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『土曜の夜と日曜の朝』 Saturday Night and Sunday Morning (1960)

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作品メモ

ひとつ前のエントリー『長距離ランナーの孤独』と同じく、アラン・シリトー原作もの。
こちらはシリトーの輝けデビュー作(1958年)の映画化となっています。

Saturday Night and Sunday MorningW

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監督はカレル・ライスで、劇場用長編映画のデビュー作。
製作は『長距離ランナーの孤独』のトニー・リチャードソンで、『怒りを込めて振り返れ』(未 1959[1]Allcinemaでは1958年となっていますが、IMDbでは1959年5月28日がロンドンでのプレミア)で劇場用長編映画監督デビューした翌年のお仕事。
主人公は劇場用長編映画デビューしたばかりのアルバート・フィニーと、まことにフレッシュな面々の映画となっています。

そのアルバート・フィニーが演じるのは、自転車工場でひたすら働く若者。
一日1000個のノルマで部品を仕上げ、週給14ポンド32ペンスを得る生活で、土曜の夜にようやく羽根を伸ばしてパブで痛飲し、女性と一夜を過ごす、その繰り返しとなっています。

『長距離~』のような劇的な展開はなく、こちらの方がずっと地味。よりkitchen sinkW的でしょうか。
なにせ同僚の妻と寝たりしているので、あまり感情移入できるキャラでもなく、その点も『長距離~』に比べると盛り上がりには欠けてしまうかもしれませんね。

キャストは……

主人公のアーサー・シートンにアルバート・フィニー。昨年(2019年)亡くなりましたが、長い長いキャリア、お疲れ様でした。
同僚ジャックの妻でアーサーとこっそり楽しんでいるブレンダにレイチェル・ロバーツ。
パブで知り合った恋人ドリーンにシャーリー・アン・フィールド。当サイト的には『呪われた者たち』のヒロインですが、他にも見たことがあると思ったら、『太陽の帝王』にも出ていました。あの映画の出で立ちですとすっかりエキゾチックな美人さんで、とてもこの映画とは結びつきません。

製作トニー・リチャードソン、監督カレル・ライス、原作脚色アラン・シリトー、撮影フレディ・フランシス、音楽ジョン・ダンクワース。
撮影監督フレディ・フランシスについては『宇宙からの侵入者』(1967)をご覧ください 😉

ロケ地

IMDbでは、

Raleigh Bicycle Works, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (bicycle works)
Derby Road, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (scene at start of film where Albert runs for a bus)
The British Flag pub, Culvert Road, Battersea, London, England, UK
Grand Union Canal, Greenford, Middlesex, England, UK (fishing scenes)
Savoy cinema, Lenton, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (Cinema Albert visits with Doreen)
ABC Cinema, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (cinema that Arthur and Burt leave just before the pub scene – cinema since demolished)
Twickenham Film Studios, St Margarets, Twickenham, Middlesex, England, UK (studio) (studio: made at)
Culvert Road, Battersea, London, England, UK (the Seafords’ house; Arthur and Bert witness the drunk smash the shop window)
Nottingham, Nottinghamshire, England, UK
Wembley, London, England, UK

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

工場

0:02

Raleigh(ラレー) Bicycle WorksW, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (bicycle works)

次の項目でもチェックしていますが、映画に登場した工場は、場所としてはおそらくノッティンガムのこのあたり↓にあったと思われます

アーサーの自宅

0:04

自転車でやって来て右折するところ。
こちら↓の上段中央の画像がまさにその道路で、映画と同じように背景に白いゲートが見え、”RALEIGH”とあるのがわかります。

https://www.lentontimes.co.uk/streets/salisbury_street.htm

キャプションでは

This photograph was taken by George Roberts in 1966 and shows the junction of Salisbury Street and Faraday Road.

Salisbury StreetをFaraday Roadとぶつかるあたりに向かって(カメラ西向き)捉えています。

別の画像では、こちら↓のページの中程、”Raleigh cycle works, early 2000’s” とあるのがこのゲート。

http://www.smfpics.com/backcat/miscnottm/

21世紀初頭まであったようですが、Google Earthの時間スライダーで以下の座標を1999/12/31までさかのぼると、左側の建物と奥にある大きなガスタンクを確認できます。

  • 52.953785, -1.182157

なのでマップ位置はこれで確定。
現在のSVではこちら↓ですが……

まったく面影がありません。

バスに飛び乗る坂道

0:06

Derby Road, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (scene at start of film where Albert runs for a bus)

バスの背景に見える塔は、同じくDerby Road沿いの↓

Nottingham CathedralW

映画では全体が薄汚れて見えますが、実際そうだったみたいです。
こちら↓は1967年の貴重な写真。

釣り

0:20

Grand Union Canal, Greenford, Middlesex, England, UK (fishing scenes)

Google Earthの時間スライダーで1952年の9月にさかのぼれますが、ここ↓の北側の岸がそれっぽいように思えます。どうでしょう??

映画館1

0:33
ドリーンとロビーの階段を下りてきたところ。

Savoy cinema, Lenton, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (Cinema Albert visits with Doreen)

親戚

親戚連中にお金を渡したあと、子供を追いかけていく通り。
背景に”RALEIGH”の白いゲートが見えるので、冒頭帰宅するショットと同じ通りの同じ方角で、カメラ位置はずっと後退。
子供を掴まえたのは、通りの反対側の出口のこのあたりでしょうか?

バートと歩くところ

0:39

ブレンダが待っていた街角

0:44

これは向かいの教会で分かりました。
前述の映画館の脇ですね。
省エネ撮影♪

教会はLenton Methodist ChurchW

映画館2

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バートと出てきたところ。

ABC Cinema, Nottingham, Nottinghamshire, England, UK (cinema that Arthur and Burt leave just before the pub scene – cinema since demolished)

解体済みのようです。

街角の騒ぎ

0:47
まず酔っ払いの背景の店(ここから出てきたという設定?)はバタシー地区のこちら↓

The British Flag pub, Culvert Road, Battersea, London, England, UK

酔っ払いが窓を割ったのは、そのはす向かいの葬儀社。横切った道路がCulvert St.。

Culvert Road, Battersea, London, England, UK (the Seafords’ house; Arthur and Bert witness the drunk smash the shop window)

当時は十字路となっていて葬儀社は角地ですが、その後お店の向かって右側の道路を線路際へ移動させ、ブロック全体を十字型の集合住宅数棟に建て替えています。

蒸気機関車が通過するガードは、今も同じ。

アーサーとバートはCulvert St.を北へ向かって歩いていきます。道路沿いの店はすべて無くなっているようです。

見晴台

0:55

ブレンダと話す眺めの良いところ。

ノッティンガム城(Nottingham Castle)W

公園

0:58
ドリーンと歩くところ。
子供たちがサッカーに興じ、ブランコなどの遊具も見えます。
すぐ傍の高い位置で線路が通っているようです。それが手がかりになるかも?

資料

更新履歴

  • 2020/08/30 新規アップ

References

References
1 Allcinemaでは1958年となっていますが、IMDbでは1959年5月28日がロンドンでのプレミア

コメント

  1. ほりやん より:

    暮れのお忙しいときにコメントが来たので「動揺」されたでしょうね。

    「キッチンシンク」という言葉は、小学生のときにプロレスの技として覚えたので、この映画や「蜜の味」なんかがそうやと言われても、ああそうですかという感じです。

    (公園)

    「すぐ傍の高い位置で線路が通っている」ことから、地図を眺めていると、それらしい公園がありまして…

    Queen’s Walk Play park, Nottingham

    それはそうと、アーサーとドリーンが遊戯施設の車で遊んで降りてきたときにブレンダに見つかりますが、このシーンは、「シベールの日曜日」で、ピエールとマドレーヌが遊戯施設の車で遊んでいるときにシベールに見つかるシーンを思い出させます。創作年から言うと「シベール」が真似をしたのか?それとも偶然か?これはきちんと辛苦して、しらべーる必要がありますね(「きょう、みみ、日曜」なので、「さぶ~」という声も聞こえません)。

    来年も宜しくお願い申し上げます。

  2. 居ながらシネマ より:

    ほりやんさん、コメントありがとうございます。

    プロレスの方は、どうしてああいう名前なんでしょうね。
    映画の方も言葉だけですといまいちイメージがつかみづらいですが、とりあえず『ケス』とか言っておけば通じそう。
    『ケス』はここらへんの記事を書いていた時に一緒に取り上げようと思っていたのですが、ロケ地が全然判明せずあきらめたことがありました。

    公園について……
    他のロケ地と近いこともありいい感じかも……と思いましたが、映画ですと線路が少し高いところにありそうなんですよね(サッカーゴールの背景)
    ご指摘の場所ですとほとんど同じ高さになるなので、今のところはなんとも言えない状態です。
    列車は停まっているように見えますので、ノッティンガム駅付近の操車場もチェックしてみましたが、やはり高さは地面と同じようですので判明せず。
    せめて日光の向きがわかれば少しは絞り込めるのですが、とりあえず保留とさせてください。

    しらべーるは不覚にもウケてしまいましたが、確かに遊園地の場面はとても似てますね。
    あちらの乗り物には座席の後ろに竿のようなものが立っていましたが、あれ何だったのでしょう……
    映画の本筋とは関係ないところで、疑問が汲めども尽きません……

    というわけで、今年は返信や更新を溜めこまずにやっていこうと思いますので、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします 🙂

  3. ほりやん より:

    「シベール~」で、カートの後ろにある棒は、天井から電力をもらうためのものですね。

    https://en.wikipedia.org/wiki/Bumper_cars

    「土曜~」のほうには棒がないので、進化した電源供給システムなのでしょう。

    U-NEXTで「ケス」を久々に観ましたが、図書館で断られるシーンはよく覚えていました。「ロケ地が全然判明せずあきらめたことがありました。」とのことですが、IMDbにだいたいの位置が載っていたので、そのうち新規投稿されるのを期待しています。

    ところで、この鳥は、Qu’est-ce que c’est?

  4. 居ながらシネマ より:

    なるほどー、あれで給電しているんですね。おかげさまでスッキリしました♪
    自分腰痛持ちで時々電気あててますけど、あの竿持って床に足を付ければ効くかもと思ったりしました。
    ところで、シベールでは係員らしき若いお兄さんが竿をつかんでひょいひょい飛び移っていますが、床からの給電タイプだとこれができませんね。あれは何してるんでしょうね??(汲めども尽きぬ……)

    『ケス』は野外のシーンがうまく見つからず下書きのまま放り出してしまっていました。でも他のエントリーも下書きがかなりたまってきていますので、そのうちアップしようと思います。
    あの鳥はセリフではhawkと言っていて字幕(VHS版)でもタカとなってますが、タカもワシもハヤブサも正直自分には区別が付きません。
    トドとアザラシとアシカとオットセイの区別がつかないのと同じです。

  5. ほりやん より:

    BingのCopilotに聞きました(あしからず)。

    「バンパーカーが動いているとき、係員が各ポールに飛び移るのは、安全確認のためです。バンパーカーは、車体が小さく、速度が遅いため、ドライバーが周囲の人や物に気を配りながら運転することが困難です。そのため、係員がポールに飛び移り、周囲の安全を確認することで、事故を未然に防ぐことができます」

    と答えてくれました。

    そう言えば、前コメントのWikiにも、

    Bumping

    Although the idea of the ride is to bump other cars, safety-conscious (or at least litigation-conscious) owners sometimes put up signs reading “This way around” and “No (head on) bumping”. Depending on the level of enforcement by operators, these rules are often ignored by bumper car riders, especially younger children and teenagers.

    とありましたね。

    litigation-consciousとあるので、訴訟沙汰になったことがあったのでしょうか。

  6. 居ながらシネマ より:

    ほりやんさん、ハンバーガーが動くって何かと思ったら、バンパーカーですね。
    打てば響くといいますか、だんだん良くなる法華の太鼓といいますか、毎度即答ありがとうございます。
    もしやほりやんさん自身が実はAIチャットではないか、と疑ってしまいました(アリゾナ砂漠地下数千メートルで秘密裏に日本語のダジャレを学習させて開発中、現在「ほりやん-1.0」とか)。

    そんなことより、これもなるほどーですね。確かにスタッフ風の若者が複数で飛び移って向きを変えているように見えますね。
    でも竿がないタイプですと捕まるところがないので、飛び移りようがないような。
    きっとガンガンぶつかっても(車体も乗員も)ダイジョブなようになっているのかと思いますが。

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