目次
- 1 作品メモ
- 2 ロケ地
- 2.1 線路1
- 2.2 野遊会
- 2.3 線路2
- 2.4 高速道路
- 2.5 防波堤1
- 2.6 防波堤2
- 2.7 海が見える屋台
- 2.8 夕暮れの橋
- 2.9 駐車違反
- 2.10 今の住まい
- 2.11 着替えた高速道路
- 2.12 ハッカ飴
- 2.13 病院
- 2.14 中古カメラ店
- 2.15 線路際
- 2.16 線路3
- 2.17 家具店
- 2.18 建設中の高速道路下
- 2.19 モーテル
- 2.20 高層アパート
- 2.21 線路4
- 2.22 銭湯
- 2.23 雨のY字路
- 2.24 張り込み&翌朝
- 2.25 飲み屋
- 2.26 フェリー乗り場
- 2.27 線路5
- 2.28 食堂
- 2.29 別れの駅
- 2.30 線路6
- 2.31 駅周辺
- 2.32 駅構内
- 2.33 線路7
- 2.34 ピクニック
- 3 ロケ地マップ
- 4 資料
- 5 更新履歴
作品メモ
ひとつ前のエントリー『グリーンフィッシュ』のイ・チャンドン監督による第2作。
すっかりうらぶれてすさんでしまった中年男が自殺を図る場面から始まるこの映画。
『メメント』や『アレックス』あたりと同じく時間遡り系の語り口を持つのが特徴で、1999年の春から始まり、中年男が辿ってきた半生が少しずつ遡って語られます。
『グリーンフィッシュ』も余韻たっぷりの良い映画でしたが、『ペパーミント・キャンディ』はテーマも手腕もさらなる深化を遂げ、より完成度が高いように思えます。イ・チャンドン監督ならまずはこちら、とお奨めしたくなるような出来映えでしょうか。
自殺を図る中年男キム・ヨンホにソル・ギョング。
その初恋の相手ユン・スニムにムン・ソリ。
この2人はイ・チャンドン監督の次作(第3作)『オアシス』でも出演。見る者を圧倒するような濃密な演技を披露しています。
ヨンホの妻ヤン・ホンジャにキム・ヨジン。個人的には『ディナーの後に』やこの映画など、初期の出演作が記憶に残っています。
他に行きずりの店の女キョンアを演じたコ・ソヒも印象的。
製作は『グリーンフィッシュ』でかたき役キム・ヤンギルを演じたミョン・ゲナム、監督脚本イ・チャンドン、撮影キム・ヒョング、音楽イ・ジェジン。
エンドクレジットにはNHKの名前もあります。
韓国語原題(박하사탕 パッカサタン)は、「はっか飴」。
劇中に登場するアイテムです。
英題”Peppermint Candy”
日本版予告編はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=yjErRwPfypU
こちら↓は韓国版予告編
そういえば線路の場面でテーマ曲が流れると、『世界の車窓より』を連想してしまいますね 😉
構成
リバースもので構成を書いてしまうと身もフタもありませんが、これがあると作業が楽だったもので……。
そのまま残しておきます。
ロケ地
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
実は手元に日本盤がないので、10年以上前に買った韓国盤DVDにてのチェックとなります。
これはたまたまリージョンALLでしたが、韓国盤DVDは多くがリージョンコード3ですので、お求めになるときは再生できるかどうかご確認ください。
『グリーンフィッシュ』同様エンドクレジットの謝辞や、DVD収録のメイキング動画が参考になりました。
また製作指揮のチョ・ミンチョル(조민철)によるオーディオコメンタリーが付いていて、聴き取れる範囲で(笑)参考にしています。
今回も韓国の検索サイト、DaumとNaverのウェブマップを利用しています。表記は韓国語となります。ご利用は自己責任でお願い致します。
線路1
単線。トンネルを抜けて切り通しを左カーブ。FO。
少なくとも次のシーンの場所ではありません。
メイキング動画には、とある駅で撮影の準備をしている様子がありました。
テロップは«3月18日太白線»。
未確認ですが、太白線やそれに接続する路線で撮影されたのかもしれません。
例えば堤川(チェチョン)駅から太白線を進み、ミンドゥンサン駅で旌善(チョンソン)線Wに入っているようにも思えます。
メイキングでは列車の最後に大きな撮影用カメラをくくりつけています。
なるほど逆回しですから、先頭につける必要はないわけですね。
以下線路に関しては辿ってみたい気もしますので、景色のメモ書きを残しておくことにします。
野遊会
0:01
この映画、やはり最初の鉄橋と河原がいちばん気になります。
- 山間の河原
- 2本の鉄橋(それぞれ単線。橋脚は微妙に形が違う)
- 線路はトンネルに向って間隔を開けながらやや左カーブ
- (日差しから)南側に山とトンネル
- 北側が開けていて、宴会をしていた河原も北側
- 川は河原から見て右方向へ流れている(=北側が右岸)
- 川の上流と下流がどちらも北側へ蛇行(蛇行の内側が河原というありがちな地理)
エンドクレジットの謝辞では、最初の方に鉄道関係がずらりと並んでいて、参考になりそうです。
一番それらしいのが忠北線Wのコンジョン駅とサムタン駅。
この2つの駅の間にあるこちらが、上記の地理的条件にもぴたり。ここで正解でしょう。
キム・ヨンホが最初に寝そべっていたのは、南側(左岸)の鉄橋の真下。
宴会は右岸ですから、合流するためにいったん川を渡っていたことになります……
直前の絶叫しながらのけぞるショットは、線路がカーブしていないことや、その先が左に曲がっていること等からこの場所ではなさそう。
近くをあたってみましたが、相当する場所を見つけられませんでした。調査中。
ヨンホががなりたてた歌は「ナ・オットケ」(どうしよう)。この記事の一番最後にもう少し書いておきました。
나 다시 돌아갈래! ナタシトラガレ!(俺は戻るぞ!)
なお『グリーンフィッシュ』でご紹介したこちらのサイトにも『ペパーミント・キャンディ』のページがあり、この場所が画像とともに詳しくレポートされています。貴重な記録と思いますので、ぜひご覧ください。
- ばつ丸の「ロケ地を旅する」
http://movie.geocities.jp/badtzmarulocation/
場所は上記で正しかったようで、答え合わせもさせていただいたことになります。ありがとうございます。
線路2
単線。
のけぞった橋と同じようなところですが、左へカーブしているので別のところ。
橋を渡りきり直線になったところで、沿線の散っている花びらが上へ戻っていくのが捉えられ、はじめて時間が逆行していることに気づきます。
その先は今度は右カーブでFO。
つまらないところに関心を持つようですみませんが、この花びらはCGでしょうか。
高速道路
0:12
トンネルを出ると篠つく雨。
ワイパーが動くと、ようやく前方の景色がはっきりします。
ここはワンカットではなく、最初は一般道路で、OLして高速道路にワープしていますね。
その時道ばたの案内板が«휘닉스파크»(フェニックスパーク)と見えます。
参考までに、場所はソウルから東へ向ったこちら。
- Google Maps
- WikiMapia
- WikiMapia ……ヨンドン(영동 嶺東)高速道路出口
- Daum(ロードビュー)
この案内板は位置がおかしいような気がします。CGでしょうか。
ラジオで呼びかけが流れ、ようやく冒頭の集まりの意味がわかります。
それによると、工場勤務の仲間で作った集まりで、カリボンドンにちなんだ名前がつけられていて、20年ぶりに会おうということのようです。
가리봉동(カリボンドン 加里峰洞)Wは、ソウル市구로구(クログ 九老区)にある地名。
集まりの名前「カリボンポンウヘ(가리봉봉우회)」は、加里峰朋友会ということでしょうか??(未確認。おわかりの方教えて下さい)
後の方でスニムが面会に来たときもこの地名を言っています。
防波堤1
高速道路からのOL。車内のカメラが、先端に進む様子を一人称で捉えます。
コメンタリーでは、注文津港(주문진항 チュムンジン)の防波堤であると言っているように聞えます。
特定は難しいですが、たとえばこういったところ。
防波堤2
バイクの2人組から銃を手に入れたところ。
あたりはまだ工事中のようにも見えます。
バイクがやってくるショットの背景が特徴的な地形と工場だったので、それを手掛かりに注文津港(上述)や東海市(後述)と同じ日本海側の海岸線をひたすら辿り見つけました。
三陟(サムチョク 삼척)市の港で、バイクがやってくるショットはちょうどこの位置とアングル。
バイクがいったんヨンホの前を通り過ぎていくのは、この長い堤防。
堤防は現在では一段と高くなり形も異なります。
左手は映画の時点では水がありましたが、その後埋め立てられたようです。
海が見える屋台
コーヒー代も払えなかったところ。
屋台のアジュンマと話す時背景の漁船が良いタイミングで横切りますが、これも演出でしょうか。
この場面、メイキング映像では«안인(アニン 安仁)»とテロップがありました。
江陵市(강릉시 カンヌン)のこちら↓の海岸ではないかと思われます。
死にきれなかった時目の前を列車が通過しますが、すぐ下に鉄道が走っていますので、おそらく同じ場所。
直立不動で記念撮影しているお年寄り。
シャッター押すときは「キムチ!」
夕暮れの橋
0:17
車を停めていた河畔は、ソウル市内のこのあたり。
駐車違反
0:20
玉水駅(옥수역 オクスヨク)近くの高速高架の下。
オーディオコメンタリーで玉水駅と言っているようでしたので、そのあたりをチェックして見つけました(といいますか、真上ですね)。
今の住まい
郊外の高速道路の高架下。
畑の隅に自家製ハウスを作り陣取っています。
おそらくイルサン近くの高速脇と思われますが、調査中。
着替えた高速道路
0:29
『グリーンフィッシュ』で登場した一山線に併走する高速道路で、カメラ位置は大谷(テゴク)駅のすぐ脇。
カメラ西向きで、望遠による圧縮効果が強くかかっています。
ハッカ飴
ハッカ飴を買ったところ。
右上の«이철의내과의(원)»(イ・チョルの内科医)の看板が手掛かりとなりました。
病院
エンドクレジットに病院の名前がありますのでおそらくそちらかと思いますが、外観が写るわけでもないですので、あくまで参考までにということで。
한남동 순천향 대학병원 /漢南洞順天郷(ハンナムドン・スンチョニャン)大学病院
- WikiMapia
中古カメラ店
0:37
カメラを売りに行ったところ。
エンドクレジットの謝辞にあるこのあたりがいちばんそれっぽいですね。
- 종로4가 시계골목 청계카메라상조회 /鍾路4街時計路清渓(チョンゲ)カメラ互助会
- K3카메라 /K3カメラ
鍾路4街の時計路ということでそちらを見たら、ズバリ「K3カメラ」がありました。周囲の位置関係も映画と一致しているのでここで正解でしょう。
線路際
0:38
フィルムを引き出して、泣き崩れるところ。
調査中。
線路3
0:38
単線。強い逆光の中、川に沿ってゆっくり右へカーブします。
川縁の道路で車が逆走。
白い鳩?はCGでしょうか。『オアシス』を連想します。
家具店
0:40
エンドクレジットの謝辞で該当するのは、このあたりでしょうか。
- 일산 가구단지 라자가구 一山(イルサン)家具団地ラジャ家具
建設中の高速道路下
0:42
妻の浮気現場を監視するところ。
設定では1994年。
モーテル
これは調べても仕方ないかとは思いますが、エンドクレジットの謝辞で該当するのはこのあたりでしょうか。
- 양수리 유니온 호텔 /両水里ユニオンホテル
『グリーンフィッシュ』に続いて、ユニオンホテル♪
高層アパート
謝辞に挙げられている団地名はこの2つ。
- 행당동 대림아파트 /杏堂洞(ヘンダンドン)デリムアパート
- 행당동 한진아파트 /杏堂洞(ヘンダンドン)ハンジンアパート
線路4
0:56
逆光の中分岐する線路。
どこかの駅のようです。
銭湯
0:59
謝辞にある銭湯関係はこちら。漢字は間違っているかも。
- 공덕동 쌍용탕 /孔徳洞(コンドクトン)サンニョンタン
- 만리동 만리목욕탕 /万里洞(マンニドン)万里沐浴湯(マンニモギョクタン)
出入口として登場したのは後者。現在営業しているかどうかは微妙な雰囲気です。
雨のY字路
1:10
刑事たちが車中から通りすがりの人に道を訊くY字路。
「ヘマン1洞(해망1동)はどこか」と訊いています。
群山(クンサン)という設定。
実際の撮影はオーディオコメンタリーで東海(トンヘ)市と言っているようです。
あとはマップをあれこれチェックして見つけました。
張り込み&翌朝
その後車の中で張り込んでいたのは、やはり東海市のこちら。
翌朝目的の人物が靴ひもを結ぶフリをしてヨンホをやりすごすのも、同じ場所。
その時高架橋下の車から他の2人が出てきて、ヨンホに話しかけながら目的の人物に近づいていきます。
同じ場所で、カメラ西向き。
飲み屋
1:13
張り込みを離れてヨンホがふらりと寄った店。
設定では女の名前はキョンアのようですが、映画の中では結局その名前では呼ばれなかったような……
メイキング動画では«7月26日 麻浦区龍門洞(マポグヨンムンドン 마포구 용문동)»。
ソウル市なので、この場面の撮影は設定上の群山(クンサン)でも、張り込み場面の東海(トンヘ)市でもありません。
龍門洞(ヨンムンドン)は現在麻浦(マポ)区ではなく龍山区(ヨンサング)のようですが、とりあえず区は無視して龍門洞(ヨンムンドン)をチェック。
お店の建物が残っているとは思えませんから、地形とメイキング映像で周囲に写っている建物を照合していきました。
ようやく判明しましたが、劇的に変化していて説明が必要かもしれません。
ヨンホは右手の現在片側2車線の通りを降りてきて、鋭角の角を曲がります。
お店は1軒左でしたが、一帯が建て替えられていてお店自体は確認のしようもありません。
根拠はメイキング映像で、向かいの白いタイル張りの建物と、その左側(表通り側)の赤煉瓦風の外観のビルが写っていること、さらにヨンホが降りてくるショットで、右手奥に踏切が見えますが、以前のロードビューを見るとやはり同じ位置に踏切を確認できること、等です。
- Daum(ロードビュー) ……2008年に移動してください
もうひとつ、ヨンホがお店に入るショットでお店の後ろに頭を覗かせているビルの窓は、今でも確認できます。
表通りに面しているビルの側面ですね。
フェリー乗り場
1:23
キョンアがいたところ。
群山(クンサン)のこちらの画像が、背景の山の形がどんぴしゃりでした。
マップではこちら↓
カメラ北北西向き。
刑事たちが道を訊くとき、«ヘマン(해망)はどこか?»と言っていましたが、このあたりの住所がヘマン。
群山(クンサン)のエピソードはほとんどが別の場所での撮影だったようですが、少なくともフェリー乗り場は群山であったことになります。
線路5
1:23
道路に沿って左カーブ
食堂
1:24
공단식당(公団?食堂)と看板が出ている店。
背後のビルは標語がぶら下がっているように見えるので警察署という設定かと思われます。
メイキングでは、 «8月11日群山市屯栗洞(군산시둔율동)»
ややこしいですが、群山という設定の張り込みの場面は群山以外での撮影でしたが、群山ではない警察署付近のこの場面は群山で撮られていたことになります。
該当する地域を主に背後のビルを探してウェブマップでウロウロしてみましたが、学校の建物であることがわかりました。
食堂を正面から捉えたショット(背後に警察署)は、こちら。
- Daum(ロードビュー)
- Naver(コリビュー) ……2010.10に遡ると再現できます
- WikiMapia
食堂からの眺め↓
別れの駅
線路6
1:42
川と離れつつ右カーブ。
親子がジョギング?
駅周辺
1:48
光州駅を示す道路標示が写ります。おそらく撮影用に設けたもの。
80年5月というテロップだけでも十分かもしれませんが。
駅構内
引き込み線が何本か有り、チェックの柄の塔が建っているのが特徴的。
エンドクレジットの謝辞にある駅を片端から見てみましたが、こちらの駅がいちばん近そうでした。
この駅と周辺も近年劇的に変化しているため、昔の画像でもない限り確認するのは難しそうです。
線路7
単線直進。正面に小高い山
おそらく東向き
ピクニック
まだ純粋で心優しい青年ヨンホが、仲間と一緒にあの河原に現れます。
彼らが歩きながら歌っていたのは、キム・ミンギ(김민기 金珉基)W作詞作曲の「아침이슬(アチミスル 朝露」)W。
ヤン・ヒウン(양희은)Wの歌が知られているでしょうか(1971年第1集)。
映画で歌われたのは、Bメロのあたりから。
てやぐんみょじ~うぃえ~ぷるけ~たお~るご~~
はなじぇ~ちぬんとうぃぬん~なえし~りょにるじら~
こちら↓の1分過ぎぐらい。
こちらはキム・ミンギ自身の歌。やはり1971年の第1集。
その後泣ける会話を挟んで、腰を降ろした一同と合流。
映画の冒頭でヨンホががなりたてたあの歌を歌います。
サンド・ペブルズ(샌드 페블즈)Wの「ナ・オットケ?(나 어떡해?)」。1977年の第1回MBC大学歌謡祭で受賞。
「オットケ?」は「どうしよう?」ですが、韓国映画やドラマで特に女性キャラが焦りまくったときによく「オットケオットケ」を連発しますので、もはやおなじみ?
これらの曲で(K-POPではなく)韓国歌謡にハマった方も多いはず。
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2015/05/05 新規アップ
コメント
今日『傷だらけのふたり』を見たら舞台は群山でした。群山と言えば
『八月のクリスマス』らしいが公式HPで監督は、大好きな作品ですが、オマージュではない。クンサンという都市がとても好きだったので映画の舞台に選びました。とのこと
milouさんコメントありがとうございます。
『八月のクリスマス』はぜひ取上げたいのですが、本文でも書きましたロケ地訪問サイトさんが確か詳細にレポートされていて、今さら出る幕ないのですよね……
いっそ韓国映画に関しては誰も興味を持たないようなどマイナーな作品を取上げていこうかと思っています