『主人公は僕だった』 Stranger Than Fiction (2006)

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Little did he know…

作品メモ

ひとつ前のエントリー『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』は、ウィル・フェレルが主演、脚本、製作と大活躍のコメディでしたが、ウィル・フェレルというと、どうしてもタイトルやDVDのジャケット見ただけでお腹いっぱいになりそうな、コテコテのコメディものが浮かびます。
そんなフィルモグラフィの中では異色といえるのがこの映画。

原題は「小説より奇なり」。
邦題はぐっと踏み込んでいて、出オチといいますかタイトルオチ感がたっぷり。「犯人は僕だった」とか「死んだのは僕だった」ぐらいの攻めの姿勢が感じられます。😇
なので中身を書いてしまって構わないと思いますが、作家の先生がどこかで書いている小説の主人公になってしまった男を描く、ちょっとシュールで不思議なテイストのお話となっています。

主人公にとっての最大の問題は、この作家の作品ではすべて主人公が死んでしまうこと。
作家が悩んでいるのも、新作で主人公にいかに死んでいただくか、そのアイデアがうまく出てこないところにあります。
ただ死ぬことは決まっているので(笑)、ある日主人公がバスを待っていると、

このささいな行為が死を招こうとは
彼は知るよしもなかった
Little did he know that this simple seemingly innocuous act…
…would result in his imminent death.

とかいうブンガク的言い回しの地の文がどこからともなく聞えてきたりします。
こりゃたまらんですよね。
それにより、”third-person omniscient”(三人称全知、全知の語り手)の存在に気づき、結末を書かれる前に作家を探して会いに行くというのがメインの筋立て。さらにそれに伴い、彼自身の人生や生き方が良い感じで変化していくというあたりが見どころとなっています。
ジム・キャリーの『トゥルーマン・ショー』もそうですが、全知全能の存在に立ち向かうという役柄は、シリアスな演技派よりコメディアンの方が向いているのかもしれませんね。

映像表現としては、随所に主人公の動きに合わせてテキストや画像がぷるんと合成されるのが特徴的。まるでスマホをかざして体験しているARみたいですが、こういうトラッキングとかマッチムーブを使った表現は映画でいつ頃から使われ始めたのでしょうね。
最初の頃は新鮮でびっくりましたが、今では無料で使えるビデオ編集ソフトにも当たり前のように備わっていて、自分でも時間があるとき我が家の猫様の動画に「メシよこせ~」とかフキダシ付けたりして遊んでいます。

キャスト&スタッフ

映画の、そして執筆中の小説の主人公、国税庁会計検査官ハロルド・クリックにウィル・フェレル。
いつもの悪ノリはぐっと抑えて、マジメ一徹、四角四面すぎる日常を繰り返してきた人物を好演。ただ歯磨きのアップは勘弁してほしかったかも……

町のベーカリーを切り盛りする魅力的な女性アナ・パスカルにマギー・ギレンホール。防衛費の分の税金は払わないと言い張るめんどくさいキャラですが、そのためハロルドは税務調査をきっかけにして親しくなっていくという展開です。
主人公が死ぬ作品しか書かない作家カレン・アイフェルにエマ・トンプソン。
カレンをサポートして作品を仕上げさせようとする出版社の使いペニー・エッシャーにクイーン・ラティファ。
最初に看てもらった社内の医師ケイリーに、かつてアマデウス・モーツァルトだったトム・ハルス。
次に看てもらった精神科医ドクター・ミッタグレフラーDr. MittagLefflerに、『NCIS:LA 極秘潜入捜査班』のヘティことリンダ・ハント。
最後に看てもらったヒルバート教授にダスティン・ホフマン。

……ということで、これらの登場人物たちの姓は実在の著名人からとられています。
それにどんな意味があるかは知りませんが 😅

なおIMDbのキャストにアヌーク・エーメやテリー・ジョーンズ等の名前があるのは、主人公が『男と女』や『モンティ・パイソン』などを見る場面があるため。こういう劇中作品の「キャスト」はIMDbでもう少し区別しやすく表記されているとありがたいかも……

監督マーク・フォースター、脚本ザック・ヘルム、撮影ロベルト・シェイファー、音楽ブリット・ダニエル。

ロケ地

IMDbでは、

University of Illinois at Chicago, Near West Side, Chicago, Illinois, USA
Chicago, Illinois, USA
John Hancock Center Condominium Owner’s Entrance – 875 N Michigan Ave, Chicago, Illinois, USA (Banneker Press Lobby)
Ukrainian Village, West Town, Chicago, Illinois, USA
25th Street & Christiana Avenue, South Lawndale, Chicago, Illinois, USA
Chicago Studio City – 5660 W. Taylor Street, Austin, Chicago, Illinois, USA (interiors)
Richard J. Daley Memorial Plaza, The Loop, Downtown, Chicago, Illinois, USA
River City Condominiums – 800 S. Wells, Chicago, Illinois, USA (Tony Hale’s apartment)
River City Condominiums – 800 S. Wells, Chicago, Illinois, USA (Where Tony Hale’s character lives)

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

設定上の地名は明示されませんが、撮影場所はシカゴ。

バス停

0:06

大通りにあり、背景に団地のようなビルが並んでいるのが特徴的。
マップをぐりぐり動かして探しましたが、シカゴ市内、中心部の南側のこちら↓でした。

King Drive & 26th Street

1:37頃ハロルドが倒れたのは、この↓街灯の前

背景の集合住宅があるあたりは、Prairie Shoresという地区名のようです。

アナの店

0:09
IMDbのリストのこちら↓

25th Street & Christiana Avenue, South Lawndale, Chicago, Illinois, USA

リアルでは現在こちら↓のメキシコ料理店のようです。

La Catedral Cafe & Restaurant
https://www.chefambrociogonzalez.com/

ビルの屋上

0:13
カレン・アイフルがタバコ吸いながら立っていたところ。

South State St.とWest Madison St.の交差点。N.State St.の北の方を見ています。

がっつり『フィアレス』ですね 😇

時計が止まったバス停

0:20
役に立たない医師に看て貰った直後。
バスを待つ間に腕時計が動きを止め、「このささいな行為が……」と声が聞えるところ。

周囲の建物や道路の様子を手がかりにマップをぐりぐり回して探しました。
バス停はこちら↓の街灯のところ。実際にはバス停は無いようですね。

向かい側に後で出てくる楽器店があり、その前をアナが通り過ぎていきます。

時計はTIMEX。

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つい降りてしまったバス停

0:31

実際には「出版社」の出口(ジョン・ハンコック・センター)のすぐお隣(東側)。

ヒルバート教授の部屋

0:32
University of Illinois at Chicago, Near West Side, Chicago, Illinois, USA

こちら↓の建物の南西の角。カメラ西向き。
建物はリノベートされていて、現在ではキャンパスの他の建物に見られるような特徴的な縦格子は入っていません。

雨の橋

0:35

カレンがずぶ濡れになりながら構想を練っていたところ。
背景は何かの工場か発電所でしょうか?
橋と背景の施設は別の場所かもしれませんが、粘ればわかるかも。
気になるので調査中。

キャンパス

0:53

ハロルドと教授が歩いてくるところ。
教授の部屋と同じ場所。

University of Illinois at Chicago, Near West Side, Chicago, Illinois, USA

この↓奥から手前に向かってやってきます。建物はリノベートされているようですが、Google Earthの2003年4月で映画と同じ道路構成を確認できます。

1:24頃教授と話すロビーのようなところはこちら↓の棟

楽器店

0:56

「時計が止まったバス停」の真向かい。
左隣の”TACO FRESCO”や右隣の”LA SALLE FLOWERS”は2009年あたりまでは確認できます。

デイヴの住まい

0:54,0:59

River City Condominiums – 800 S. Wells, Chicago, Illinois, USA (Tony Hale’s apartment)

1:00のエレベータも同じ場所。

Wreckless Eric – Whole Wide World

出版社

「バネカー出版 BANNEKER PRESS」 という設定ですが、「バネカー」も著名人から。

John Hancock Center Condominium Owner’s Entrance – 875 N Michigan Ave, Chicago, Illinois, USA (Banneker Press Lobby)

ということでコンドミニアム用のロビーのようです。
出てきたのは南側のこちら↓

1:34

ヴァンゲリス「海辺の少女」La petite fille de la mer 

病室

1:39

窓の外の景色は、時計塔(リグレービル Wrigley BuildingW)を北側のビルから捉えています。

ロケ地マップ

資料

更新履歴

  • 2021/02/01 新規アップ

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