作品メモ
モーリス・ジャールの訃報が伝えられました(2009年3月29日)。
折しも今月はムービープラスで『アラビアのロレンス オリジナル復元版』が放送されていたところ。
また昨年末にはニュープリントバージョンが劇場にかかったばかりです。 (→ 公式サイト)
今回HVで初めて観ましたが、デジタルVFXなしのホンモノの映像が持つ表現力に改めて感嘆しました。
モブシーンひとつとっても70mmの大画面の隅々まで神経が行き届いていて、大作映画かくあるべしというお手本のような出来映えとなっています。
もちろん絵作りだけでなく、シナリオ良し、俳優良し、そして音楽も良し。さすが映画史に残る傑作。
完全版は227分という長尺ものですが、全く飽きることなく最後まで見続けることができます。
余談ですが、これだけ長いにもかかわらず女性がほとんど出てこないストイックな映画でもあります。 🙂
(セリフのある役はなし、女性のアップは確か1カットのみ、引きでも数シーン)
ロケ地
IMDbの記載は件数が多すぎるので省略。 → IMDb Filming locations for “Lawrence of Arabia “
Worldwide Guideがきちんとまとめていますし、webでも公開されているので、気になるところだけピックアップしてみます。
→ The Worldwide Guide to Movie Locations “Lawrence of Arabia film locations”
オートバイ事故
Chobham Common, Surrey, England, UK
葬儀
0:03
外観はロンドンの St Paul’s Cathedral 。
内部はスペインのスタジオ撮影とのこと。
アカバへ
アウダの部族と合流してアカバへ向かう場所。
IMDbにあるように、ヨルダンのWadi Rumです。
Wadi Rum, Jordan (desert – red cliffs)
背景の岩山の形からして撮影場所はこのあたりだと思います。
アカバ攻略
1:42
数ある名場面の中でも最もスペクタクルなのがアカバ攻略シーン。
ロケ地がどこなのか気になりますが、IMDbによるとこちら。
Playa del Algorocibo, Andalucía, Spain
この地名はGoogle Earthやflickr.comでは検索できませんでした。
“Algarrobico”ならヒットします。
Worldwide Guideでは、
The town of’ ‘Aqaba’ was built at a beach called Playa del Algarrobico near Carboneras, close to Almeria in southern Spain.
つまり、あのアカバの街は全部セットなのですね 😯
Carbonerasの近くとのことですので、おそらく撮影現場はこのあたり。
Google Earthでアングルを再現するとこんな風。
ここで正解のようですね。
※19/9/22追記
ぶぶちんさんから情報を寄せていただきました。
なんとこの場所もストリートビューで見ることができるようになっていました。
ワイドスクリーンでどうぞ 🙂
ぶぶちんさんからは、メイキング本の画像も送っていただきました。ありがとうございます。
メイキング本の著者が現場を再訪した際に撮った写真とのことです。
いろいろ権利とかあるかと思いますので、サムネイルのみで紹介させていただきます。
画像提供ぶぶちんさん |
L. Robert Morris
“Lawrence of Arabia: The 30th Anniversary Pictorial History”
イギリス軍司令部・将校クラブ
1:59
カイロのホテルにあるという設定ですが、セビリアのスペイン広場を包み込むこの建物が撮影地。
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)の惑星ナブーの宮殿です。 😉
Palacio Espanol
Plaza de España, Seville, Andalucía, Spain
- Wikipedia日本語 スペイン広場_(セビリア)
- Wikipedia英語 Plaza_de_España_(Seville)
- Wikipediaスペイン語 Plaza_de_España_(Sevilla)
画像はWikipediaから(パブリックドメイン)。
ただし噴水のある中庭は近くのホテルが撮影地
Alfonso XIII Hotel
2 San Fernando 41004, Sevilla, Andalucía, Spain
列車襲撃
2:20
Cabo de Gata, Almería, Andalucía, Spain
Genovese Beach, San José, Almería, Andalucía, Spain
San José, Almería, Andalucía, Spain
コメント欄(2019年12月17日 00:10 2019年12月17日 00:51)でぶぶちんさんから情報を寄せていただきました。
この↓あたりからの北側の眺めが、爆破シーンの背景と同じとなっているようです。
- Google Maps(SV)
- Google Maps(SV) ……※19/12/31追記(ぶぶちんさんからの追加情報)
- Google Maps
- 36.828032, -2.265149
周囲の砂丘は、匿名さんのコメント(2019年12月3日 06:36)によれば、力尽くで作ってしまったものとのこと 🙂
線路もぶぶちんさんがお書きの通り、撮影用に敷設したのでしょうね。
(※19/12/31追記「匿名さん」もぶぶちんさんでした)
ダマスカスの会議場
紛糾するアラブ国民会議。
ダマスカスという設定ですが、撮影場所は上記カイロのホテルのすぐお隣です。
El Casino
Avenida de Maria Luisa, Sevilla, Andalucía, Spain
資料
- 完全版日本公式サイト
- IMDb
- allcinema Movie & DVD Database
- goo映画
- The Worldwide Guide to Movie Locations
- Wikipedia英語
更新履歴
- 2019/12/31 「列車襲撃」SV追記
- 2019/12/21 各項目にタイムスタンプを追記。「列車襲撃」追記
- 2018/09/22 「アカバ攻略」追記
コメント
ヒジャーズ鉄道の爆破のシーンはスペインですが、砂丘が見当たりません。プロダクションマネージャーの自伝によると、雑草が生い茂る原っぱだったようですが、大人数の職人を動員して草木をみな切り払い力づくで砂丘にしたようです。ドクトル・ジバゴでは雪が降らないために見わたす限りの原野を石英砂と白いビニールシートでおおって雪原を作ったとありますが、リーンのわがままというか完璧主義にはあきれてしまいます。
匿名さん、コメントありがとうございます。
業務多忙と私事が重なってしまい、返信が遅れまして、申し訳ございません。
砂丘は作ってしまいましたか。以前地形からスペインでの撮影場所を特定しようかと試みましたが、いまいちしっくりこなくてそれきりになってしまいました。砂丘まで作られてしまうと、推定するのも難しそうです。
『ドクトル・ジバゴ』の雪原もそうですが、映画作りへの執念と言いますか執着と言いますか、いかにもデビッド・リーン監督ですね。
ちょうど『戦場にかける橋』のアレック・ギネスがどんどん橋建設に取り憑かれていく姿に重なってしまいます。
どの大作も成功したから良いものの、コケていたら「何やってんだ俺」的に呆然として、爆破スイッチの上に倒れ込んでいたかもしれませんね 😉
入力忘れましたがぶぶちんです それで、例の列車爆破のシーンですが、多分この辺かというのがわかりました。完全でないですが、
https://www.google.co.jp/maps/search/Dunas+de+Cabo+de+Gata/@36.7363107,-2.1918655,1236m/data=!3m1!1e3
を見ると、背景の山の稜線がhttps://www.youtube.com/watch?v=vR3FPplcJGgのシーンのそれと似ています なのでこの辺かと思います 見わたす限りの砂漠ですね 数百人の人がやったんでしょうか 鉄道も走っていませんからわざわざ引いたんでしょう このへんの懲りようが黒澤と似ています
すみません
https://www.google.co.jp/maps/@36.8839472,-2.1776558,680m/data=!3m1!1e3
この場所から北をストリートビューで見るとその遠景が映画のシーンとよく符合します なのでこの盆地で撮ったと思います ロケ地の地名とも合います ご参考までに
ぶぶちんさん、爆破シーンの探索ありがとうございます。フォローしていただいたメールの情報で、SV確認できました。
ここでばっちりですね。遅くなりましたが、本文へ反映させていただきました。ありがとうございました!