『天使の入江』 La Baie des Anges (1963)

天使の入江 [DVD]

作品メモ

最近久々に『ロシュフォールの恋人たち』を鑑賞&記事追加しましたが、なかなか良かったのでジャック・ドゥミ監督作をもう少し。
こちらは『ローラ』に続く第2作で、やはりモノクロ映画。この次が色彩たっぷりの『シェルブールの雨傘』となります。

今まで取上げた同監督作品は、

(※14/6/26追記 その後『ベルサイユのばら』『想い出のマルセイユ』を追加)

邦題は原題の直訳。英題は”Bay of Angeles”
マップで見るとこの「天使湾」、コートダジュール空港をまたいで、西はアンティーブ岬まで含まれるようです。
「ニース」と聞けば誰しも美しい海岸線に高級ホテルが立ち並ぶリゾート風景を思い浮かべますが、まさにそのメインビジュアル的場所ですね。   → Baie des Anges(ベ・デ・ザンジュ)W

これはそんな世界有数のリゾート地で、風景には目もくれずカジノに入り浸ってしまった男女の物語。

最初にあっさり大勝ちしてしまったことから平凡な生活に別れを告げギャンブルにハマっていく銀行員ジャンにクロード・マン(Claude Mann)。
フィルモグラフィーで見たことあるのはたとえば『男と女の詩』。これはディナーで蘊蓄ひけらかしていた男役でしょうか。
それから『死刑台のメロディ』でもジャーナリスト役で出ているようですが、チェックしてみてはじめて気づいた程度(どちらもallcinemaではフィルモグラフィーに載ってさえいないっス……)。

カジノで知りあったギャンブル漬けの女ジャッキー(ジャクリーン)にジャンヌ・モロー。
前年の『エヴァの匂い』とはまた違った意味で危険なタイプの女性を見事に演じています。

ジャンをカジノに誘った友人キャロンにポール・ゲール(Paul Guers)。
角度によってはアメリカのヴィクター・マチュアに似ているような。フィルモグラフィーをチェックしたらジャック・ドゥミ監督の『想い出のマルセイユ』に出ているようなので、後ほどチェックしてみることに。

監督脚本ジャック・ドゥミ、撮影ジャン・ラビエ、音楽ミシェル・ルグラン。
日本では未公開ですが、セルDVDが出ています。
(※14/6/10追記 実際にはユーロスペース他各所で上映されたことがあるようです)

JRAやパチンコ店の豪華な建物を見れば、ギャンブルが胴元を潤すための集金システムであることはすぐにわかりますが、わかっちゃいるけど止められないのがこの世界。
リアルでは上限決めてその中で楽しみ、それ以上はギャンブルもののフィクションで仮想的に破滅を楽しむのが良いかもしれませんね~ 😉

映画パンフレット 「熱い賭け」 監督カレル・ライス 出演 ジェームズ・カーン賭博者 (新潮文庫)賭博黙示録カイジ 1 (highstone comic)

ロケ地

IMDbでは、

Baie des Anges, Alpes-Maritimes, France
Cannes, Alpes-Maritimes, France
Casino d’ Enghien-les-Bains – 3 Avenue de la Ceinture, Enghien-les-Bains, Val-d’Oise, France
Hotel de Paris, Place du Casino, Monte Carlo, Monaco
Monte Carlo, Monaco
Nice, Alpes-Maritimes, France
Paris, France
Promenade des Anglais, Nice, Alpes-Maritimes, France
Rue de Jarente, Paris 4, Paris, France (Mr. Fournier’s shop)

主な舞台は南仏ニース。

タイトルバック

疾走するカメラが印象的なオープニング。
ジャクリーンが歩いているのは、「天使の入江」沿いに伸びているPromenade des Anglais(プロムナード・デ・ザングレ=イギリス人の遊歩道)W
具体的にはこのあたり。

白いベンチもそのままありますね 🙂

時計店

父親の時計店«HORLOGER M.FOURNIER»。
IMDbに通りが書かれてあります。

Rue de Jarente, Paris 4, Paris, France (Mr. Fournier’s shop)

映画の中で6番地と標示されていますし、2度目に訪れたときにお店がT字路の正面にあることがわかりますので、こちらであることが判明。

現在は«L’EPOUVANTAIL»というレストランのようですね。

お店からの眺めは↓

公園の木が遮っているので、もう1ブロック前へ進むと↓

……となり、映画の景色と一致します。

最初のカジノ

キャロンに誘われたカジノ。
セリフやIMDbのリストにあるように、パリ近郊アンギャン=レ=バン (Enghien-les-Bains)Wのこちら。

Casino d’ Enghien-les-Bains – 3 Avenue de la Ceinture, Enghien-les-Bains, Val-d’Oise, France

車中からカジノの建物を捉えたアングルはこういった感じ。

水辺の手すりは今でも同じデザインですね 🙂

カジノの正面部分は今ではモダンな外観ですが、建て替えたのではなく昔の建物をすっぽり覆ってしまったように見えます。

車を停めたのは右側のこちらの入口でしょうか。


大きな地図で見る

2回登場しますが、2度目の方(ジャッキーと鉄道で戻ってきたとき)が廻りがよく見えます。
おそらく設定通りニース駅W

宿泊先(入口周辺)

路地にある小さいホテル。
«HOTEL MIMOSAS»と看板が出ていますが、架空のものでしょうか?
設定通りニースだとすると、路地の感じは旧市街地W界隈のように思えます。
このエリアはストリートビューが使えるので、バーチャルなお散歩を楽しみつつ探してみました。
またこちらのWikimedia Commonsのカテゴリーも役立ちました。

ホテルの前の通りはおそらくこちら(Rue Saint Vincent)。

最後の方、オケラになった2人が角を曲がってホテルに入る場面がありますが、やはり同じ場所で、Rue de l’Abbayeを西からやってきて、下のSVの角を曲がるとホテルの前に出ます。

通り沿いの窓フェンスは今でも同じデザインですね 🙂

宿泊先(部屋&窓からの眺め)

部屋から身を乗り出して外を見下ろすショットは、突き当りの建物が違うので上記入口とは別の通りと思われます。
こちらではないでしょうか?

右は映画で突き当りに見えた建物。

こちらは映画とはちょうど逆のアングル。
向って右側の建物の3階から身を乗り出して、こちらを見ていたと思われます。
手すりや向かいの建物の窓のデザインも映画と一致。

この建物はPalais Lascaris(ラスカリ宮)Wというそうです。
1963年に修復が始まり70年に博物館として公開とのことで、撮影のタイミングとして矛盾はなさそう。
室内を画像検索で確かめてみましたが、部屋をつなぐ扉のデザインも映画と同じでした。

具体的にはおそらく、こちら↓のページの図面で«Antichambre ou Salon de Venus et Adonis»となっている部屋ではないかと思われます。

ニースのカジノ

「天使の入江」沿いのカジノ。
場所はこちらですが、現在はこういった名前になっています。

Hyatt Regency Nice Palais de la MediterranéeW

Wikipediaによると、建物は建て替えられているようですが、正面部分は以前のまま残されたとのこと。
なのでラストのあの印象的なシルエットは、現地に行けば今でも同じように撮れるかもしれません。

※2014/06/07追記

milouさんから画像を提供していただきました(いつもありがとうございます♪)
撮影は94年7月とのことです。

カジノ前あたりから東方面(94年7月)。

浜辺

いったんは別れたジャッキーがスーツ姿でフラフラやってきたところ。
このあたりでしょうか。

モンテカルロのカジノ

120万フランのクルマでやってきたのは、IMDbのリストにあるこちらのホテル。

Hôtel de Paris Monte-CarloW

カジノはそのすぐ左側のこちら。

Casino de Monte-CarloW

※2014/06/07追記
milouさんからモンテカルロの画像を提供していただきました(いつもありがとうございます♪)

Gare de Monaco – Monte-Carlo 駅前から南東方面(2000年5月)。

下の海の側から(2000年5月)。

郵便局

ジャンが父親から送られた金を受け取ったところ。
ニースの郵便局を片端からチェックして見つけました。

こういう建物がゴロゴロしているようですね。
昔の建物好きとしてはかなりそそられます。

ロケ地マップ

ジャック・ドゥミ監督作品。ニースを中心に。


より大きな地図で ジャック・ドゥミ監督作品 を表示  
 
 

南フランスが舞台の映画

 
 
 

資料

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ジャック・ドゥミ監督作

ジャンヌ・モロー関連作

更新履歴

  • 2018/03/11 タグ「ジャンヌ・モロー」追加
  • 2016/04/02 「ロケ地マップ」に「南フランスが舞台の映画」追加
  • 2014/06/07 「ニースのホテル」「モンテカルロのカジノ」でmilouさんの画像追加。

コメント

  1. milou より:

    さすがに、これは室内(カジノ)シーンがほとんどで新たに追加できる場所を見つけられない。せめて銀行の場所ぐらい突き止めたいのだが何となくパリじゃないような気がしている。

    1つ面白い発見(?)。台詞だけで絵はないがジャッキーは自宅をLouis le Grand の4番地だという。調べてみると4番地はなく2の次が10番地(入口がない)。この4つ(斜めのAv.de l’Operaもいれると5つ)の道路で囲まれたワンブロック全体がBNP(旧国立銀行)。ここに住んでるなら楽々ギャンブルが出来る(??)

    “いったんは別れたジャッキーがスーツ姿でフラフラやってきたところ”のSVも正解ですね。Promenade des Anglais が終わり通り名が英国からアメリカ(Quai des Etas-Unis)になってすぐ。 L’Eden というカフェ左隣、三角屋根のバルコニー及び、その左のCours Saleya に抜ける円柱がジャンの背中越しに見えている。ちなみに、その少し前の場面のバックに見える円柱型の建物の下に城跡展望台へのエレベーター入口があります。僕は登りはエレベーター帰りは歩いて降りました。
    それにしても、この場所は海岸線の一番端で旧市街のホテルからは近いが駅から2キロほどありジャッキーは歩いてきたと言うが結構大変。トランクを持っていたが、また駅に預ければいいのに。まあ結果的には“持っててよかった”のだが…

    以下は例によって無関係な話だが、確か1,2年前の特集上映でこの作品も一般劇場公開されたはずだがKinenote、Allcinema とも未公開としている。
    この作品は録画はしてあったが今回まで見ていなかった。実は僕が前回見たのは1981年3月25日なので33年振り。当時大阪の御堂筋にあったアリアンス・フランセーズで毎週大使館所蔵の16ミリでの上映会があり、ちょっとしたコネで僕は映写技師のアルバイトをしていた。1回(2,3時間)3000円という当時としてはすごい高給。英語字幕しかないので理解できる人が少ないからか観客は多くても10人以内。それでも、この作品や『アデュー・フィリピーヌ』などDVD時代にならないと見ることのできなかった珍しい作品を見れたのはありがたかった。ちなみに『突然炎のごとく』上映時に映写機のランプが爆発、突然(小さな)炎があがったという嘘のような事件もあった。

  2. 居ながらシネマ より:

    milouさん、コメント気づくのに遅れて済みません。
    ジャッキーの自宅、面白いですね。映画に登場したわけではないので調べていませんでした。
    SVの位置のチェックもありがとうございます。城塞っぽい円柱形の建物は展望台とのことで、ここからいかにもニースの海岸的な記念写真が撮れるわけですね。

    公開資料については映画サイトを参考にするほかないのですが、細かい上映・放映記録は結構違っているように思えるときがたまにあったりします。これもそうかもしれませんね。実際にはあちこちで上映されているようですので、本文の方に反映させておきます。

    にしても33年前というのは凄いです。(今のフィルム燃えないので命拾いしましたね……)

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