我が恋の終わらざるごとく……
作品メモ
ひとつ前のエントリー『別れの曲』はショパンを描いた伝記音楽映画でしたが、こちらはシューベルトにスポットを当てた映画。
日本での配給は同じく東和商事(現・東宝東和)で、1935年3月に公開[1]KINENOTEでは「未公開」となっていますが、誤り。
『別れの曲』は同年6月ですから、わずか数ヶ月をおいて、クラシックものの音楽映画をプッシュプッシュしたことになります。
原題„Leise flehen meine Lieder“は、Wikipediaからの受け売りですが「『シューベルトのセレナーデ』の最初の歌詞から採られたもの」とのこと。
訳せば「秘めやかに流れる我が調べ」。
これを「未完成交響樂」としたのは、これまた東和商事グッジョブでしょうか♪♪
ネタばれになるかもしれませんが、有名なくだりですから書いてしまいますと、映画でいちばん盛り上がるところ、恋に破れたシューベルトが、恋人に献じようとした交響曲の譜面を破り捨て、五線譜にさらさらと、
Wie meine Liebe nie zu Ende gehen wird,
so soll auch diese Musik nie zu Ende gehen
と書き記し、ひとり去って行くという……
シューベルトの交響曲7番、通称「未完成」はかくして未完成に終わったのでありました的秘話(もちろんフィクション)が描かれるわけですが、「未完成交響樂」というシンプルですが力強い邦題によって、こうした物語のドラマチックな部分がしっかりと伝わるようになった気がします。
この五線紙への書き込み、Wikipediaでは「わが恋の成らざるが如く、この曲もまた未完成なり」と訳されていますが、これだと„soll“が生かされていないので、ここはやはりこちら↓でしょうか。
我が恋の終わらざるごとく
この曲もまた終わりなかるべし
オーストリア映画。セリフはドイツ語。
監督・脚本ヴィリ・フォルスト。
撮影はフランツ・プラナー。その後ハリウッドに渡り、ヘプバーンだけでも『ローマの休日』(53)、『尼僧物語』(59)、『許されざる者』『ティファニーで朝食を』(61)『噂の二人』(61)と撮りまくっています。『ローマの休日』『尼僧物語』『噂の二人』の他『チャンピオン』『セールスマンの死』で米アカデミー賞撮影賞にノミネート(受賞はならず)。
出演は
フランツ・シューベルトにハンス・ヤーライ。
査定をこっそり一桁プラスしてくれる質屋の娘エミーにルイゼ・ウルリッヒ。
伯爵令嬢カロリーネにマルタ・エゲルト。
ロケ地
IMDbでは記載がありません。
ドイツ語版WIkipediaでは
Die Außenaufnahmen entstanden in Dürnstein in der Wachau, Spitz an der Donau und in Wien.
例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
背負った絵画
背負った絵画から始まる一風変わったOP。
描かれているのはウィーンのこちら↓
シュテファン大聖堂W 聖ペーター教会(Peterskirche, Vienna)W
質屋
街角
ゲーテの詩集をもらうところ。
質屋の周辺もそうですが、リアルな街角にも見えますが、セットのようにも見えてしまいます。
調査中。
噴水のある広場
0:08
♪「菩提樹」
Wikipediaに地名があがっていたこちら↓
こちら↓の教会前の広場ですね。
- Google Maps(SV)
- 48.365754,15.413962
80年以上前の映画ですが、今でも同じたたずまい。
キンスキー公爵夫人邸
エステルハツィ伯爵邸
0:38
調査中
結婚式の教会
1:12
調査中
資料
更新履歴
- 2020/05/11 新規アップ
References
↑1 | KINENOTEでは「未公開」となっていますが、誤り |
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