『ダンケルク』 Dunkirk (2017)

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作品メモ

ひとつ前のエントリー『ブラス!』ではエルガーの「威風堂々」が威風堂々と使われていましたが、こちらは同じくエルガーの「ニムロッド」(「エニグマ変奏曲」W第9変奏)。
どのように使われたかは、下の方に設けた項目「ニムロッド」をご覧ください。

「自宅に居ながら映画鑑賞」を決め込んでいる自分ですが、クリストファー・ノーラン監督作は早く見たい一心でこの『ダンケルク』ものこのこ劇場まで見に行きました。
結果『インセプション』同様きょとんとなった自分が発生……

ダンケルクの撤退作戦(ダイナモ作戦W)を陸・海・空の3つの視線で描き、しかも異なる時間線を編集で束ねていくという、監督お得意の時間軸やら世界線をいじくりまわす構成。
このやり方が果たして奏功したのか、おそらく見る人に拠るかと思いますが、少なくとも自分の場合は一度で理解するのは無理でした。

1週間、1日、1時間と長さが異なる3つの視線を、123123……と均等に混ぜているので、ひとつの視線で描いた事象が別の視線で別のタイミングで再現されたりして、混乱します(例えば、パイロットの目線で3機の編隊がムーンストーン号を追い抜く場面が先に描かれ、しばらく後でムーンストーン号の目線で上空を3機の編隊が通過するショットが入れられる)。
さらに別の事象なのに同じような出来事として編集で重ねられることもあり、混乱に拍車をかけます(例えば、ムーンストーン号とダンケルクの海岸にそれぞれ敵機が迫ってくる場面)。

ソフトが出たときにメモを取りながら繰り返し見て、ようやく完全に理解できるようになりましたが、パズルが解明できたからといって感銘が深まったかと言えば別の話。
さりとて構成があまり理解できなかったからといって、感銘を受けなかったかと言えばそれも別の話。
見終わってきょとんとはしたものの、堪能はできてしまったので、ノーラン監督の手管にすっかりやられてしまったのでしょう。

この映画でダイナモ作戦の全貌を知ることはできませんし、また当時のダンケルクの状況も、たとえば大勢の兵士たちが待機しているはずの浜辺が妙に整然(あるいは閑散)としていて、『つぐない』の伝説的長回しの方が雰囲気は伝わってきたような気もしますが、そういったことを含めて、史実に即したというよりは、ノーラン監督が独自の視点と表現で再構成してみせ、見る側はその芸風を堪能する、そんな映画なのかとも思いました。

英語原題はそのまんま「ダンケルク」。
ダンケルクならDunkerqueじゃないかと思ったりしますが、英語表記はDunkirkでした。

時間線

  1. THE MOLE one week (陸 1週間)
  2. THE SEA one day (海 1日)
  3. THE SKY one hour(空 1時間)

各テロップはそれぞれのシーンの最初に出ますが、「陸」はOPの後なので少し分かりづらいです。
6分過ぎ、船が停まる防波堤を捉えたショットで防波堤の上にふわっと現れますが、”MOLE”は防波堤なので、これはある意味当たり前。
ただ字幕で「陸」とするのもわかるような。

スタッフ&キャラ

監督・脚本・製作クリストファー・ノーラン、撮影ホイテ・ヴァン・ホイテマ、音楽ハンス・ジマー。

キャラとキャストは……

トミー/フィン・ホワイトヘッド
命からがらダンケルクの海岸に逃げてきた英国陸軍二等兵。これが劇場用映画デビュー作。どろどろボロボロ状態になると他の若い兵士と区別が付きづらくなりますが(失礼)、顎の右にあるホクロで私はなんとか識別してました。
ギブソン/アナイリン・バーナード
トミーが海岸で知り合った兵士。妙に無口ですがそれには理由が……。
アレックス/ハリー・スタイルズ
溺れそうになるところをトミーが助けた高地連隊二等兵。ハリー・スタイルズ(ワン・ダイレクション)はこれが俳優デビュー。
ボルトン海軍中佐/ケネス・ブラナー
いつも防波堤にいて、陣頭指揮を執る。敵機が迫ると静かに目をつぶる。
ウィナント陸軍大佐/ジェームズ・ダーシー
こちらは陸軍代表。ボルトンの傍にいることが多いが、海岸も出歩く。
ボルトンは海軍中佐(Commander)、ウィナントは陸軍大佐(Colonel)。最初に見たとき、雰囲気でケネス・ブラナーの方が階級が上なのかと思ってました。

そういえばオランダ人の船員はどうなったんでしたっけ??

ミスター・ドーソン/マーク・ライランス
遊覧船ムーンストーン号の船長。ピーターの父親。徴用を待たずに自らダンケルクへ救出に向かう。ピーターたちに的確に指示して多くの兵士を救い、敵機の襲来にも沈着冷静に対処するなど、国難に際し自分の責務を果たそうとする大人の市民を見事に体現。一方で機影も見ずに「ロールスロイス マーリンエンジン」と当ててみせてニヤリとするなど、ユーモアも忘れない。ノーラン監督にとって理想の父親像なのかもしれません。
ピーター/トム・グリン=カーニー
ドーソンの次男。兄は戦死している。演じた俳優さんは、これが劇場用映画デビュー。なんとなくルックスがノーラン監督と重なって見えます。
ジョージ/バリー・コーガン
ピーターの友人。人の役に立ち新聞に載るのが夢。
生存兵士/キリアン・マーフィー
途中沈没船からドーソンたちに救出された英国兵。
ファリア/トム・ハーディ
ダンケルクへ援護に向かうスピットファイアのパイロット。被弾して燃料計が故障。不安を抱えながらも、きっちり任務を遂行します。
コリンズ/ジャック・ロウデン
ファリアの同僚機のパイロット。途中の交戦で無念の墜落。ぎりぎりのところでムーンストーン号に救助され以後行動をともにする。
隊長(声)/マイケル・ケイン
飛行小隊の隊長は姿はちゃんと写りませんが、声はマイケル・ケインとのこと(クレジットなし)。これで『バットマン・ビギンズ』以来ノーラン監督作連続出演記録更新中。

なお、ドイツ軍はただ”THE ENEMY”と表され、顔もほぼ写りません。

「ニムロッド」

エドワード・エルガー作曲「エニグマ変奏曲」W 第9変奏「ニムロッド」(Nimrod)

オリジナルの演奏はYouTubeに多々アップされていますが、たとえばこちら↓など個人的にお気に入り♪

コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団↓

 

映画では、ハンス・ジマー特有の、しゃりしゃりっとしたストリングスやパッド系のサウンドでアレンジされています。

「何が見える?」
「故郷だ」 ↓

 
これ↑はおそろしくテンポが引き延ばされていますが(上のロンドン響の約4倍)、劇場で見ていてすぐに「ニムロッド」だと気づき、しびれました。
民間の小舟が群れをなして救出に来るという、イギリス人ならずとも胸熱必至のエピソード。
ここで「ニムロッド」使わないでどうするの、という場面ですね。
これが「ルール・ブリタニア!」なら全然あかん感じになります 😆

この小舟の船団の中に、きっと『刑事フォイル』第2話の船長親子もいるのでしょうね。

オーラス↓

  

これ↑はスピットファイアの部分を抜粋してサントラに合わせているので、本編とは編集が違っています。

この他、0:54頃、燃料が尽きかけたファリアが帰投をあきらめ同胞を助ける道を選ぶ場面でも短く流れます。

ロケ地

IMDbでは、

Urk, Flevoland, Netherlands
Netherlands
Weymouth, Dorset, England, UK (English port)
Daedalus Airfield – Lee on the Solent, Hampshire, England, UK (Flying and Model aircraft sequences)
Plage de Malo-les-Bains, Dunkerque, Nord, France (Operation Dynamo)
Point Vicente Interpretive Center and Lighthouse, Rancho Palos Verdes, California, USA (explosion and gunfire sequences)
Dunkerque, Nord, France
Swanage Railway, Dorset, England, UK (train station)
La dune Dewulf France, Dunkerque, Nord, France (Operation Dynamo)
IJsselmeer, Netherlands (Moonstone scenes at sea)
Rue Belle Rade, Dunkerque, Nord, France (street barricade held by French soldiers)
Rue des Fusillés, Dunkerque, Nord, France (platoon running away from enemy fire)
Warner Brothers Burbank Studios – 4000 Warner Boulevard, Burbank, California, USA (studio)
UK
Los Angeles, California, USA
France
USA

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

さすがCG嫌いのノーラン監督、ダンケルクの海岸は現在の状態をできるだけそのまま使い、浜辺に面した建物も1階部分を擬装するだけにとどめています。

OP・ビラがまかれる通り

スローモーションでビラが舞い落ちてくるのは、IMDbのリストのこちら↓
通りの西の端からカメラ東向きで捉えています。

Rue des Fusillés, Dunkerque, Nord, France (platoon running away from enemy fire)

ホースで水を飲んだのは、この↓家の前

その後必死で乗り越えた塀は、通りの西端のこちら↓

フランス軍のバリケード

民家を乗り越えて、出てきた通り。

Rue Belle Rade, Dunkerque, Nord, France (street barricade held by French soldiers)

浜辺

バリケードからまっすぐ駆けてきたところ。
本物のダンケルクの海岸。

Plage de Malo-les-Bains, Dunkerque, Nord, France (Operation Dynamo)
La dune Dewulf France, Dunkerque, Nord, France (Operation Dynamo)

船着き場

0:08
小舟が係留されているイギリスの港。

Weymouth, Dorset, England, UK (English port)

ジョージがドーソンの船まで駆け下りていったのはここ↓

これまでのエントリーで言えば、ちょうど『呪われた者たち』でヨットに飛び乗ったあたりですね。

ムーンストーン号が係留していたのはその先。
食器を片付けていますが、この船は遊覧船でしょうか?

防波堤

0:10

担架を担いで進んでいくところ。
フランス兵が詰め寄っているところで右へ曲がっていきますが、こちら↓

その先の防波堤もすべてホンモノを使っていますが、おそらく白い桟橋部分は撮影用に増築していると思われます(0:26頃の空撮で位置が特定できます)。

駆逐艦

0:18
ムーンライト号がすれ違った駆逐艦、他。
戦時中のイギリスの軍艦で動く船がなかったため、フランスの退役した駆逐艦Maillé-Brézéを使ったとのこと。

兵士たちの救出

ムーンストーン号が兵士たちを救出する場面。

IJsselmeer(アイセル湖)W, Netherlands (Moonstone scenes at sea)

WikipediaWによれば、

its most demanding scenes, with up to sixty people on a boat designed for fewer than ten, were shot on the Dutch lake IJsselmeer to avoid the challenge of the Dunkirk tides.

新聞社

1:35

1:36

設定では子供のセリフによれば ウォキング Woking。
実際の撮影はこちら↓  

Swanage RailwayW, Dorset, England, UK (train station)

この↑SVのように、北側から撮っていますね。
映画で列車は画面右手から来ていて、さらに左手へ進んで行きそうな雰囲気ですが、こんな↓感じでターミナル駅なのでその先はありません。

ロケ地マップ

資料

更新履歴

  • 2020/09/27 新規アップ

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