目次
作品メモ
フランソワーズ・アルヌールをあと数本。
これまでは50年代の作品を取上げてきましたが、『パリジェンヌ』は60年代。
4人のパリジェンヌを描いたオムニバスで、彼女は第3話に登場します。
監督や脚本はそれぞれ別々。脚本は本編のクレジットとIMDbが少し違うのでそのあたりもメモしました。
- エラ (Ella)
- 監督ジャック・ポワトル 撮影アンリ・アルカン 脚本ジャン=ルー・ダバディ
踊り子エラ(ダニー・サヴァル)は、タクシーで相乗りとなった男(ダリー・カウル)も巻き込んで、愉快な仲間たちと一晩中大騒ぎ。男は実はハリウッドの大物プロデューサーで……といったお話。
エラと一緒にステージをつとめたのはエディ・ミッチェル。
脚本のジャン=ルー・ダバディはフロラン・ダバディのパパで、これが映画初仕事。 - アントニア (Antonia)
- 監督ミシェル・ボワロン 撮影アンリ・アルカン 脚本アネット・ワドマン(IMDbではミシェル・ボワロン、フランシス・コーヌも)
医者の妻アントニア(ダニー・ロバン)は、ゴルフ好きの夫ピエールとかつての恋人クリスチャン(クリスチャン・マルカン 『史上最大の作戦』)がゴルフコンペで対決することを知り、とある行動に……。
ダニー・ロバンは『アンリエットの巴里祭』の劇中のヒロイン、アンリエットですね。可愛らしかったあの娘がこういう人妻役をやれるようになりました♪ - フランソワズ (Françoise)
- 監督クロード・バルマ 撮影アルマン・ティラール 脚本ジャック・アルマン、クロード・ブリュレ(IMDbではクロード・バロアも)
ニューヨーク在住のフランソワーズ(フランソワーズ・アルヌール)は、浮気を繰り返す夫にうんざりして、ブイっと帰国してしまったところ。
友人のジャクリーヌ(フランソワーズ・ブリオン)は恋人ミシェル(ポール・ゲール 『天使の入江』)との関係に絶対の自信を持っていましたが、フランソワーズは彼と急接近、小悪魔ぶりを発揮するのでした……
ダニー・ロバンもそうですが、フランソワーズ・アルヌールも60年代に入りこうした人妻役がメインとなってしまったのでしょうか。 - ソフィー (Sophie)
- 監督マルク・アレグレ 撮影アルマン・ティラール 脚本ロジェ・ヴァディム(IMDbではマルク・アレグレも)
女子学生ソフィー(カトリーヌ・ドヌーヴ)と歌手志望の青年(ジョニー・アリディ)との恋物語。
ドヌーヴは43年10月生まれですから、映画撮影時はおそらく18歳。脚本にロジェ・ヴァディムの名があります。大きなお世話ですが、この頃もう2人は付き合っていたのでしょうか。子供が生まれたのは翌年。『シェルブールの雨傘』は翌々年。
4話の独立したオムニバスですが、続けて見ると最後に超新星が輝いてしまい他のスターが霞んでしまうオチ。
新旧交代を感じさせる皮肉な一本となっていて、DVDのジャケットも、ドヌーヴ一色。
実はこの作品、見るのはこれが初めて。
今回フランソワーズ・アルヌール特集?を組むにあたって見たくなり、安かったのでつい買ってしまいました。彼女目当てに買った人はどれほどいるでしょう??
それにしても送料込みで417円って、どこで利益出しているのか教えて欲しいものです。
ロケ地
IMDbでは記載無し。
気になるところを少しだけピックアップしてみました。
駅(第1話)
![]() |
©1994 milou アルバム「パリの駅」から |
こちらはmilouさんに提供していただいた画像です(いつもありがとうございます♪)。
この駅の構内は何枚か提供していただいていますが、いちばん映画のカメラ位置に近いものをセレクトさせていただきました。
撮影は1994年とのことです。
正面に架かっている時計は、映画では丸いですがこの画像や現在は四角いですね。
![]() |
©1977 milou アルバム「パリの駅」から |
その後タクシーに乗るのは、この渡り廊下のそば。
こちらもmilouさんご提供の画像。
撮影は1977年とのことです。
キャバレー(第1話)
※ 14/7/26追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
0:06頃タクシーで到着するキャバレーは、1 Place Pigalleに実在した Les Naturistesとのこと。
店内もこちらで撮影されているようです。
お店はすでになくなっていますが、周囲の建物などはまだ確認できます。
- Google Maps(SV) ……到着時のアングル
- Google Maps(SV) ……右側の薬局と劇場(2009年2月撮影)
- Google Maps(SV) ……同上(2013年2月撮影)
- Bing Maps(概観図・南向き)
- WikiMapia
トンネル出口(第2話)
0:25。
デザインが気になったのですが、場所不明。
ゴルフクラブ(第2話)
※14/7/26追記
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
エンドクレジットにこちらの名前があるとのこと。
クラブハウスの画像でも確認できました。
Golf Club de Chantilly
空港(第3話)
オルリー空港。
ド・ゴール空港ができる前。
当時は”AEROPORT DE PARIS”。
現在の”ORLEY SUD”に相当。
クラブ(第3話)
※14/7/26追記。
0:56頃、ミシェルがフランソワズを連れていった店。
店を出る時階段の上に”CLUB PRIVE DE FRANCOIS-PATRICE”と見えますが、ダンスをする場面でカウンターからしきりに怪しい目線を送っていた男が、FRANCOIS PATRICE本人でした。
……って知らない俳優っスよ。ここ笑いどころなのでしょうけど……。
ジャクリーヌの部屋の前(第3話)
※14/7/26追記
1:08頃、フランソワーズが外に出てきたところ&ジャクリーヌたちが車内で抱き合っていたところ。
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
背景に見える橋は『個人教授』でチェックしたばかりの、トゥールネル橋( Pont de la Tournelle)W
※14/7/27追記
![]() |
©1977 milou アルバム「パリ」から |
milouさんに画像を提供していただきました(撮影1977年7月)。
Rue BudéがQuai d’OrléansとぶつかるT字路のあたり。
ちょうど映画と逆のアングルとなり、画像一番奥にフランソワズが歩いて行った曲がり角が見えます。
アパルトマン(第4話)
※14/7/26追記
1:11、1:18頃、愛人と会っているということにしてしまった友人のアパルトマン。
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
会話では「ビオレ街6番地」ですが、実際にはこちら。
タクシーが停まった背後の建物は建て替えられていますが、アパルトマンの建物は今でも残っているようです。1階のカフェ右側の扉が出入口ですが、映画と同じデザインですね。
資料
関連記事
フランソワーズ・アルヌール出演作
- 『パリジェンヌ』 Les Parisiennes (1962)
- 『フランス式十戒』 Le diable et les 10 commandements (1962)
- 『ヘッドライト』 Des gens sans importance (1956)
- 『大運河(グランド・カナル)』 Sait-on jamais… (1957)
- 『女猫』 La chatte (1958)
- 『学生たちの道』 Le chemin des écoliers (1959)
- 『禁断の木の実』 Le fruit défendu (1952)
- 『過去をもつ愛情』 Les amants du Tage (1955)
更新履歴
- 2014/07/27 「ジャクリーヌの部屋の前(第3話)」画像追加
- 2014/07/26 「劇場(第1話)」「ゴルフクラブ(第2話)」「ジャクリーヌの部屋の前(第3話)」アパルトマン(第4話)追加
コメント
いくつか矛盾がありしっくりこないのだが…
☆アルヌール編
ジャクリーヌの部屋からはノートル・ダムの後陣がきれいに見える。角度的には Pont de l’Archeveche の上ぐらいなので、アパルトマンは Quai de la Tournelle と Rue des Bernardins の角ぐらいになる。しかしラストでフランソワーズがアパルトマンを出て右へ歩きセーヌに出ると左手、前に見えるのは(またしても?)Pont de la Tournelle.そして歩いている(セーヌと交わる)道には道路標示が見え字は読めないが結構長い名前。Tournelle 橋との距離及び川沿いの舗道から見るとアパルトマンのある左岸ではなく『個人教授』のアパルトマンと同じサン・ルイ島で橋の反対側 Rue Bude からQuai d’Orleans に出てきたと思われる。右手の街灯も橋から3つめでぴったり合うのだが道路標示がBude では短すぎるし道幅も狭すぎるように見える。
☆ドヌーヴ編
まずパーティ船が登場し Pont-Neuf の下をくぐる。次にバックに見えるのはシテ島の先端である Square du Vert-Galant そしてPont des Arts が見える。つまり船はシテ島の北側を東から西に進んでいて、これは現在の観光船と同じである。ただ進行方向から見ても建物から見てもバックはルーヴルのはずだが橋のすぐ右側に河岸に降りる階段が見える。しかしSVを見ても橋の両側に階段はなく階段は橋を過ぎた少し西にしかない。逆に学士院側の方だとしても階段は左側にしかない。ただし右側に撤去したのではないかと思える跡が壁面に残ってはいるが進行方向が合わなくなる。(次のタクシーのバックは言わずもがなのコンコルド広場)
愛人(?)の家として友だちの住所を6ビオレ街(Place Violet)と言う。この住所は実在するが(SVはなし)周辺の雰囲気はまったく違う。映画ではレストランなどが密集しているようでタクシーの真後ろには Chope Falguiere というレストラン、その左は Boucherie Chevalier(牛肉)、家の右筋向かいは Charcutrie(豚肉)、アパルトマンの一階左にはHuitres(牡蠣)、とあり友人は庶民的な地域の住人に設定されている。そしてアパルトマンの前面は弧を描き直線ではない。
検索しても Chope Falguiere という店はなかったがPlace Falguiere という場所がありPierre Falguiere というレストランがある。SVを見ると建物は変わっているが恐らくこの場所(ラウンダバウト)に間違いないだろう。
混乱してます。
画面で見る向きと実際の方角が混乱して自分でもよく分からなくなるが例えば
:フランソワーズがアパルトマンを出て右へ歩き
と書いたが本人から見れば左へ歩くわけで右とは映画の“画面上”の話。今後は原則として画面上での左右に統一しようと思う。
それは別として、船もおかしい。進行方向が同一でもカメラ位置によっては逆に進むことになるが、
船はポン・ヌフをくぐって Square du Vert-Galant を通るが船は先端から右方向に向かっている。であればシテ島の左岸側を東に向かうことになるが、それだとポン・ヌフに向かうことになり矛盾する。Pont des Arts の時も船が動いていないようにも見え進行方向が判然としない。
ということは恐らく実際の時間の流れではなく別テイクあるいは編集で時間(船の進行方向)が前後している可能性が高い。
第一話 ダニー・サヴァル編
エラが働いているファサードが特徴的なキャバレー。
大きく Les Naturistes (意味はヌーディスト) とあり、(当然?)検索してもヌーディスト関連しか出てこない。しかし何とか読み取れる下の出演者の名前 Georges Montal や Colette Ritz から検索するとLes Naturistes は劇場の名前で 1 Place Pigalle にあったことが分かった。
SVを見るとピッタリで現スーパーMono Prix の場所でタクシーが止まるカットは店の前から西南方向。突き当たりに見えるPigalls(?)という店はすでに廃業したようだが前面の装飾などまったく変わっていない。何と言ってもピガールはパリで一番の歓楽街なので店の変遷は激しいと思われるが映画で(手前の方)薬局右隣の店の菱形の飾りが現在も部分的に残されている。ちなみにこの店は現在Peep Show の劇場だが映画では判別できない。
ついでだがステージも映画どうりで実際の劇場で撮影されている。
https://archive.org/stream/LesNaturistes/LesNaturistesMaster-b#page/n21/mode/2up
さらなるついでだが、パーカー氏の会社は 受付など数カ所にMondial Pictures とあるが検索ではヒットせず架空だと思われる。ちなみに最初に通された部屋にあるポスターはミケランジェロ・アントニオーニの『夜(61)』と『ローマの奴隷市場(61)』。
また最初にタクシーに乗るときブランシュ通り(22 rue Blanche と聞こえる)と言うが、そこは無関係な場所のようだ。
第二話のトンネルは分からないがゴルフ場は Golf Club de Chantilly とエンドクレジットにある。車はパリナンバーなので途中のはずだが基本的に途中は平地ばかりなので雰囲気的にはイタリアのような感じすらする。
僕が記載したURLを見ると全33頁のパンフレットのようだが表紙の次(3頁)には映画と同じ外観で看板太字の人名もトップの Raymond Kogler から Colette Ritz までの5人は順序まで同じ、全体の配置も同じなので恐らく映画と同時期の写真と思われる。
milouさん、情報ありがとうございます。
とりあえず、第1話のキャバレーを追記しました。ここの解明はお見事でした。
薬局の右側の劇場も、新しいSV(2013年9月)では完全になくなっていますね。このあたり急速に健全化?しているような……
他も追記しました。
ジャクリーヌの部屋の前は、milouさんご指摘の場所からもう少し後ろ(西側)でしたが、ヒントがなかったらわからなかったかもしれません。確かに『個人教授』でチェックしたばかりの橋でしたね。橋まで思ったより遠いのは、画面上で圧縮効果が強めにかかっていたのでしょう。
秘密の?アパルトマンはお見事正解で、お書きになった通りの場所でした 🙂
なるほどね…
一般的に画面でもSVでも距離感が掴みにくく、しばしば勘違いしてしまう。例えば画面ではジャクリーヌの建物を出てまっすぐ歩いてセーヌに突き当たるように見える。だから Rue Bude では道路標示が短すぎて納得出来なかったのだが、まさか最初からセーヌに沿って歩いているとは思えなかった。しかも見えた道路標示は歩いている Quai d’Orleans (これ自体が斜めになってるため)ではなく“長い” Rue Le Grattier のもの。ちなみに突き当たった(?)河岸の木(SV出歩く女性の右)のカーブは今も同じですね。街灯の数はまだ気に入らないが…
ちなみにRue Bude あたりQuai d’Orleans の写真はパリのアルバムにアップしています。
そうそう CLUB DE FRANCOIS-PATRICE は実在し映画当時の場所は不明だが77年には Rue de ponthieu にあり10月5日にデヴィッド・ボウイが出演しています。
なるほどね…
一般的に画面でもSVでも距離感が掴みにくく、しばしば勘違いしてしまう。例えば画面ではジャクリーヌの建物を出てまっすぐ歩いてセーヌに突き当たるように見える。だから Rue Bude では道路標示が短かすぎて納得出来なかったのだが、まさか最初からセーヌに沿って歩いているとは思わなかった。しかも見えた道路標示は歩いている Quai d’Orleans “ではなく、文字数の多い” Rue Le Grattier のもの。ちなみに突き当たった(?)河岸の木(SV出歩く女性の右)のカーブは今も同じですね。街灯の数はまだ気に入らないが…
ちなみにRue Bude 手前からの Quai d’Orleans の写真はパリのアルバムにアップしています。
そうそう Echos du cinéma という映画ニュースのような番組があり、そのNo.15では ちょうど『パリジェンヌ』の時の Club Saint Hilaire で François PATRICE 本人がインタビューを受けています。同じく恐らく撮影現場でのドヌーヴのインタビューも。
http://www.ina.fr/video/AFE09000125
http://www.ina.fr/video/I10096464/catherine-deneuve-video.html
ただ当時の場所は不明だが77年には Rue de ponthieu にあり10月5日にデヴィッド・ボウイが出演しています。