目次
作品メモ
『荒野の用心棒』から『夕陽のギャングたち』まで、セルジオ・レオーネ監督作品を順番にチェックしてきましたが、いよいよ最後。
『夕陽のギャングたち』が興行的に微妙だった後、10年以上間を空けてようやくメガホンをとった大作で、これが遺作となっています。
公開版で3時間25分。完全版は4時間近く。さらにエクステンデッド版は4時間を軽く越す長さで、さすがにこれはちと長過ぎ。
もはやDVDには全然収まりません。
しかも構成が入り組んでいて、ぼーっと見ているとたちまち時空が意味不明に。
かといって時系列で描いたら面白みがごっそり落ちた作品となっていたことでしょう。
良くも悪くも、こってりとセルジオ・レオーネの世界を堪能できる内容です。
出演は、ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガヴァン。
音楽はもちろんエンニオ・モリコーネで、英国アカデミー賞作曲賞受賞。
今回とりあげたセルジオ・レオーネ監督作品すべてに関わっています。
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 Once Upon a Time in America (84)
- 『夕陽のギャングたち』Giù la testa (71)
- 『ウエスタン』 C’era una volta il West (67)
- 『続・夕陽のガンマン』Il buono, il brutto, il cattivo (66)
- 『夕陽のガンマン』Per qualche dollaro in più (65)
- 『荒野の用心棒』Per un pugno di dollari (64)
こうやってタイトルを並べただけで、甘美なメロディや独特のサウンドが脳裏に浮かびます。
その引き出しの多さに改めてビックリ。
監督との出会いがどういったものだったのかは知りませんが、素敵な采配をされた映画の神様に感謝です。
二人のコンビの最後となるこの映画では、パンフルートをフィーチャリング。
「ポッピッペッパ~~」は実に見事なつかみで、いつまでも耳朶に残ります。
超ウルトライントロクイズで、最初の「ポッ」1音だけでも、正解できそう♪
サントラでは”Cockeye’s Song”(コックアイの歌)。
現在公開中のCGアニメ『SING/シング』を見に行ったら、この「ポッピッペッパ~~」が使われていて(銀行員が登場する場面)、けっこうウケてしまいました。
『SING/シング』では数多くのヒット曲が流れますが、これが一番短い引用だったかも?
ロケ地
IMDbでは、
Williamsburg Bridge, New York City, New York, USA
Venice, Veneto, Italy (interiors of the lavish Hotel Excelsior restaurant where Noodles takes Deborah on their date)
Cinecittà Studios, Cinecittà, Rome, Lazio, Italy (studio)
Don Cesar Hotel – 3400 Gulf Boulevard, St. Petersburg, Florida, USA (beach scene where Max unveils his plan to rob the Federal Reserve)
Manhattan Bridge, New York City, New York, USA
Montréal, Québec, Canada (the gang’s hit on Joe scene)
Gare du Nord, Paris 10, Paris, France (New York’s Grand Central Station 1930s flashback scene)
Louiseville, Québec, Canada
South 6th Street, Williamsburg, Brooklyn, New York City, New York, USA (Fat Moe’s restaurant scenes)
Hoboken Terminal – 1 Hudson Place, Hoboken, New Jersey, USA (walked on the set in 1981 in Hoboken terminal)
Spring Lake, New Jersey, USA
Vinegar Hill, New York, USA
Woodlawn Cemetery, Bronx, New York City, New York, USA (ornate vault which Noodles enters)
Chambers Paper Fibres, Plymouth Street, Brooklyn, New York City, New York, USA
Intersection of Washington Street and Water Street, Dumbo, Brooklyn, New York City, New York, USA (The iconic shot of the boys walking in front of the Manhattan Bridge)
例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
Fat Moe’s
最初の夜の場面はよく見えませんが、影絵劇場からやってきたヌードルスが中をのぞき込む場面は、外観がはっきり写ります。
South 6th Street, Williamsburg, Brooklyn, New York City, New York, USA (Fat Moe’s restaurant scenes)
IMDbのリストではこう↑ありますが、SVで確認する限り、South 8th Stのこちら↓
モーの店とその右側の平屋の建物、さらにその後ヌードルスが入っていく路地までは、別の建物が建っていてまったく面影はありませんが、路地右側の建物は現在でも確認できます(映画では1階部分にセットがかぶせられています)。
のぞき込むヌードルスの背後に見える建物も、向かいに現存。
こちらも映画では擬装がほどこされています。
再訪
老いたヌードルスがクルマでやってくる場面。
川縁からやってきてこちらの角で左折、Dunham Plを東へ向かいます。
その先South 6th Stで右折。
撤去中の墓地
South 8th Stを東からやってきて、こちら↓でクルマから降ります。
- Google Maps(SV) ……停めた時のアングル
- Google Maps(SV) ……たたずんだあたり
- Bing Maps(概観図)
- WikiMapia
Fat Moe’sの50mほど右手。
撤去中の墓地やその隣の教会の建物は、今では別の建物が建っています。
右側の建物や、墓地の背景に見えていた建物は現存。
- Google Maps(SV) ……墓地の背景の建物
通り
0:41
賑わう大通り。大勢のエキストラが行き交う迫力ある場面です。
手前に映し出される交差点は8th Stのこちら↓
よく見れば左側の沿道中程に上記教会が写っているはず。
この通りの撮影場所は、最初は全く見当がつきませんでしたが、1:03頃デボラが歩いてくる場面でスッキリ判明します。
そのアングルはこういった感じ↓
酔っ払い
0:45
橋が見える通りで酔っ払いを狙う場面。
通りは、South 6th St.
現在も確認できる建物
塀にもたれたとき背景に写っていた2つ向こうの建物
交番のあたりは何も見当たりません。セットだったでしょうか。
橋はウィリアムズバーグ橋。
いかにも「ワンス・アポン・ア~」でござい的メインビジュアルの橋はマンハッタン橋で、もう少し後で登場(ロッカーのくだりの直後)。
ロッカーのあるターミナル
1:21
Hoboken Terminal – 1 Hudson Place, Hoboken, New Jersey, USA (walked on the set in 1981 in Hoboken terminal)
桟橋から中に入った後は、セットでしょうか?
橋の下
1:23
少年たちが通りを横切るメインビジュアル的場面。橋はマンハッタン橋。
Intersection of Washington Street and Water Street, Dumbo, Brooklyn, New York City, New York, USA (The iconic shot of the boys walking in front of the Manhattan Bridge)
続く橋の下に向かう角はこちら↓ですが、なぜか一本南側のFront Stからやってきています。
ドミニク役の少年がスローで倒れる場面は怪我しないかと何度見てもハラハラします。
膝に詰め物しているように見えますが、それでも痛そう……
I slipped…
刑務所
ヌードルスを見守る仲間たちが印象的な場面ですが、場所は調査中。
※18/4/23追記
コメント欄(2018年4月21日付)でkazさんからロケ地がまとめられている海外記事について教えていただきました。
http://movie-tourist.blogspot.jp/2016/11/once-upon-time-in-america-1984.html
これで不明箇所がようやく判明。
3kmほど離れている場所を組み合わせていたようです。
刑務所出入り口はこちら。
仲間たちがいたのはこちらの壁の前。
SVでは今にも取り壊し的雰囲気ですが、実際にはリノベートされまだまだ現役のようです。
http://www.empirestoresdumbo.com/
霊廟
セリフではリバーデール(Riverdale)。
Woodlawn Cemetery, Bronx, New York City, New York, USA (ornate vault which Noodles enters)
高速の下
ロッカーで謎の金を受け取ったヌードルスが横切るところ。
出所
マックスが迎えに来たところ。
家具の配送センターが後ろに見えますが、標示はともかく建物は特徴的なので、粘ればわかるかも。
マックスは表向き葬儀屋を営業中。
※18/4/23追記
「刑務所」の項目同様、コメント欄(2018年4月21日付)でkazさんから教えていただいた海外記事で判明しました。
http://movie-tourist.blogspot.jp/2016/11/once-upon-time-in-america-1984.html
刑務所出口はこちら。
家具屋さんのビルははす向かいのこちら。
というわけで、こちらはカットによって場所がワープしているわけではないようです。
ジョーをハメたところ
Montréal, Québec, Canada (the gang’s hit on Joe scene)
レストラン
デボラとのデート。
Venice, Veneto, Italy (interiors of the lavish Hotel Excelsior restaurant where Noodles takes Deborah on their date)
ヴェネツィアのエクセルシオール。
『ベニスに死す』のホテルとして登場したdes BainsW(現在はレジデンス)は1kmほどのところ。
※18/11/27追記
milouさんから画像を提供していただきました。
(アルバムにあったのに気づかずにすみません!)
撮影は1990年とのことです。
海辺の高級住宅地
デートの後クルマから降りたのはこちら。
Spring Lake, New Jersey, USA
ヌードルスこれはひどいです。
駅
パリ北駅。
Gare du Nord, Paris 10, Paris, France (New York’s Grand Central Station 1930s flashback scene)
©2002 milou アルバム「パリの駅」から |
こちらは以前milouさんから提供していただいた画像です。
(いつもありがとうございます)
撮影は2002年。
ジミーを狙った場所
海辺のホテル
Don Cesar HotelW – 3400 Gulf Boulevard, St. Petersburg, Florida, USA (beach scene where Max unveils his plan to rob the Federal Reserve)
銀行
資料
更新履歴
- 2018/11/27 「レストラン」にmilouさんの画像を追加
- 2018/04/23 「刑務所」「出所」追記
- 2017/04/21 新規アップ
コメント
海外サイトで見つけました。刑務所の場所なども書かれている様です
http://movie-tourist.blogspot.jp/2016/11/once-upon-time-in-america-1984.html
kazさん、コメントありがとうございます。
この映画ならおそらくどこかで根こそぎ解明されているだろうなーと思いながらエントリー書いた記憶がありますが、やはり根こそぎ解明されていますね 🙂
埋められなかった部分を他所様のサイトからせっせと書き写すのもなんですし、特に気になったところだけ出典明らかにして追記しようかと思います。
とにかく情報ありがとうございました!
kazさん、教えていただいたブログ記事を参考に「刑務所」と「出所」の2項目追記しました。おかげさまでスッキリしました。
ありがとうございます 🙂
お返事が大変遅くなりまして誠に申し訳ございません(;^_^A
スッキリされたと言うことでお役に立てて何よりです。
この映画は何度見ても解釈が難しく、だから何度でも見てしまうと言う困った作品です。
たぶん難しく考えずにモリコーネの曲に浸りながら見るのがいいんでしょうね^^
「午前十時の映画祭」でこの映画をやっているので、何の因果か2回見てしまいました。前にソフトで見たことはあるのですが、産院のシーンしか記憶にありませんでした(苦笑)。
で、今回の上映バージョンは251分で、内容もまさにステーキとうな重とスペアリブをまとめて食べるようなこってり度で、ひどく圧倒されてしまいました。昨年同時代の超長編映画『ファニーとアレクサンデル』を見まして、こちらのほうがずっと長いのですが、見た後の疲労感は、『ワンス…』のほうがはるかに上です(笑)。墓場の責任者にルイーズ・フレッチャーまで出演していて、ほんと侮れません。それにしてもこの映画もやはり橋が印象的ですね…。
そういえば、同じく大長編映画である『1900年』も、デ・ニーロとモリコーネが関係しています。やはりそれだけ代替の効かないということでしょうか。
実は私、ウィリアムスバーグに行ったことがあるんです。2003年で、正統派ユダヤ教徒がそこら中に歩いていて、「うわ、すげえなあ」と思ったことがあります。そのあと、ブルックリン橋をマンハッタン方面に歩きました。映画のロケ地の通りを歩いたかは定かでありませんが、ニューヨークの奥深さを感じる街ではありました。
それで貴サイトとコメント欄でご紹介いただいているサイトを見ると、なるほど、ヴェネツィアで撮影かあ、パリの北駅は反則だよなあとかつまらんことを考えますが、この映画でも昔のニューヨークをモントリオールで撮影しているのは興味深いですね。昨今も、モントリオールでニューヨークを舞台としているシーンの撮影は多いわけで、80年代からそうだったのかと思います。
なお、今年か来年、十何年ぶりにニューヨークへ行ってみようかという気もしますので、その節はちょっとご相談に乗っていただこうかと思います。またご連絡させてください。
Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。返信おくれてすみません。
251分×2回 お疲れさまでした。私が銀幕で見たのは最初の劇場公開時だけで、あとは「居ながら」ですませてしまっています……
『1900年』もぜひエントリー作りたいのですが、見返すだけで半日つぶれてしまいますよね。
舞台となったあたりに行かれたことがあるのですね。最近の映画は時空間をCGでいくらでも作りあげることができるので、チェックしていてもいまいち面白みに欠けますが、この頃の映画はその心配?がないのが良いです。同じ場所でもセットを組み込んで時代を再現したり、全く別の場所をNYに見立てたりするなど、手作り感がたっぷりありますよね。
きっとまだ面影があちこちに残っていると思いますので、今度いらっしゃった時にまたぜひ楽しんできてください。
キャプテンは宝塚歌劇を観られたことはありますか?
私はおっちゃんですが、よく観に行っております。
この難解な映画を、来年1月1日から宝塚大劇場で雪組が世界初のミュージカル化に挑みます。
演出は小池修一郎氏ですが、どのような舞台になるか楽しみと不安が半々です。
ほりやんさん、コメントありがとうございます。
宝塚ですか。残念ながら実際に劇場へ行って見たことはないです。
原作映画の、時間が交錯する独特の雰囲気はそのまま表現されていると良いですね。
最近『幕末太陽傳』を舞台化したはずですが、こんなふうにいろいろな原作を得て、ファンを楽しませようとしているのでしょうね。