目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『肉弾』に続けて、岡本喜八監督作品。
こちらはテレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」で放送された単発のテレビ映画(テレフィーチャー)です。
主演は『肉弾』で寺田農さんをしごいていた田中邦衛さん。岡本監督作の常連ですね。
原作は赤川次郎さんのデビュー作。
それを(おそらく)低予算を逆手に撮った独特の演出で映像化。
よく見りゃ犯人は最初からバレバレですし、犯人捜しのミステリーというよりは個性派俳優たちのコクをたっぷり味わう作品かもしれません。
この作品と『肉弾』をより合わせると、『近頃なぜかチャールストン』あたりにつながっていくような気がしますが、どうでしょう??
最初に放送された時、監督目当てでテレビのスイッチを入れましたが、予想以上の出来映えと浅茅陽子さんの思わぬサービスカットに悶絶。
幸い2度目か3度目の再放送で録画することができ、VHSテープはいろんな意味で宝物となりました。
今手元にあるのは、2009年から2010年にかけて日本映画専門チャンネルで組まれた岡本喜八監督特集で放送されたHD版。
一回しか録画していないので、これが失われたり再生できなくなったらどうしようかと不安でなりません。
以前DVDが出ていたようですが、Amazon見たらとんでもないプレミアム価格。誰が買うかい、です。
土曜ワイド劇場
土曜ワイド劇場Wは1977年スタート。
毎週単発のドラマを放送するという、当時としては大胆な試みでした。
いわゆる2時間ドラマのはしりとなりますが、当時の放送時間は1時間半。CM除いて正味1時間10分少々で、たっぷり物語を語るにはやや短いですが、そのへんは作り手の腕の見せ所かと思います。
輝ける第1作は渥美清さん主演の『田舎刑事 時間よとまれ』(1977年7月2日放送)。
その時一度見たきりですが、時効を巡るとあるアイデアは、今でもはっきり覚えています。
岡本喜八さんは、説教強盗を描いた軽妙な作品『昭和怪盗傳』で初登板(1977年11月19日放送)。
『幽霊列車』は2本目で、1978年1月14日の放送でした。
好評だったのか、演出は岡本監督ではありませんが、同じキャストでシリーズ化されています。
土曜ワイド劇場はいつしかほとんど見なくなりましたが、この幽霊シリーズだけは途中でヒロインが替わった後も最後まで見続けた記憶があります。
お話
ひなびた温泉宿を利用していた7人の湯治客が、帰りの列車から失踪する事件が発生。
7人は確かに朝一番の列車に乗ったのですが、次の駅に着いてみると荷物は残して姿が消えてしまっていたのです。
神かくしでは?と話題騒然となったこの幽霊列車事件に立ち向かうのは、警視庁の刑事と女子大生のコンビ。果たして真相は如何に??…
……といった軽いタッチのミステリーです。
キャスト&スタッフ
好きな岡本喜八監督作の中でもお気に入りの一本ということで、できるだけ細かくメモってみました。
役名はテロップの他資料サイトを参考にしていますが、職業はセリフやドラマの中でどう描かれているかを判断材料にしています。
警視庁の刑事宇野喬一に田中邦衛さん。
ミステリー好きの女子大生永井夕子に浅茅陽子さん。
2人を案内する地元の少年けんきち(漢字不明)に松田洋治さん。これは気づきませんでした。
鉄道関係者は……
7人が乗った岩湯谷駅の駅長大谷徹三に信欣三さん。
車掌森信雄に福崎和宏さん。
乗客がいないことに気づいた隣の大湯谷駅駅長田口良介に成瀬昌彦さん。
村人は……
7人が泊まった温泉宿ゆけむり荘の主人児島公平に桑山正一さん。
喬一の上司と旧知の仲で、捜査を依頼した村の駐在に今福将雄さん。
宿で働く美和に大井小町さん。
特に仲の良い村の句会のメンバーは……
駅前の店の主人に殿山泰治さん。
村会議長に小川真司さん。児島家の分家(弟)でこがね荘(漢字不明)の主人という設定。
村長に内田朝雄さん。
元小学校校長に天本英世さん。
消防団長(衣装から推測)に山本麟一さん。
酒屋の主人に曽我廼家一二三さん。
同じく床屋に長谷川弘さん。
他に、喬一の上司に小沢栄太郎さん。出番は最初だけ。ホントに特別出演ですね。
脚本長野洋・岡本喜八、撮影木村大作、音楽渡辺岳夫。
▼21/4/5 追記
田中邦衛さんが亡くなられてしまいました。
自分にとっては、青大将よりも黒板五郎よりも、『幽霊列車』シリーズの宇野警部でした。楽しませていただきありがとうございました。どうぞ安らかに。
ロケ地
最後に「協力 埼玉県荒川村」とクレジットが出ます。
見ていても秩父鉄道沿線ということはすぐにわかりますね。
岩湯谷駅
消えた7人が乗った駅。
近くに7人が泊まった温泉宿があるという設定です。
撮影場所ですが、駅名はもちろん架空のもの。
列車の脇に「CTK」とあり、秩父鉄道とわかります。
駅前の店の看板が写っていたので、その名を手掛かりに検索するとあっけなく見つかりました。
- Google Maps(SV)
- Bing Maps
- WikiMapia
- 地理院地図 GSI Maps(1974-78)
- 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス CCB7614-C2C-8(1976/09/19)
- 同・画像直リンク
- 35.958803,138.993211
殿山泰治さんのお店(上掲画像向って左側)は建物が大分傷んでいますが、現在何か営業しているかどうかは不明。
ゆけむり荘
7人が泊まっていた温泉宿。
残念ながらすでに閉鎖、廃墟と化し、そのあたりが好きな方たちの恰好のターゲットとなっていました。
撮影地周辺を調べればすぐにわかるかと思いますが、名称やマップは略すことにします。
現場はもちろん私有地、かつ非常に危険な状態と思われますから、立ち入らないようにしましょう。
翌朝の駅のホーム
発車の様子を見たいという喬一に駅長が付き添うところ。
駅前は上述白久駅ですが、線路の方はリアルよりずっと本数が多いので、別の場所とわかります。
ここはおそらく隣の(リアルでの終点)こちら。
- Google Maps(SV) ……喬一と駅長がいたあたり
- WikiMapia ……同上
- WikiMapia ……夕子がトロッコに乗っていたあたり
- 地理院地図 GSI Maps(1974-78)
- 35.960084,138.977818
この駅の構内が車両公園となっていて、秩父鉄道の車両がいろいろ展示されているようです。
こちらは『幽霊列車』に登場したものと同じようなデザインですね。
採石工場跡
喬一が駅長の案内で進んでいった線路の先。リアルでの終点三峰口駅の先でしょうか。
かつて採石工場があったという設定ですが、ホントに引き込み線のある何かの工場跡に見えます。
Wikipediaによると、
かつては、駅の奥に日窒鉱業のホッパー設備があった。
こちら↓で見られる昔の空撮でも、線路が今より延びていることが確認できます。このあたりではないでしょうか?
- 地理院地図 GSI Maps(1974-78)
- 35.959606,138.974256
後ほど車掌が喬一をトロッコで襲う場面でも登場。
こちらの方が位置関係がわかりやすいかもしれません。
当然関係者以外立ち入り禁止のはずですから、こうやってマップで見るだけにとどめませう。
札所
石仏が並ぶ札所。
調査中
村役場
0:23
雰囲気ある建物ですが、調査中。
鉄橋
赤い鉄橋。
緑色の歩行者用の陸橋が少し下がった位置で併走しています。
こちらの橋でしょうか?
- Google Maps
- Google Maps(SV)
- Wikimapia
- 地理院地図 GSI Maps(1974-78)
- 35.963896,139.057147
駅としては、終点三峰口駅から4つ目の浦山口駅W近く。
線路
その後3人で線路を歩く場面はこのあたり(絶対にマネしてはいけません)。
- Google Maps(SV)
- WikiMapia
- 地理院地図・電子国土Web(1974-78)
- 35.954873,139.011506
立ち止まって夕子が喬一の肩に手をのせるショットの背景に、上のSVのカメラ位置である踏切が見えます。
ガード下
何度か登場する鉄道橋の下。
おそらくこちら。
現在は「ゆのいりはし(湯ノ入橋)」という道路橋が架かっていますが、資料によると架橋が1987年とのこと。
それまでは劇中のように山腹に沿ってUの字に蛇行していたと思われます。
- Google Maps(SV)
- WikiMapia
- 地理院地図・電子国土Web(1974-78)
- 35.956992,139.003492
こがね荘
0:41
俳句の会のメンバーが集まっていたところ。文字表記不明。場所調査中。
夕子が去った山道
ラスト、夕子が去って行った山道。
このあたりでしょうか。
- Google Maps(SV)
- 35.945255,138.995612
大湯谷駅
項目順が逆になりましたが、7人が消えていたのが明らかになった隣の駅。
OPでニュース映像的にあわただしく登場する他、喬一たちが乗った列車の途中駅で、乗客があらかた降りてしまう駅としても登場します。
ちょっとトリッキーなのですが、ホームは上述白久駅のもの。
つまりリアルの世界の白久駅は、駅舎と駅前が劇中の岩湯谷駅、ホームが大湯谷駅として登場し、三峰口駅のホームと線路が劇中の岩湯谷駅として登場したことになります。
ロケ地マップ
岡本喜八監督作
資料
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更新履歴
- 2022/06/17 各マップ情報更新
- 2021/04/05 「キャスト&スタッフ」追記 各マップデータ更新
- 2014/11/24 新規アップ
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