「くの字」のビルの前で「く~~」
作品メモ
ひとつ前のエントリー『軌道からの帰還』同様、1989年に東京の池袋文芸座で開かれた「ソビエトSF映画祭」で上映された1本。
コミカルで寓話的なSF映画はあまたあれど、ハリウッド製や日本製とはひと味もふた味も違うテイストはかなりのインパクト。アホらしくもどこかもの悲しく、記憶にいつまでも残ってしまう珍品となっております。
難点があるとすれば2時間以上という長さですが、それもまたソ連映画のリズムと言ってしまえばそれまででしょうか。
秘められた寓意を一生懸命読み取ろうなどと無理をせず、単純に奇妙きてれつな世界にどっぷり浸かりながらオフビートぶりを楽しんでしまうのが吉な映画かもしれません。
『軌道からの帰還』と違ってDVDにもなりましたしレンタルもされているので、容易に鑑賞できるのがうれしいところ。
また何度か書いていますが、モスフィルムとレンフィルムはYouTubeでオフィシャルチャンネルがあり、この映画も(信じがたいことに)モスフィルムの製作でして、そちらで鑑賞可能(日本語字幕はありません)。
その他主だった作品については、『戦争と平和』のエントリー内にまとめていますのでよろしかったらご利用ください。
モスクワの街角から突然ワープしてしまった中年男ウラジミール・マシコフ(Владимир Машков)にスタニスラフ・リュブシン(Станислав Любшин)。
彼と旅をともにする若者ゲデバン(Гедеван)にレヴァン・ガブリアジェ(Леван Габриадзе)。
不思議な飛行体で移動する異星人コンビ、丸々っとした方のウェフ(Уэф)に エフゲニー・レオーノフ(Евгений Леонов)。
もうひとりビー(Би)にユーリー・ヤコヴレフЮрий Яковлев)。
監督・脚本ゲオルギー・ダネリヤ(Георгий Данелия) 、脚本レヴァス・ガブリアゼ(Резо Габриадзе)、撮影パーヴェル・レーベシェフ(Павел Лебешев)、音楽 ギア・カンチェリ(Гия Канчели)。
リバイバル上映
※16/6/10追記
8月20日(土)~新宿シネマカリテにてレイトショー(デジタル・リマスター版)。
http://www.kin-dza-dza-kuu.com/
ロケ地
IMDbには記載がありません。、
タイトルバック
西部劇に出てきそうな荒野。
調査中。
街頭
ウラジミールがゲデヴァンに話しかけられた街角。
ラストにも登場しますが、そこで周囲が写るため場所が判明しました。
ウラジミールが入ろうとしていたのはモスクワのアルバート通り(Новый Арбат)Wにあるこちらの建物の東側入口。
アブない感じの男が立っていたショーウィンドウ(→ https://pastvu.com/p/97034)は、こちら↓の右脇に写っている建物の角。
- https://pastvu.com/p/49223 ……1993
- https://pastvu.com/p/49224 ……1993
現在のマップではこちら↓
ここから西へ500mほど進むと、『モスクワは涙を信じない』でヒロインが彼氏を車に乗せた場所。
さらに進んで橋を渡ると『ロシア・ハウス』のホテル・ウクライナ。
上のSVでぐるりと後ろを振り返ると、男に声をかけた2人の背景にある大きな建物を見ることができます。
ラスト
場所は冒頭と同じ。 互いに「く~~」を決めたショットで、ゲデヴァンの背景に「く」の字のビルが並んでいますが、これのおかげで場所がわかりました。
こちらのショットの背景は、間にはさまった建物から判断して、2番目と3番目のビルと思われます。
SVで再現するとこんな感じ。
このあたりの画像です。
- https://pastvu.com/p/110414 ……1965 建設中の模様
- https://pastvu.com/p/13752 ……1981
- https://pastvu.com/p/73467 ……1987 ク~~を決めてる子供? 🙂
最後にカメラがティルトアップしますが、ウラジミールが入ろうとした建物で、壁面の建材のパターンが今でも確認できます。
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2016/06/10 「リバイバル上映」追加
- 2015/11/03 「ロケ地マップ」追加
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