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『コールガール』 Klute (1971)

コールガール [DVD]

作品メモ

ジェーン・フォンダ出演作をもう1本。アカデミー賞主演女優賞受賞作です。
失踪した科学者を捜しにニューヨークへやってきた男が、科学者のお相手だった娼婦とともに真相に迫っていくミステリー。

英題の”Klute”は主人公である警官の名前。つまりは「ブリット」みたいな感じですね。お話の中では警察としての捜査ではなく、会社に依頼されて個人的に動く探偵のような立場。といいますか、最初に制服を着てみせてるだけで、ストーリー上は特に警官である必要性がない設定です。
演じるのはドナルド・サザーランド。ひたすら無表情で特徴ある口元をいつもへの字に結んでいます。
手懸りとなるニューヨークの娼婦ブリーにジェーン・フォンダ。売れっ子で多くの客を相手にしていますがその一方で女優やモデルも目指しているというキャラ。不安を抱え精神分析を受けている彼女、孤独感や心の渇きといった点で『チャイナ・シンドローム』のキャスターと重なるものがあります。飼っているのはカメではなくネコですが。

ブリーにグルーネマンを紹介したワルっぽいフランクにロイ・シャイダー。
FBIの捜査に不満を持ち、クルートに捜査を依頼した会社重役ケーブルにチャールズ・チオッフィ。

全体に夜や室内の場面が多く、さらに陰影を多用しているので、映画館の暗がりで見るのがぴったり。明るい部屋のテレビで見ると、画面がつぶれて何が何だかよくわかりません。
さらにお話もミステリーとしては奥行きにとぼしくテンポも遅いという、いわば雰囲気第一の映画。
主演ふたりは雰囲気という点ではとても良く役にあっていて、特にジェーン・フォンダは長いワンカットで撮られることが多く、印象に残ります。

監督製作アラン・J・パクラ。ライザ・ミネリの『くちづけ』に続く2作目。
撮影ゴードン・ウィリス。深い陰影に満ちた映像は『ゴッドファーザー』への準備運動?

パクラ & ウィリス

2人のコンビはこの『コールガール』から。
パクラ監督は1998年11月に交通事故死。ゴードン・ウィリスもパクラ監督の死後撮っておらず、『デビル』はどちらにとっても最後の作品となっています。
以下それぞれの全作品をリストアップしてみました(年度はIMDbに準拠)。

タイトル アラン・J・パクラ ゴードン・ウィリス
デビル (1997) 監督 撮影
ペリカン文書 (1993) 監督・脚本・製作  
冷たい月を抱く女 (1993) 撮影
隣人 (1992) 監督・製作
ゴッドファーザー Part III(1990) 撮影
推定無罪 (1990) 監督・脚本 撮影
いくつもの朝を迎えて (1989 未) 監督・脚本・製作 
再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ (1988) 撮影
オーファンズ (1987 未) 監督・製作
ピックアップ・アーチスト (1987) 撮影
マネー・ピット (1986) 撮影
ドリーム・ラバー (1985 未) 監督・製作 
パーフェクト (1985) 撮影
カイロの紫のバラ (1985) 撮影
ブロードウェイのダニー・ローズ (1984) 撮影
The Lost Honor of Kathryn Beck (1984 TV) 撮影
カメレオンマン (1983) 撮影
ソフィーの選択 (1982) 監督・脚本・製作
サマー・ナイト (1982) 撮影
華麗なる陰謀 (1981) 監督
ペニーズ・フロム・ヘブン (1981 未) 撮影
スターダスト・メモリー (1980) 撮影
エミリーの窓 (1980) 監督・撮影
結婚ゲーム (1979) 監督・製作
マンハッタン (1979) 撮影
インテリア (1978) 撮影
カムズ・ア・ホースマン (1978 未) 監督 撮影
ジェームズ・ディーンにさよならを (1977) 撮影
アニーホール (1977) 撮影
大統領の陰謀 (1976) 監督 撮影
ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的 (1975) 撮影
ゴッドファーザー Part II (1974) 撮影
パララックス・ビュー (1974) 監督・製作 撮影
Love and Pain and the Whole Damn Thing (1973) 製作
ペーパーチェイス (1972) 撮影
砂の城・人妻マーガレットの場合 (1972 未) 撮影
夕陽の群盗 (1972) 撮影
ゴッドファーザー (1972) 撮影
コールガール (1971) 監督・製作 撮影
殺人狂想曲 (1971 未) 撮影
真夜中の青春 (1970) 撮影
Loving (1970) 撮影
End of the Road (1970) 撮影
くちづけ (1969) 監督・製作
レッド・ムーン (1968) 製作 
下り階段をのぼれ (1967) 製作
サンセット物語 (1965) 製作
ハイウェイ (1965) 製作
マンハッタン物語 (1963) 製作
アラバマ物語 (1962) 製作
栄光の旅路 (1957) 製作

ロケ地

IMDbでは、

Filmways Studios – 246 East 127th Street, East Harlem, Manhattan, New York City, New York, USA (studio)
New York City, New York, USA

とほとんど手懸りがありません。

DVDにメイキングといいますかドキュメンタリーが収録されていて、撮影風景が紹介されていました。
ハーレムやセントラルパーク等、ニューヨーク市内のロケを行っていますが、街の雰囲気をうまくすくい取っているだけで、これみよがしに特定のランドマークが強調されるような撮り方はしていません。

ブリーの住まい

1FがBUCKLEY FUNERAL HOMEという葬儀屋さんとなっていますが、架空の設定。
撮影場所はハーレムと思われますが、具体的な場所は不明。

Linda Goodman's Sun Signs 彼女が読んでいる本は”Linda Goodman’s Sun Signs”

テープを返すところ

セントラルパークの南端。
背後に可愛らしい建物があり、池では水鳥が泳いでいますので、動物園Wかもしれません。

ディスコ

パイプオルガンが見えますが、実際にNY市内の使われていない教会を利用。

アーリンの住まい

ハーレムの一角で、おそらくこのあたり(建物の特定は避けることにします)。

高架の下

アーリンのアパートに寄った後クルマを走らせる場面。
クルマはBroadwayを下記125th Street Stationの北側から北に向かって(駅から遠ざかって)走っています。
カメラ位置はこのあたり。

このあたりはマンハッタンで珍しく高架鉄道があるところ、かつ高架部分が他地区より高いので、場所が特定しやすいです。
(例えば、『フレンチ・コネクション』のカーチェイスはブルックリンで、高架はもう少し低い)

駅のエスカレーターに乗るところ

Broadwayと125th Streetの交差点にあるこちら。

125th Street Station

クルマは、125th Street を駅の西側からやってきて、駅の下の交差点で停まります。

ケーブルが立っていたビル

ヘリポート

マンハッタン南端のこちら。

資料

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