『荒野の決闘』 My Darling Clementine (1946)

荒野の決闘 [Blu-ray]

I sure like that name… Clementine.

作品メモ

このところ下書きのままで放っておいたエントリーをアップしていますが、こちらも同様。
だい~ぶ前に書きはじめていましたが、2ヶ月ぐらい前にやはり西部劇の名作『シェーン』をチェックしたところですので、ここらへんで追記しアップすることに。

ジョン・フォード監督の名作で、『シェーン』同様昔からテレビで何度も楽しませてもらいました。
出演はヘンリー・フォンダ、ヴィクター・マチュア、ウォルター・ブレナン、リンダ・ダーネル、キャシー・ダウンズ。
監督も出演者も誰一人名前すら知らなかった頃に見て、子供心に一番印象に残ったのは、ヴィクター・マチュア演じるドク・ホリデイでした。
黒ずくめでワケありで美人にもてて時折ゲホゲホやるんですから、絵に描いたような陰のあるヒーロー。ちょっとヒネた子供があこがれないワケがありません。

ん十年後の今見返すと、こちらが年取ったせいでしょうか、クラントン一家の親爺にもなぜか惹かれるものを感じます。
ヘンリー・フォンダが素晴らしいのはもちろんですが(特にあのへんてこりんな踊り)、良き脇役あっての良き映画という印象を改めて受けました。

おなじみのテーマ曲については、Wikipediaなどを参照ください。

 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Devils Tower National Monument, Wyoming, USA
Monument Valley, Utah, USA
Kayenta, Arizona, USA
Monument Valley, Arizona, USA
Moab, Utah, USA
Shiprock, New Mexico, USA
Utah, USA
Red Mesa, Arizona, USA
Arizona, USA
Teec Nos Pos, Arizona, USA
Mexican Water, Arizona, USA

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

『シェーン』はワイオミング州でしたが、こちらは主にアリゾナ州ですね。

なおIMDbのリストのDevils Towerは『未知との遭遇』のそれかと思いますが、本編で撮影ショットはうまく確認できませんでした。ご存じの方教えてください。

タイトル直後

0:02

クレジット直後の場面は、背景に並ぶ特徴的な岩山からモニュメントバレーとわかります。
今やGoogleのストリートビューや、ユーザー撮影の全天球画像があちこちに張り巡らされ、映画のカットを簡単に再現できます。

牛さんたちがこちらへ上ってくる1カット目は、このあたり↓

画面中心の岩山は、Merrick ButteW
その西側からの眺め。

2カット目。カメラ東向き。

4カット目。カメラ北東向き。

曲想が変わり、クライトン親子の馬車が右手前から登場するカット。カメラ南西向き。

これらのカメラアングルは、最後に挙げたロケ地マップに記載しておきました。
もちろんごく大ざっぱなものですので、ご了承ください。

撮影場所はちょうどアリゾナ州(南側)とユタ州(北側)の州境のあたりで、ぎりぎりアリゾナ州側でしょうか。

トゥームストン

やはりモニュメント・バレーに作られたセット。
こちらはOPの場面より数km北側で、ぎりぎりユタ州。

町の出口から遠くを見るショットはいくつかありますが、だいたいこのあたりから東北東を向いています。

OP2カット目と4カット目の岩山がまとめて写るようなアングルですね。

0:16頃の監獄のショットはこの↓あたりなので、

あわせると、町のセットはだいたいこの↓あたりと推定できます。

入口の横で椅子に座り、柱を足で押してギコギコ揺らすショットの背景は、

決闘

映画では、町の(南西側の)はずれ。
史実については「史実」参照。
ついOK牧場と呼びたくなりますが、ここがそう呼ばれるようになるのは、『OK牧場の決斗』(1957)から。

ラスト

これは「トゥームストーン」のセットから南へ20kmほど。アリゾナ州。
こちら↓の南側からの眺め。

Agathla PeakW

永遠に記憶に残るようなラストシーンですが、信じがたいことにWikipedia(英語版)で『荒野の決闘』のことに触れられていません。

「教師をする」と伝えるショットで、ヘンリー・フォンダのあごのあたりに灯台のように尖った岩山が見えますが、マップでは”Owl Rock”と示されています。

両者あわせて。

頬にキスするショットは明らかにスタジオ撮影ですが、挿入する必要ありましたかね??

▼22/5/16 追記
Stanfordさんから画像を提供していただきました。
コメントもそのまま転載させていただきます。
どうもありがとうございました 🙂

Stanfordさん ラスト・シーンの場面。この場所は、全く音がしなかったことが印象に残っています。
1989年8月撮影です。

史実(参考)

参考までに、史実はこういった感じ。

トゥームストーンはアリゾナ州のメキシコ国境寄りで、ロケ地からは600kmほど離れています。

英語版Wikipediaによれば、実際の決闘はトゥームストーンの緑のマークのあたりで行われたとのこと。
O.K.Corralそのものは黄色でマークされていますが、このブロックの南側、Allen通りに面していたようです。
なので、厳密に言えば「O.K.Corralの裏手の決闘」となりますね(汗)。

緑のマークが決闘場所、黄色がO.K.Corral。

現在決闘場所の角にO.K. Corralなる施設があります。

ロケ地マップ

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2022/05/16 「ラスト」にStanfordさんの画像を追加
  • 2018/11/21 新規アップ

コメント

  1. 赤松 幸吉 より:

    この映画ほど日本人から溺愛されたウエスタンは古今東西に類を見ず、まさしく日本人好みの、日本人のための西部劇です。

    この映画を100回以上鑑賞したという人を何人も知っています。

    私はこの映画のリバイバル時(1960年頃)映画館で見ています(勿論、それ以降何回も)。
    その時のフイルムは白黒でなく、何故か全編を通して濃い青色に着色されたフイルムだったと記憶しています。

    居ながらさんのように、保安官(ヘンリー・フォンダ)よりもドク・ホリデイ(ヴィクター・マチュア)に憧れました。

    酒場でインチキ賭博師を叩き出すときのカッコよかったこと。
    白いハンケチを風になびかせ、死んでいく姿の切なかったこと。

    このサイトのファンは読みたくもないでしょうが、保安官とドク・ホリディの関係は、日本映画の「昭和残侠伝」でのヘンリー・フォンダ = 花田秀次郎(高倉健)、ヴィクター・マチュア = 風間重吉(池部良)の原型になっていると思われます。

    この主演の二人よりも胸を焦がしたのは、ドクに思いを寄せる酒場の女・チワワ(リンダ・ダーネル)です。

    この映画ではマドンナのクレメンタイン(キャシー・ダウンズ)の方が評判がよく、誰からも愛されているが、薄幸のバンプ(vamp)を見事に演じたリンダ・ダーネルも、もう少し評価してあげてやってください。

    意外なことに、アメリカ人はあれほど有名な映画の「荒野の決闘」や「駅馬車」のロケになったモニュメント・バレーについて知らなかったり、はじめから関心がないようです。

    ロケ地探訪にこんなに大騒ぎするのは日本人だけで、一昔前には、モニュメント・バレーへの観光ツアーまでありました。こんなツアーが企画されたのも日本だけでしょう。

    私も参加したいと思いましたが、バスで何十時間もの移動と知って断念しました。

  2. 菊地秀行 より:

    キスシーンは、劇場公開版の試写会でクレームがついたため、加えられたと聞いています。リバイバルで見たとき、「あ、浮いてる」と思いました。コロナ以前、SFとホラーのトークショーを開いたことがあり、「戦慄!プルトニウム人間の逆襲」にクレメンタイン役のキャシー・ダウンズが登場していたことから、「荒野の決闘」のラストシーンを流しました。上映作品の性格上、終映後は    会場の雰囲気がかなりざわついているのですが、この時だけ、後にも先にもこの一回だけ、水を打ったような穏やかな静謐が満ち、生まれて初めて映画というものの力を実感しました。                

  3. 菊地秀行 より:

    もう1つ。良く取り上げられるアープとドクとクレメンタインとの関係ですが、劇場公開版でもディレクター・カット版でも、ドクのことを忘れ去ったような、クレメンタインのアープへの感情移入が不自然な気がしました。ところが、本作品のLDの1枚のカバーに、殺害されたジェームズの墓の前に佇むアープとクレメンタインの姿があり、あ、このせいか、と納得。しかしながら、どういうわけか楽しみにしていたディレクターズ・カット版にもこのシーンはなく、泣きたくなりました。今でも謎のシーンです。

  4. 居ながらシネマ より:

    菊地秀行さん、コメントありがとうございます。
    返信遅れまして申し訳ございません。
    先生御本人様でいらしゃいますか? だとしたら大変光栄です。

    > キスシーンは、劇場公開版の試写会でクレームがついたため、加えられたと聞いています

    スニークプレビューでのお客さんの反応なのか、少しでもヒットさせたい製作者がねじ込んだのかわかりませんが……
    個人的には握手だけで十分気持ちが伝わるとても良いシーンとは思うものの、両方を繰り返し見比べていたら、だんだんキスありでも良いような気もしてきました(笑)。

    キスなし↓
    https://www.youtube.com/watch?v=h6xSIT2S2Ms

    キスあり↓
    https://www.youtube.com/watch?v=1KDZth8Uuw0

    > 「戦慄!プルトニウム人間の逆襲」にクレメンタイン役のキャシー・ダウンズが登場していたことから、「荒野の決闘」のラストシーンを流しました。

    これは狙い澄ましたぶつけ方ですね。

    > 後にも先にもこの一回だけ、水を打ったような穏やかな静謐が満ち

    その時の様子が目に浮かび、ウケてしまいました。
    『戦慄!プルトニウム人間』はそのうち拙サイトでも取り上げてみたいと思います(大きくなる系は今のところアリさんとクモさんだけで、人間様はまだ取り上げていませんでした)。

    > 本作品のLDの1枚のカバーに、殺害されたジェームズの墓の前に佇むアープとクレメンタインの姿があり、あ、このせいか、と納得。しかしながら、どういうわけか楽しみにしていたディレクターズ・カット版にもこのシーンはなく、泣きたくなりました

    LDの画像をネットで拾って見てみましたが、なんでしょうね、これは。お墓がピカピカでクレメンタインの衣装も見慣れないものですし。切り貼り感たっぷりで、キスシーン以上に浮いていますね……

  5. 居ながらシネマ より:

    赤松 幸吉さん、コメントありがとうございます。
    4年近くたっての返信、大変失礼致しました。
    全てのコメントにそのつど返信差し上げているつもりでしたが、うっかり見落としていたのかもしれません。
    『旅の重さ』で書き込みいただいていたので、ご健在は確認できておりましたが、日本映画も取り上げるようにしますので、またびしびしコメントお寄せください。

    > この映画ではマドンナのクレメンタイン(キャシー・ダウンズ)の方が評判がよく、誰からも愛されているが、薄幸のバンプ(vamp)を見事に演じたリンダ・ダーネルも、もう少し評価してあげてやってください。

    チワワも添え物ではなく本当に重要なキャラ設定ですよね。クレメンタイン、ドク、チワワ、アープの相関図の矢印が良い感じで組み合わさっていて、メロ部分の物語を自然に動かしていたように思います。

    > ロケ地探訪にこんなに大騒ぎするのは日本人だけで、一昔前には、モニュメント・バレーへの観光ツアーまでありました。こんなツアーが企画されたのも日本だけでしょう。

    今ですとアニメの聖地巡礼などさかんなようですし、架空とはいえ物語の中の場所に実際におもむいて没入すると言うのが、快感や達成感と結びつきやすいのかもしれませんね。

  6. 赤松 幸吉 より:

    居ながら様
    すっかり忘れていたことに返信を頂き、ありがとうございます。
    この映画は「ローマの休日」と同様に、なぜか特に日本人に溺愛されている映画で、アメリカなどでは数々のフォード作品の中では(出来が)中程度としてしか取り扱われていないようです(?)。
    アメリカ人でこの映画をフォード作品No1に挙げる人は少ないのではないでしょうか。

    このサイトにはほぼ毎日眼を通していますが、なかなかお気に入りの日本映画が出ないのが残念です。

  7. 居ながらシネマ より:

    赤松 幸吉さん、足かけ4年ぶりの返信にすぐコメントを返していただきありがとうございます。
    拙サイトを毎日見てくださっているとのことで、とてもありがたいです。
    お気に入りの日本映画、気になりますが、以前も似たようなことをやりとりさせていただいた記憶があり、たどってみたら、『幕末太陽傳』でのコメント欄でしょうか。

    https://inagara.octsky.net/幕末太陽傳

    これなど2013年3月ですから、4年ぶりどころか9年と半年前ですね(冷汗三斗)。
    今となっては日本映画も100本近く取り上げてきましたが、まだまだ不足していると思いますので、頑張ってアップしていきます。
    ぜひまたちょくちょくお声を聞かせてください。

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