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『ウエスタン』 C’era una volta il West (1967)

ウエスタン [Blu-ray]

作品メモ

『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン(65)』『続・夕陽のガンマン(66)』と見てきましたので、続けてセルジオ・レオーネ監督の残り3本をチェック。
すでに達成感があるので、あとは気になったところだけ見ていくことにします。

ヒット作を連打してマカロニ・ウエスタンの雄となった同監督が、アメリカの資本を受け、ヘンリー・フォンダ、チャールズ・ブロンソン、クラウディア・カルディナーレ、ジェイソン・ロバーズといったスターを配して描く大作。

英題は”Once Upon a Time in the West”。

『続・夕陽のガンマン』同様3時間近い長尺ものですが、ヘンリー・フォンダが悪役というのと、トゥコのようなキャラがいないというところで、やや重苦しい内容となっているでしょうか。
その代わり?クラウディア・カルディナーレが登場してぱっと華やぐのが前作にはなかったところ。
ちょうど50年前の映画ですが、美しさはこれからもずっとフィルムに……じゃないデジタル化されたデータに残されていくことでしょう。

原案にセルジオ・レオーネの他ダリオ・アルジェントやベルナルド・ベルトルッチの名前があります。
音楽は毎度のエンニオ・モリコーネ。今回はハーモニカをフィーチャリング。

 
 
 
 

ロケ地

IMDbでは、

Monument Valley, Arizona, USA
Tabernas, Almería, Andalucía, Spain
Moab, Utah, USA
Arizona, USA
La Calahorra, Granada, Andalucía, Spain
Bavispe, Sonora, Mexico
Highway 163, Monument Valley, Utah, USA (brick arch where Harmonica flashbacks to his youth)
Spain (opening sequence with the three gunmen meeting the train)
Estación de Calahorra, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Cattle Corner Station and Flagstone scenes)
Utah, USA
Highway 163, Monument Valley, Utah, USA (original lynching incident scene)
Cinecittà Studios, Cinecittà, Rome, Lazio, Italy (studio)
Teec Nos Pos, Arizona, USA
Red Mesa, Arizona, USA
Kayenta, Arizona, USA
Mexican Water, Arizona, USA
Poblado Western ‘Sergio Leone’, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Sweetwater Ranch)
Desierto de Tabernas, Almería, Andalucía, Spain
Durango, Mexico (Mexico)

最初の3作と異なり、スペインの他、ユタ州、アリゾナ州、メキシコといった地名があります。

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

OPの駅

IMDbではこちら↓ 

Spain (opening sequence with the three gunmen meeting the train)

『夕陽のガンマン』でも書きましたが、おそらく『夕陽のガンマン』の冒頭の駅と同じあたり。

Google Earthではこのあたりに『ウエスタン』のロケ地だとするPanoramioの画像が集まっています。
現在は線路がありませんが、Wikimapiaではこの道路に沿って線路が敷かれていたことが示されています。

マクベインの家

この後のジルのセリフから、スイートウォーターという名前であることがわかります。
撮影場所はこちら↓

Poblado Western ‘Sergio Leone’, Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Sweetwater Ranch)

Western LeoneW
http://www.western-leone.es/

 
 
 

これまでのエントリーで言えば、ここは『ダーティ・セブン』でも登場していました。

 

ジルがやってきた駅

設定ではFlagstoneという名前。

Estación de Calahorra, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Cattle Corner Station and Flagstone scenes)

『続・夕陽のガンマン』でトゥコが乗った駅と同じです。
最初のローアングルは東向きで、右手奥に捉えられているのが現在の駅舎。
おそらく左手(北側)の駅舎はセット。
撮影に使われたのは北側部分で、列車は東側からやってきます。
駅前の町は全部セット。
今でもセットの跡を確認できます。

たとえばこちら↓は劇中の酒場。

こちら↓は、馬車に乗ったジルの一人称カメラで見えていた建物(左から右に2頭立ての幌馬車が走っていくショットの右手奥)。

町の外れに来た馬車は、現在の舗装道路とほぼ同じ方角で走り去っていきます。

荒野の馬車

その後ジルの乗った馬車がマクベインの家へ向かう場面は、スペインからアメリカにワープ。

Monument Valley(モニュメント・バレーW), Arizona, USA

その1

左から右へのパン。

ここのカーブを曲がり、東へ向かっています。

その2

線路の敷設現場。

線路は、このあたり↓を南北に敷設中。

細かいツッコミですが、「その1」は西日で、「その2」は朝の光。

その3

左から右へのパン。
カメラ位置はちょうどこのSVと同じ。

なんだか出店がいろいろ出てますね(汗)

この北側にある岩の出っぱりがジョン・フォード・ポイント(John Ford’s Point)W
Wikipediaでは『駅馬車』や『捜索者』のタイトルが挙げられていますが、他にもありそう。

馬車はこの前を通り過ぎていきます。
セルジオ・レオーネ監督としては、絶対はずせない場所だったのでしょうね。

その4

馬車を停めた店は、おそらくここ↓

「その1」で行く手(東)に見えた岩山(Merrick ButteW)が、こちらでも行く手(西)に見えます。

列車の屋根

1:24

ハーモニカの男が屋根から降りるところ。
ここは『続・夕陽のガンマン』でトゥコが手錠を切ったカーブの部分。
冒頭の駅から北へ向かうとここに出ますが、現在は線路は撤去されています。

回想

ハーモニカの音色とともにフラッシュバックされる忌まわしい過去。

Highway 163, Monument Valley, Utah, USA (brick arch where Harmonica flashbacks to his youth)
Highway 163, Monument Valley, Utah, USA (original lynching incident scene)

遠くの岩山はやはりモニュメント・バレーWで、北東側から見た景色。
ジルの馬車はぎりぎりアリゾナ州を走っていましたが、こちらの場面はユタ州になります。

距離的にはこのあたりでしょうか?

ただしカメラ位置はこれ↑より西側(右手)ですね。

岩山の重なり具合などからの推測ですが、だいたいこのあたり↓のような。

同じ首吊りでも、トゥコのそれは楽しめる?んですけど……

ロケ地マップ

スペイン南部

 
 

モニュメント・バレー

資料

更新履歴

  • 2017/04/17 新規アップ

コメント

  1. Jun Tacci より:

    こんばんは

    レスを有り難うございました。
    「ウェスタン」も大好きな映画の一つです。
    主人公の名前が最後までわからないのが良いです。
    どこか突き放して感情移入を許さないようなドライなところ、いかにもヨーロッパ人が作りそうな映画です。
    フォンダが悪役なのも良い。ベタベタした恋愛シーンがないのも良い。

    音楽がとっても好きです。これも「夕陽のギャングたち」と同じLPに入っていました。

  2. 居ながらシネマ より:

    Jun Tacciさん、こちらにもコメントありがとうございます。
    音楽、私も大好きです。いかにもエンニオ・モリコーネという感じですね。

    この映画はさすがにリアルタイムではなく、後で名画座で見た記憶があります。
    その頃はロケ地など全然気にしませんでしたが、実際にはスペインとアメリカ両方で撮影されているという、ちょっと面白いウエスタンですよね。
    今回特にモニュメント・バレーでの馬車の進路がほぼ特定でき(それもこれもGoogle先生のマップの再現能力が凄いおかげ♪)、かなり達成感が強いエントリーとなりました。

  3. 深夜マイナス10 より:

    年を取ったからか、映画にも以前ほどの興味を感じなくなったのですが、たまたまテレビでこの
    once upon a time in the west を見て、久々に「映画を見たな」という気がしました。ところどころよくわからない部分もあって、一部カットされているのかとも思いましたが、その後調べると、元々そういう(ちょっとわかりにくい部分がある)作りらしいと納得しました。
    例えば、ネット上ではマクベインの娘を彼の妻と誤解している人もいますが、自分も、もしかして妻なのか?と思ったりしました。しかし、ちょっとスクリプトも読んだところ、彼の幼い息子が彼女をモーリーと呼んでいて、やはり姉と弟なのだろうと確認できました。
    フランクの手下が「どうする、フランク?」と言ったことが、結局幼い少年の死の一因になりますが、日本風に「どうします、親分?」なら、少年も死ななくて済んだのかも、などと思いました。年の離れた姉を呼び捨てにしたり、親分の名を呼び捨てにしたり、実際にアメリカの
    文化はそうなのでしょうけれども、日本の文化との違いを改めて感じました。
    アルメリアというところに町のオープンセットが作られたことを初めて知りましたが、一部は木造でなくてレンガ積みで、今も残っているらしいと知り、これもちょっと驚きました。すごいお金をかけていたようですね。

  4. 居ながらシネマ より:

    深夜マイナス10さん、コメントありがとうございます。

    確かに日本では年上の家族をあまり名前で呼んだりはしないですね。ポニョの家族はまだまだ例外の方でしょうか。
    日本の場合、一番年下の家族が起点になった家庭内役職?で呼び方が変わってくるようですね。
    男性の場合、子供が生まれたらそれまで名前やあなたとか呼ばれていた夫はパパやお父さんとなり、孫が生まれたらおじいちゃんやじいじいに変わるみたいな。
    そんなことより、ボスを名前で呼ばなければ助かったかもしれないというのはなるほどですね。実際にはあれだけはっきり顔を見られしまっていますし、相続人が生き残っていては襲撃の意味がないですから、坊やの運命は最初から定まっていたことでしょうけど。

    ところでハンドルネーム、いいですね〜 🙂
    私イギリスの冒険小説が好物なのですが、とりわけ好きな『深夜プラス1』とか『高い砦』とかがなぜか映画化されていないんですよね。映画向きだと思うのですが……

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