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『友よ静かに死ね』 Le gang (1977)

友よ静かに死ね [DVD]

作品メモ

2つ前のエントリー『フリック・ストーリー』同様、ジャック・ドレー監督とアラン・ドロンの組み合わせ。やはりロジェ・ボルニッシュ原作で、 アラン・ドロンが製作も兼ねているという、同じ布陣です。

内容も第二次大戦後間もない頃のギャングものですが、冒頭のテロップは、

事実との類似は偶然ではなく、実在の人物も登場する

と実録、フィクションどちらにもとれる微妙な表現となっています(日本語字幕はWOWOWシネマ放送時のもの。以下同様)。

アラン・ドロン演じるロベール・リュルサは、通称”いかれ野郎” Le Dingue 。
その犯行スタイルやラストなどから、この↓人物がモデルと思われます。

Pierre Loutrel(ピエール・ルートレル)W

通称ピエロ・ル・フ(Pierrot le fou 気狂いピエロ)で、おそらくはゴダール監督の超有名タイトル(しかし地上波ではその名を唱えてはならない……)の元ネタ。

仲間は、冒頭勢揃いの場面でテロップとともに紹介されます(字幕はWOWOW放送時のもの。カッコ内は私が追加)。

  • ジョー /Xavier Depraz(ザビエル・デプラス)
  • “機械屋” レイモン /Roland Bertin(ローラン・ベルタン)
  • “めかし屋” マニュ /Adalberto Maria Merli(アダルベルト・マリア・メルリ)
  • “マンモス” Le Mammouth リュシアン / Maurice Barrier(モーリス・バリエ)

一味は字幕では「シトロエン・ギャング」。実際にはこちら↓

Gang des Tractions AvantW

Tractions Avantはこちら↓のこと

Citroën Traction AvantW

似たようなクルマがあれこれ登場しますが、ちょっとずつ違うようでして、詳細は例によって驚異のサイトIMCDbをご覧ください。

ネタばれとなってしまうかもしれませんが、この映画、コテコテのギャングもので弾丸がバンバン飛び交っているのに、弾は一切当たらず、死人も出ません。

唯一の例外が……

ネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。
……ドロン演じるロベールで、冒頭からいきなりそのことが示されます。
とはいえ、ヒロインが目覚めたときには仲間によって埋葬されていたので(「友よ静かに死ね」という邦題は、こういう意味? 🙄 )、人が死ぬ直接の描写は一切ないことになります。徹底してますよね。

おそらく作り手の狙いとしては、『ボルサリーノ』(70)のような劇画の世界とも、『フリック・ストーリー』のような実録ものとも違うギャング像を描いてみたかった、ということで、殺伐&血なまぐさい描写を控えめにして敷居を下げ、観客が主人公たちに少しでも共感できるようにしてみせたのかもしれません。
アラン・ドロンも珍しいヘアスタイルで登場、軽妙な演技を見せる一方でギャングの悲哀も織り交ぜ、映画をきっちり支えています。

出演は上記の他に、アジトの亭主コルネリウス(Cornélius)にレイモン・ビュシェール(Raymond Bussières)。
ロベールの恋人マリネットにニコール・カルファン(Nicole Calfan)。
少年時代のロベールを感化院からひきとって育てたフェリシアにラウラ・ベッティ(Laura Betti)。

監督ジャック・ドレー、製作アラン・ドロン、撮影シルヴァーノ・イッポリティ、音楽カルロ・ルスティケリ。

音楽と言えば、洗礼式でみんなで歌う歌が気になりますが、不明。
(下の予告編の2分17秒頃。本編では1時間過ぎ)

 
 
 

ロケ地

IMDbには記載がありません。
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

以下気になるポイントだけ、ざっくりと。

アジト

看板は« La Belle Oseille »で、字幕では「スカンポ亭」。
場所は資料がないと難しそう。

十字架が立つ十字路

ソワソンへ向かう途中通過したところ。

D94
SACONIN 3.4
SOISSONS 11

という標識を頼りに探したところ、実在しました。

ソワソンからの帰りに工場の会計係を降ろしたのもここ。

ソワソン

ソワソン(Soissons)W

「ソワソン貯蓄銀行」として登場したのは、こちら↓

その後、石の門のようなところを通過しますが、こちら↓ (カメラ西向き)

さらに、工場を経由した後もう一軒銀行を襲いますが、こちら↓

フェリシアのティトゥンヌ荘

これはもうまったく不明。

北駅

ホンモノの駅での撮影で、見応えありました。

最初に一味がやってくるホームは、設定通り北駅。

こちらは以前milouさんから提供していただいた画像です。

犯行の後、一味が駅の外の階段を上ってきますが、隣の東駅へワープしています。

こちらもmilouさんご提供による画像で、まさにこの階段。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1986年7月とのことです。

階段を上った一味は、このあたり↓に停めてあったクルマに乗り込みます。

一方ロベールは駅員室の窓から屋根部分へ脱出しますが、これは東駅のこのあたり↓

おそらく端(西側)から2つめぐらいのホームの上を先に向かって走って行きます。

次に鉄階段を駆け上がり、タラップ移動後、大きなカマボコ部分をさらに上っていきますが、場所はやはり東駅ホーム根元のコンコース部分の屋根で、鉄階段やタラップはこの↓部分。

その前に先端へ走って行ったのは、なかったことになってますね……

その後コンコースの天井部分に入り込みますが、ドロン本人が演じていて、迫力を感じます。

さらに外階段を降りていき、もう一度構内へ戻りますが、そこは北駅(笑)

一番端のホームを進んでいきます。

駅を出て

※17/1/25項目追加

コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。

駅を出て階段を上る場面は、こちら↓

この通りは映画で« SORTIE Rue des Gardes»と示されていたガルド通り。
映画で見えていた背景左側の門や、道路の曲がり具合が今でも同じです。
階段は今ではなくなっていて、その先は(おそらく削られて)公園になっています。
映画では階段を上ったあと、やや左カーブを描く坂を下っていきますが、今でも公園中央に同じような道を確認できます。

坂を下った後、女性が立っている角を右折しますが、現在ではちょうどこちら↓

公園内の下り坂もこちら側からだとはっきり見えますね。

身を隠した女性の家はその先ですが、建物はなくなり公園となっています。

この公園については↓

Square LéonW

建物は70年代~80年代に解体されたとありますので、もしかすると映画の頃にはすでに再開発エリアとなっていて、それで撮影に使えたのかもしれませんね。

Google Earthの時間スライダーで1949年6月にさかのぼって見ると、公園ができる前の状態を俯瞰することができます。
また、最後に掲載したロケ地マップで、逃走経路と階段を示しておきました。

その後連れてこられた警察署は、女性の家のすぐ先のこちら↓

銀行・宝石店

セリフではヌイイと言っていますが、撮影場所は不明。

※17/1/24追記
コメント欄でmilouさんから情報を寄せていただきました。
横一列で引き上げてくるときの通路(=上掲予告編のタイトルバック)はこちら↓

ギャルリ・ヴィヴィエンヌ(Galerie Vivienne)W

ロケ地マップ

 

資料

更新履歴

  • 2017/01/25 「駅を出て」項目追加
  • 2017/01/22 新規アップ

コメント

  1. milou より:

    本編チェックは今日明日とできないが 予告編タイトルバックのパサージュは画像検索すればすぐ分かる。恐らくパサージュで一番有名だと思われる Galerie Vivienne ですね

  2. 居ながらシネマ より:

    milouさん、それで正解でした。後で追記しておきます。ありがとうございます♪
    出口は別の場所だと思いますが、粘ればわかるかもしれません。わかったところでどうなるわけでもありませんが、もはや悲しい性です。

    この記事を書いた後で久々に『ピエロ・ル・フ』見ましたが、鑑賞開始と同時にロケ地チェックを始めてしまい、睡眠時間をごっそり削ってしまいました。次にアップする予定ですので、またよろしくお願いします。

  3. milou より:

    北(東)駅での逃走劇の最後、駅構内にしては違和感はあるが地下に降りて駅員らしき男に出口を聞く。300メートル先のはずだが、なぜか数メートルぐらいの場所を右に行く(それが300メートルなら納得)が、赤い字で Sortie Rue des Gardes と出口表示がある。そして警察の手入れ(?)で逃げる移民たちのバックには教会が見える。Rue des Gardes 近辺を探したところ(SVではぴったりにはならないが) Église Saint-Bernard de la Chapelle を13 Rue Saint-Luc ぐらいから南東方面を見る構図だった。そのあとの警察署も Rue Saint-Luc の 現 Espoir Goutte d’Or のある場所で偶然か映画と同じように左手にバリケードがあり入れないが警察左隣の建物右端の円柱のような壁(柱?)が今も確認できる

    ちなみに北駅構内で見える大きな丸い時計は現3,4番の間(南)に今もあります。

  4. 居ながらシネマ より:

    milouさん、情報ばっちりです。本文に追記させていただきました。
    駅を出てからの足どりがいまいちつかめず放っておいたのですが、これで完全に解明できました。おかげさまでスッキリしました♪ ありがとうございます。

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