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『アンリエットの巴里祭』 La fête à Henriette (1952)

アンリエットの巴里祭 [DVD]

作品メモ

『パリで一緒に』のオリジナル

先週のNHK BSプレミアムはヘプバーン特集。
「~永遠のヒロイン オードリー・ヘプバーン~」と称して、以下の作品を昼の時間帯に連日放映しました。

7月16日(月)から順に、『ティファニーで朝食を』、『パリの恋人』、『麗しのサブリナ』、『パリで一緒に』、『おしゃれ泥棒』。
さらに枠は異なりますが、7月23日(月)の夜9:00からは『シャレード』とヘプバーン尽くし。

当サイトではすべて取り上げ済みなので各エントリーをご覧いただくとして(→ タグ「オードリー・ヘプバーン」)、今回エントリーを書くのは、19日(木)に放映された『パリで一緒に』のオリジナル、フランス映画『アンリエットの巴里祭』。

残念ながら、今から見るとなると日本盤DVDは入手が難しいようですしレンタルもされていない模様。
こういう古典的な作品はもう少し気軽に見られる環境があれば良いのにと、いつも思います。

物語、登場人物、スタッフ

映倫にボツにされたため急遽シナリオを新たに書き上げなくてはならなくなった脚本家コンビが、アイデアをぶつけあい、悪戦苦闘の末なんとか形にしていくというお話。
形になっていくストーリーは視覚化され劇中劇としてお話が進んでいきますが、思いつきやボツネタまでもその都度いったんは映像化されるため、お話がいったりきたりで全体にめまぐるしい展開。ぼーっと見ているとおいてけぼりをくらうかもしれません。

客へのインパクト優先、エロと暴力とサスペンスに走りたがる脚本家にアンリ・クレミュー(Henri Crémieux)。
相方の暴走を抑え、なんとかオーソドックスなスタイルに引き戻そうとする脚本家にルイ・セニエ(Louis Seigner)。
2人のやりとりをシナリオにタイプしていき、時にはアイデアも提供する有能なアシスタント、ニコルにミシュリーヌ・フランセイ(Micheline Francey) 。
この秘書さんがルックス的にも魅力的で、『パリで一緒に』でヘプバーンが演じていたのがこの役。ライターはウィリアム・ホールデンひとりに減らし、ふたりのロマンスにお話をもっていくというアレンジがされているわけです。

劇中のヒロイン、アンリエット(Henriette)にダニー・ロバン(Dany Robin)。
その恋人で報道カメラマンのロベール(Robert)にミシェル・ルウ(Michel Roux)。
アンリエットの両親も公認の仲、あとはいつプロポーズするかという段階となっているようですが、アンリエットの誕生日でもある巴里祭の日に彼は素敵なデートをセッティングしている模様。でもそのままプロポーズしてハッピーエンド……では映画的に面白く無いため、脚本家コンビは工夫を凝らします。

ふたりの恋路を邪魔するキャラ、イケメンの泥棒モーリス(Maurice)にミシェル・オークレール(Michel Auclair)。
同じく、雑誌の表紙も飾ったりするサーカスの花形リタ・ソラー(Rita Solar)にヒルデガルト・クネフ(Hildegard Knef)。

はたして障害を乗り越え、アンリエットはロベールと無事最高の巴里祭の夜を迎えることができ、ひいては脚本家コンビは無事シナリオを完成させることが出来るでしょうか? それは見てのお楽しみ。

監督ジュリアン・デュヴィヴィエ、脚本ジュリアン・デュヴィヴィエ、アンリ・ジャンソン。
撮影ロジェ・ユベール、音楽ジョルジュ・オーリック。

巴里祭

7月14日は聖アンリエットの日……なのだそうです。
こういう「聖だれそれの日」って今いちよくわかりませんね。
平凡な日本人のひとりとしては、7月14日は革命記念日でパリ祭の日、ぐらいの認識しかありませんでしたが、そもそもこの日をパリ祭と呼ぶのは日本だけで、もとをたどればルネ・クレール監督の『巴里祭』(1933)。

バイキング料理のもとをたどれば映画の『バイキング』だった、というトリビアよりスケール感がありますね(汗)。

ロケ地

もちろん舞台はパリ。
IMDbでは記載がありません。
でも少し前のエントリー『ダーティハリー』のように実在の地名や施設名がぽんぽん出てくるので、調べるまでもなく正解がころがっている感じでしょうか。

「スウェーデン女」

「サン・ジェルマン・デ・プレで日本人の詩人と住んでる」

1カットだけですがすごいアップで登場するこの「日本人」、どなたなんでしょうね?

「さえないブルネット」

「バスチーユ界隈の女ボス」

「コンコルド広場のホテル」

字幕はそれだけですが、台詞ではっきり「ろてるくりよん」と言っています。

「バンドーム広場のホテル」

字幕はそれだけですが、台詞ではっきり「ろてるりっつ」と言っています。
やっぱりパリでホテル言うたら、この2軒なんでしょうか。

「ロワイヤル通りのカフェテラス」

「ラペ通りの店から」

ラペ通り Rue de la Paix

「モンジュ広場の兵舎に住んでいる」

Place MongeW

新聞を買いに来たところ

当初のプラン

市庁舎広場で2時に会おう
ブラッスリーのテラスで
それからダンス会場を回る
バスチーユ コンコルド ゴブラン
5時に行くのは、オペラ座だよ
テルトル広場でダンス
真夜中には……シャンパンでお祝いだ

「ある男が死にかけている」

マスコミが集まっていた中庭はシャンゼリゼ通り北側、Rue Balzac沿いのここ。(※15/10/23SV更新)

「ブールノワ広場のホテル・ギアーヌ」

ロベールの住まい。
架空の名前でしょうか?

ジゼルがやってきたカフェ

アンリエットの写真を片手にやってきたところ。
市庁舎広場の南西の端にあるお店。
ジゼル登場のカットは、こちら↓の信号機のあたり。

現在こちらは”Le Bistrot Marguerite”というお店になっていますが、映画に登場したお店そのものでは無さそうです。

謎の老人

謎の老人と道を渡ったのは上記カフェの東側。
市庁舎広場を東へ。背景に一瞬BHVWが見えます。

人々が踊る広場

上記カフェの場面の後、街角や広場で人々が踊るカットがいくつか続きますが、一箇所だけメモ。
円柱がずらりと並んだ建物はおそらくマドレーヌ寺院W
正面の画像しか知らず、こんなに柱の数は多くないと思い込んでいたので最初別の場所を探してしまいました。
脇に回ればいっぱい柱が並んでいますね。

マルセル(モーリス)と知りあう広場

後半の主な舞台となる広場。
これがモンマルトルのテルトル広場(Place du Tertre)Wという設定なのでしょうけど、撮影もそこだったのかは未確認。
確証はありませんが、別の場所かスタジオ撮影という気もします。

サーカス

“MEDRANO”という袖看板が出ています。

メドラノ・サーカス(シルク・メドラノ、Cirque Medrano)W

  • http://circosphere.free.fr/cirque-de-montmartre.html
  • http://www.cartes.tourdepiste.fr/cartes_paris_3.html

建物は1973年に取り壊されているようですが、ご参考までに場所はこちら。

SVは映画と同じアングルにしてみました。
右手後ろの建物は2棟ともまだ建っていますね 🙂

ガスタンク群

調査中。

※15/10/23追記
『夜の門 ~枯葉~』に登場したところかもしれません。

盗みに入る家

調査中。

階段

前述モンマルトル、テルトル広場(Place du Tertre)W南側のこちらの階段。

Rue du CalvaireW

アンリエットが倒れたのは、階段を降りきったところ。
25番地(Rue Gabrielle)の標識の下。

偶然ですが、最近WOWOWで見た『世界を賭ける恋』で、石原裕次郎が降りてきたのもこの階段だったように見えました(次のエントリーで書く予定です。→ 『世界を賭ける恋』)。

大団円

これはもうモンマルトルのサクレ・クール寺院Wの前。

ロケ地マップ

 
 

 

資料

更新履歴

  • 2015/10/23 「ある男が死にかけている」SV更新 「ロケ地マップ」差し替え

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