作品メモ
ひとつ前のエントリー『イタリア式バス旅行』同様、70年代にNHKで放映されたアメリカのテレフィーチャー(テレビ映画)。
ソフト化はたぶん無し。
アメリカでの放送は1970年9月29日とのことです。
ABC Movie of the Week Wの枠で放映されたとのことですが、この枠の出世頭がスピルバーグ監督の『激突!』でした(放映日は1971年11月13日)。
お話は……
妻とともに田舎町を訪れた男が、夜中に町の人たちがぼ~っと歩き出しどこかへ行ってしまうのを目撃。妻も一緒にフラフラと出かけてしまいますが、翌朝には何もなかったかのように隣で寝ているのでした。全員夜の間の記憶は失われているようで、男はこのことを保安官に訴えますが信じてもらえません。それどころかすっかり不審人物扱いされてしまいますが、そうこうしているうちに次の夜も同じことが繰り返され……といったもので、『トワイライト・ゾーン(ミステリー・ゾーン)』の1話と言っても納得できるようなミステリアスな雰囲気のSFです。
メインのアイデアはバカバカしいと言ってしまえばそれまでですが、テーマ曲や胸キュン的ラストなど味わい深い部分も多々あり、個人的には結構好み。
当時NHKで放送されたアメリカのSFテレビ映画では、このサイトを始めた頃にエントリー済みの『不思議な村』と並んで好印象の作品となっています。
スタッフ&キャスト
主人公クレイ・ハワードにジェームズ・フランシスカス。同時期で言えば『続・猿の惑星』や『宇宙からの脱出』。
その妻マージョリーにリー・グラント。ちょっとキツめの感じがこの役にぴったり(汗)。同時期ですと『刑事コロンボ/死者の身代金』の犯人役や、やはり『宇宙からの脱出』が印象に残っています。当サイトでは『夜の大捜査線』でチェック済み。
共同経営者だった友人マット・ラッセルにスコット・マーロウ。マージョリーとはなにやらワケありそうです。
農夫フェス・ビーニー(実は×××ノエル)にアンドリュー・プライン。
美しい娘アニー・フレッチャー(実は×××ネイリル)にティシャ・スターリング。フィルモグラフィー見ると『八月の鯨』に出ているようですが、どの役だったかしらん??
ヘンショー保安官にレスリー・ニールセン。この役が裸の銃を持つ男だったことに今回初めて気づきました。”special guest star”扱いです。
監督テッド・ポスト。『続・猿の惑星』でジェームズ・フランシスカスと組んでいます。
製作エヴェレット・チェンバース、音楽ベルナルド・セガール(Bernardo Segall)。
原作ジェリー・ソウル(Jerry Sohl)。こちらも久々に聞く名前ですが、昔早川書房などで何冊か翻訳されていましたね(『半数染色体』『異次元への冒険』)。いかにもお手軽に楽しめるアメリカ製娯楽SFといったもので、このドラマも内容考えるとなるほどジェリー・ソウルか~という感じです。
“Night Slaves”はおそらく翻訳はされていないと思いますが、今でもKindleなどで読めるようです。
録画と録音
手元にあるのは、民放で再放送された時の録画と、オーディオカセットの録音。
オーディオの方は、『イタリア式バス旅行』同様、最初の放送で気に入って再放送時に録音したものだと思います。
幾度かの引越をくぐり抜け、このカセットは奇跡的に現存。「1974.2.17 NHK」とメモしてあります。
聞いてみたいところですが、再生装置がありません 😆
家庭用ビデオなどなかった時代、映画にはいくつかの再生方法がありました。
- 何度も劇場に足を運び覚える
- プログラムやチラシ、ノベライズ本で記憶を補完する
- サントラを買う(もちろん当時はアナログLP)
- テレビ放映を見逃さない
そして、究極のハイテク兵器がこれ。
- テレビ放送の際に録音する
なによりセリフや音楽が完璧に再現できるのですから、自分の中ではこれがベスト。面白がって好きな映画は何本も録音しました。
その後『イタリア式バス旅行』同様民放で再放送された時に録画できたわけですが、その時使ったのは1本数千円也のVHSテープ。
デッキは手前から出し入れするのではなく、上蓋ががっちゃんばこーんと持ち上がるタイプで、もちろん上に他のAV機器を積み上げることは出来ませんでした。
日米ともに今さらビデオ化もないでしょうし、これが貴重なテープとなりそうです。
見るには
……とか書いていたら、なんとYouなんとかに全編アップされていました。
もちろん日本では吹替えでしたが、こちらはオリジナルの英語音声。
1時間10分少々ですが、手元にあるのは1時間13分。比べてみるとYouTubeの方が実際少しカットされていました。
それはともかく、せっかく実物があるのですから、私の講釈より直接こちらをどうぞ。
印象的なテーマ曲は1分目ぐらいからと、あとラスト6分間でたっぷり。
冒頭の展開がめまぐるしく、字幕がないとわかりづらいかもしれませんので補足しますと……
クレイは友人と2人で事業を成功させましたが、達成感とともに虚しさも感じてきて事業を友人に完全に譲ってしまいます。自由になる時間をたっぷり手に入れ、さてこれからというところで交通事故に遭遇。ようやく退院した彼は静養も兼ねて妻とドライブ旅行に出かけますが、たまたま立ち寄った町で不思議な出来事を目撃する……そんな設定です。
ロケ地
IMDbでは
Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA
というスタジオ情報のみ。 エンドクレジットにも
filmed at WARNER BRO. STUDIO
とあります。
事故
冒頭の事故現場。
ロサンゼルス市内で見つけました。
主人公の車が下ってくる急な坂はこちらのVine St.
相手の車がやってくるのは、Yucca St.を東から西へ。
背景のビルは今でも健在。
町
舞台となる町は、ドラマの中では”ELDRID CALIFORNIA”という看板が立っていますが、もちろん架空の名前でしょう。 撮り方の雰囲気やテレビドラマという点からも、スタジオに付帯する使い回しのオープンセットかと思われます。
IMDbの情報通りワーナーのセットで撮影されたのだとしても、40年近く前のものがそのまま今も使われているはずもありませんが、参考までに現在形はこういった感じ。
今でもかなり近い雰囲気ですね。
広大なワーナースタジオで、このあたりは”Midwestern St”と名付けられています。
資料
更新履歴
- 2014/08/29 新規アップ
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