作品メモ
『青春の蹉跌』、『遠雷』、『不連続殺人事件』と、にっかつロマンポルノ出身監督の一般映画進出作品を取上げてきましたが、この『人魚伝説』は池田敏春監督作。
『不連続殺人事件』を久々に見返していて、とある殺害場面でこの映画を思い出しました。
池田監督にとってはロマンポルノを数本撮った後の初一般映画ですが、ディレクターズ・カンパニーWのとATGの提携作品であり、いわゆる「ディレカン」の最初の劇場用長編映画という位置づけにもあります。
ディレカンはその前に著名人がメガホンをとったピンク映画中編3本立てを旗揚げ的に公開していて(泉谷しげる監督『ハーレム・バレンタインデイ』、宇崎竜童監督『さらば相棒』、高橋伴明監督『狼』)、これも確か当時のこのこ見に行ったはずですが、う~~ん、正直中身の方はほとんど記憶に残っていません。
今調べたらなんとDVDが出ていました。でもたぶんもう見ることはなさそう……
『人魚伝説』は宮谷一彦さんの同題漫画の映画化。
当時スプラッター描写が話題だったかと記憶していますが、このあたりは原作どおりでして、比べてしまえばむしろこれでも抑えている方ではないかと……
ただどのような状況になろうと、白都真理さんはひたすらおきれいでした。
出演は他に江藤潤さん、清水健太郎さん、宮下順子さん等。
ディレカンは何か凄いことをやってくれるんじゃないかという期待感が期待感のままいつしか活動終了。
才能豊かな人たちが集結したはずなのに、やはり映画作りの難しさを感じてしまいます。
監督池田敏春、脚本西岡琢也、撮影前田米造、水中撮影中村征夫、音楽本多俊之。
こちら↓は予告編ですが、スプラッターな描写がありますので、ご注意ください。
ロケ地
例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
ロケ地はWikipediaにも書かれていますので付け加えることはないのですが、当時映画館へ見に行った時、「伊勢志摩とかじゃないじゃん」とすぐに気づいた場所がありましたので、そのあたりを書かせていただきます。
このところ長めのエントリーが続いていたので、今回は短くすませようかと。
海中展望塔
0:10の他映画の随所で登場、ラストではパーティ会場としていよいよ大変なことになります。
設定では「波摩町海中展望塔」。
もちろん架空の名前で、実際の撮影は千葉県勝浦市のこちら↓
展望塔へ続く長い通路もこちら。
みぎわが突入していくトンネルはこちら↓
- Google Maps
- 35.134497, 140.283650
資料
更新履歴
- 2019/04/22 新規アップ
コメント
こんにちは。以前QVセブンにコメントを残した者です。お久しぶりです。巣ごもり生活で断捨離をしていたら、1984年の第9回湯布院映画祭のパンフレットが出てきました。その1日目に人魚伝説が上映されていました。パンフレットに撮影の前田米造氏がコメントを寄せていて、「撮影場所の設定は、伊勢志摩半島の和具と千葉県の勝浦(海中公園)との合成で、同じ場所に見せるので、海の色、波の荒さで苦労しました」と書いていました。池田敏春監督は2010年の暮れに伊勢志摩半島で入水自殺をされています。彼にとって特別な作品であったということでしょうね。
Stanfordさん、コメントありがとうございます。こちらこそお久しぶりです。
なるほどパンフレット参考になりますね。おそらく大半が伊勢志摩で、特に海中公園がからむところだけ勝浦といった組み合わせかと思いますが、意識しなければひとつの場所として違和感なく見ることができますから、さすがうまく撮るものですね。
監督についてはそうなんですよね……因縁めいてしまうので記事では書きませんでしたが、理由などはご本人にしか分からないことなのでしょうね。