『大脱走』 The Great Escape (1963)

大脱走 (アルティメット・エディション) [DVD]

作品メモ

一つ前のエントリー『遠すぎた橋』のリチャード・アッテンボロー監督が出演した、俳優時代の代表作のひとつ。

続けて鑑賞すると、同じようにスターを並べた3時間近い戦争大作なのに、まったく別のテイスト。
もちろんシリアスな映画と娯楽色が強い映画では違うのが当たり前ですが、それとは別に映画のスタイルだけを見ても、『大脱走』は何よりスターありきの映画。スティーブ・マックイーンを筆頭に、スターの魅力を全面に押し出して物語がそれに奉仕するスタイルとなっています。
作られて半世紀近く経とうとしているのに、今なお色あせず、見ている方は最初に観た時と同様に思わず手に汗握り感動してしまうというのは、やはりそうしたスターの力が大きいのでしょうね。
『遠すぎた橋』でロバート・レッドフォード演じたクック少佐の役はマックイーンにオファーがあったということですが(IMDbのトリビア)、もし実現していたらどんな場面に仕上がっていたのでしょう??

この『大脱走』、昔からテレビ放送で何度も親しんできました。
年末やお正月、期首特番など、特別なタイミングでしかも2週に分けて放送されることが多かったように思います。
結末はわかっていても何度でも見てしまう、それこそ以前書いた『シャレード』に匹敵するテレビ名作劇場の横綱と言えるかもしれません。

キャスト&スタッフ

独房王(The Cooler King)ことヒルツ大尉にスティーヴ・マックィーン。
調達屋(The Scrounger)ことヘンドリー中尉にジェームズ・ガーナー。
脱走の指揮官、ビッグXことバートレット少佐にリチャード・アッテンボロー。
製造屋(The Manufacturer)ことセジウイック中尉にジェームズ・コバーン。
トンネル王(The Tunnel King)ことダニエル・ヴェリンスキー大尉(ダニー)にチャールズ・ブロンソン。

allcinemaのキャッチコピーでは「20世紀最大の娯楽大作が5大スターと共にいま爆発!」とありますので、この5人がメインのキャストということでしょうか?
出演は他に、デヴィッド・マッカラム、ドナルド・プレザンス、ハンネス・メッセマーなど。

監督・製作ジョン・スタージェス。
撮影ダニエル・ファップ。
音楽エルマー・バーンスタイン。テレビ放送された翌日は、学校でみんなでテーマ曲を口笛吹いたものです。

ロケ地

IMDbでは、

Bavaria Filmstudios, Geiselgasteig, Grünwald, Bavaria, Germany (studio)
Bavaria, Germany
Füssen, Bavaria, Germany (motorcycle scenes)
Geiselgasteig, Bavaria, Germany
Geiselgasteig, Grünwald, Bavaria, Germany
Hamburg – Munich Railway Line, Bavaria, Germany (railway scenes)
Munich, Bavaria, Germany

とドイツ、バヴァリア(バイエルン)地方で撮影されています。

この映画、最初の2時間以上、カメラは収容所の外へは出ません。
長い収容所の描写の後に登場した街並みや大自然は、とても美しくみずみずしいものに映りました。
その中を、自転車、ボート、列車、飛行機、バイクと様々な手段で自由を求めて移動する男たち。
彼らと気持ちがシンクロせざるを得ない、うまい構成だと思います。

今回も例によってIMDbのリストとウェブマップをもとに、ひたすら画面とにらめっこで探してみました。
答え合わせはしていませんので、間違えていたらごめんなさいです。

※15/8/6追記

第二次世界大戦映画 DVDコレクション VOL.2 「大脱走」 こちらは株式会社KADOKAWAから隔週で刊行中の第二次世界大戦映画DVDコレクションシリーズ。
先日出たばかりのVol.2が『大脱走』で、「押さえておきたい『大脱走』のロケ地」という記事でロケ地が紹介されていました。
このシリーズ、ラインナップ予定を見ると当サイトで扱ってきた映画では『遠すぎた橋』『ニュールンベルグ裁判』などのタイトルが見られ、どういった内容となるのか気になります。

OP

広原をひた走る軍用車の列。
遠くに高い教会の塔が見えます。
これが手掛かりになるかと思いましたが、今のところ場所は不明。

捕虜収容所

スタジオはミュンヘン郊外にあるこちらのスタジオでしたが、収容所のセットもその周辺の松林に作られました。

Bavaria Filmstudios, Geiselgasteig, Grünwald, Bavaria, Germany (studio)

国有地であるため、許可を得て伐採、撮影後は苗木を植えたとか(IMDbのトリビア)。

映画スタジオは上から見るとなんだか楽しいですね。
まだまだ不完全ですが、世界中のスタジオ一覧はこちらにまとめてありますので、よろしかったらどうぞ。

http://inagara.octsky.net/映画スタジオ一覧

乗った駅

列車移動を目論んだ脱走者たちが現れたところ。
“Neustadt”と駅名が標示されていますが、架空のものでしょう。
IMDbでは、

Hamburg – Munich Railway Line, Bavaria, Germany (railway scenes)

と大ざっぱに書かれていて探す気が失せかけましたが、とりあえず条件を整理。

  • ホームは3つ?
  • 駅のあたりは分岐が多い。
  • 駅舎を左手にみたカットでは、線路の先は右に曲がっている。
  • 駅舎を右手にみたカットでは、線路の先はまっすぐ伸びていてる(普通の複線?)。
  • 駅舎の向こうは道路が右斜めに伸びている。

スタジオの近くから線路をたどっていったところ、北西へ2kmも離れていないところにそれらしいところを見つけました。


大きな地図で見る

ここだと思うのですが、いかがでしょう??
メインの駅舎やプラットフォームは無くなっていますが、線路の構成は映画とほぼ一致。
“Neustadt”と書かれてあった建物と、そのとなり(東側)の建物はまだ残っているようです。
脱走者たちが乗ったのは(跡だけ見える)南から2番目のホーム。
列車は東からやってきて西へ向かっていきます。

自転車を盗んだ街角

トランクをたずさえたセジウイック(ジェームズ・コバーン)が自転車を調達したところ。
背後に特徴的な教会の塔が見えます。 これが手掛かりとなりました。

教会はこちら。

St. Margaret (Markt Schwaben)W

Photo from Wikipedia (public domain).

Markt SchwabenWは、スタジオから北東へ25kmほど。
 

教会の位置から逆算して、自転車泥棒の犯行現場はこのあたり(カメラ北向き)。

Photo from Wikipedia (public domain).

バイクを奪う道

ワイヤーを仕掛けるヒルツ(マックイーン)の後ろに小さな村と教会が見えます。
場所は調査中ですが、これはかなり難しそう。

ボートを見つける川縁

川向こうにお城のような建物や教会の塔が見えます。
この景色が、IMDbのリストにあるFüssen(フュッセン)Wの町の景色とどんぴしゃ一致(スタジオから南西に80km)。
アングルから逆算して、ボートを手に入れたのはこのあたり。

対岸はこういった感じ(カメラ西向き)。

参考までに、二人がボートを見つけたカットで背景に写る橋の道を東へ3kmほど行くと、『わが青春のマリアンヌ』でチェックしたホーエンシュバンガウ城‎(Schloss Hohenschwangau)があります。

自転車が通り過ぎる教会

セジウイック(ジェームズ・コバーン)が自転車でコキコキ去っていくところ。
かなりはっきり写るのに、これは探し当てられませんでした。
引き続き調査中。

ボートと橋

川下りするボートと、その先の橋。
ちょうどこのアングル。

これは実はボートに乗ったところから西(川上)へすぐのところに架かっている橋です。
その後建て替えたのでしょうか、橋脚や橋桁の形が現在では違っていますが、周囲の建物がほとんど今でも同じように残っていますので、ここで間違いないと思います。
ボートは西からやってきて、東に向かっています(カメラ東向き)。
このまま橋をくぐってこぎ続けるとすぐに先ほどボートに乗った場所に出ることになります……

さらに実はこの橋の南側、フレームの中心のあたりは、後ほどセジウイックがレジスタンスと接触するカフェがあった場所です。
この場面ではカフェは影も形もありませんが、よく見るとカフェの場面で写っていた広告塔の円柱が確認出来ます。

踏切と駅

自転車でやってきたセジウイックが貨物列車に忍び込むところ。
調査中。

ドイツ兵たちがいる交差点

ヒルツ(マックイーン)がドイツ兵を蹴飛ばして逃げ出したT字路風の交差点。
“Ravensburg 98km”、”Basel 124km”といった標識が見えますが、小道具でしょう。
場所は調査中。映像だけからではちょっと難しいかも。

到着した駅

こちらはFüssenの駅ですね。
列車がやってくるカットはまさにこのアングル。

背景の建物は現在と違っていますが、その逆のアングルでは現在と同じ形の建物をいくつも確認できます。

このサイズでは小さくて見づらいですが、突き当たりとその右側の駅舎、突き当たりの背後にある建物は映画に登場したのと同じ形をしています。

Panoramioではこういったところ。

デヴィッド・マッカラムが逃げようとしたのはこんなアングル。

©1986 milou アルバム「ドイツ」から

※12/11/3追記
milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1986年とのことです。
映画で言うと、ちょうど列車がやってくる線路の車止め?ですね。

ヒルツが国境線を見たところ

バイクを停めて、国境線とドイツ兵を見つめるところ。
背景の山と教会の塔が特徴的な形であったため、まず教会の場所がわかり、アングルから逆算して撮影場所がわかりました。
北からやってきたヒルツはこの場所でバイクを停めています。

主な撮影地フュッセの町からは西へ10kmほどのところ。

Google Earthで再現してみました。
道の形や背景まで合っているのでここで間違いなさそうですけど、どうでしょう?

背景の山々はこんな感じ。

教会はこちら。

St. Nikolaus (Pfronten)W

山上の城

ヘンドリーたちの飛行機から見えた城のような建物。
これはもう調べるまでもなく、『ルトヴィヒ』のノイシュヴァンシュタイン城W
フュッセンの町から東へ直線で4km。

Photo from Wikipedia (public domain).

 

このエリア、わずか数kmの範囲で、『大脱走』、『ルトヴィヒ』、『わが青春のマリアンヌ』といった映画のロケ地が密集していることになります。
映画マニアならずとも眺めや雰囲気も良さそうですし、一度は訪れてみたい気がしました。

©1986 milou アルバム「ドイツ」から

※12/11/3追記
こちらもmilouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
撮影は1986年とのことです。

©1986 milou アルバム「ドイツ」から

不時着地点

近くにやはり教会が見えます。
画面とにらめっこしすぎて目がしょぼついてきたので、この場所は最初からパス。

余談ですが、今回教会(の塔)が手掛かりになることが多く、画像検索かけまくりました。
似ているものがヒットしたら、教会の名前や地名、座標を探し求め、再度画像を調べるという手順の繰り返し。
このあたりは塔の上がタマネギ的な形になっている東方教会様式が多く、少しずつ形が違っていたためかなり苦労しました。

カフェ

橋のすぐそばにあるカフェ。
レジスタンスがドイツ軍将校を襲撃するところ&セジウイックがレジスタンスと接触できたところ。
前述のように、設定はともかく撮影場所はフュッセンの町、ボートの行く手にあった橋。
周囲の建物はみな映画と同じ姿で残っているようです。

この↑パノラマ画像が臨場感たっぷりでお奨めです。

逃げる街角

追われるビッグX。
屋根の上を逃げる場面でフュッセの町の教会が写っているカットがありますので、やはりフュッセと思われます。

ロケ地マップ

『大脱走』の他、バイエルン地方で撮影された映画も一部含めています。


より大きな地図で 『大脱走』 を表示

資料

更新履歴

  • 2015/08/06 「ロケ地」書籍情報追記

『大脱走』 The Great Escape (1963)” への2件のコメント

  1. 手元に映像がなくネットでチェックして腑に落ちなかったのがFussenの駅。
    どこを見てもFussenと書いてあるし結局画像検索した結果も100%間違いないようですが
    駅の規模が大きすぎるのと3番線(一番外側)の右の白い建物のあたりが…

    2番線ホーム突き当たりの建物の奥に見える特徴的な白い建物は現在Main Station Hostel で
    以下のホテルから見た写真でも、まさに3番線の建物のあたりが取り壊されているようだが…

    http://www.facebook.com/photo.php?fbid=408855739160575&set=a.408855565827259.86567.408851725827643&type=1&permPage=1

    ちなみにメイキングを作ろう(?)というTour のHPがありました。恐らくほかの場所も特定できるでしょう。

    http://www.thegreatescapelocations.com/The%202012%20'Making%20of%20The%20Great%20Escape'%20Tour.htm

  2. milouさん、毎度コメントといろいろな画像ありがとうございました。
    こちらだけでなく、『男と女』や『オー!』も少しずつアップしておきましたのでご覧になってみてください。
    このFussenの駅、映画ですと何本か線路が確認出来てそこそこのターミナル風に見えますが、現在の画像では北側の白い建物がなくなって住宅になっているようですし、線路の数も減っているようで、ホームひとつの普通にローカルな駅のようですね。
    あんまりわびしいと心配になってきますが、「ドイツロマンチック街道の旅」といっても鉄道はオミットされているのかもしれませんね。

    それからサイトのご紹介もありがとうございます。
    熱心なファンがいそうな映画は、だいたいロケ地とか根こそぎチェックされているもので、答え合わせにはもってこいですよね。
    逆に最初にうっかりそういうところを見てしまうと自分で調べる面白みがなくなってしまうので、痛し痒しです。
    やはり誰もとりあげていそうもない映画をチェックして、正解かどうか誰もわからないし、間違っていても誰も気にしない、そんなエントリーの方が気楽で良いかもしれませんね~

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