『青春の蹉跌』 (1974)

映画チラシ(邦画) 「青春の蹉跌」 千代田劇場スタンプ印/萩原健一/桃井かおり/神代辰巳

エンヤ~トット エンヤ~トット

作品メモ

ひとつ前のエントリー『雨のアムステルダム』に続けて、先頃亡くなった萩原健一さんを偲ぶ映画をもう一本。

日活ロマンポルノで名を馳せた神代辰巳監督の一般映画初監督作品。
監督特有のくねくねしたとらえどころのない演出と、ショーケン、桃井かおりさんという個性的な俳優のマッチングがとても良く、実に魅力的な映画になっていたと思います。
おそらく世評もよろしくて、名画座で見たときはいつも人が入っていました。

お話自体は、司法試験に現役合格するような優秀な頭脳の割には、犯行そのものがとてもずさんに感じられてツッコミたくなりますが、そのあたりも狙いのうちなのでしょうね。
ほぼ原作通りのストーリー展開ですが、ラストは映画独自に一ひねりという感じ。印象的な音楽の入れ方と合わせて、うまい締めくくりでした。

総じて名作と言って良い出来映えと思うのですが、意外や意外いまだDVD化されていないというのが、とても不思議です。

それにしても、このあたりの時代は今の若い人たちにはどう映るのでしょうね。
もしかすると解説が必要かもしれませんが、時代としてはいわゆる学生運動のピークは過ぎた頃のお話。
とはいえまだ一部大学ではその残り火のようなものがくすぶり、自分も現実に内ゲバで死人が出たことのあるキャンパスに通っていましたので、この映画のいくつかの描写には、ヒリヒリするものがありました。
一度誰かと勘違いされたのか、ゲバ棒持った連中に取り囲まれて詰め寄られビビったことがありましたが、あの時の連中もその後何事もなかったかのようにしれっと家庭を持ち、歳を取っていったのでしょうか。
あるいは劇中の森本レオさんのように事あるごとに酔っては空虚な革命理論をくだまいているのでしょうか。

キャスト、スタッフ

司法試験合格を目指す学生江藤賢一郎に萩原健一さん。『雨のアムステルダム』が『傷だらけの天使』の直後だとしたら、『青春の蹉跌』は『太陽にほえろ』の直後ぐらいでしょうか? 今回資料とか全然見ていないので、正確なところはわかりませんが。
家庭教師として教えていて関係を持ってしまった大橋登美子に桃井かおりさん。
学友三宅浩一に河原崎建三さん。
そのお相手のジャズシンガー北条今日子に赤座美代子さん。
賢一郎の母悦子に荒木道子さん。
親子で経済的に世話になっている実業家の伯父田中栄介に高橋昌也さん。
その娘田中康子に檀ふみさん。
司法試験浪人中の先輩小野精二郎に森本レオさん。

原作はもちろん石川達三さんですが、「蹉跌」と言う言葉はこの原作で初めて知りました。でも覚えたところで、この小説があまりにも有名で、他に使いどころがない単語ですね 🙂
青春の蹉跌 (新潮文庫)

脚本長谷川和彦さん、撮影姫田真佐久さん。

音楽はやはり井上尭之さん。最初の劇場用映画音楽ですが、特にテーマ曲は名曲と言って良いかと。

 
 

こちら↓は井上さん自身による演奏。

 
 
 

ソフト状況

※19/4/15項目追加
現在DVD、Blu-ray化はされていないようです。
以下、日本映画専門チャンネルでの放映(2014年2月)をもとにチェックしています。

ロケ地

例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

グラウンド

OPの他、ラスト下川辰平さん演じる長さん……ならぬ刑事がやってくる場面でも登場。
<青春の蹉跌>のタイトルが出る時に、背後に特徴的な建物が写ります(向かって右側が幅広い切妻屋根)。
さらによく見ると、建物の右側におそらく他のグラウンドの照明も見えます。

まわりは自然豊か……というわけで、直感的に最初は中央大学の八王子キャンパスを連想しましたが、映画の頃はまだ出来ていませんでした……orz

仕方なく、東京近郊の大学の運動施設を1970年代の空撮画像から探しました。
おそらくこちら↓ 

東京都府中市にある明治大学の施設。
MARCHや六大学で見つからなかったら切り上げようと思っていたので、ラッキーでした。

Google Earthの時間スライダーでも、2002年までさかのぼれば、映画に近い雰囲気を確認出来ます。
グラウンドは今では野球場になり、タイトルバックに写っていた建物も2000年台半ばに姿を消しています。

キャンパスの建物

タイトルの後(0:06頃)賢一郎がユニフォーム姿で戻ってくるのは、おそらく上述の建物。

0:13頃、森本レオさんと話しながら歩くところは、最初は上記空撮画像の南東側に見える建物かと思いましたが、よく見ると違うようです。
これはもう資料がないと無理そうなので、ギブアップ。

歩道橋

0:11
登美子と待ち合わせた歩道橋は、上野駅前。
今ではだいぶ形が変っています。

列車

0:12
雪山を背景に、左手へ走る列車。
信越本線(当時)でしょうか。

場所は山の形から粘ればわかるかも。

バス

Kawanakajima Bus(川中島バスW)とありますが、さすがに場所不明。

ゲレンデ

不明

0:15
荒木道子さん演じる母親と待ち合わせていたところ。
小田急線の成城学園前。
檀ふみさんは、成城のお嬢様ということになります。

吊り橋

0:21 1:15
背景に滝が見える吊り橋。
不明ですが、気になるので項目だけ作っておきます。

歩行者天国

0:29
新宿駅東口、新宿通り。
現在で言えば、伊勢丹の左側のSMBCとビックロの間の交差点あたり。

今見ても大胆な撮影です。
ここでラリって通行人にからんでいた女は、芹明香さん。
このあたりの女優さんのお顔やお名前を見ると、懐かしさやら何やらで、キュンキュンとなります。

デモ

0:24
メーデーのものと思われます。 これこそ今や解説が必要かもしれませんが、<田中内閣を打倒し、>の横断幕の前で演説しているのは、当時の社会党委員長成田知巳氏。

デモ行進は表参道。

望遠レンズでかなり圧縮されていますが、手前に写っている歩道橋は、現在ラルフローレン表参道の前にあるもの。

噴水

0:45
桃井かおりさんがじゃぶじゃぶ入っていったところ。
周囲になぜか人々が大勢並んでいます。

暗くてあたりがよく見えませんが、おそらく新宿区歌舞伎町のコマ劇場前の噴水。

当然ながら今では70年代の景色とは一変。
真っ先に噴水がなくなり、次に東側のコマ劇場が解体(現・新宿東宝ビル)、最後に西側のミラノ座がなくなったという順番だったかと思います。

ホーム

0:46
撤退する森本レオさん一家を見送るところ。
新宿駅2番ホーム。

森本レオさん、河原崎建三さん、みんな若いです。

ヨット

0:52
ヨットの場面はなんとなく『太陽がいっぱい』を連想します。
でもショーケンのキャラはリプリーとはまた別で、やはりあの時代あの世代の若者を絶妙に体現していたものなのでしょうね。

檀ふみさんは見事な飛び込みを披露しますが、高校時代に水泳部だったのでお茶の子さいさいであったかと思われます。

電話ボックス

1:03
陸橋を歩いてきて、電話ボックスに入る場面。
おそらく鶯谷駅南口そばのこちら↓の陸橋。

ここに電話ボックスがあったかどうかまでは覚えていません。

内祝言会場

1:19
窓の外の景色から、粘ればわかるかも。

自転車

自転車押す場面は『ペパーミントキャンディ』を連想しますね。
さすがに映画のカットだけでは、場所不明。

資料

更新履歴

  • 2019/04/15 「ソフト状況」項目追加
  • 2019/04/13 新規アップ

『青春の蹉跌』 (1974)” への2件のコメント

  1. この映画も未見ですのでコメントはできませんが、「モスクワわが愛」とのカップリングなのが「え!」ですよね。ちょっと無理がないか。

    萩原が亡くなった直後の某ネットオークションでVHSが30000円の価格がついていましたが(その時点では入札者はいませんでした)、私も相当馬鹿ですが、これにはさすがに、BS、CS、ソフト化、名画座、国立フィルムアーカイブスなどでの上映を期待してしまいました。なお落札額は確認していませんが、落札された模様です。

    今回も、あるいは何らかの情報が当時の映画雑誌やパンフレットなどからわかるかもですので、ちょっと調べてみます。あるいはまたお知らせできることがあるかもしれません。

    それにしても、

    >一度誰かと勘違いされたのか、ゲバ棒持った連中に取り囲まれて詰め寄られビビったことがありました

    とは、ずいぶん危険な経験をされましたね。私はさすがに、そういう世代とは違いますが、内ゲバの犠牲者も、人違いのケースも多かったようですから、居ながら様に難がなかったのはなによりです。

  2. Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。

    30000円はひどいですね。
    『雨のアムステルダム』もそうでしたが、手持ちはVHSではなく日本映画専門チャンネルの録画でした(数年前の放送でしたでしょうか。後で記事の方にも追記しておきます)。なのでいつかまた放送されることもあるかもしれませんが、それより『恋は緑の風の中』みたいにソフト化が一番ですよね。

    ビビった件は、まあ当時の自分の見た目があまりに「それ」っぽすぎて誤解されたのかもしれませんが。
    ルックスはともかく雰囲気はこの映画の河原崎建三さんみたいな感じでして……(謎汗)

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