しょんしょん~♪ しょんしょん~♪
目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『ウエスタン』に続いて、セルジオ・レオーネ監督作後半三本立ての2本目。
1910年代のメキシコ革命を背景に、ともに戦うことになった山賊の頭領と元IRAの闘士との出会いと友情を描きます。
山賊ファン・ミランダにロッド・スタイガー。とても『質屋』の主人と同一人物とは思えません。
この役はじめはイーライ・ウォラックにオファーがあったようですが(IMDbのTrivia)、それはそれで見てみたかったかも。
アイルランド人ジョン・マロリーにジェームズ・コバーン。
ジョンは爆弾の達人で、ダイナマイトをフル装備。彼の周辺ではしょっちゅう大爆発が起きます。
というわけで英題は”A Fistful of Dynamite”。
アメリカ公開時は当初”Duck, You Sucker”でしたが、興行が振るわずタイトルを変更して再公開。
セルジオ・レオーネ監督らしい2時間半余りとなる長さですが、アメリカ公開版は121分。
冒頭の「革命とは暴力行為なのだ」という毛沢東の引用[1] … Continue readingもカットされていたとか。
確かに暴力革命を肯定しているかのように受け取られかねませんし、革命でバタバタ人が死ぬ描写と合わせて、刺激が強すぎたかもしれません。
でもその引用のあとすぐにノンポリの山賊の立ちションに切り替わるんですけどね(笑)。
字が読める奴らが時代を変えようとけしかけた
それで変わったか?
皆死んだんだ
これからも同じことの繰り返しだ
バクーニン[2]“THE PATRIOTISM”(愛国主義)とありますが、このタイトルの単独の著作はなかったような……。中央公論社『世界の名著42 … Continue readingを読んでいた(字が読める)ジョンは、ファンの言葉に本を道端に放り投げます。
爆発ばかりではなく、そんな場面も印象に残る映画です。
監督セルジオ・レオーネ、撮影ジュゼッペ・ルゾリーニ、音楽エンニオ・モリコーネ。
毎度ウットリさせてくれるモリコーネ節ですが、この映画ではなにより「しょんしょん」が印象的。
主役2人がジョンとジョン(ファン)だからかと思いきや、IMDbのTriviaによれば、名前を表しているのではなく単なる(ダバダバみたいな)音だとモリコーネ自身が語っているとのこと。もとは””Wah wah wah”だったのが監督の妻の薦めでこちらになったとか。
サントラでのタイトルは”Invention for John”
ロケ地
IMDbでは、
Medinaceli, Soria, Castilla y León, Spain (Mesa Verde’s square and bank exterior scenes)
Toner’s Pub, Dublin, County Dublin, Ireland
Howth Castle, Howth, Fingal, County Dublin, Ireland (Flashback scenes)
Almería Railway Station, Almería, Andalucía, Spain (Mesa Verde train station exterior scenes)
Dublin, County Dublin, Ireland
Desierto de Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Bridge and other exterior scenes)
Tabernas, Almería, Andalucía, Spain
Rodalquilar, Almería, Andalucía, Spain (Meeting between John H. Mallory and Juan Miranda and other exterior scenes)
Los Albaricoques, Cabo de Gata, Almería, Andalucía, Spain (Exterior scenes)
Commercial and Industrial Association and Cervantes Theatre Building, Paseo de Almería, Almería, Almería, Andalucía, Spain (Mesa Verde train station interior scene)
La Calahorra, Granada, Andalucía, Spain (Railway exterior scenes)
Estación de Calahorra, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Railway exterior scenes)
Almería, Andalucía, Spain
Andalucía, Spain
Church of Santiago, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Mesa Verde exterior scenes)
Dino De Laurentiis Cinematografica Studios, Rome, Lazio, Italy (studio)
Granada, Andalucía, Spain
Guadix cathedral, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Arriving to Mesa Verde exterior scene)
Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Mesa Verde exterior scenes)
舞台背景はメキシコ革命ですが、撮影はスペイン。それにアイルランドが少々です。
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
OP
特徴的な山が目の前にあるので、粘ればわかるかもしれません。
出会い
ファンとジョンが出会ったところ。
Rodalquilar, Almería, Andalucía, Spain (Meeting between John H. Mallory and Juan Miranda and other exterior scenes)
SVが使えなさそうなので、難しいかも。
回想
0:37
回想場面はアイルランドで撮影。
Howth CastleW, Howth, Fingal, County Dublin, Ireland (Flashback scenes)
メサ・ヴェルデ駅(外観)
0:55
Almería Railway Station, Almería, Andalucía, Spain (Mesa Verde train station exterior scenes)
- Google Maps(SV) ……線路の側(南側)
- Google Maps(SV) ……表玄関(北側)
- WikiMapia
メサ・ヴェルデ駅(内部)
Commercial and Industrial Association and Cervantes Theatre Building, Paseo de Almería, Almería, Almería, Andalucía, Spain (Mesa Verde train station interior scene)
駅前の教会
駅の目の前にあるという設定ですが、実際には「メサ・ヴェルデ駅」から北西に7,80kmほどワープしたこちら↓
Guadix cathedral, Guadix, Granada, Andalucía, Spain (Arriving to Mesa Verde exterior scene)
銃殺
上記教会から200mほど南のこちら↓の教会の脇。
Church of Santiago, GuadixW, Granada, Andalucía, Spain (Mesa Verde exterior scenes)
- Google Maps(SV) ……坂道
- WikiMapia
左へのパンのカメラ位置はこちら↓
穴を空けたポスターは、通りをふさいで作ったセットとなるでしょうか。
広場
銀行が面した広場。
Medinaceli(メディナセリ)W, Soria, Castilla y León, Spain (Mesa Verde’s square and bank exterior scenes)
SVで確認したところ、Plaza Mayorとある広場のようです。
周囲の建物から判定して、銀行の建物は南西側の右半分にあるはずですが、現在は別の建物が建っています。撮影後に建て替えたのか、撮影時にセットをかぶせていたのかは不明。
- Google Maps(SV)
- WikiMapia ……銀行
ファンは最初北東側の角に立っていて、東の角に向かって歩いて行きます。
レストランは南東の辺の東角寄りに飛び出して作られたセットですね。
レストランから見える向かいの建物(北西側右手の建物)は映画と今とではだいぶ見た目が違いますが、筐体は同じに見えます。
広場中央の噴水も見当たりません。こちらはセットだったでしょうか。
襲撃後、人々が路地から駆けだしてくるモブシーンは「銀行」の裏手にあたるこちら↓(カメラ西向き)
その後ファンは路地を走って行きジョンに呼び止められますが、ジョンが立っていたのは、広場に面したこちら↓
「お前は英雄だ」と言われ呆然とするファンの背景は、広場の対面、南角のあたり。
橋
1:22
Desierto de Tabernas, Almería, Andalucía, Spain (Bridge and other exterior scenes)
セルジオ・レオーネ監督作ではおなじみのロケ地。
地形から粘ればわかるかも。
回想のパブ
1:47
Toner’s Pub, Dublin, County Dublin, Ireland
こちら↓でしょうか?
ファンの危機
1:51
処刑寸前のファン。
周囲の地形から粘ればわかるかもしれません。
駅
1:53
集団処刑が行われていたところ。
「駅前の教会」の町グアディクス(Guadix)の駅の南側に、Panoramioの画像が集まっていたので、それで判りました。
旧駅舎でしょうか?
堀のようにへこんでいた部分は更地になっていますが、建物は一部残っています。
待ち伏せの駅
不明。
カーブのところにある駅を片端から探せば見つかるかもしれません。
ロケ地マップ
スペイン南部
資料
更新履歴
- 2017/04/21 新規アップ
References
↑1 | 「湖南農民運動考察報告」から。原文は「革命不是請客吃飯,不是做文章
,不是繪畫繡花,不能那樣雅致,那樣從容不迫,文質彬彬,那樣溫良恭儉讓。革命是暴動,是一個階級推翻一個階級的暴烈的行動」。「暴力的行動」の前に「ある階級が他の階級を転覆する」というくだりがくっついていますが、さすがにそれは引用されていません。 翻訳は例えば 国立国会図書館デジタルアーカイブ > 南満洲鉄道株式会社庶務部調査課編『支那国民革命に於ける農民運動』(1929) > P93(コマ番号53) |
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↑2 | “THE PATRIOTISM”(愛国主義)とありますが、このタイトルの単独の著作はなかったような……。中央公論社『世界の名著42 プルードン、バクーニン、クロポトキン』(ソフト版では53巻)に収録されている「ロークルおよびショー・ド・フォンの国際労働者協会の友人たちへ」’Aux compagnons de l’Association Internationale des Travailleurs du Locle et de la Chaux-de-Fonds’には「愛国主義」というパートがありますが、短いものです。原文はたとえばWikisource > Lettres sur le patriotisme |
コメント
こんばんは
私の好きな映画やドラマをたくさん紹介して下さっているので、かなり前からブックマークしていました。
「夕陽のギャングたち」は大好きな映画の一つです。中学生の時レコードも持っていました。西部劇のテーマ音楽40曲収録のLPでしたが、今はどこへ行ったやら。
テレビ放映とヴィデオでこの映画を見て、吹き替えと字幕の台詞が違うなぁと思ったこともありました。
「しょんしょん」は、実家がある町の一番大きな書店が店内BGMで使っていたのを覚えています。
Jun Tacci さん、コメントありがとうございます。
夏休みをいただいていたため、返信が遅れまして申し訳ありません。
こんなへんてこりんなサイトをブックマークいただき、恐縮です。
この映画、本編もさることながら、「しょんしょん」が実に印象的で、これを聴くだけでウットリとなりますね♪
確か公開当時ラジオで結構流れていましたが、映画本編を見たのはもう少し後、高校生ぐらいの時でしょうか。
当時は舞台背景をあまり理解できませんでしたが、今見返すと結構ディープな内容であることに気づかされたりします。