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『夜の大捜査線』 In the Heat of the Night (1967)

夜の大捜査線 [DVD]

作品メモ

もう一本寄り道。次からロミー・シュナイダーに戻る予定です。

何本か前のエントリー『失われた男』でとりあげたシドニー・ポワチエの代表作。
スターチャンネルで今月何度か放送されているのを鑑賞したので、ちょこっとエントリー。

原作はジョン・ポールの『夜の熱気の中で』。映画の原題も同じ。邦題より原題の方が味がありますね。別に大捜査線が張られるわけでもないですし。
南部の田舎町で起きた殺人事件を、たまたま立ち寄っていた殺人課の黒人刑事と地元の白人警察署長が反目しながらも解明するという社会派ミステリー。
アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、脚色賞、音響賞、編集賞で受賞。監督賞他でノミネート。
主演男優賞といっても受賞したのはロッド・スタイガー。
ガム263パックを噛みまくって(IMDbのトリビア)憎たらしいけど憎みきれない、人間味たっぷりのキャラクターを見事に演じました。
シドニー・ポワチエはこの作品ではノミネートされていませんが、『手錠のままの脱獄』(1958)で主演男優賞ノミネート、『野のユリ』(1963)で主演男優賞受賞、2002年に名誉賞受賞。

出演は他に、警官サム・ウッドにウォーレン・オーツ、被害者の妻コルバート夫人にリー・グラント。

製作ウォルター・ミリッシュ、監督ノーマン・ジュイソン、脚本スターリング・シリファント、撮影ハスケル・ウェクスラー。
音楽はクインシー・ジョーンズで、テーマ曲はもちろんレイ・チャールズ。
この名曲の”In the Heat of the Night ♪”ってところでタイトルがポンと出るかっこよさったらありゃしません。

ロケ地

IMDbでは、

Belleville, Illinois, USA
Chester, Illinois, USA
Dyersburg, Tennessee, USA (cotton fields)
Freeburg, Illinois, USA (opening railroad scene)
Illinois, USA
Raleigh Studios – 5300 Melrose Avenue, Hollywood, Los Angeles, California, USA (California Studios site) (studio)
Sparta, Illinois, USA (Sparta, Mississippi)

設定では冒頭の標識に”SPARTA, MISSISSIPPI” とあるようにミシシッピー州スパータという町。
実際にはIMDbのリストにあるイリノイ州スパータ(Sparta)Wが主な撮影地。
州は違えど町名を実在のものにしたのは、擬装の手間をはぶくためとか。

何度か登場する重要な場所。
これもイリノイ州スパータ(Sparta)Wの駅。
HD放送の映像をよ~く見ると、駅舎の駅名表示が”SPARTA”となっています。

マップではこちら。ホームは北向き。

鉄道は当時の Gulf, Mobile & Ohio RailroadW
現在駅舎はギャラリーとなっているようです。

Misselhorn Art Gallery
http://www.misselhorngallery.com/

同サイト内に映画に関する記述がありました。撮影風景の画像もあり貴重。
http://www.misselhorngallery.com/heatnight.shtml

最初の容疑者が渡って逃げようとしたところ。

イリノイ州チェスター(Chester)WChester BridgeW

スパータからは南南西へざっくり26kmほど。

容疑者が登ってきたところ=道路標識があったのは、橋の東側のここ。
道路標識は”ARKANSAS 49″となっていましたが、この道は51号線です。

川はミシシッピ川。

街角

パトカーがやってきて右折する街角。
よく見ると左側に”SPARTA”の看板文字。つまり駅と同じイリノイ州スパータです。

右折したパトカーはそのまま E Broadway St.を東に向かって走っていきます。

エンディコット邸

綿花畑の撮影はIMDbによれば、テネシー州DyersburgW

エンディコット邸は不明。
両者がひっぱたきあう有名な場面、リアルに叩いていて、テイクは2回でOKとなったとか。

ママ・カリバの店

とある仕事を請け負っている女性の雑貨店。
お店の建物はすでに無くなっているようです。

ラストシーン

列車の窓越しのアップから俯瞰に至るまで見事なワンカットでした。
俯瞰ショットは上記の駅を西側からとらえています(カメラ東向き)。
ホームの場面では列車は西から来て東に去っているはずですが(線路際に給水塔のある方角)、俯瞰ショットでは西に向かって走ってしまっています。

なお、IMDbのトリビアでは、撮影当時すでに旅客線が廃線になっていることが取り上げられ、

Therefore, filming of the operating train station scenes where Tibbs boards the train, as well as the long shot closing credits scenes, were completed at Alton, IL, about 75 miles north of Sparta.

と書かれてありますが、映像を見る限りSpartaの駅の西側に見えます。ホントはどうなんでしょうね??

資料

コメント

  1. Bill McCreary より:

    こんにちは。

    ちょうどアカデミー賞の日でしたので、なんてこともなく作品賞受賞でこの映画の記事と関連するサイトを確認していましたら、

    >エンディコット邸は不明。

    http://www.themoviedistrict.com/in-the-heat-of-the-night-1967/3/

    のサイトに、答えがありました。なお

    >The house used in the movie was destroyed by a tornado in 1997. A new house was built later.

    だそうで、それが事実なら米国の竜巻のすさまじさに驚きます。

    それにしてもイリノイ州での撮影が主でも、ほんと南部という雰囲気がありますよね。

    それから、「スタンド・バイ・ミー」の鉄道もすでに廃線だそうですが、米国の鉄道も、やはりいろいろ廃線になっていますよね。日本も北海道の鉄道は片端から廃線みたいですし、なかなか将来は厳しそうですね。ちょうど発売されたばかりの本の帯に

    >国鉄が国家の屋台骨だった時代

    とあって、うーん、今はそうじゃないよなあと思いますね。昔の日本映画でも、遠距離移動は原則夜行列車なわけで、夜行列車がほぼなくなった昨今のご時世を考えると、やや感慨深いものもあります。

    https://www.amazon.co.jp/dp/412102530X

  2. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    大邸宅を破壊するほどの竜巻だったのでしょうか。不謹慎ですが、『ツイスター』連想しますね……

    廃線と言えば、まだサイトに反映していませんが、先日深谷市へ行ってきて、『恋は緑の風の中』関連の写真をバチバチ撮ってきました。
    旧煉瓦工場も一部がかろうじて残っていましたが、工場から深谷駅まで伸びている貨物線路は、線路が撤去され歩行者兼自転車用の遊歩道となっていて、『スタンド・バイ・ミー』をチェックした際にマップで線路跡をたどった時のことを思い出したりしました。

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