目次
作品メモ
ひとつ前のエントリー『ディーバ』から、パリで活躍(?)するアジア女性つながり。
レンタル屋さんでまだVHSが置かれていた頃のこと、たまたま手に取ってみたら、ジャケットが黒いラテックスにぴったり身を包んだ、フェティッシュといいますかスピードスケートの選手のようなマギー・チャン、しかも背景がノートルダム寺院でフランス映画……ということで「なんじゃこれ?」的好奇心からつい借りて見てしまったのが最初。
香港から主演女優を招いて昔の活劇映画のリメイクを作ろうとするフランスの映画製作会社の話。
バックステージもの的内容なのですが、同じフランス映画でも『アメリカの夜』のような面白さを期待すると、ちょっと肩すかしでしょうか。
やはり個性的なキャラクターが登場するものの、展開はグズグズで、これといって盛り上がるポイントもないまま見ている方はほとんど放置プレイで終わってしまいます。
ノートルダム寺院も結局映画本編には登場しなかったし……(ブツブツ……)
見どころといえばやっぱりマギー・チャンの全身ぴったり黒ラテックス姿でしょうか???
キャスト&スタッフ
はるばるパリまで撮影にやってきた香港女優マギー・チャンに、マギー・チャン(張曼玉)。つまり本人役。
彼女を主演女優として招いたものの撮影が調子に乗らず落ち込んでいく監督ルネ・ヴィダルに、すっかりおじいちゃん化したジャン・ピエール・レオ。
マギー・チャンを呼んだきっかけとなったのは『東方三侠 ワンダー・ガールズ』。
テレビ局からサイレント活劇『吸血ギャング団』のリメイクを依頼され、主演女優としてひらめいたのが、『東方三侠』で黒いコスチュームに身を包み、跳んだり跳ねたりしていた彼女だったのでした。
監督はこの後マギー・チャンと結婚するオリヴィエ・アサヤス。
フィルモグラフィーを調べても、ジュリエット・ビノシュ目当てに見た『夏時間の庭』しか知りません……ごめんなさい……
岸恵子さんがあまりなじみのないフランスの監督さんと結婚したとき、深いため息をついた日本人男性が少なからずいたことと思いますが、マギー・チャンの時はどうだったのでしょう?
全然無関係かつ下世話な話ですが、そういえばミシェル・ヨー(楊紫瓊)姐さんはどうやってジャン・トッドと知りあったのでしょうかね。
ここまで来るとため息というよりは太棒了!ですが。
“Les vampires”
『吸血ギャング団』については → Les vampiresW
元祖イルマ・ヴェップのビジュアルはこんな感じ。
これを見た後だと、マギー・チャンの格好がそれほどおかしくなくなるような……
演じていたのはMusidoraWという女優さん。
ちなみに、Irma Vepはvampireのアナグラム。
リメイクすべく参考にしていたのは、エピソード6 Les Yeux qui fascinent
“Classe de lutte”
30分過ぎぐらいに、みんなで見るモノクロ映画は、『ラ・ジュテ』のクリス・マルケル監督の中編ドキュメンタリー “Classe de lutte” (「階級闘争」1969) (IMDb)
ロケ地
IMDbには記載がありません。
多くが室内シーンでロケ地的に興味が持てる場所がほとんどなく、たまに外が写っても人物のアップばかりでどこだか全くわからず、しかもエンドクレジットはゆらゆら揺れる手書きの小さい文字で全く読む気になれず……という当サイト泣かせの映画です。
バルコニーでの撮影
なんとか一箇所だけでもと思ってチェックしたのがこの場面。
背景に見える塔といいますかオベリスクのようなものは、バスティーユ広場の円柱かもしれません。
となると、バルコニーはこのあたりではないかと。
全くの憶測ですが……。
地下鉄駅(13/7/13追記)
コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
1:15頃メトロに乗る駅は、ちらりと見える駅名標示から、3b号線のSaint-Fargeau
コメント
まさに“なんとか一箇所だけでも”と思ったが、手強いというか、ほとんど屋外のシーンがないので…
確実に分かるのは74分あたりで“ホテルに送るわ”といってメトロに乗りこむ時に駅名の“St.FARGEAU”という字が見える。つまり3b号線の Saint-Fargeau。以下は推測だが乗り換えたのはGambetta(GUM という駅名らしき字が見えるがgum を含む駅は存在しない)で連れは次の駅Porte de Bagnolet で降りマギーは次(終点)の Gallieni まで行く。
なぜGallieni かというとマギーの部屋は612号室だが(起こしにきたとき向こうに814と見え812号室??)ネックレスを盗むとき1階上に上がる。部屋番号の案内は右が701-17、左が718-21 つまり日本式に言えば最低9階まで存在し180室ぐらいある大型ホテルだと想像され多分旧市内ではない。ほとんど妄想(?)になるが現 Ibis Budget Paris Porte de Bagnolet(162室)かCampanile Paris Est Porte De Bagnolet Hotel(274室)だろう。ネックレスを捨てる場面の感じは後者が近い。
また食事会(?)の場面では場所はベルヴィルだというし20区が主な舞台のはず。
なお、この映画は97年5月10日に今はないシネセゾン渋谷で見ているがマギー・チャン、パリとくれば『オーギュスタン 恋々風塵』を思い出す。
ちなみにGallieni にはユーロライン(長距離バス)のターミナルがあり僕はロンドンやロッテルダムからの夜行バスでよく使った。
milouさん、地下鉄駅追記しました。確かに駅名見えていますね。このあたりでもう集中力を欠いていました……
シネセゾン渋谷って無くなったのですか? ユニクロの上で細々やっていたのだと思っていました。
あっとそれから『オーギュスタン 恋々風塵』も考えたのですが、『アメリカの夜』につなげたかったので……。そのあと「言うことをきかないネコ」つながりで『ロンググッドバイ』へもっていくつもり?
駅の外は写らないからSVは見なかったがリンク先のSVを見ると右手には「Le grand soir」左手には「Un bonheur n’arrive jamais seul」「Le serment de Tobrouk」と3本の映画のポスターが見える。当然3本とも日本には来ていないし聞いたこともない監督(2本目はソフィー・マルソー主演、3本目はドキュメンタリー)。しかもmap で調べると一番近いシネコンが『ディーバ』ゴロディシュの家のすぐ近くのMK2で徒歩で41分メトロでも25分もかかる(車なら10分ちょっと)。こんな場末の駅にも映画のポスターが貼ってあるなんて…
現在、人口36万の県庁所在地なのに市内には1件の映画館もないという珍しい県に住んでいる僕にはうらやましい限り。
わが家も車で10分の場所にシネコンはあるが、あまりの客の少なさからか普段は切符売り場を閉鎖してもぎりの場所でチケットを買う(つまり行列なんてできない)。
それでも近くに映画館があるのはありがたく、ほぼ毎日曜に行く(日曜でも混まないから)。
何しろ1974年初めての外国でヨーロッパを回ろうとユーレイル・パスまで買ったのに、パリに着くと(今と違い)名前のみ知っていて見ることのできなかった映画が多すぎて、結局ほぼ1ヶ月すべてをパリで映画を見ることに費やしたほど最高の“映画の都”だった…
milouさん、駅の外観は映画では写らないので意味はないのですが、とても可愛らしい駅なので思わずSV載せてしまいました。
Wikipediaの昔の画像を見てもそのまんま、右の後ろの建物も変わらずで、いくら日本とは環境が違うとは言え、100年単位で変わらない街並みというのは、やはりうらやましいものですね。
私は東京方面ですが、たま~に「居ながら」ではなくシネコンに行くと、場所によってはあまりのガラガラぶりに心配になるときがあります。
ど~んと客が入るようなヒット作でチェーン全体で帳尻合わせているのでしょうけど、「映画館で映画を見る」延べ人数はシネコンの普及でいったん持ち直したものの、やっぱり飽和状態に達して、じりじり減ってきているのかもしれませんね。