目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『レマゲン鉄橋』はヨーロッパでの戦いが終結間近の米独の攻防を描いていましたが、こちらは1年ほどさかのぼり、占領下フランスでの鉄道員たちの抵抗活動を描きます。
製作がほぼリアルタイムということで、序盤で伝えられるサボタージュの数々は非常に生々しくて写実的。まるでニュース映画かサボタージュのマニュアルを見ているかのようです。
その後はノルマンディー上陸作戦後の動きとなり、鉄道で前線に武器や物資を送り込もうとするドイツ側と、それを少しでも遅らせようとする鉄道員たちの闘いが繰り広げられます。
登場人物たちは皆実際のレジスタンス活動に関わった労働者とのこと。
監督・脚本ルネ・クレマンで、これが劇場用長編第1作。これで第1回カンヌ映画祭で最優秀監督賞とInternational Jury Prize(現Jury Prize = 審査員賞)を受賞。
撮影アンリ・アルカン、音楽イヴ・ボードリエ。
日本での初公開は1955年3月7日で、公開時のタイトル表記は『鉄路の斗い』。
ロケ地
IMDbでは、
Gare SNCF, Saint-Brieuc, Côtes-d’Armor, France (first scenes, train station)
Lannion, Côtes-d’Armor, France (telegraphist hideout)
Tregrom, Côtes-d’Armor, France (train derailing)
Sarthe, France
Château-du-Loir, Sarthe, France (train wreck)
Côtes-d’Armor, France
Brittany, France
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
似たような鉄路の連続で、今回はIMDbのリストがなかったらお手上げでした。
OPの駅
設定ではChalon-sur-Saône(シャロン=シュル=ソーヌ)駅W
ボーヌとマコンの中間。おそらく史実でも映画に描かれたように占領地区と自由地区との境にあったと思われます。
実際の撮影はIMDbのリストにあるこちら。サン=ブリューはブルターニュ地方。
Gare SNCF, Saint-Brieuc, Côtes-d’Armor, France (first scenes, train station)
Gare360ではこちらのホーム。
車両基地
数々のサボタージュと報復措置が行われるところ。
引き込み線が多数ある大きな車両基地に見えますが、場所不明。
レジスタンスの隠れ家
0:22頃
ロンドン(自由フランス)と通信するところ。
街の俯瞰がインサートされますが、IMDbのリストにあるこちら。
Lannion, Côtes-d’Armor, France (telegraphist hideout)
俯瞰はこちらの橋を北側から見たアングル。
映画では向こう側でカーブした線路が橋のたもとまで来ていますが、これが現在は駐車場に変わっている他は、ほとんど周囲の建物は今でも同じです。
SAINT-ANDRE駅
バイクを飛ばしてやってきて、破壊工作の準備をしたところ。
こちらのことかもしれませんが、おそらく撮影は別の場所。
他にもいくつか地名や駅名が登場しますが、リアルの世界での位置は最後に挙げたロケ地マップに参考としてピンを立てておきました。
逆走する機関車
0:48頃、女性があわてて踏切(?)を閉めますが、フランケンハイマー監督の『大列車作戦』(1964)にも同じような場面がありました。オマージュだったのかもしれませんね。
機関車を徴用した駅
ラスト近く、クルマで猛然とやってきたドイツ軍が、機関車を切り離して徴用するところ。
ここは下の画像によって、前掲の(通信室のある)ラニオン(Lannion)の駅であることがわかりました。
現在はモダンな形に建て替えられています。
こちらは1990年7月30日の画像。
映画に登場したのはこちらと思われます。
背景右手に写っていた塔も見えますね。
線路はその先左へカーブしていますが、現在はすぐに行き止まりとなっています。
カーブしていった昔の様子は、前述通信室からの俯瞰ショットで確認できます。
クルマがやってきた方角は、このストリートビューで再現できます。
その先斜めに踏切があったようですが、現在は見当たりません。
線路の向こう側の建物も映画と同じものを確認できます。
返しのカットで、ホームからのアングルでも背景にやはりこの建物を確認できます。
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2015/10/09 新規アップ
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