『ポンヌフの恋人』Les amants du Pont-Neuf (1991)

作品メモ

ひとつ前のエントリー『カウチ・イン・ニューヨーク』のジュリエット・ビノシュの主演作。
『汚れた血』に続くレオス・カラックス監督作品で、パリの中心、セーヌ川に架かるポンヌフを舞台に男女の究極の愛を描きます。

撮影上の問題から橋とその周辺をパリから遠く離れた村に一大セットを組んで丸ごと再現、そこで思う存分撮影するという、物語に比べてちょっとばかり贅沢すぎるスタイルを貫いているのが特徴。
そのため、ふくれあがる予算に製作中断 → 製作者が交代 → 莫大なる金員をさらに注入 → やっぱり予算が足りず中断……というループが繰り返され、その間せっかく作ったセットが傷んでしまってその再建にもお金がかかり……と、進行自体が絶望的なディザスタームービーのような様相を呈していたことでも知られています。
……といいますか、幸か不幸かそれ以外に語られることがあまりない映画かも??

製作クリスチャン・フェシュネール……とこの方は最後に映画を完成させた人。途中何人もの製作者がバタバタと倒れ退場となっていました。
監督・脚本レオス・カラックス、撮影ジャン=イヴ・エスコフィエ。

修復中のポンヌフに住むホームレスの大道芸人アレックスにドニ・ラヴァン、目を病み心に傷を負った娘ミシェルにジュリエット・ビノシュ。

ロケ地

IMDbでは、

Bienvenue Montparnasse – 8 Rue de l’Arrivee, Paris 15, Paris, France
Boulevard de Sebastopol, Paris, France (Car hits Lavant)
Montpellier, Hérault, France
Nanterre Night Refuge, Paris, France (Lavant taken to Refuge)
Paris 1, Paris, France
Paris, France
Pont Neuf, Paris 1, Paris, France
Pont des Arts, Paris 1, Paris, France

例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

今回はDVD収録のメイキング映像がとても参考になりました。
題して「メイキング・オブ・『ポンヌフの恋人』 呪われた映画をめぐる証言」

OP

車載の一人称カメラが進んでいくのは、川縁からポンヌフのひとつとなりの橋(シャンジュ橋)の方へ登っていく坂道。
その後左折してセバストポール通りを進み、フラフラ歩いているアレックスとすれ違います。

※15/8/21追記
こちらはmilouさんご提供による画像で、以前『サムライ』のエントリーで使わせていただいたものです。

©1993 milou
アルバム「パリ」から

Théâtre de la VilleLeとその正面右角にあるブラスリーMistral。
撮影は93年9月とのことです。

収容施設

※15/8/23項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。

収容施設はナンテールの 403 Av.de la Republique にあるCHAPSA (CENTRE D’HEBERGEMENT ET D’ASSISTANCE AUX PERSONNES SANS ABRIS)

ポンヌフ

映画にも見られるように、当時改修工事中。

実際の橋の上では昼間のシーンを撮影する
そして簡略化されたセットの橋で夜のシーンを撮影する
(最初のプロデューサ、アラン・ダアン談)

メイキング映像に拠ると、ポンヌフでの撮影許可が下りたのは1988年7月28日から8月18日。

©1977 milou アルバム「パリ」から

こちらはmilouさんから以前提供していただいた画像です。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1977年7月とのことで、映画より昔の貴重な1枚。
このアングルは映画で何度か登場しますね。

となりのポンデザールも、中頃でミシェルが渡る場面でホンモノが登場していました。

橋のセット

やはり気になるのは、噂に聞く巨大なセットが組まれた場所。
DVDに収録のメイキング映像で、「ここランサルグ村が”小さなパリ”になった」とあります。

LansarguesW

南仏の村ですが、IMDbのリストの《Montpellier, Hérault, France》がこちらを指しているようです。

メイキング映像で登場する村の中心?はこちら。

村長さんが登場するショットもこの場所。
なのでこの村で間違いなさそう。

この村の周辺を探したところ、南の方にメイキングで登場した空撮場面と同じような建物を見つけました。
その西側が現在沼地となっていますが、中心に舗装されたような土塁が南北に走り、いかにも不自然。
周囲の地形とメイキングの空撮画像を照合すると、ぴったり一致しました。

 
 
 
大ざっぱですが、セットを書き入れてみました。

 
 
 

ホンモノと同じく、北側が右岸です。
右岸の大きな建物(サマリテーヌとその向かい)のセットは、橋桁から見たアングルで奥行きを出すためにパースを強くかけられていて、横から見るとまるで『インセプション』で設計士がねじ曲げたパリの街角みたいです。

ポンヌフそのものは、映像を見る限り当時も土塁のままで下を水が流れていたようには見えません。
土塁の東側は現在は水が見えませんが、撮影時点では本編に見られるようにたっぷり水をたたえていました。
両隣りの橋は、2つとも水の上に架かる橋のセットが作られています。
とくに西側のポンデザールは今でも橋脚の跡が残っていますね。

周囲の建物は(当たり前ですが)ほとんどが手前だけの平たいセット。
夜景に流れるクルマの灯りがきれいでしたが、これは並べた電球を点滅させて電飾で表現していたようです。

以上ご確認の上(汗)、実際の映像をどうぞ。

 
 

川縁でスケッチ

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
0:21頃ミシェルがアレックスをスケッチしていたのは、ポン・ヌフの下でシテ島の西端にあるSquare du Vert-GalantW
1:14頃アレックスが立っていたのもここ。

噴水前でスケッチ

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
0:30頃ミシェルがスケッチしていたのは、レアルのFontaine des InnocentsW

※15/8/21追記
milouさんから画像を提供していただきました。

©1994 milou
あルバム「パリ」から

撮影は1994年7月とのことです。

公園

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
0:30頃上掲噴水に続く公園はリュクサンブール。

メトロ駅

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。

0:41頃
12号線のPorte de la Chapelle 駅W

ダンスするネオンの店

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。

1:09頃赤と青の男女がダンスをする“Slow Club”のネオンがインサートされますが、130 Rue de Rivoli にあったジャズクラブとのことです。現在は若者向けの“130 Club”となっていますが、ネオンは同じ 。

カフェ

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。

1:11頃、最初に睡眠薬強盗(?)をするカフェはForum des Halls前のこちら。

Au Père Tranquille

カフェからの目線↓

ラスト

※15/8/20項目追加
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。

ラスト、タイタニックごっこ(笑)するのは、背景に見えるオルセー美術館の大時計のアングルなどからこのあたり。

夜の闇でほとんど見えませんが、この時くぐったのはソルフェリーノ橋(現レオポール・セダール・サンゴール橋)W。 Wikipediaに拠れば1992年に解体され、1997年に現在の形となっているとのこと(名前が変わったのは2006年)。

By Phillip Capper via Flickr (CC BY 2.0)

以前はこのように橋脚がはっきりあったようです。
現在のSVではこういったアングル↓

 

スキージャンプ・ペア オフィシャルDVD part.2 (通常版) このショット、『タイタニック』もそうですが、個人的には『スキージャンプ・ペア』を連想してしまいました。

ポンヌフ画像集

milouさんのアルバムからピックアップしてみました。

©2002 milou 
アルバム「パリ」から

左岸側。
このアングルは日中の場面で何度か登場。

©1977 milou 
アルバム「パリ」から

右岸側。
1977年7月撮影とのことで、貴重な一枚。
この建物がセットではきついパースがかけられていました。

©2002 milou 
アルバム「パリ」から

アンリ四世の銅像。
またがっちゃったりしました。

©2002 milou 
アルバム「パリ」から

資料

更新履歴

  • 2016/02/04 ロケ地マップにセット以外の場所も追加
  • 2015/08/21 「OP」「噴水前でスケッチ」にmilouさんの画像を追加
  • 2015/08/20 「川縁でスケッチ」「噴水前でスケッチ」「公園」「メトロ駅」「ダンスするネオンの店」「カフェ」「ラスト」「ポンヌフ画像集」項目追加
  • 2015/07/30 新規アップ

『ポンヌフの恋人』Les amants du Pont-Neuf (1991)” への3件のコメント

  1. この映画は題名どおりポン・ヌフ上のシーンがほとんどだが、それでもいくつか場所を確認できる場面がある。

    ☆21分頃ミシェルがアレックスのスケッチをする場所はポン・ヌフの下でシテ島の西端にある Square du Vert-Galant (74分頃にアレックスがここに立っている)。

    ☆同じく30分過ぎに噴水の前でスケッチするが、これはレアルの Fontaine des Innocents でアレックスが男たちと話すバックにRue des Innocents のアーケードが見えている。ちなみにこの広場はスケボーのメッカの1つ。

    ☆それに続く公園はリュクサンブールで左手に塔のようなものが見え下には車がたくさん駐車している。つまり公園を横切る道路で塔のようなものは Rue Auguste Comte とAv.de L’Observatoire 角の建物上部で『個人教授』でフォンタナが車を止めた場所でもある。

    ☆41分頃ドア越しに銃を撃ったあとミシェルがメトロを降りるとき駅名が Pte de la Ch* と見える。これは12号線の Pte. de la Chapelle 駅である。

    ☆46分頃銅像にまたがって銃を撃つのは言うまでもなくアンリ4世像。

    ☆69分頃からポルノショップの前(恐らくRue Saint-Denis)を歩くが赤と青の男女がダンスをする“Slow Club”のネオンが見える。これは50年代から有名なジャズクラブで130 Rue de Rivoli にあった。現在は若者向けの“130 Club” になっているがネオンは変わっていない。“Slow Club”は2004年に閉店したが2008年のSVでも店名が確認できる。ちなみに『5時から7時までのクレオ』で最初にタクシーに乗る直前に前を通る。ただ映画のように外から覗ける構造ではないようなので店内は別だろう。

    ☆71分頃、最初に睡眠薬強盗(?)をするカフェは入った事はないが前は何度も通った、というかForum des Halls から地上に出ると嫌でも目に入った有名店の1つ。現在再々開発中で最近の様子は知らないが店内から見える階段は2009年のSVでも確認できる。

    ☆ラスト近くル・アーヴル行きの船でタイタニックごっこ(??)をするとき後ろに見える大時計はもちろんオルセー美術館。ただ不思議なのはショットは連続しているのに見えるはずのソルフェリーノ橋がなく見えるのはコンコルド橋なのでソルフェリーノ橋をくぐるときに右にパンしたのだろうが角度がやや変。

    ☆さて最後に最初に戻って(?)オープニングの車は記載通り Voie Georges Pompidou の地下トンネルを Pont Neuf の手前で地上(?)に出て一般道路と合流する。そして正面に Le Mistral というブラスリーが見える。これは Théâtre de la Ville の正面右角にあり車がセバストポール通りに入ったことが分かる。

    ☆続く車に轢かれる場所やミシェルが歩く場所は(例によって手持ちの録画は不鮮明で)夜景だしセバストポール通りだと思われるが確実な場所は見つけられないのだが不可解なことがいくつかあり違う通りの可能性もある(特に護送車?)。
    まずミシェルが北から歩いてくる時、彼女の右手には車止めなのか四角い石柱(?)が並んでいる。そして横断舗道のゼブラが2本ある。道路をまたいで2本なら分かるがこのような形は極めて珍しいと思える。SVでセバストポール通りを歩くと四角い石は1つだが Rue de la Grands Truanderie との交差点で見つかり曲がると丸い石柱はたくさんある。これはほかの場所にもあるが何のためにあるのだろう?

    しかし少し南の Rue Rambuteau との交差点に現在は細い鉄柱だが四角い石だったものを撤去したらしい跡が4つ見える。ただし車道との距離が近すぎる。
    それから道路に点滅する丸い(?)ランプが複数見えるが、ロンドンでは横断舗道に設置されているがパリでは見たことがないし店のものとも思えず不可解。

  2. milouさん、毎度情報ありがとうございます。
    本文の方に追記させていただきました。
    ラストの橋ですが、画像調整すると背後に橋脚が通り過ぎるのを確認できました。この橋は近年建て替えられているのですね。

  3. ☆車に轢かれたあと連れて行かれる途中、6分過ぎにライトアップされた新凱旋門が向こうに見える。恐らくシャルル・ドゴール通りがトンネルを抜けてN13からA14に変わるあたりからの眺めだろう。
    そして7分あたりで Naterre Prefecture の標識の下を通過する。
    収容施設はナンテールの 403 Av.de la Republique にあるCHAPSA (CENTRE D’HEBERGEMENT ET D’ASSISTANCE AUX PERSONNES SANS ABRIS)で間違いないだろう。少なくとも門扉あたりは似ているし画像検索すると(どこでも似たようなものだろうが)シャワーブースのタイルなども同じに見える。

    ☆長い長いメトロの動く歩道と言えばシャトレーかモンパルナスを思い出すが車線(?)の数から見てモンパルナスだろう。続く構内も同一駅だとすれば12号線の終点 Pte.De La Chapelle に乗るのも矛盾しない(シャトレーは通らない)。
    ちなみに動く歩道はフランス語で回転絨毯(?)。空港の荷物が出てくる回転台やベルトコンベアも同じ。ついでに回転寿司をフランス語Wikiで見ると、単語としてはKaitenzushi のままだが説明文では présenter ses sushis sur un tapis roulant, afin que les clients s’y servent directement とやはりtapis rourant を使っている。

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