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『評決』 The Verdict (1982)

評決 [Blu-ray]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『スラップ・ショット』でくたびれたコーチ兼任選手を好演したポール・ニューマンが、今度はとある裁判をきっかけに自分をとりもどしていこうとする落ちぶれた弁護士を演じます。
かつては将来を嘱望された優秀な弁護士も、今では酒浸りで、「3年で4件担当、すべて敗訴、今は死亡欄あさり」という落魄ぶり。
それもこれも、とある案件で正義を貫こうとして挫折した結果なのですが、それを知るのは親身になってくれる先輩弁護士だけ。
その友人が斡旋してくれた医療過誤事件は久々の大きな案件で、好条件の示談でまとまるはずでしたが、被害者の姿を目の当たりにし、しかも勝てる条件がそろっているとふんだ彼は、示談をはねのけ公判に持ち込みます。
ところが被告側を担当した老練の弁護士が事務所あげての大弁護団を率いて迎え撃ち、原告側のよりどころを容赦なくつぶしにかかります。
アテにしていた証人に袖を振られ、たちまち窮地に追い込まれる主人公。
果たして裁判の行方は?
……といったお話です。

主演の弁護士フランク・ギャルヴィン(Frank Galvin)にポール・ニューマン。IMDbのトリビアによると、はじめこの役はロバート・レッドフォードにオファーがあったそうですが、アルコール漬けというキャラがお気に召さなかったとのこと。
友人の弁護士ミッキー・モリシー(Mickey Morrissey)にジャック・ウォーデン。
憎々しげに立ちはだかる被告側弁護士エド・コンキャノン(Ed Concannon)にジェームズ・メイソン。『スター誕生』(54)、『ジョージー・ガール』(66)に続けて3度目のオスカー候補でしたが、受賞ならず。84年に亡くなっていますから、ベテラン俳優が晩年近くにも良いお仕事をしたことになります。
フランクと親しくなった女ローラにシャーロット・ランプリング。
以前『ジョージー・ガール』のエントリーで書きましたが、ジェイムズ・メイソンとシャーロット・ランプリングの共演は(たぶん)それ以来。
あの時は出演場面は別でしたが、今度はどうでしょう??

他に、IMDbのキャストを見ると、ブルース・ウィリスと『ソウ』シリーズのジグソウことトビン・ベルがCourt Observerで登場しているとのこと(クレジットなし)。
お話ほったらかしで(笑)法廷の場面をじ~っと見てみましたが、もしや最終弁論で、傍聴席2列目の右側、2人の原告の背後にいるのがブルース・ウィリスでしょうか。
さらによく見ると、その直前重要な証人が登場する場面でも、3列目にいるようです。最終弁論になったら1列前に出てきたわけですね 🙂
ポール・ニューマンの後頭部をじっと見つめていますが、自分もこんな大スターになるんだという熱い思いがあったかもしれません。
IMDbのフィルモグラフィーでは3番目の作品となっています。
トビン・ベルはわかりませんでした。

依頼人に相談しないで示談を蹴ったり、これでどうやって戦うんだ的な展開はいささかムリがあるかもしれませんが、ポール・ニューマンの大人の演技は見どころたっぷり。さらにそれを抑制された長めのショットでじっくりとらえたシドニー・ルメット監督の手腕も見事でした。

撮影アンジェイ・バートコウィアク、音楽ジョニー・マンデル。

ネタばれ的内容につき折りたたんでいます。クリックで開閉します。
ローラの正体を知った後の例の場面、ずっとグーだと思い込んできましたが、パーかもしれません。
スローで送ってみましたが、ブレが大きすぎて把握できず。いや別に把握できなくてもいいんですけど……
Wikipediaのジェームズ・メイソンの項目で、「女の横っ面をひっぱたくシーンが物議を醸した『第七のヴェール』が出世作となり……」とありますが、こちらはパーでした。
どちらも演技と編集と音で表現していますが、『ゲッタウェイ』はホントでしたよね。

ロケ地

IMDbでは、

Fordham University – 441 E. Fordham Road. Rose Hill, Bronx, New York City, New York, USA
Sheraton-Russell Hotel, New York City, New York, USA
Kaufman Astoria Studios – 3412 36th Street, Astoria, Queens, New York City, New York, USA (courtroom)
Boston, Massachusetts, USA
George’s Variety – G Street, South Boston, Boston, Massachusetts, USA
Massachusetts State House – Beacon & Park Streets, Boston, Massachusetts, USA (courthouse corridor/hospital scenes)
New York City, New York, USA
Quincy Market – Market Street, Boston, Massachusetts, USA
South Boston High School – 95 G Street, South Boston, Boston, Massachusetts, USA
South Station – 700 Atlantic Avenue, Boston, Massachusetts, USA
Suffolk County Courthouse – 1 City Hall Square, Boston, Massachusetts, USA
Toronto, Ontario, Canada
William F. Spencer Funeral Home – 575 E. Broadway, South Boston, Boston, Massachusetts, USA

舞台はボストン。
他にニューヨーク市がちらりと登場します。

バー

ピンボールがある店。
調査中。

葬儀場

看板のままの名前で実在しました。

William F. Spencer Funeral Home – 575 E. Broadway, South Boston, Boston, Massachusetts, USA

病院

ドクター・グルーバーの勤務先。
一緒に話しながら降りてくる立派な階段部分は、IMDbのリストにあるこちら。

マサチューセッツ州会議事堂(Massachusetts State House)W– Beacon & Park Streets, Boston, Massachusetts, USA (courthouse corridor/hospital scenes)

ドクターと別れたのはこちらのすぐ裏側。

この建物は正面階段部分も別の場面で撮影に使われています。

裁判所

何度か写る吹き抜け構造の建物。
IMdbのリストではこちらのようにも思えるのですが、確認できませんでした。

Suffolk County Courthouse – 1 City Hall Square, Boston, Massachusetts, USA

上記州議事堂のすぐ東側。

法廷内はスタジオ。

Kaufman Astoria Studios – 3412 36th Street, Astoria, Queens, New York City, New York, USA (courtroom)

図書館

0:34
設定はわかりませんが、分厚い本がずらり並んでいる書棚の前でフランクとミッチーが調べ物をしながら打合わせているところ。
螺旋階段や窓のデザインが特徴的。
画像を見る限り、IMDbのリストのこちらの大学のようです。

Fordham University – 441 E. Fordham Road. Rose Hill, Bronx, New York City, New York, USA

具体的にはこちらの建物の丸く出ている部分の上階が、映画の様子と一致します。
南北両側に同じような出っ張りがありますが、どちらかまではわかりませんでした。

雪化粧の階段

ローラが待っていたところ。裁判所の前という設定でしょうか。

マサチューセッツ州会議事堂(Massachusetts State House) – Beacon & Park Streets, Boston, Massachusetts, USA

議事堂本体は写さずに、その正面階段からの眺めが収まっています。

看護士の住まい

坂の途中にある家。
プライベートな物件でしょうからマップでは示しませんが、やはりボストンで、IMDbのリストにある通りに今でも確認できます。

ニューヨークのホテル

ミッキーがフランクにローラの正体を伝えるところ。
その前に彼女との電話で「38丁目のラッセル・ホテル」というセリフがあり、さらに映像でも実際のホテル前が写されます。念の入れ具合から見て、タイアップでしょうか。

Sheraton-Russell Hotel, New York City, New York, USA Kaufman Astoria Studios

ホテルは既になく、2006年に現在の建物に建て替えられています。
場所としてはこちら。

資料

更新履歴

  • 2014/10/11 新規アップ

コメント

  1. 赤松 幸吉 より:

    この映画は公開当時見ましたが、あまり印象に残っていません。
    ただ、このコメントを書いたのは、inagara様の凄さを再確認したからです。

    それは葬儀場、確かにSVで見ると 赤い看板にSpencer Funeral Home と書かれてあります。あたりはほとんど同じような造りの家並みで、この葬儀場も一見普通の家のように見えます。この中でどうしてこの葬儀場を発見できたかと言うことです。

    まるで藁束の中から針一本を見つける作業であったことでしょう。

    葬儀場だけはつぶれないのですね。

  2. 居ながらシネマ より:

    赤松さん、葬儀場はIMDbに住所がはっきり書かれているので楽でした。
    個人宅の場合はいくら住所が示されていてもSVを掲載するのは遠慮するようにしていますが、今回は問題あるとは思えませんし。
    (住所を書いてるIMDbがいけないわけで……)
    日本も葬儀場は減りませんね。これからしばらくは需要(?)が伸び続けるので、増えることはあっても減ることはないような気がします。

  3. Bill McCreary より:

    どうも今月も半ばを過ぎまして遅くなってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。日本はともかく海外は、現段階渡航できる目途が立ちませんが、ご協力できるところはまたご連絡させていただくことになろうかと思います。

    それですみません、年の初めから、おせっかいな情報提供です。

    >他に、IMDbのキャストを見ると、ブルース・ウィリスと『ソウ』シリーズのジグソウことトビン・ベルがCourt Observerで登場しているとのこと(クレジットなし)。
    お話ほったらかしで(笑)法廷の場面をじ~っと見てみましたが、もしや最終弁論で、傍聴席2列目の右側、2人の原告の背後にいるのがブルース・ウィリスでしょうか。
    さらによく見ると、その直前重要な証人が登場する場面でも、3列目にいるようです。最終弁論になったら1列前に出てきたわけですね

    >トビン・ベルはわかりませんでした。

    すみません。回答のURLです。

    https://9gag.com/gag/aMZEdbP

    ウィリスは正直「いかにも」でしたが、ベルのほうは教えてくれないとわかりませんでした。彼はこの前にも「マンハッタン」「トッツィー」「ソフィーの選択」に出演しているみたいですね。つまり東海岸制作の映画に出演していたということでしょうか。

    全くの余談ですが、私も某メジャー映画で刑事(私服の捜査員)のエキストラをしていまして、出来上がった作品にどんなふうにうつっているかと思ったら、後ろ姿というところでした。が、映画の撮影に参加するというのはやはり「おお!」という経験でした。また、エキストラベテラン(?)の人と会話をする機会がありまして、彼によるとAKB48の某関係者は、態度が悪いといっていました(苦笑)。まあもちろん、弁当が出ただけの完全ボランティアの私と、一応出演料が出たであろうお2人とは比較の対象にもなりません。

    >依頼人に相談しないで示談を蹴ったり、これでどうやって戦うんだ的な展開はいささかムリがあるかもしれませんが

    私もねえ、あれはもうちょっとどうにかならんかと思いました。また、シャーロット・ランプリングの出現も、ちょっと無理があるかと思います。このあたりマメットの脚本の弱点が出てしまったように感じました。

  4. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。今年もまたよろしくお願いいたします。
    おかげさまでスッキリしました。と言いたいところですが、トビン・ベルの方は矢印があってもわからないかもです 😕

    > 「マンハッタン」「トッツィー」「ソフィーの選択」に出演しているみたいですね。

    おおっと思いIMDb見たら、それぞれ通行人、ウェイター、リポーターみたいですね。
    それっぽそうな場面だけささっとチェックしてみましたが、『ソフィーの選択』はラスト近く、玄関入った脇でメモとっている人物でしょうか。ひとつスッキリしたら、悩みが3つできてしまいました。 😀

    エキストラ出演のご経験がおありとはうらやましいです。
    何かの折に撮影に遭遇すると、なんとか写り込まないかと周りをうろうろして無駄なことをやったりしてますが、なんだか映画の撮影ってそれだけでわくわくしますよね。

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