キャロル・ブーケの館はオードリー・ヘプバーンが泊まったホテル
作品メモ
『私立探偵ダーク・ジェントリー』、『DARK(ダーク)』に続けて、Netflix配信ドラマをもうひとつ。
『Dark』はドイツ製でしたが、こちらはフランス製。
TF1で昨年(2017年)9月に放映後、Netflixでフランスでは10月、日本を含む他国では12月に配信開始となっています。
全6話。
原題« La Mante »は「カマキリ」。
『愛人/ラマン』の原題は« L’Amant »ですから、ちょっとまぎらわしいでしょうか。
このドラマでは、25年前に男性を次々猟奇的に殺害し、現在無期懲役で服役中となっている女性の通称。
これを「かまきり夫人」と言ってしまうと「お暇なら来てよね~♪」の方が思い浮かびますが(汗)、こちらで「カマキリ」を演じているのは、なんとキャロル・ブーケ。
お顔を見るのは久々で、かつこの手の作品に出るのが意外ですが、知性と品格を湛えたお姿は相変わらず。
謎に包まれた連続殺人犯の心理を抑えた演技できめ細やかに表現し、作品全体をしっかり支えています。
外見はさすがに齢を重ねた印象がありますが、ハリウッドあたりのフォトショップで加工したような女優さんたちに比べると、なんとも自然ですがすがしいものがあったりするのでした。
「カマキリ」本名ジャンヌ・ディベールは獄中にいるわけですが、塀の外では25年前の事件の模倣と思われる猟奇連続殺人事件が発生し、彼女は昔自分を逮捕した刑事に捜査協力する旨連絡します。
要求は2点。
刑務所の外に出ることと、自分の息子を連絡係とすること。
息子はかつての事件の後関係を絶つために名前を変え、現在は潜入捜査官として働いています。
手がかりがなく八方ふさがりの警察は、やむを得ずジャンヌの要求をのみ、彼女を広々とした館に住まわせ、息子を彼女に会わせるのですが……
……といった展開。
なんだか『羊たちの沈黙』を彷彿させますが、その後ミスリードや二転三転するストーリーなど、飽きさせない工夫があれこれほどこされています。
フランスのミステリーはイギリスものに比べると薄味の印象がありますが、それにしては頑張っている印象。
個人的には真犯人は途中でわかってしまったものの、25年前の事件の真相や「母子もの」ともいえる珍しいパラメータもあって、最後まで猟奇連続殺人を楽しむ?ことができました。
こちら↓は予告篇とE1の冒頭。
こちら↓は毎回流れるオープニングクレジット。
なぜか「ドナドナ」ですが、これは後半で理由が明らかになります。
ロケ地
IMDbには記載がありません。
設定ではパリとその近郊が舞台。
例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
館
刑務所から出たジャンヌの監視付き住まいとなるお屋敷。
E1の半ばあたりで部分的に写りますが、E2のOPではドローンによる空撮で、ぐい~~~~んと敷地全体が捉えられます(上掲予告篇の冒頭はそのショット)。
場所はフランス語版Wikipediaに記載されていたのでわかりました。
Château de Villette (Condécourt)W
http://www.theheritage-collection.com/5204A5BBB533D
パリの北西30kmほどのところです。
この建物、どこかで見たことがあるな~と見ている間ずっと気になっていました。
ようやく記憶の宮殿の扉が開いたのは、最終話あたりでしょうか。
スタンリー・ドーネン監督、オードリー・ヘプバーン&アルバート・フィニー主演の『いつも2人で』(1967)に登場していたホテルでした(設定では”DOMAINE ST.JUST”)。
→ http://inagara.octsky.net/いつも2人で
エントリーを書いたときは追究しきれず場所不明としましたが、今回ようやく解決とあいなりました。スッキリできてカマキリに感謝♪
そういえば『いつも2人』から見ればちょうど50年後ですね。
いささかも変化が無く、さすがロングライフなヨーロッパの物件なのでした。
ここで撮影された作品について、フランス語版Wikipediaには以下のリストがありました。
『いつも2人で』も加えてください 😉
- 『タンタンとトワゾンドール号の神秘』Tintin et le Mystère de La Toison d’or (1967)
- 『巌窟王〜モンテ・クリスト伯』Le Comte de Monte-Cristo (TV 1998)
- 『ナイト・オブ・ザ・スカイ』 Les Chevaliers du ciel (2005)
- 『ダ・ヴィンチ・コード』 Da Vinci Code (2006)
- Pièce montée (2009)
- 『ラ・モント』 La Mante (TV 2017)
警察署
E2 0:14頃窓の外が写りますが、こちら↓の(おそらく)最上階東側の窓から撮られたもの。
署内もスタジオでは無くここで撮影されているように見えます。
刑務所
E1で刑事がやってきたモダンな作りの施設。
ホンモノでした。
パリの北50kmほどのところにあるランクール(Liancourt)。
Centre pénitentiaire de LiancourtW
資料
更新履歴
- 2018/01/30 新規アップ
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