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『狼男アメリカン』 An American Werewolf in London (1981)

狼男アメリカン [DVD]

作品メモ

『ジャンボ墜落/ザ・サバイバー』『美しき冒険旅行』『2300年未来への旅』とジェニー・アガター出演作をチェックしてきましたが、早くも最終回の予感(笑)。
あと手持ちはこのくらいです。

他に当サイトで扱ってきたジェニー・アガター関連作は、『エクウス』『鷲は舞いおりた』、どこに出ているのかわからない『ダイヤモンド作戦』といったところ。

こうしてみると、自分が好むようないわゆるジャンルものによく出てくれていたんだな~と勝手にうれしがってしまいますが、それは自分がそんな映画ばっかり見てきたからで(汗)、実際の彼女は長い芸歴の中で、イギリスを中心に様々な映画やドラマで幅広く活躍しているはず。
最近もミステリーチャンネルかなにかで、英国製ミステリードラマにゲストで出ているのを発見。
もちろんそれなりに年齢は重ねているわけですが、あのつぶらな瞳やちょっとふっくらした鼻筋など若い頃そのままで、すぐに彼女だとわかりました。なんだか長いこととっておいた宝物を久々に取り出して見たような、ちょっと嬉し恥ずかし的心境になったものです。
ぜひ末永くご健康でご活躍あらんことを祈ります。

さて『狼男アメリカン』ですが、この邦題今となっては解説が必要かも。
当時サントリーがブランデーをプッシュプッシュしてまして、「ブランデー、水で割ったらアメリカン」というコピーを流行らせていたんですね。

 

これにひっかけているわけです。(なつかしい昭和の薫りをお届けしました……)

内容的にはそのまんま狼男ものなのですが、とぼけたユーモアやブラックなテイスト、シニカルな視線などいろいろな風味が重なり合っていて、不思議な魅力を持っている映画です。古典的なホラー映画とは一線を画していて、ここらへんが根強く支持される所以 かもしれません。
とはいえ見どころのひとつはやはり変身シーンで、直近の『ハウリング』の影響が見て取れます。
どちらの変身シーンもよく出来ていて、「め・き・め・き~っ」「ぐ・ぎ・ぐ・ぎ~っ」と筋肉や骨格がゆっくりと形状を変えていくさまは、当時マネして宴会芸に使った青少年も多かったかと思います。

ジョー・ダンテ対ジョン・ランディス、ロブ・ボッティン対リック・ベイカー。それぞれ素晴らしいお仕事ぶりで、楽しませてくれました。
デジタルVFXやらCGやらに食傷気味の現在、手作り感たっぷりのこういった映画を見るとホッとするような気持ちになりますね。

出演は……
イギリスの片田舎を旅行中に狼男に襲われてしまうアメリカ人デヴィッドにデヴィッド・ノートン。
一緒にヒッチハイクしていたその友人ジャックにグリフィン・ダン。
デヴィッドが入院していた病院の看護婦アレックスにジェニー・アガター。
医師ハーシュにジョン・ウッドヴァイン。

監督ジョン・ランディス、撮影ロバート・ペインター、音楽エルマー・バーンスタイン。
特殊メイクのリック・ベイカーはこの年新設されたアカデミー賞メイクアップ賞を受賞。

ロケ地

IMDbのリストは長すぎるので、折りたたみました。クリックしてご覧ください。

IMDbのロケ地リスト(クリックで開閉)

64 Coleherne Road, Earl’s Court, London, England, UK (Alex’s flat)
Brecon Beacons, Powys, Wales, UK
Chiswick Maternity Hospital, Netheravon Road South, London, England, UK
(David recovers in hospital)
Crickadarn, Powys, Wales, UK (East Proctor)
East Heath Road, Hampstead Heath, Hampstead, London, England, UK (Harry and Judith are killed on Hampstead Heath)
Hay Bluff, Powys, Wales, UK (Yorkshire moors/opening shots/Y junction where the boys are dropped off at the beginning of film)
London Zoo, Regent’s Park, London, England, UK (David wakes up after committing attacks)
London, England, UK
Lupus Street, Pimlico, London, England, UK (Alex’s flat – exterior)
Near Tower Bridge, London, England, UK (David kills the tramps)
Piccadilly Circus, Piccadilly, London, England, UK (David phones his sister then tries to slit his wrists – climactic finale)
Piccadilly, London, England, UK
Powys, Wales, UK
Princess Beatrice House, Old Brompton Road, South Kensington, London, England, UK (David’s hospital room)
Redcliffe Square, Earl’s Court, London, England, UK (outside Alex’s flat)
The Black Swan, Effingham, Surrey, England, UK (The Slaughtered Lamb pub, interior)
Tottenham Court Road Underground Station, Tottenham Court Road, Bloomsbury, London, England, UK (David chases Gerald Bringsley)
Trafalgar Square, St James’s, London, England, UK (David asks to be arrested)
Twickenham Film Studios, St Margarets, Twickenham, Middlesex, England, UK (studio)
Wales, UK
Well Walk, East Heath Road, Hampstead Heath, Hampstead, London, England, UK (Harry and Judith get out of the taxi just before David kills them)
Winchester Walk, Clink Street, Southwark, London, England, UK (alley where David is cornered by police)
Windsor Great Park, Windsor, Berkshire, England, UK (night scenes on the moors/Jack’s attack)

この映画は熱心なファンが多いでしょうから、きっとロケ地に関しても根こそぎ解明されていることと思います。
正解はそういった情報をご覧いただくとして(汗)、ここでは例によってIMDbのリストとウェブマップだけを頼りに、画面とにらめっこでチェックしていきました。
答え合わせはしていませんので、もし間違えていたとしたら、ごめんなさいです。

トラックから降りたところ

冒頭、ヒッチハイカー2人が羊のトラックから降りたところ。
後ほどドクターの車が走り抜ける場面でも写ります。
“ERWOOD”や”EAST PROCTOR”などを示した道路標識が立っていますが、これは小道具でしょう。

IMDbのリストではこちら。

Hay Bluff, Powys, Wales, UK
(Yorkshire moors/opening shots/Y junction where the boys are dropped off at the beginning of film)

Google Earthをぐるぐる回して、地形から絞り込んでいき、ピンポイント的に場所がわかりました。


大きな地図で見る

さすが、Wikimapia↑でもPanoramio↓でもロケ地として登録されています。

設定ではイーストプロクター(East Proctor)という名前。
撮影は、先ほどの分かれ道から西北西へ15kmほどのところにあるこちら。

Crickadarn, Powys, Wales, UK (East Proctor)

最初に写るロングショットは、村の南東側からのカット。
2人がやってきたのは、村の南側の道。

パブ

“The SLAUGHTERED LAMB”と看板が出ているお店。
2度目に登場する時にはっきり写りますが、南からやってきて左側2軒目の家がパブの外観に使われています。 お店ではなく個人宅かもしれないので、マップは略。

内部はこちらとのこと。

The Black Swan, Effingham, Surrey, England, UK (The Slaughtered Lamb pub, interior)

内部の画像で確認したわけではありません。

アレックスの住まい

IMDbでは2箇所書かれていますが、最初の方ですね。
おそらく個人宅でしょうから、教会の方の位置を示しておきます。

映画では番地まではっきり写ってますから、もしかすると今でも時々熱心なファンが訪れているかもしれませんね。
もし現地にいらっしゃる際は、住人の方のプライバシーにくれぐれもご配慮を。

ところで、看護婦さんのお給料でこのあたりに住めるものでしょうか??

地下鉄駅

IMDbのリストにあるこちら。
よく見ると画面でも駅名が確認できます。

Tottenham Court RoadW

動物園

ロンドン動物園。

コートを奪ったのはここ。

タクシーを降りたところ

1:16
トラファルガー広場の北西側。

当時はナショナルギャラリーの前をクルマがまっすぐ通り抜けられるようになっていたみたいですね。

警官にからむところ

トラファルガー広場、オベリスク北側のライオン前。

※18/7/22追記
Bill McCrearyさんから画像を提供していただきました。
言い争いしながら広場を横切っていくコースがすっぽり写っていますね。
他にもご自身のブログに多くの画像をアップされていますので、ぜひそちらもご覧ください。

ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学) アイルランド・英国紀行(2015年9月)(112)

電話ボックス

ピカデリーサーカスのこの位置。

背景の広告、映画ではフジフィルムとサンヨーですが、SVではヒュンダイ。う~む、ご時世ですね……

※2013/04/07追記

milouさんから画像を提供していただきました。 (いつもありがとうございます♪)
撮影は1999年とのことです。

映画館

その広告の下。今はGAPが入っているところ。

追い詰められるところ

IMDbでは、

Winchester Walk, Clink Street, Southwark, London, England, UK
(alley where David is cornered by police)

とのことですが、このあたりだいぶ建て替えやリフォームもあって特定が難しくなっていますね。
人々が押し寄せていたのはこの曲がり角、つまり Clink St. に Stoney St.が交わるところではないかと思われます。


大きな地図で見る

銃を持った警官隊がわらわら登場するカットで、向かって右側に写っている建物が(だいぶきれいになっていますが)現在”STARBUCKS COFFEE”と入口上に出ている建物なので、それが決め手です。
したがって、デヴィッドが追い詰められるのは、Clink St.の奥の方(東側)のはずですが、あたり一帯がリニューアルされていて特定は出来ません。

※2012/11/25追記
milouさんからコメント欄で情報寄せていただきました。
人々が押し寄せていたのはこの角で合っているようですが、袋小路の路地は別の場所のようです。
詳しくはぜひコメント欄をご覧ください。
合わせてこのあたりの画像を提供していただきました。
(いつもありがとうございます♪)

Clink Streetの東端、袋小路に該当するはずのWinchester Palaceから。
右側の緑のシートで工事中のところがStarbucks の2軒ほど右隣でしょうか。

ドックの帆船、Golden Hinde号。

上記SVの突き当たり、The Clink Prison Museum。
SVで見えているのは裏手で、この画像は反対側(西側)の正面入口。
ウェブサイトはこちら。

http://www.clink.co.uk/

資料

更新履歴

  • 2018/07/22 「警官にからむところ」にBill McCrearyさんの画像を追加

コメント

  1. milou より:

    ラストの路地ですが確かに現Starbucksとあるビルと右隣のビルは
    間違いないから人々が押し寄せていた場所も間違いない。
    ただし路地は示されているSV(突き当たりはClink Prison Museaum 裏)とは逆方向で
    映画ではどうみても袋小路の狭い路地だが現在のSVで突き当たりに見えているのは
    ドック(Pckfords Wharf)のGolden Hinde号のレプリカ船で袋小路ではなく道幅も少し広い。
    この通りはGlobe Tour のときに歩いたが確かに再開発地区ではあるが保存地区なので立て替えや
    修復のみで道路を壊したり拡張ははしていないはずで迷路のように複雑な道が残されている。

    例えばSVを袋小路に該当するGolden Hinde 方面から見れば左手には壊れかけた石造りの教会風の
    壁面だけが保存され手前は窪んだ空き地だがただの空き地ではなく降りるための螺旋階段も設置され
    史跡(Winchester Palace)の庭としての標識も立てられている。
    しかし映画の画面では右手はビルばかりで裏口にゴミ袋がたくさん置かれていて合わない。
    どうも路地部分は別の場所だと思われる。

    http://goldenhinde.com/#

    http://en.wikipedia.org/wiki/Winchester_Palace

  2. inagara より:

    milouさん、こんなエントリーまでチェックしていただいて恐縮です。
    路地は別物でしたか。そういえば、入り口から奥までつながったカットはなかったかもしれませんね。
    今出先なので、家に戻りましたら画像確認して記事を追記させていただきますね。
    どうもありがとうございました!

  3. milou より:

    いえいえ、ジョン・ランディスは『アニマル・ハウス』以来のお気に入り監督で『イノセント・ブラッド』ぐらいまではリアルタイムで見ていましたが最近は見ていない…
    というかAllcinema でみるとまともな(?)劇場映画は『ブルース・ブラザース2000』ぐらいまで、ということは、やはりほぼ全作見ていますね。

    この映画も見たときは最高に近い評価をしていました。
    中古で買ったビデオがあったはずなのに見つからずDVDをレンタルしました。

  4. Bill McCreary より:

    トラファルガー広場の写真で協力できます。

    ttps://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/afd12cb911592b44f3f42b5a8b2f2d4f

    個人的には、ライオン像の女の子がお気に入りです。でもトラファルガーの写真は容易に入手できますから、あまり必要ないかな。

    >これにひっかけているわけです。(なつかしい昭和の薫りをお届けしました……)

    これ、この記事を読んで知りました。ありがとうございます。でもこれ、さすがに同時代でないとわかりませんね。

    ところで居ながら様はジェニー・アガターをお好きなんですね。この映画でもけっこう大胆なシーンがあります。英国の女優は、案外脱ぎっぷりがいいと思います。

    それにしてもこの時期のランディス監督は、1本1本が「すごい!」とうならされます。やはりあの事故のせいでしょうか、輝きが失われてしまいましたね…。この映画でも、冒頭のウェールズのシーンといい、ロンドンでのロケーションといい、実にその土地の雰囲気がよく出ていました。

  5. 打ちっぱなし より:

    アレックス邸宅、Earls Courtの近くなんですね
    ロケ地の近くのヴィヴィアンのワールドエンドの時計見に行く予定なので寄ってみます
    あとこの映画の最後の叫び声の後にアメリカンポップの曲&エンドロールの入り方が凄く好きです

  6. 居ながらシネマ より:

    Bill McCrearyさん、コメントありがとうございます。
    返信遅れてすみません。
    トラファルガー広場のお写真良いですね。拙サイトでもよく登場する場所ですが、またピックアップして使わせてください。
    最近Netflixで『チャーリング・クロス街84番地』を見たら、冒頭ロンドンにやって来たヒロインがやはりアドミラルティ・アーチをくぐって広場のライオンのそばを通り過ぎるというコースでした。
    「アメリカン」は説明書き入れておいて良かったでしょうか。
    クレジットの最後では、ダイアナさんとチャールズ王子の結婚をお祝いします、と出てきて、まるでタイムカプセルのような映画です。

  7. 居ながらシネマ より:

    打ちっぱなしさん、コメントありがとうございます。
    あちこち行っていらっしゃいますね 🙂
    最後は確かに古典的なホラー映画なら悲劇的で重厚な音楽を流しているところでしょうけど、まるで音楽がさっと幕引きしているような印象で、こういうところのセンスも良かったと思います。

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