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『エル・スール』 El sur (1983)

エル・スール [DVD]

作品メモ

NHK BSのビクトル・エリセ連続放送。
『ミツバチのささやき』に続いて11月24日の『エル・スール』をチェックしてみます。
こちらは文句なしの高画質でした。

10年に1本しか撮らないエリセの長編第2作。
前作との間に、75年フランコ死去、78年新憲法制定と、スペインでは民主化が進んでいます。
スペイン語原題は南の意。
英題は”The South”。

エル・スール 原作アデライダ・ガルシア・モラレス。

8歳のエストレリャはソンソレス・アラングーレン Sonsoles Aranguren。
15歳のエストレリャはイシアル・ボリャン Icíar Bollaín。
父親アグスティンにオメロ・アントヌッティOmero Antonutti。
母親フリアにロラ・カルドナLola Cardona。
女優イレーネ・リオスにオーロール・クレマン Aurore Clément。

昔見たときより父親の印象がちょっと良くなった……といいますか、少し理解できるような気もしてきたのは、やはりこちらも歳を重ねたせいでしょうか。

以下いくつかピンポイント的に詳しく見ていきますが、例によってネタバレにはご注意ください。

※15/4/12追記
エル・スール Blu-ray 6月19日にBlu-ray盤が出るようです。
また初回限定で『ミツバチのささやき』とセットになったBlu-rayツインパックなるものも出る模様。

ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』『エル・スール』Blu-ray ツインパック(初回限定)

振り子

キネマ旬報のあらすじだと「霊力のふりこ」とか書かれていますが、いわゆるダウジングですね。

音楽

エンドクレジットで明記されていますしIMDbにもリストがありますが( → IMDb)、どうもこのIMDbのリストは作曲家がみんなグラナドスになっていて正確ではないような。
以下エンドクレジットに従って補足。

CUARTETO DE CUERDA EN FA MAYOR / DE MAURICE RAVEL

ラベルの「弦楽四重奏曲ヘ長調」。
流れたのは冒頭エストレリャが振り子を見つめる場面や、少し後の父親に振り子の手ほどきを受ける場面等で、使われたのは第3楽章トレ・ラン。
 → YouTube検索結果

QUINTETO EN DO MAYOR / DE FRANZ SCHUBERT

シューベルトの「弦楽五重奏曲ハ長調」。
流れたのは母親がエストレリャに書き取りを教えるモノローグの画面。使われたのは第2楽章アダージョ。
 → YouTube検索結果

DANZAS ESPANOLAS DE ENRIQUE GRANADOS

エンリケ・グラナドス Wの「スペイン舞曲集」。
エストレリャが絵はがきを見る場面で流れたピアノ曲がこれ。
使われたのは5曲目の「アンダルーサ」(作品37の5)。映画の締めくくりにも流れました。
 → YouTube検索結果

また、エストレリャがカフェで手紙を書く父親を見つけた場面で流れたのは、2曲目の「オリエンタル」。
カフェの名前が”CAFE ORIENTAL”という設定なので、けっこうベタかも。
 → YouTube検索結果

“LA PUERTA DEL SAGRARIO”

初聖体拝受式の場面で最初に流れる合唱がこれ。
良く聴くとそのまんま「らぷえ~るた~でるさ~ぐらあ~りお~」と歌っています。
よくわかりませんが、聖歌でしょうか?

“YO TENGO DENTRO DE MI”

これは使用場面がわかりませんでした。

“EN ER MUNDO”

「エン・エル・ムンド」。
初聖体拝受式の後で親子が踊る場面と、最後の方のランチの場面で隣から流れてくるパソドブレ。
作曲Juan Quintero MuñozW
 → YouTube検索結果

“LA CUMPARSITA”

有名なタンゴの「ラ・クンパルシータ」でしょうか?
どこで使われていたのかわかりませんでした。

ロケ地

IMDbでは、

Estella, Navarra, Spain
Ezcaray, Logroño, La Rioja, Spain
Hotel Felipe II de El Escorial, Madrid, Spain
Madrid, Spain
Vitoria, Álava, País Vasco, Spain
Zamora, Castilla y León, Spain

エンドクレジットでは、

ESTA PELICULA HA SIDO RODADA EN MADRID, EZCARAY (Logrono), VICTORIA, ZAMORA Y HOTEL FELIPE II DE EL ESCORIAL.

「北の城壁に囲まれた川沿いの町」とモノローグがかぶるロングショットは、IMDbのリストにあるこちら。

Zamora, Castilla y León, Spain W

橋はPuente de Piedra W
その東側から撮っています。
ちょうどこのくらい↓のアングル。

http://www.panoramio.com/photo/2562114

「国境」

住まいである「カモメの家」が面した並木道。
IMDbのリストを片端からあたってみたところ、上記のショットとは別の町であることがわかりました。

「カモメの家」もそのまま建っていて、SVで確認できます。
ただマップで並木道を特定してしまうと自動的に家も特定できてしまうわけで、個人宅だとしたら避けるべきかも……と悩むこと数秒、SVのキャプチャー画像ですませることにしました。

病院

“HOSPITAL PROVINCIAL”とあります。
スペイン語版Wikipediaによると、

Los exteriores del Hospital Provincial, donde trabaja Agustín, corresponden al edificio de la Beneficencia de Logroño, actual sede de algunas consejerías del Gobierno de La Rioja y del Conservatorio Profesional de Música.

マップで見るとこういった感じです。

だいぶリニューアルされてますが、確かに面影はあるような。

映画館

“CINE ARCAIDA”とあります。
この場所ぜひ知りたいのですが、まだ調査中。

“Flor en la Sombra”(日陰の花)は架空の作品。
“LA SOMBRA DE UNA DUDA”はヒッチコックの『疑惑の影』。
イレーネの鼻歌は「ブルームーン」 W

※16/2/17追記
コメント欄で、ジバゴさんから情報を寄せていただきました。

バスク州ビトリア=ガステイス(Vitoria – Gasteiz)にあった映画館で、現在の姿はこちら↓

Ópera-Cinema VesaW

カフェ

父親が手紙を書くところ。
“CAFE ORIENTAL”とあります。
スペイン語版Wikipediaに、

El café en el que se leen las cartas corresponden al Café Barbieri ubicado en Barrio de Lavapiés.

と大いなる手懸りがありましたので、見つけることができました。

Nuevo Café Barbieri
Calle del Ave María, 45, 28012 Madrid

お店の中は例えばこういった↓雰囲気。

http://11870.com/pro/nuevo-cafe-barbieri/media/2af76236

窓ガラスのデザインや店内の模様など映画と同じように見えますので、おそらくここで正解でしょう。
いつかはここを訪れて手紙を書いてみたいものです(誰に?)。

写真店

“FOTO VUENAVENTURA”とあります。
これを見つけるのはちょっと難しそうです。

ホテル

“GRAN HOTEL”とあります。

スペイン語版Wikipediaでは、

Los exteriores del Gran Hotel corresponden al de Logroño, que actualmente está ocupado por oficinas.

とありまして、外観はログローニョ W のとある建物のようです(現在オフィスとして使用?)。
画像検索の結果この名前と外観のホテルがログローニョにあったことは確認できました。

具体的な場所はこちら↓の記事の小さな写真を手懸りに、ひたすら航空写真をスクロールさせてようやく判明。

http://www.elcorreo.com/vizcaya/20080103/la-rioja/apertura-limite-20080103.html

マップではこちら↓

画像は例えばこちら↓。 門扉など、そのまま残っているようですね。

外観だけでなくランチの場面もこのホテルだったのかどうかは確証がありません。
一方で、IMDbのリストにもホテル名がありますが、ランチの場面で使われたかどうかはわかりません。

Hotel Felipe II de El Escorial, Madrid, Spain

このホテルももう営業していないようですが、建物そのものは残っているようで、昔の写真などからおそらくマドリッド郊外エル・エスコリアルW の西側にあるこちらではないかと推測されます。

少なくとも外観に関しては映画に登場したものとは違います。

ロケ地マップ

ビクトル・エリセ監督作2本立て(「カモメの家」と「国境」は表示していません)。
 → 『ミツバチのささやき』 El espíritu de la colmena (1973)


※17/2/12追記
スペインで撮影された映画のロケ地マップ

資料

更新履歴

  • 2017/02/12 「ロケ地マップ」追記 画像のリンクをPicasaからアルバムアーカイブへ切替
  • 2016/02/18 「映画館」追記
  • 2015/04/12 Blu-ray情報追記

コメント

  1. seki より:

    はじめまして、ブログ拝見いたしました。突然の書き込み失礼します。
    エリセ作品は初公開時から好きな映画で、エルスールのカフェがまだ残っていた事に感動しました。どうもありがとうございます。
    当方これから初めてのスペイン旅行を考えています。そしてできるならかもめの家に行ってみたいと思っています。貴殿のプログを参考にマップを調べてみたのですが、どうしてもわかりません。メールで場所の位置もしくはヒントをご教示いただくことは可能でしょうか。いきなり不躾なお願いで恐縮ですが、ご返信いただければ幸いですです。よろしくおねがいします

  2. inagara より:

    sekiさん、いらっしゃいませ。
    スペイン旅行されるのですか。うらやましいですね~。
    お尋ねの件ですが、本文で気を持たせた書き方をしてしまってすみません。
    万が一でも問題になったら嫌なので、個人宅に関してはマップでの特定はできるだけ配慮するようにしているのです。
    場所はメールで送りますね。
    ではどうぞ良い旅を。

  3. […] めていると、資料的にすばらしい記事を書かれているブログがあったのでリンクしときます。音楽の詳細やロケ地をお調べになっています。→ 『エル・スール』El sur(1983)|居ながらシネマ […]

  4. ジバゴ より:

    >映画館
    “CINE ARCAIDA”とあります。
    この場所ぜひ知りたいのですが、まだ調査中。

    はじめまして。 場所が分かりました。 バスク州Álava県Vitoria
    http://vitoriaenfotos.blogspot.jp/2013/04/gran-cinema-vesa.html
    1951年にオープンして1982年に閉館したとなってます。
    現在はショッピングセンターのようです。
    ストリートビューの短縮urlは下記
    https://goo.gl/kqJ6ds

  5. 居ながらシネマ より:

    ジバゴさん、いらっしゃいませ。
    情報ありがとうございます。これはよくおわかりになりましたね。お見事です 🙂
    おかげさまで、とてもスッキリ。さっそく本文とマップに追記させていただきました。
    ありがとうございました!

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