『未知への飛行 フェイル・セイフ』 Fail-Safe (1964)

未知への飛行 フェイル・セイフ [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『質屋』と同じくシドニー・ルメット監督の1964年の作品。
公開日は少しずれているようですが、続けてこの2本を作り上げるというのは、やはり並大抵のことではありません。

水爆を積んだ爆撃隊が、誤った指令を受信してモスクワを目指す事件が発生。
様々な手段が講じられますが、とうとう爆撃隊はフェイル・セイフ・ポイント(進行制限地点)を突破。大統領は、ソ連とのホットラインでこれが事故であることを懸命に訴えますが……
……という、いかにも冷戦時代のポリティカル・フィクション。

舞台の大半が、ホワイトハウスの地下やペンタゴン、オマハの戦略空軍司令部などの密室。
アメリカ大統領をヘンリー・フォンダが演じていることもあり、『十二人の怒れる男』を連想してしまいますが、世界の破滅に直結しているだけあって、その緊張感はハンパではありません。

冷徹な政治学者を演じたウォルター・マッソーの怪演もじわじわくる怖さがありました。
ルメット監督のコメンタリーによると、このキャラはハーマン・カーンがモデルとのことですが、同時期の『博士の異常な愛情』の博士もおそらくそのはず。
こうした怪演キャラ以外にも、2本はいろいろな点で共通しているような……
おそらくどちらもキューバ危機を受けての企画であるためかぶってしまったのかと思いますが、比べれば『博士の異常な愛情』はだいぶブラックユーモア寄りでしょうか。
とはいえ、オチについては『未知への飛行』も十分ブラック。ありえなさに慄然とします。

『博士~』はいずれエントリーを作るつもりですので、その際に改めて両作品を比較してみたいと思います。

出演は他にダン・オハーリー、フランク・オバートン。
通訳のバック役は、後にTVドラマ『ダラス』のJRで大当たりのラリー・ハグマン。

原作ユージン・バーディックとハーヴィー・ウィーラー。
昔は河出書房からソフトカバーの(小さめの)本で『フェイル・セイフ』というタイトルで出ていました。
その後(1980年)創元推理文庫から『未確認原爆投下指令 ーフェイル・セイフー』のタイトルで出版されましたが、こちら方がまだ入手しやすいかと思います。

脚色ウォルター・バーンスタイン、撮影ジェラルド・ハーシュフェルド。
いわゆる劇伴はないのが特徴。

FAIL SAFE 未知への飛行 [DVD]

『FAIL SAFE 未知への飛行』は2000年に作られたリメイク。
生放送されたテレビドラマですが、あえてモノクロ仕立て。
キャストは豪華です。

それにしても「未知への飛行」って何だかちょっと……
「フェイル・セイフ」で十分ですよね。
 
 

こちら↓はオリジナルの予告編。

 
 
 
こちら↓はリメイク。

 
 

ロケ地

IMDbには記載がありません。
DVDにシドニー・ルメット監督のコメンタリーが付いているので、いろいろと参考になりました。
軍の協力は得られず(当たり前?)、ほとんどがスタジオセットで撮影されています。
外の世界が写るのは、冒頭とエンディングだけ。

飛行場

ブラック将軍が飛び立ったのは、おそらくラガーディア空港W
飛行機は南向きに飛び立っています。

公園

0:11
政治学者グレテシュールの車が進む道。
設定はワシントンDCですが、撮影場所は不明。調査中。

カシオ大佐の住まい

0:15

設定はネブラスカ州オマハ。
監督コメンタリーで「実はスタジオ向かいの54丁目だ」と言っています。
とりあえずマンハッタンの54th streetを西の端からず~っと辿っていったら、いきなりビンゴでした。
おおよそこのあたり。

逆に、スタジオとはどちらだったのでしょう??
コメンタリーでも語っていますが、スタジオもニューヨークにこだわっていたようですね。

ラスト

ネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。

マンハッタンの俯瞰の後、ルメット監督が描き続けたニューヨークの街角が細かいカット割りで綴られます。全部で10ショット。
オーディオコメンタリーで、「最後はキノコ雲で終わらせたくなかった」と語っていますが、卓見でしょうか。

人々が暮らすシンプルな日常風景
それが途切れた瞬間が映画の終わりだ

資料

更新履歴

  • 2015/02/15 新規アップ

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