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『ハッピー・ゴー・ラッキー』 Happy-Go-Lucky (2008)

ハッピー・ゴー・ラッキー [DVD]

ハイなヒロインその2

作品メモ

ひとつ前のエントリー『あの胸にもういちど』から、妙にハイな女性ライダーつながり。
同じバイクのライダーといってもこちらは自転車ですけど。

ヒロイン「ポピー」(サリー・ホーキンス)はアラサーの小学校教師。
とても明るくポジティブなキャラで、タイトル通り「ハッピー・ゴー・ラッキー」な日々を送っています。
ある日彼女は愛用の自転車を盗まれてしまいますが、そんなときも怒らずくさらず、「お別れ言えなかったわね~」と思うだけ。
これを機会に自動車免許を取ろうとしますが、指導教官がひとくせもふたくせもある男だったり、出産を控えた妹のところへ友人たちと遊びに行けば見事に会話がどん詰まりになったり……といった具合に、ヒロインとその周囲の人たちの日常がコミカルに綴られていきます。

コメディといっても笑いのツボがすっきりしているタイプではなく、市井の人々のちょっとおかしなやりとりをじわじわ楽しむタイプ。
その点、箸が転がらなくてもケタケタ笑うヒロインのハイテンションぶりは、ドン引きする人もいそう。へらへら具合は、『あの胸にもういちど』のマリアンヌ・フェイスフルといい勝負です。映画の中身はだいぶ違いますけど……。
かといってお仕事をいい加減にやっているわけではなく、持ち前の明るさはむしろ子供たちとは相性ぴったり。問題児童も適切に対応して、さらにそれをきっかけにソーシャルワーカーとつきあったりして……
こうしたヒロイン像をどう見るかで、作品の評価が分れるかもしれませんね。

監督・脚本はマイク・リー。こういうコメディを撮ることもあるんだ~とちょっと驚きましたが、現場で組み立てていく手法はこの作品でも採られていたようです。米国アカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネート。シネスコサイズはこれが初めてとのことですが、コメディ同様アナモレンズも一度やってみたかったのでしょうか。
軽やかな音楽はその後『家族の庭』でも組んでいるゲイリー・ヤーション。

日本では2011年8月開催の「三大映画祭週間2011」にて上映(同公式サイト内の紹介ページ)。
一般劇場公開はありませんでしたが、DVDが出ているほか、WOWOWなどで放映済み。
WOWOWで放映しているのを偶然見なければ、このエントリーを書くこともなかったでしょう。こういうのはテレビのいいところですね。

ロケ地

IMDbでは、

Holloway Road, Holloway, London, England, UK
Camden, London, England, UK
Finsbury Park Road, Hackney, London, England, UK
Finsbury Park, London, England, UK
Granby Place, Lambeth, London, England, UK
Highbury, London, England, UK
Regent’s Park, London, England, UK
Southend-on-Sea, Essex, England, UK
Southwark, London, England, UK (where Poppy loses her bike)
Tufnell Park, London, England, UK

と、撮影は主にロンドン。
今回は見ていて気になったところ数ヶ所だけピックアップ。

OP

橋を渡る直前(12/6/30追記)

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
橋を渡る直前、Editor Jim Clarkがクレジットされるところ。
場所はすでに橋を渡った状態。
Marshalsea Rd.を南下しSt.George The Martyr教会の角で右折しBorough High St.に入っています。

ちょうど「脚本・監督マイク・リー」がクレジットされたときに自転車で走っているところ。
爽やかで躍動感のあるカットですが、背景にセントポールが見えたので場所がわかりました。

ブラックフライヤーズ橋(Blackfriars Bridge)W


大きな地図で見る

自転車は南向き、カメラは北東向き。

※2012/06/30追記
milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)

こちらの撮影は1999年とのこと。

この2枚は「南側の橋の下の通路内で、橋の歴史が描かれています。」とのことです。
撮影は2002年。

工法がわかって面白いですね。

自転車を停めたところ

“GRANBY PLACE SE1″と標識がありました。
こちらはそのものずばりの写真。

  • http://www.flickr.com/photos/trailerfullofpix/4091933159/
  • http://www.flickr.com/photos/gosling/6818275685/

場所はこのあたり。
(※12/6/30追記 コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました)

コメント欄を読む限り、本屋さんはもう無くなっているようです。

クラブ(16/8/23追記)

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
(いつもありがとうございます♪)

クラブは、こことのことです。

KOKOW
1a Camden High St, London NW1 7JE
http://www.koko.uk.com/

外観は写らなかったかと思いますが、『Sense8 センス8』でチェックしていたので、マップと画像をそのままコピペしておきます。

明け方の橋(12/6/30追記)

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。

ライブ(クラブ?)のあと明け方歩いているのはカムデン・ロックの運河の橋(Camden High St.)。

※13/1/31 追記

milouさんから画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)
橋を渡ったところ、北向きのアングル。

クリニック(12/6/30追記)

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
映画の中では”CAMDEN PHYSIOTHERAPY CLINIC”ですが、近い名前で実在します。

T字路の店(12/6/30追記)

コメント欄でmilouさんから情報寄せていただきました。
住まいの近くのお店。
T字路の角にあり、自動車教習の車が停まる場面などで何度か写ります。
場所は、Finsbury Park Rd. とMountgrove Rd.の交差点。

ジャンクション

妹夫婦に会いに行く途中で写るところ。

画面の下の方に”Leamouth, Royal Docks”という標識が見えたので場所がわかりましたが、SVで示すとこちら。

背景で右から左へ走っているのは、DLR(Docklands Light Railway)W
一番近い駅はCanning TownW
このあたりは南北に地下鉄と併走しているようです。

妹夫婦の住まい

テムズ川河口近くの、Southend-on-SeaW
海岸沿いの遊園地は Adventure IslandW
桟橋はSouthend PierW

ティムの住まい(12/6/30追記)

モダンな外観や長い渡り廊下が特徴的な集合住宅。
個人宅は深く追究しないのが基本方針ですが、デザインがとても気になったので調べてしまいました。

ポピーの住まいから2kmも離れていないですね。

公園

友人とボートに乗っていたところ。

Regent’s ParkWのBoating Lake。

ロケ地マップ

※16/8/23項目追加

 
 
 

資料

更新履歴

  • 2016/08/23 「クラブ」「ロケ地マップ」項目追加
  • 2014/06/09 milouさんの画像をPicasaウェブアルバムに切替

コメント

  1. milou より:

    マイク・リーの作品は劇場映画のみならずBBC時代のTV映画まで
    ほぼ全作品を見ているが最近までこの作品の存在すら知らなかったので
    レンタルしてみた。『Topsy Turvy』(NHK-BS放送済み)が劇場公開され
    なかった理由は分からなくもないが、なぜこの作品が公開されなかった
    か不思議ではあるが、まあタイトル通り脳天気な女性が主人公だから
    (一見)マイク・リーの“イメージ”に合わないからか…

    さて例によって映画なのでOPの順路が非現実的だが確定できた場所の
    経路では橋を渡る前にすでに橋を渡っていて自転車を停めた場所とは
    正反対の場所を通ったあとに再び橋を渡ることになってしまうが、
    まあそれは大目に見るとして。

    ★橋を渡る直前クレジットのEditorのバックにBrandon House が見える。
    場所はすでに橋を渡ったMarshalsea Rd.を南下しSt.George The Martyr
    教会の角で右折しBorough High St.に入っている。

    ★自転車を停めた正確な場所はBaylis Road とLower Marsh が交差する
    北側。SVでSpur Roadの青い網(?)も確認できます。
    普通ならBlackfriyers 橋を渡ったなら渡ったあと右折しStamford St.
    に入りIMAX(行きました)のラウンドアバウトを 左折しWaterloo Rd.
    に入り由緒あるOld Vic シアター の交差点で右折すればLower Marsh
    に着くが彼女は北西側から降りて来るので変な話だが、まあ彼女なら
    何をやってもおかしくない?

    ちなみに、その交差点にある黄色い看板のBook Warehouse はいわゆる
    ゾッキ本を扱う超格安の本屋で僕も買ったことがある。この辺はあまり
    縁はなかったが少し北のテムズ河岸にはNFT(シネマテーク)があり
    僕は会員で毎日のように映画を見ていた(NFTでは216本以上見ている)。

    ★ライブ(クラブ?)のあと明け方歩いているのはカムデン・ロックの
    運河の橋でCamden High St.を南に向かっている。
    カムデンに小さなライブハウスは数多くあるが映像で見る限りかなり
    大きな劇場で、方角は逆だがRound House ぐらいしか考えられない。
    しかし内部は違い、むしろShepahards Bush のEmpire が似ている。
    (ここではイギー・ポップを見た)。

    ★何度か映るピンクの店はFinsbury Park Rd. とMountgrove Rd.の交差点。
    面白いのは多分映画の撮影時の2007年にはすでに空き家で貸しますの
    表示があるがSVで2008年6月には借り手が付きPolish Delights
    として開業で真っ赤な店に、しかし2009年9月ではその店も潰れ再び
    空き屋に戻っている。
    カムデンからフラットまでは3マイルあり歩けば1時間なので少し
    遠いが歩けない距離ではない。僕もカムデンでのライブのあと深夜に
    40分ぐらい歩いて帰ったことがある。

    ★働いている幼稚園はThanksにあるPilgrim’s Way Primary School

    http://pilgrimswayprimary.co.uk/about/admissions/admissions-3/

    ちなみにDVDでこの場面。渡り鳥の説明で北極から南極まで約1500キロ
    と、とんでもない間違いの字幕が出る。英語は9,300マイルで14970キロ。
    なぜか字幕で数字の間違いは多いが不思議なのは間違いそのものではなく
    何度も複数の人がチェックするのに通過してしまうこと。
    日本の本州ですら1300キロあるのに…

    ★運練習転中に走る道路は一応フラット近くなので矛盾はない。
    はっきり道路名が見えるのはMarquis Rd.やVictoria Rd.

    ★腰痛の治療を受けるのはCamden Physio Clinic

    http://www.camdenphysio.co.uk/contact-us/info_2.html

  2. inagara より:

    milouさん、おはようございます。
    これレンタルされていたのですね。WOWOWで放送されなければ一生知らなかった映画かもしれません。
    マイク・リー全作品制覇はすごいですね。確かに「一見」マイク・リーっぽくないですし、なによりヒロイン像の取扱がむずかしくて、売り方が難しかったのかもしれませんね。

    詳細チェックもありがとうございます。細かいところまでチェックしていなかったので、とても助かりました。全部本文の方にいただきますが(汗)、今「フォロー・ミー」をチェックし直しているところなので、それが終わってからになってしまうと思います。ご了承ください。

    (Blu-rayに焼いてしまうと、リビングに行かないと見る方法がない……やはりBlu-ray付パソコンを新調すべき??)

  3. inagara より:

    milouさんの書き込みをもとに本文追記&画像アップしました。
    学校は省略してしまいましたが、そういえばWOWOWの字幕でも1500キロになっていましたよ。ケタ間違えては渡り鳥気の毒ですよね~

  4. milou より:

    クラブはここ(KOKO)だった。
    ロンドンのTime Out 誌にマイク・リー自身がロケ地を再訪する
    Mike Leigh’s London locations という記事があった。
    場所はカムデン・ロックの 1A Camden High Street London NW1 7JE で
    内部の写真を見ると確かに間違いないようだ。
    マイク・リーが映画と同じように橋を渡る写真も出ている。
    記事によるとクラブに夜の9時に行って混雑のため11時には退散したとか…

  5. 居ながらシネマ より:

    milouさん、コメントありがとうございます。
    ここですか。
    焼いたはずのディスクが見つからないのでまだ本編では確認していませんが、紹介してくださった記事には確かにここと書かれてありますね。項目追加させていただきました。ありがとうございます。

    この記事とても面白いですね。具体的で情報もいっぱいで。
    『秘密と嘘』とあわせて監督作のマップ作りましたが、この記事を参考にして、さらに増やしていこうかと思います。

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