目次
作品メモ
『グリーンフィッシュ』、『ペパーミント・キャンディ』とイ・チャンドン監督作をチェックしてきましたが、ここまできたらもう一本。
第3作は、出所したばかりの男と重度の障碍を持った女が出会い、愛をはぐくんでいく姿を描いたラブストーリーです。
2人とも家族や社会からすっかり疎外されてしまっている状態で、その物語となると感動ごり押しのお涙頂戴映画と思われるかもしれませんが、監督の演出スタイルは前2作と同じく淡々としたもので、2人とその周辺の出来事が静かな、しかし確かな筆致で描かれていきます。
前2作が良かったのでこれは珍しく劇場へ見に行ったものの、見終わったときのズシンとくる重い想いはハンパなかったような……。
というわけで誰にもお奨めというわけにはいきませんが、イ・チャンドン監督らしい良質で見応え十分の1本となっているかと思います。
出演は『ペパーミント・キャンディ』で好演したソル・ギョング(ホン・ジョンドゥ 홍종두役)とムン・ソリ(ハン・コンジュ 한공주役)。
ソル・ギョングの凄まじさは前作で証明済みでしたが、ムン・ソリさんの演技には心底驚かされました。2002年ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞 (新人賞)を受賞しています。
それぞれの家族が描かれるあたりは『グリーンフィッシュ』を彷彿させます。
あちらは男4人女1人でしたが、今度はジョンドゥの兄弟は男3人で、兄はアン・ネサン、弟は映画監督のリュ・スンワンが演じています。
この他前2作といろいろ共通する部分が見受けられ、そのあたりを比べてみても面白いかもしれませんね。
監督脚本イ・チャンドン。この作品のあと文化観光部長官に就任して監督業をひと休みしています。
製作は前2作同様ミョン・ゲナム。撮影チェ・ヨンテク、音楽イ・ジェジン。
全編手持ちゆらゆらカメラですが、この映画に関しては成功しているように思えました。
ロケ地
例によってウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしていきました。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。
前2作同様エンドクレジットの謝辞が参考になりましたが、『オアシス』はさらに個人宅まで書いてありますので、まるごと書き写すのは控えて必要な箇所だけ利用しています。
今回も日本盤を持っていないので以前買った韓国盤DVDにてチェックしています。
また韓国の検索サイト、DaumとNaverのウェブマップを利用しています。表記は韓国語となります。ご利用は自己責任でお願い致します。
『グリーンフィッシュ』、『ペパーミント・キャンディ』でご紹介したこちらのロケ地訪問サイトでも、記事がアップされています。素晴らしいレポートですのでぜひご覧ください。
- ばつ丸の「ロケ地を旅する」
http://movie.geocities.jp/badtzmarulocation/
今回はかなり場所がかぶってしまいました。とはいえこの『オアシス』までは拙サイトで取上げたかったので、自分なりに調べるのを優先して、不明なところだけ参考にさせていただくという形を取らせていただきました。
掲載されていない場所もいくつか取上げていますので、ご了承ください。
バス停
0:02
白い息を吐き鼻をすすりながら半袖シャツで登場。
「かかわりたくない人」を瞬時に体現しているソル・ギョングの演技はさすが(?)
場所は不明。
日差しから南北に延びる大通りで、高速の高架が架かっている交差点近くのようです。
背景の建物や看板、バスの路線などに目を凝らしましたが、判定しきれませんでした。
上述のロケ地訪問サイトではさすが正解が掲載されています。
団地
母親がいたはずのところ。
謝辞に集合住宅がいくつか挙げられていますが、チェックしたらこちらでした。
하계동 장미아파트602동13층 /下溪洞(ハゲドン)チャンミ(薔薇?)アパート
もう少し具体的には、みかん(のようなもの)と××を落としたのはちょうどここ。
店
豆腐を求めて入った食料店(2箇所)。
豆腐どころか牛乳までがぶ飲みします。
出所祝いの豆腐は韓国映画で見た記憶がありますが、牛乳は初めてでした。
場所は調査中。
食堂
0:09
コンジュの部屋
0:18
エンドクレジットの謝辞にあるこちら。
이촌2동 H형 아파트409호,410호 /二村2洞H型アパート
ジョンドゥが進んでいくのはこのあたり。
右に曲がるとコンジュのアパートが視野に入るはずですが、もはや跡形もありません。
各マップで過去に遡っても、もうあのアパートを見ることはできません。
部屋の前にあった例のものももう無さそうですね。
もともと撮影用に設けたものかもしれませんが……。
後の方で出てくる屋上も同じ建物だったかもしれませんが、もはや確かめようがありません。
室内の鳩はVFX。蝶はVFXと小道具。
自動車整備工場
兄夫婦の店。何度か登場します。
エンドクレジットの謝辞にあるこちら。
망원동 망원카센타 /望遠洞(マンウォンドン)マンウォン・カーセンター
屋号は違っていますが、現在のこちら↓かと思われます。
不動産屋
0:25
出前にやってきたところ。
オヤジたちが花札に熱中しているところを、ぼーっと眺めてしまいます。
電話番号がはっきり写っていたので、それで検索かけたらあっさり見つかりました。
自動車工場と同じく、ソウル市麻浦区望遠洞(マポグマンウォンドン 마포구 망원동)のこちら
窓越しに青い看板のコンビニ«Buy the way»が見えますが、今はセブンイレブンに替わっているようです。
中華料理店
0:27
出前から戻ってきたところ。先に兄と面接に来ていたところですね。
看板が«홍콩반점(香港飯店)»
電話番号がはっきり写りますが、それと店名で検索かけたらすぐに見つかりました。
上記不動産屋からわずか20mほど北。
撮影中
0:31
深夜の撮影隊にお邪魔虫。
その結果……
……ですが、よく見るとスタントマンと入れ替わってますね。アナログ的なテクニックですが、なかなかうまい見せ方です。
祈り
0:57
路地で祈る一同。
道路標示でしょうか、망원동 14길(望遠洞 マンウォンドン 14路)と読めます。
調査中。
電車でお出かけ
走る列車を外から撮っていますが、当たり前のようでいてとても不思議なショットです。
窓ガラスや車体に映る景色はみなCGのはず。
断られた食堂
1:12
渋滞
1:20
Wikipediaによると、清渓(チョンゲチョン 청계천)川Wに撮影当時架かっていた高速道路。2003年~2005年に撤去されたとのこと。
エキストラとして、同じイ・チャンドン監督、ソル・ギョング主演による映画『ペパーミント・キャンディー』のファンクラブのメンバーが百台近くの車で集まり監督の指示に従って、高架道路の交通を遮断して撮影が行われた
エンドクレジットの謝辞にある«박하사탕을 사랑하는 사람들의 모임 /ペパーミント・キャンディを愛する人々の集まり»がエキストラということですね。
周囲のビルから判定して、位置としてはこのあたり。カメラ東向き。
店の前の駐車場
1:34
勢揃い写真からはずされて、出てきた店の前。
エンドクレジットの謝辞にあるこちら。
태릉입구역 호암웨딩문화원 /泰陵入口駅ホアムウェディング文化院
地下鉄駅
1:37
ソウルメトロ1号線東大門(トンデムン 동대문)駅W
映画では隣が 127 신설동(新設洞 シンシルドン)駅ですが、現在は間に 동묘앞(東廟前 トンミョアプ)駅ができているようです。
まったく個人的な感想ですが、最初に劇場で見たとき、ムン・ソリさんの「あの」演技はこの場面だけで良かったのではないかとふと思ったりしました。どうでしょうか??
カラオケとホームで効果的に使われるのが、アン・チファン(안치환)の4集タイトル曲「ネガマニル(내가 만일 私がもし)」
拙エントリーも、この素敵な歌で締めくくろうと思います。
ロケ地マップ
資料
更新履歴
- 2015/05/06 新規アップ
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