『さよならジュピター』 (1984)

さよならジュピター 東宝DVD名作セレクション

作品メモ

ひとつ前のエントリー『クライシス2050』は和製本格SF大作を語る上で欠かせない?一本ですが、いろいろな意味でその先駆者といえるがこの『さよならジュピター』。
世界に通じるSF映画を日本で制作しよう、というその意気込みたるや良し、でしたが、結果は……
自分は公開初日に見に行きましたが、最後にユーミンの歌を聞きながら、コレジャナイ感を抱きつつ劇場の椅子に沈みこみました。そんな観客は自分だけではなかったはず……

木星太陽化計画、ナスカの地上絵に似た火星の巨大な絵、木星に潜む謎の巨大物体ジュピター・ゴースト、太陽系に迫るブラックホール……等など壮大なアイデアがてんこ盛りでしたが、1本の映画の中で効果的に響き合っていたかと言えばかなり微妙なところ。
逆に唐突な無重力ラブシーンや、ネジが緩んでいるとしか思えないジュピター教団など、無駄なエピソードが映画のリズムの足を引っ張ります。
『クライシス2050』もそうでしたが、やはりシナリオのレベルで手を入れるべきであったような……。
期待したビジュアル面も、頑張ってはいましたが特に突出した部分は感じられなかったでしょうか。
演出も魅力が薄く、結果、名作SF映画なら備えている豊かなイメージやビジョンには達しない、幼い映画となってしまったように思えます。

当日買った劇場プログラムを久々に見返しましたが、最後のページに「これは、銀河系の一大事です!」との文字が。
何かと思えば、3月17日劇場公開と同時にビデオ(VBHS、ベータ)が発売になったので、その広告でした。
これは記憶にありませんでした。
まさかと思いますが、この内容では興行的に勝負できないと判断されて、宣伝効果のあるうちにビデオも売り切ってしまおうという作戦だったのでは、と疑いたくなってしまいます。

そんなこんなでいろいろ残念な映画となっていますが、無下に否定する気にはなれず、参加した特に若いスタッフにとって、大いなる刺激と貴重な経験となりその後につながるものがあったはず……と信じたい一本。

その中心にいたのが小松左京さんで、この映画のために小松さんが立ち上げた株式会社イオと東宝の提携作品。
小松さんは製作・原作・脚本・総監督という八面六臂縦横無尽の大活躍で、実は木星の役で出演もしているというネタも当時聞いた記憶があります。

主役で木星太陽化計画のチーフ本田英二に三浦友和さん。スケジュールが押せ押せなのに、木星の基地と地球を行き来するというゆとりを見せます。
ヒロインのマリアはディアンヌ・ダンジェリーという女優さんでしたが、IMDbのフィルモグラフィではこの他にTVドラマが1本あるだけですね。

他にキャストをひとりだけメモしますと、宇宙言語学者ミリセント・ウィレムを演じたレイチェル・ヒューゲットさん。
日本語は吹き替えでしょうけど、日本人俳優と話すときの口の動きは日本語のセリフ通りになっています(英語のセリフでは英語の口の動きになっている)。
こちら↓にこの映画に関連した記事があり、興味深く読みました。

‘DR. WILLEM SAYS “SAYONARA” TO JUPITER! Actress Rachel Huggett Remembers Her Toho Star Turn’
https://vantagepointinterviews.com/2015/03/25/dr-willem-says-sayonara-to-jupiter-actress-rachel-huggett-remembers-her-toho-star-turn/

当時日本でモデルさんをしていて日本語は結構しゃべれた模様。現在は博士号を取得して別の分野で活躍されているようで、何よりです 🙂

ロケ地

例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
いつも通り特に資料は用意しませんでしたが、DVDのコメンタリーは参考になりました。
ロケ地チェック的には、リアルの場所をうまく活用してそれっぽく見せているという、なかなか面白い映画となっています。

調査団

0:17

調査団の視察。
プレゼンしていたホールは、コメンタリーによれば「六本木のラフォーレ」とのことですが、不明。

0:18 1:22
「超素粒子工学研究室」とテロップが出たのは、実際にはつくばの高エネルギー物理学研究所(現・KEK 高エネルギー加速器研究機構)で開発中だったTRISTAN(トリスタン)。
ここで装置の裏から出てきた天才少年カルロスを演じていたのは、globeのマーク・パンサー(クレジットではマーク・パンソナ)。
まだ可愛いです。

ジュピタービーチ

0:35
常にイライラさせてくれたジュピター教団の本拠地。
撮影は沖縄のムーンビーチ。
強制送還されたマリアたちが着いた桟橋や、降りてきた階段は、今でも確認できます。

0:38
見晴らしの良い崖の上はこちら↓でしょうか?

  • 26.452191, 127.801969

曲はユーミンの「青い船で」

彗星源探査本部

0:51
格好良すぎる岡田眞澄さん。
役名は「ムハンマド・マンスール」。それっぽく見えるのはさすがです。

コメンタリーによれば、壁に敷き詰められた細かい凸凹は、卵のケースとのこと(笑)。

月・コンピューター・センター

0:52
格子天井の部屋は、新宿NSビルの地下イベントホール。

  • http://www.shinjuku-ns.co.jp/rental/LP/
  • 35.687936, 139.693525

地球連邦大統領府

0:57

吹き抜けホールを見上げたアングルは、伊藤忠商事東京本社ビルの1階ロビー。
これはコメンタリーがなければわかりませんでした。

森繁さん演じる世界連邦大統領のデスクも、このロビーにテーブル置いただけのように見えます 🙄

渡り廊下

1:03
新宿NSビル名物、吹き抜けの上の方で斜めに架かっている渡り廊下。
これはコメンタリーを聞かなくてもわかりますね 🙂

By Dick Thomas Johnson
via flickr
(CC BY-2.0)

資料

更新履歴

  • 2020/01/20 新規アップ

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