記事内の商品画像には広告リンクが含まれています

『クライシス2050』 (1990)

映画チラシ 「クライシス2050」監督 リチャード・C・サラフィアン 出演 ティム・マティスン、チャールトン・ヘストン、ピーター・ボイル

作品メモ

ひとつ前のエントリー『流転の地球』で、

残念ながら、我が国でこれだけのボリュームのVFX大作を製作するのは、もはや無理

とか書いちゃいましたが、これまでの日本製SF映画で一番お金をかけたのは、おそらくCGアニメの『ファイナルファンタジー』(2001)W
興行的に残念な結果に終わっただけでなく、作品の評価もいまいち。
さらに売りだった精緻なCGも、最近のゲームでリアルタイムにレンダリングされるキャラや景色の方がより実写に近かったりして、今となっては幾重にも残念なことになっています。

では2番目の大作は何であったかとなると、きちんと調べたわけではありませんが、この『クライシス2050』あたりでしょうか。
1990年といえばバブルの絶頂。日経株価は前年末にピークをつけていましたが、世の中全体はまだまだいけいけドンドン、ジャパンアズナンバーワン的にお花畑状態であったかと思います。
そんな時代に、学研とNHKエンタープライズが出資してハリウッドで制作。
監督リチャード・C・サラフィアン、特撮監督リチャード・エドランド、撮影ラッセル・カーペンター、音楽モーリス・ジャール、他にシド・ミードと、錚々たる顔ぶれが集結し、これは期待できるかもと思わせたものの、いざフタを開けて見れば、作品の評価的にも興行的にも厳しい結果となり、日本のバブルをハリウッドが食い物にした、そう言われても仕方ないような有様となりました。

シナリオのレベルでいかんともしがたいのが致命的で、宇宙空間だけでは話が持たないのか、荒野での退屈なエピソードが延々インサートされ、焦点の定まらないストーリー展開がたらたらと続きます。
その一方で期待のビジュアルも多額の製作費と聞いたわりにはやや肩すかしだったでしょうか。
事前にNHKで特集番組が組まれたりしてすっかり煽られてしまった自分は、公開初日に劇場までのこのこ見に行きましたが、見終わる頃には(広い意味で)打ちのめされがっくりと膝をついてしまっていた……のも今となっては良き想い出でしょうか。
……そういえば、「さよならなんとか」で同じような気分を味わったような……(次エントリーへと続く 😉 )

この映画、確かソフトが出ていなくて、ご覧になるチャンスは案外少なそうです。別に無理して見る必要はないんですけど…… 🙄
(※20/2/8追記 とか書いちゃいましたが、コメント欄 2020年1月20日 23:30で、Bill McCrearyさんからVHSやLDソフトが出ていた旨情報を寄せていただきました。コメント欄のリンク先をご参照ください。またYouTubeでも出没していて簡単に見られるようです)
今回参照したのは、日本映画専門チャンネルで放送されたバージョンで、記録では2011年3月27日(日)となっています。日本語吹き替え。
アメリカ公開版は長さが短くなっていて、いろいろあったのか、クレジットで監督がアラン・スミシー名義になっています(汗)。英題”Solar Crisis”。

出演は……
フレア活動を正常化すべく太陽へと向かう宇宙船ヘリオス号の船長スティーブ・ケルソにティム・マティスン。
その父でなぜか作戦をほっぽり出して地球へ戻り孫の行方を追い始めるスキート・ケルソ提督にチャールトン・ヘストン。
ヘリオス号の乗組員で「バイオジーン」なる遺伝子操作で生まれたアレックスにアナベル・スコフィールド。
同じく乗組員ケン・ミナミに別所哲也。これが映画デビュー作で、英語版では英語のセリフを流ちょうにこなしていますが、出番は大幅に削除されています。
大企業IXL社を率いる富豪ティーグにピーター・ボイル。
スティーブの息子で、砂漠に不時着したマイク・ケルソにコーキー・ネメック。
マイクを助ける砂漠の住人トラビスにジャック・パランス。

 
 
 

サントラ

最後「カルミナ・ブラーナ」っぽくなりますが、モーリス・ジャールのオリジナル。

Solar Crisis

個人的に気に入っているのは、0:54頃、別所哲也さんとアレックスがセッションする練習曲のような小曲。
演奏に使ったあの折り畳みキーボード、欲しいです。

ロケ地

IMDbでは、

Baker, California, USA
Clark County, Nevada, USA
Harbor Star Stage, San Pedro, Los Angeles, California, USA
Little Tokyo, Los Angeles, California, USA
Sandy Valley, Nevada, USA

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

砂漠

監督はリチャード・C・サラフィアンですから、『バニシング・ポイント』の砂漠や荒野を連想します。
撮影場所はIMDbのリストのこのあたりでしょうか。

Sandy Valley, Nevada, USA

さすがに、似たような地形ばかりで、特定には至りません。

ホテルのロビー

0:34
噴水がある吹き抜けロビーは、こちらのホテルのもの↓
(海外版ではカット)

Westin Bonaventure
404 S Figueroa St, Los Angeles

資料

更新履歴

  • 2020/02/08 「作品メモ」にBill McCrearyさんの情報を追記
  • 2020/01/18 新規アップ

コメント

  1. Bill McCreary より:

    どうも、遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。

    >この映画、確かソフトが出ていなくて、ご覧になるチャンスは案外少なそうです。別に無理して見る必要はないんですけど……

    VHSは出ている(いた)ようです。LDも出ていた模様。

    https://www.amazon.co.jp/dp/B00005ILPR

    https://www.amazon.co.jp/dp/B000VVKZR6

    それにしてもNHKが製作に関与していた映画がDVDすら出ていないというのもすごいですね(苦笑)。どっちみちYouTubeでは動画が複数出回っているようですので、鑑賞したければ簡単にできちゃいます。

    >……そういえば、「さよならなんとか」で同じような気分を味わったような……(次エントリーへと続く

    ・・・(笑)。残念ながら、こういう宇宙とかが絡むSF映画というのは、往々にして独りよがりの映画になっちゃうのはどうしてなんですかね。気負っちゃて、シナリオなどに不必要にいろいろないろいろな要素を詰め込んじゃうとかいろいろあるんでしょうが、製作費がもったいないですよね・・・。

  2. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    こちらこそ今年もよろしくお願い致します。

    新規アップがだいぶ間が空いてしまいましたが、正月休みに気になるところのメンテナンスをやっていました。最後に懸案だったSSL化も行い、ようやくURL欄の頭に鍵マークが付くようになりました。(これが付くと、なんだか格好良いので 😉 )
    これで大丈夫そうなので、また新規アップや更新続けていこうと思います。

    さっそく間違いのご指摘ありがとうございます。
    ビデオ出てましたか。LDは全然手を出さなかったので、まったくノーマークでした。後で直しておきます。
    いや、ホントにDVDすら出していないというのが、わかりやすいといいますか、黒歴史として封印しているのでしょうか。
    それ以前に今もしこんな映画つくったら、大炎上間違いなしですよね……

タイトルとURLをコピーしました