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『イル・ポスティーノ』 Il postino (1994)

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作品番号8
パブリートの心音

作品メモ

このところシチリアを舞台にした映画を続けていますが、この『イル・ポスティーノ』はいくつか前の『ストロンボリ』同様、シチリア島の北側に点々と広がるエオリア諸島のひとつが撮影に使われています。

舞台は南イタリアの小さな島。漁師には向いていないと郵便配達員になった若者が、祖国チリを追われて島に身を寄せている亡命詩人と出会い、交流する姿を描きます。
この詩人パブロ・ネルーダWは実在実名の人物。
それ以外はほぼフィクションですが、実在の人物が登場することで、作品にぐっと重みと奥行きをもたらしています。

原作はアントニオ・スカルメタ(Antonio Skármeta)W“Ardiente paciencia”W
邦題『イル・ポスティーノ』で翻訳本も出ていました。
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実際には、1983年の同題映画のノベライゼーション(次項目参照)。
原作はチリの漁村の話ですが、それを詩人がイタリアのカプリ島に亡命したという史実とからめて、舞台をイタリアに移し脚色しています。

主役マリオにマッシモ・トロイージ。自身が映画化権を取得、脚色(共作)し監督に持ち込んで自らを主役に映画化を実現。
病を抱えながら撮影に注力し、終了直後に亡くなられてしまったというまさに入魂の作品となっています。
公開当時もこのあたりの事情が広報され、作品にかける強い信念に驚かされましたが(『竜二』の金子正次さんを連想した方も多そう)、いざ見てみると、その演技にはやはり引き込まれるものがありました。享年41。

亡命詩人パブロ・ネルーダにフィリップ・ノワレ。 ⇒ IMDb Photo
マリオが恋した食堂のベアトリーチェにマリア・グラッツィア・クチノッタ。  ⇒ IMDb Photo
詩人の妻マチルデにアンナ・ボナイウー(Anna Bonaiuto)。役名は実名Wですね。 ⇒ IMDb Photo

監督マイケル・ラドフォード、撮影フランコ・ディ・ジャコモ、音楽ルイス・エンリケ・バカロフ。

Ardiente paciencia (1983)

こちらがオリジナルの映画。
製作チリ、ポルトガル、ドイツ(Wikipediaに拠る)。
スペイン語。

予告編↓

場所の他に大きな違いは、時代でしょうか。
1994年版は詩人の亡命時代(1950年代初頭)であるのに対し、オリジナルは1973年にピノチェトの軍事クーデーターが起きるまでの数年間(=詩人の晩年期)となっています。

ロケ地

IMDbでは、

Pollara, Salina Island, Aeolian Islands, Messina, Sicily, Italy (rural and beach scenes)
Procida Island, Naples, Campania, Italy (harbor & village scenes)

エンドクレジットの謝辞は

La Direzione della Discoteca di Stato
Gli Abitanti dell’Isola di Salina
Il Comune di Malla
Il Commune di Procida
L’ufficio Circondariale Marittimo di Procida
Il Banco di Napoli Agenzia di Procida
il pittore Pippo Cafarella

例によって、ウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

OPの港

タイトルバックで漁師の舟が戻ってくるところ。主人公マリオの地元の港。

設定上の場所や名称は不明。
撮影は、IMDbのリストのこちら↓

Pollara, Salina Island, Aeolian Islands, Messina, Sicily, Italy (rural and beach scenes)

サリーナ(Salina)島Wは、『ストロンボリ』の舞台ストロンボリ島と同じ、シチリア州、エオリア諸島W

Pollara(ポラーラ)はサリーナ島の北西端。

画像の左下が、父親との会話の後マリオが自転車を押しながら上っていく石段。
映画ではアーチの下をくぐりますが、画像を見る限りアーチは失われてしまっていますね。

山道

上記階段を登った直後、山を背景に自転車を漕いでいきます。
ポラーラのこちら↓

ニュース映像

0:07

«詩人パブロ・ネルーダ ローマ到着»

こういうニュース映像は、日本でも70年代ぐらいまで名画座でかかっていました。ちょっと懐かしいですね。
詩人は美しい島に滞在していると伝えていますが、モノクロ映像でちらりと映る街並みは↓

プローチダ(Procida)W

コッリチェッラ海岸

プローチダ島は、『太陽がいっぱい』でおなじみイスキア島とナポリの間。
サリーナ島からは北へ約250km。
この遠く隔たった2つの島が、編集でひとつの島として入れ替わり立ち代わり登場しています。

郵便局

0:07

マリオが郵便配達人の募集広告を見つけた扉。
プローチダのこちら↓

詩人の家

0:12

このシーンで位置関係がわかります。サリーナ島ポラーラ。

Casa di Neruda nel film “Il Postino”

Googleマップではこのように↓マークされていて、宿泊施設のように見えます。

Agriturismo Al Cappero Appartamenti

ここはエンドクレジットの謝辞にあるPippo Cafarellaという方(画家)の住まいで、そのままでは個人宅として記載をためらうところですが、現在は宿泊施設として貸出している模様で、それならマップでの特定もOKでしょう。

ご本人や家についてはこちら↓がオフィシャルのようです。

https://pippocafarella.com/

海岸

0:28

波打ち際をマリオが右から左へ歩いて行くところ。
背後の海面に、「OPの港」で背景に見えた岩山と、その向こうにもうひとつ岩山のシルエットが見えます。
ということで場所はポラーラ。

岩の重なり方から見て、このあたり↓の真下。

おそらくその後0:29で、詩人と話す波打ち際も同じ場所。
マップでは”Spiaggia di Pollara”とあります。

画像としては、「OPの港」掲載画像の右手奥。
背後に高い崖が迫っているとても狭い浜です。

詩人もマリオもどこから入ってきたのでしょうね?
……と思っていたら、0:51頃ベアトリーチェに話しかける場面で、降りていけそうなところが写っていました。
でも、これどこ?

食堂

0:34 0:49 他
あこがれのベアトリーチェがいる食堂。 入り口上の表示は、«VINO E CUCINA»  ⇒ IMDb Photo

プローチダのこちら↓

SVを見ると、今ではちゃっかり«RISTORANTE IL POSTINO»と看板が出ていますね 🙂

Bar Ristorante IL POSTINO
La Locanda del Postino
Via Marina di Corricella, 43, 80079 Procida NA

SVで見る限り、映画とくらべて階段など少し外観が異なっているように見えます。
こちら↓の画像では左端に写っていますが、これは映画に近いたたずまいですね(撮影時期不明)。

海を見下ろす道

0:40
マリオが、後ろ手にバッグを持った詩人と話すところ。
映画のメインビジュアル。
ポラーラ、「詩人の家」近くのこちら↓

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ロケ地マップ

サリーナ島

資料

更新履歴

  • 2022/05/16 新規アップ

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