG』はさすが神山健治監督、とても良く出来ていたと思います。
003もだいぶ進化?を遂げていていて、これはこれでOKかと。

009 RE:CYBORG (3) (ビッグガンガンコミックススーパー)

ここまでくると、『女猫』の似顔絵とはまったく別方向………

ロケ地

IMDbには記載がありません。
大半がスタジオ撮影風。ホテル前の街路もスタジオセットでしょう。
実はこのエントリー、フランソワーズ・アルヌールの作品を何本か続けてチェックしていくためのつなぎなので、ロケ地ネタはありません(汗)

SELDON駅

0:22。
設計図を盗みに行った町の駅。
架空の駅名でしょうか。
字幕では「12月24日15時 北駅でセルドン行きの列車だ」
セットではないと思いますが、場所不明。

お屋敷

セクハラパワハラのミュラー大尉がいたところ。
門のあたりはスタジオではないと思いますが、場所不明。

ラスト

両側に煉瓦塀が長く続いているのが特徴的。
場所不明。

資料

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フランソワーズ・アルヌール出演作

コメント

  1. milou より:

    アルヌールのファンは別として、よく誰も知らないような作品を見つけてきましたね。この作品はLDで持っています。ただすでに再生機械はなく今さら中古で買う気にもなれず大量の粗大ゴミのままですが運良くこれはDVDにコピーしてあった。
    邦題は、もちろんLDの表記もメネコです。僕が愛用していたスクリーンの1972年版「外国映画・テレビ大鑑」の索引でも『女狐』2本『女鹿』『女猫』『女豹ビクセン』の並びになっています。
    この作品は断じてフィルム・ノワールではないがLDの帯にもフィルム・ノワールの傑作とある。確かにノワールなフィルムではあり画面が暗くてセット以外のロケ地を見つけるのは非常に困難。しかたなくヤケクソで(?)チューリッヒの3枚の写真。
    ☆1枚目は中央駅前のBahnhofplatz からBahnhofstrasse の南方面。
    2枚目中央通り(?)の教会はSankt Peterhofstatt に違いないと思われ右手奥に見える細い尖塔はFraumunster 教会のはずだが写真の角度で該当するような“大きな”通りが見つからないので違うかもしれない…
    3枚目の絵葉書(?)は Bahnhof 橋東詰、Central Plaza Hotel から南方面だろう。

    ☆コーラの滞在するホテルは Hotel du Sacré Coeur だが現在該当するホテルはないが設定がモンマルトルであることは間違いない。窓からの眺めや界隈の風景はモンマルトルらしくはないがコーラのモデルだったMathilde Carré は現実にサクレ・クールのすぐ側 Rue Corto やvilla Leandre に住んでいた。
    ☆連絡に使うBar Select はメトロの(Porte d’)Auteuile そばだという。もちろんこれもセットだろうが壁には競馬の絵が描かれていてオートゥイユ競馬場近く(の設定)だろう。この辺の細かい部分は結構正確で、例えば決行日は12月24日だが一瞬映る日めくりは24日に、そして時間が問題だから駅の時計なども矛盾なく合わせている。
    ☆SELDON も確かに架空の地名だが北駅から40分で20キロぐらいなので(音も少し近い?)Domont あたり(ただし現在の電車なら25分)。もちろん駅舎は新しく全然違うし、ここだとする根拠はまったくない。

    ところで例によっての余談だが、現在ヨーロッパ映画の大半は単館系でしか上映されずテレビでもイマジカなどの有料放送は別としてNHK-BS 以外でヨーロッパ映画の放映はめったにない。日本で民放テレビの放送は50年代かららしいが、当然最初は1日数時間で昼間の放送はなかった。そのうち、午後に恐らくは放送単価の安いヨーロッパ映画を多く放送しだしたが最初は毎日同じ映画を放送、徐々に本数が増え日替わりになるのだが、奥様名画劇場とかの名前でジェラール・フィリップやジャン・ギャバンの作品が多かったように思うが、かなりの本数をみた記憶がある。もちろん記憶は不正確だが印象深く残っている作品はモンタンの『悪の決算』とアルヌールの『爪を磨く野獣』。実は(小さな声で)後者はシャワーのシーンでシルエットで乳首まで見えたのが衝撃的で…

  2. milou より:

    小型通信機で信号を送るときD’assas appelle.M’entendez vous?
    “アサスより。(受信)聞こえるか?”のあと“SURMVUXVARUMFZ”と暗号文が続くが、恐らくアジトはRue d’Assas だろう。というのは、ふと思い出したのだが、題名は思い出せないがレジスタンスの出てくるほかの映画でも Rue d’Assas だった記憶がある。事実がそうだったと考えられるが調べたかぎりでは Émile Jamart という医者が22番地に住み1940-1944に多くのレジスタンス行動をしたとあるので『女猫』とは無関係だった。

  3. 居ながらシネマ より:

    milouさん、コメントありがとうございます。
    これDVDが出ていること自体不思議なのですが、LDでも出ていたのですね。とても貴重な粗大ゴミ?だと思いますので、ぜひ大切にしてください。私LDは絶対早くすたれると信じていて、我慢して手は出しませんでした……
    「めねこ」の確認もありがとうございます。「おんなねこ」では変ですよね。キネ旬DBのふりがなは、いろいろなキーワードでヒットするようにしてあるのかもしれません。

    タイトルの並び順で困るのが俳優名を頭に付けるケースで、フランソワーズ・アルヌールが今もう少し知られていればDVDを出す際に「フランソワーズ・アルヌールの女猫」とか改題されていたかもしれませんね。その場合「フ」の映画なのか「メ」なのかでまた悩ましくなったかもしれません。

    史実に忠実なところもあるとのことで、当時のフランスの観客にとっては、リアルに感じる部分も相当あるのでしょうね。ラストは完全に作り物でしょうけど。

    『爪を磨く野獣』情報もありがとうございます。ぜひ見たいものですが(笑)ソフトはなさそうで残念。

  4. milou より:

    この作品はタイトル前にフィクションだと明示されるがレジスタンスもので“La chatte”とくればフランス人ならマティルド・カレの話だと分かるだろう。しかし活躍の年代が違うので調べてみると、そもそもドイツのフランス侵攻が1940年でパリが占領下になるのは6月。ド・ゴールがロンドンに亡命しBBCを通じレジスタンスを呼びかけるので、この映画の始まりのように1934年にレジスタンスで英国と連絡を取ったりゲシュタポに襲われたりすることは“あり得ない!!”。
    何と恐ろしいことに(?)冒頭の1934年という字幕が間違いで1943年12月だった…
    『ハッピー・ゴー・ラッキー』でも書いたが数字の間違いはよくあるが不思議なのは間違いそのものではなく、なぜこんな簡単なミスがチェックで見つからないのかということ…

    ちなみにマチルド・カレは1940年から諜報活動に身を投じるがヴィシーのバーでアメリカ人ジャーナリストと出会いLa chatte と呼ばれるようになる。複数の組織に所属し、結局二重スパイになり1947年に死刑判決を受けたが懲役20年に減刑され健康上の理由で1954年に釈放された。回想録を59年と75年に出版しているが映画の方が早く回想録ではなくジャック・レミーの小説を脚色している。

  5. 居ながらシネマ より:

    milouさん、詳しい情報ありがとうございます。
    59年に回想録って、時期的に映画と関係していそうですね。

    「1934」はDVDでもそうなっていました。
    焼き付けられた字幕なので、LD版をそのままDVDにしたのかもしれません。
    これご指摘あるまで気づかなかったのですが、字幕を読まなかったとも思えないので、もしかすると「1943」と脳内で無意識にエラー訂正していたのかも??

  6. AZU より:

    いつ頃か、覚えていませんがTVで、忘れ名草を見て、フランソワーズ・アルヌールを知りました。最近になって、アルヌールのDVDが欲しくなり、お店で女猫を見つけて購入しましたが、読みながわかりませんでしたが、教えて頂き有難うございました。

  7. 居ながらシネマ より:

    AZUさん、コメントありがとうございます。
    映画タイトルの読み仮名って意外と悩んだりすることがありますよね。特に昔の映画ですと、ポスターなどのビジュアルにルビが振っていないと、実は正解は誰にもわからないのでは? と思うこともあります。
    フランソワーズ・アルヌールは、DVD化が少ない割にすでに入手困難になったりで、残念ですね。

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