目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『ラ・モント』 La Mante (2017)で、タイトルがまぎらわしいと書いてしまったので、ついでに?こちらもチェック。
1920年代のフランス領インドシナを舞台に、貧しい家の女学生とリッチな華僑の青年との関係を描きます。
The Young Girlという役名のヒロインにジェーン・マーチ。これが映画デビュー作。
設定では15歳ですが、撮影開始時(1991年1月14日)には18歳だったとのことで、皆様どうぞご安心?を。
彼女の鮮烈な印象や、彼女の顔を全面に出して「愛人」てな邦題をど~~んと打ち出したりして、なんとなくタイトルがヒロインを指しているように思いがちですが、もちろんL’amantは男性のこと。
その男性、役名The Chinamanにレオン・カーファイ(梁家輝)。いろいろ熱演でしたが、映画のビジュアルはヒロイン一色なのがかわいそうなところ……。
ジェーン・マーチの次作『薔薇の素顔』では、今度はブルース・ウィリスがいろいろ熱演しています 😉
ナレーションは昨年(2017年)惜しくも亡くなったジャンヌ・モロー。
原作はマルグリット・デュラスの自伝的小説。当サイトで取り上げた『かくも長き不在』、『雨のしのび逢い』と異なり、脚本は担当していません(デュラスは96年歿)。
翻訳は河出書房から出ています。
こちらは、文庫版(92年)の表紙。最初に出た単行本(85年)も同じ写真を使っています。
もちろんジェーン・マーチではなく、デュラス18歳の時のもの。
監督ジャン=ジャック・アノー、撮影ロベール・フレス、音楽ガブリエル・ヤレド。
ロケ地
設定ではフランス領インドシナ、現在のベトナム。
IMDbでは、
Ho Chi Minh City, Vietnam
Saigon, Vietnam
Studios Pathé-Cinéma – 6 rue Francoeur, Paris 18, Paris, France (studio)
Vietnam
France
と実際にベトナムで撮影。
当サイトでロケ地がベトナムの作品を扱うのは初めて。
西側の映画としては、統一後ベトナムで撮影された最初の映画とのことです。
ただし濃密なラブシーンはパリのスタジオで撮影。
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
メコン川
渡し船が行き来する川。
さすがにピンポイントではわかりません……
参考にもなりませんが、たまには自分の画像をば。
2007年のメコン川。
ホーチミン市の南、車で1時間ぐらいのところで、サデックからは7,80km下流のあたり。
小舟だらけでしたが、中にはこんなフェリーも。
近くで大きな橋が建設中でしたので、今ではだいぶ交通事情が変わっているかと思います。
川縁の町
サデック発ヴィンロン経由サイゴン行きのバスに乗るところ。
雰囲気たっぷりですが、撮影場所は調査中。
サデック(Sa Đéc)Wはリアルではこの位置。サイゴンまで「143km」なり。
サイゴン
俯瞰で何度か写る川縁の街角。
これはわかりやすい場所でした。
ホーチミン市1区のこちら↓で、カメラ南向き。川は市内を流れるサイゴン川。
映画ではT字路の真ん中に四阿風の建物がありますが、今はありません(2007年でも無かったと思います)。セットかどうかは不明。
右手奥のレンガ色の建物は、博物館。
遠景は合成と思われます。
カメラ位置ですが、最初はホテル・マジェスティックの屋上と思いましたが、もう少し近く、T字路に面した建物(税関?)の上階のようです。
0:33頃車が左折するショットで建物の一部が写りますが、3階部分のこの角ですね。
わかりづらいですが、サイゴン川沿いの道を南向きに見ているところ(撮影2007年)。
200メートルほど先のT字路が、映画に出てきた街角。
現在はだいぶ改善されたようですが、2007年の時点では信号なるものが全然なく、名物バイク集団をかきわけて?横断するのはかなりヒヤヒヤしました。
運河と歩道橋
寄宿舎までの道のりで写るところ。
歩道橋の形としてはこちら↓と同様ですが、筋交いといいますか×の数が違うので別の場所。
他にはこのあたりでしょうか?
ただこの周辺運河は真新しい歩行者用の橋がいくつか架かっていますので、建て替えられたのかもしれません。
寄宿舎
ホーチミン市1区、Đường Tôn Đức Thắng(トン・ドゥック・タン Ton Duc Thang通り)に面したこちらの建物。
- Google Maps(SV) ……映画と同じアングル
- Google Maps(SV) ……下の画像と同じアングル
- WikiMapia
こちらも撮影は2007年です。
ロケ地だとは知らずに、建物やベトナム名物バイク集団をぱちぱち撮っていた中の一枚。
もしやと思ったらビンゴでした。
車に乗り込んで去って行くところを俯瞰で捉えますが、並木がそれぞれ今と同じ形状なので、実際にこの斜め向かいと思われます。
校門
設定では« LYCEE CHASSELOUP-LAUBAT »
学校に関しては掲載を控えめにする方針ですが、このまんま検索してWikipediaの項目がヒットしたので載せても大丈夫でしょう……
映画や原作で登場する中華街ショロン(チョロン)Wの一角(5区)ですね。
おそらく中庭などもこちらかと思われますが、これ以上は詮索しないということで。
中華街への道
途中(0:33頃)通り過ぎる白い大きな建物は、ホーチミン市博物館。
http://www.hcmc-museum.edu.vn/vi-vn/trang-chu.aspx
- Google Maps(SV)
- Google Maps(SV) ……片付けしていたところ
中華街の門&愛の巣
おそらくやはりショロン(チョロン)と思われますが、場所不明。
浜辺
1:24頃
気になりますが、調査中。
milouさんご提供の画像
参考画像となりますが、いつも画像を提供していただいているmilouさんのアルバム「ベトナム」からピックアップさせていただきます。
何年も前に画像をアップしていただいたのに、ようやくご紹介できます。
遅くなって本当にすみません orz
以下すべて2007年撮影とのことです。
(私と同じ年ですね 🙂 )
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
サイゴン川の俯瞰。
映画に登場したT字路から数百メートル上流へ来たあたりかと思います。
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
映画に出てきたところとは違いますが、やはりチョロンの学校。
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
3区のマリー・キュリー高。
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
驟雨……よりケーブルの束に驚きます。
私が現地で聞いたところでは、切れたとしても直さないで別の線を引いてしまうため、どんどん凄いことになっていくとのことでしたが、真偽は定かではありません。
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
あちこちでがんがん開発中。
現在のこちら↓
この通りは、右手へ進むと「サイゴン」で掲載した画像の目の前に出るはず。
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
バイクの数も凄かったですが、この靴も負けてないかも……
©2007 milou アルバム「ベトナム」から |
ホーチミン美術博物館とのことです。
渋すぎ……
こういうところをぶらりと訪問されるところがさすがですね。
Bill McCrearyさんご提供の画像
(※18/2/22項目追加)
こちらも参考画像となりますが、Bill McCrearyさんからチョロン地区の画像を提供していただきました。
2013年から14年にかけて巡られたときのものとのことです。
この他、ご自身のブログ「ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)」に多くの画像がアップされていますので、各ページにリンクを付けさせていただきました。ぜひご覧ください。
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(17)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(18)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(19)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(20)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(21)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(22)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(23)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(24)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(25)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(26)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(27)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(29)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(30)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(32)
ホーチミン、プノンペン、ソウル紀行(2013~2014)(33)
資料
関連記事
ジャンヌ・モロー関連作
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- 『突然炎のごとく』 Jules et Jim (1962)
- 『雨のしのび逢い』 Moderato cantabile (1960)
- 『鬼火』 Le feu follet (1963)
更新履歴
- 2018/03/11 タグ「ジャンヌ・モロー」追加
- 2018/02/22 「Bill McCrearyさんご提供の画像」項目追加
- 2018/02/18 新規アップ
コメント
コメント欄でも改めまして。拙写真をご紹介いただきありがとうございます。
チョロンで食事した某食堂で、おいしかったよとガイドブックのベトナム語の会話集の表現を示しましたら、40代くらいの女性は意味が分からず、近くの人に意味を聞いていました。昔は、警官くらいしかいベトナム人がいなかったなんて話も聞いたことがあります。現在のチョロンは、この映画のような退廃というか、すさまじい雰囲気のある街でもありませんが、やはりホーチミン市、旧サイゴンの特区という側面は保ち続けていると思います。
それから拙写真の上から3枚目の緑の建物、あれなかなかいいですよね(苦笑)。火災になったら危険でそうです。
Bill McCrearyさん、コメントもありがとうございます。
サムネイル画像は貴サイトの各ページから、好みで選ばせていただきました。
それぞれ気に入っていますが、特に3枚目の建物はなかなかの味わいですね。
拝見した瞬間、これははずせないと思いました 🙂
また機会がありましたら、よろしくお願い致します。