古い教会のカフェ
目次
作品メモ
モノクロの映像や、静かな語り口、戦争と記憶が関わる物語など、ほとんど同時代の『シベールの日曜日』を連想する方もいらっしゃるかもしれません。
深い余韻を残して、こちらはカンヌ映画祭パルムドール受賞。
カフェを切り盛りするテレーズ(Therese)にアリダ・ヴァリ。
「セビリアの理髪師」を口ずさむ記憶を失った浮浪者にジョルジュ・ウィルソン。
監督アンリ・コルピ。
脚本マルグリット・デュラス、ジェラール・ジャルロは当サイトで取り上げ済みの『雨のしのび逢い』(1960)と同じ。
撮影マルセル・ウェイス、音楽ジョルジュ・ドルリュー。
中傷はそよ吹く風
YouTube “La calunnia è un venticello”検索結果
DVD、Blu-ray盤
※18/3/11項目追加
下の「ロケ地」で「DVD&ブルーレイディスク化、切に希望」と書きましたが、なんと実現しそうです。
発売予定は2018年3月23日。
KADOKAWA(角川書店)から。
ロケ地
IMDbでは記載がありません。
画面とひたすらにらめっこでチェックしましたが、VHSのぼそぼそ映像なので眼が疲れました。
DVD&ブルーレイディスク化、切に希望します。
カフェ
痛んだ教会のそばにあるお店。
“CAFE DE LA VIEILLE EGLISE”(古い教会のカフェ)とあります。
オープニングクレジット後のトラックがやってくるカットで、(おそらくセーヌ川にかかる)橋の近く、川沿いの道路から一本入ったところ、教会の斜め裏手にあることがわかります。
橋の形がある程度つかめたので、セーヌ川しらみつぶし作戦を遂行してみましたが、解明できず。
そこでテレーズが川縁を歩く場面で見えた小さなダム(後述)の近辺を調べたところ、ようやく判明。
地名としては、パリに隣接するコミューンPuteaux(ピュトー)W。
カフェのあった場所は現在イタリアンなレストランとなっているようです。
La Fontanella
9 Rue de l’Eglise, 92800 Puteaux France
http://www.lafontanella.fr/
これ↑がオフィシャルサイトだと思いますが、特に映画のことは触れられていないようです。
教会は修復されて今もなお建っています。
周辺の石畳もそのまま。
ヨーロッパの街並みの保ちの良さにはいつも感嘆。
ルノーの工場と橋
0:13頃。
“RENAULT”とはっきり写ります。
橋はPont DaydéW。
工場はすでに跡地になっています。
川縁に降りるところ
0:25頃、テレーズが交通量の多い道路を横切って川縁に降りるところ。
教会の左側から出てきて、このあたりを横切ります。
今はもう横断することは到底無理。マネしてはいけません。
このSVの左側に橋が見えますが、映画に登場したものとは全然形が違います。これではセーヌ川しらみつぶし作戦が失敗したのも当然。
現在の橋はWikipediaによると1980年に完成したもののようです。
ダム
0:26頃。
川縁を行くテレーズの向こうに見える小さいダム。
上記降りたところからそのまま道なりといいますか川なりに進んだところにあります。
形状が特徴的だったので見つけることができました。これが判明しなかったら、テレーズのカフェも見つけることはできなかったでしょう。
歩いているのは北西岸。
カメラ南向き。
男の住まい
資料
関連記事
ジョルジュ・ドルリュー
- 『かくも長き不在』 Une aussi longue absence (1961)
- 『かもめの城』 Rapture (1965)
- 『まぼろしの市街戦』 Le Roi de coeur (1967)
- 『サン・スーシの女』 La passante du Sans-Souci (1982)
- 『リトル・ロマンス』 A Little Romance (1979)
- 『彼女のアリバイ』 Her Alibi (1989)
- 『恋のエチュード』 Les deux anglaises et le continent (1971)
- 『映画に愛をこめて アメリカの夜』 La nuit américaine (1973)
- 『突然炎のごとく』 Jules et Jim (1962)
- 『軽蔑』 Le Mépris (1963)
更新履歴
- 2018/03/11 「DVD、Blu-ray盤」項目追加
- 2012/12/15 新規アップ
コメント
初めまして。
「フランス映画、モノクロ、ピュトー教会」で検索してここにたどり着きました。
20年以上前、この映画の舞台のすぐ近くに住んでいまして、毎日、セーヌの船の行き来や中洲の建物を見て過ごしておりました。
パリ在住中、何気なく古い映画をテレビで見ていたら、家の近くらしきところが映っている!と認識したのがはじめで、帰国後もたぶんNHKBSでOAしたものを見た記憶がありました。最近は映画のDVDがずいぶん安く手に入るので、そういえばあの映画、もう一度見てみたいと思ったのに、題名が出てこない!こちらのサイトに助けられました。
(DVDは現在手に入りにくいようでデュラスの原作本を買うか検討中です。)
「かくも長き不在」とは素晴らしいタイトルですね。昔の映画関係者のセンスがうかがわれます。こちらにもこれからたびたびお邪魔することと思います。まずはお礼まで。
IMDB に記載がないとは意外なので今見たら、ちゃんと記載がありました。
ただしロケ地としては
Place de l’Eglise, Courbevoie, Hauts-de-Seine
だけでしたが…
僕もいつだったかのクリスマス・イヴにピュトーに(両親が)住んでいる友人から
夜の10時頃ホテルに今こら来ないかと電話があり、もう遅いからと言うと
何を言ってるイヴだぞ、ということで訪ねた事を思い出しました…
dodoさん、コメントありがとうございます。
20年以上前に現地でしかもお住まいの近くを映画でご覧になるとは、貴重な体験でしたね。当時といえども映画の面影はだいぶ薄れていたかもしれませんが。
拙サイトが少しでもお役に立てたのでしたらとても嬉しいです。
私もおそらくBSで見た記憶があるのですが、手持ちはVHSで、日本盤DVDはあるのかどうかすらわかりません(フランス盤はあるようですが)。
ぜひまたご覧になれると良いですね。
milouさん、コメントありがとうございます。
こちらもイヴの良き思い出でしょうか。
(私、このエントリー書くまでピュトーという地名すら知りませんでした……汗)
Web Archiveで遡ってみると、この映画のIMDbのFilming Locationsは2014年に追加されたようです。
IMDbで昔の映画の情報がたまに追加されているのに気づきますが、こういう古いフランス映画などの情報は誰が追加しているのか不思議ですし、それよりそもそもIMDbは誰が書いているのか、今さらながら気になります。