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『静かなる男』 The Quiet Man (1952)

静かなる男 [DVD] FRT-190

作品メモ

『麗しのサブリナ』(「すてきなコーラ」)『ジェニーの肖像』(「セシリア」)と見てきてもう1本。
こちらは漫画版は「赤毛のスカーレット」。やはり集英社マーガレットコミックスの同題本に収録されていました。

監督ジョン・フォード。これで4度目のアカデミー賞監督賞受賞。
製作ジョン・フォード、メリアン・C・クーパー。
原作モーリス・ウォルシュ。
脚色フランク・S・ニュージェント。
撮影ウィントン・C・ホック。アカデミー賞撮影賞(カラー)受賞。
音楽ビクター・ヤング。

キャストは、
元ボクサーのアメリカ人、ショーン・ソーントン Sean Thornton にジョン・ウェイン。
赤毛のメリー・ケイト・ダナハー Mary Kate Danaher にモーリーン・オハラ。
その兄レッド・ウィル・ダナハー Red Will Danaher にヴィクター・マクラグレン。
ミケリン・フリン Michaeleen Flynn にバリー・フィッツジェラルド。
ロネガン神父にワード・ボンド。

こういう作品に対して何を書いても蛇足になってしまいそうですが、へえ~と思ったことをメモ書き。

緑にあふれたこの映画、IMDbのtriviaによると、衣装には緑色が使われていないとか。唯一の例外は結婚式の時の花嫁衣装。

WOWOWで放送予定

WOWOWシネマのアカデミー賞特集で2月に放送予定。

2/8(水)18:45~
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/022554/index.php

パブリック・ドメインものの画質よりはずっと良いことを期待したいですね。

※2012/02/09追記
画質全然ダメでした。解像度感がまったくなく色彩もくすんでいて、がっかりの巻。

ロケ地

IMDbでは、

Ashford Castle, County Mayo, Ireland
Ballyglunin, Tuam, County Galway, Ireland (Castletown Railway Station)
Clifden, Galway City, County Galway, Ireland (Castletown)
Cong, County Mayo, Ireland
Connemara, County Galway, Ireland (Lots of rural scenes)
Lettergesh Beach, Connemara, County Galway, Ireland (Horse racing scenes)
Maam, Galway City, County Galway, Ireland (White O’Morn cottage)
Oughterard, County Galway, Ireland
Thoor Ballylee, County Galway, Ireland (Mary Kate runs across the river)

とアイルランド西部のCounty Galway(ゴールウェイ州)とCounty Mayo(メイヨー州)でロケされています(以下「カウンティ」は日本語版Wikipediaに従って「州」と表記)。
例によって順番に見ていきますと……

タイトルバック

シルエットがきれいなお城はメイヨー州のこちら。

アッシュフォード城(静かなる男・城) アッシュフォード城(Ashford Castle)W
http://www.ashford.ie/

Photo from Wikimedia Commons (public domain).

後述するCong村の近く。
撮影中は宿泊場所として使われたそうです。
現在五つ星ホテル。

※2012/11/10追記
最近25,000,000ユーロで売りに出されたようです。2008年の価格の半額ということですが、この間ユーロは対円で数割下がっているはずですから、かなりお安くなっていることに。いかがですか、おひとつ??
http://www.irishtimes.com/newspaper/finance/2012/1031/1224325931496.html

設定では”CASTLETOWN”(キャッスルタウン)駅。
架空の名前で、IMDbのリストでは、ゴールウェイ州チュアムにある駅名が書かれてあります。

Ballyglunin, Tuam, County Galway, Ireland

こんな手懸りがあるのに、すでに廃線になっているようで手こずってしまいました。
なんとか見つけてあっさりSVで表示されたときには正直拍子抜け。

このように駅舎は残っているようです。
この駅は後の方でも登場しますが、クライマックスに向けて2人を先頭に人々がぞろぞろ駅を出てくるときに写る門もまだあるようです。

向かい側から見た画像は例えば、

駅舎はそのままですが、映画にあった線路をまたぐ構内陸橋は今は見られません。
IMDbのトリビアによると、駅が使われなくなったとき、Ballinasloe stationに移されたとのこと。
Ballinasloe(バリナスロー)駅はBallygluninから東へ40km弱のところ。
確かにSVで見てみると、映画で写っていたものと同じように思えます。

高架

村へ向かう馬車が列車の下をくぐるのは、おそらく駅の北側のこちら。

石橋

村に向かう途中、馬車を停めるところ。
いきなりこの場面だけで涙腺をやられてしまう方も多いかもしれません。

画像はネットでいろいろ上がっているのですが、マップでの特定はけっこうハードル高かったです。
あちこち探した結果、ようやくIMDbのリストにあるゴールウェイ州Oughterardから西へ行ったところにある石橋がそれらしいことがわかりました。

マップではこちら↓

カメラは西向きで、馬車は北側から南側へ渡っています。
背景の山並みからみて、この川のこのあたりだとは思いますが、観光名所にしては何も表示がありません。
なのでもし間違っていたらごめんなさい。

村のロングショット

教会の鐘とともに石橋から見た山あいの村。
尖塔が2つ見えるのが特徴的。
おそらくIMDbのリストにあるゴールウェイ州のConnemara(コネマラ)、具体的にはClifden(クリフデン)Wという村と思われます。

静かなる男・村のロングショット

Photo from Wikipedia (public domain).

 

西側の山から撮られたこれらのPanoramioの画像は映画のショットとほぼ同じです。

設定では Innisfree (イニスフリー)という名。
架空の地名で、村の場面は主にアシュフォード城のあるメイヨー州(County Mayo)のCong(コング)Wで撮影。
SVも利用できるのでちょっと覗いてみると、かなり観光地化されているようですね~。

静かなる男・コーヒーショップ 静かなる男コーヒーショップって、映画とは何も関係ないような……

詳細は以下。

酒場の前

馬車がやってくるのはこちら。

“PAT COHAN”とある酒場の看板などもう映画そのまんまですね。
http://www.patcohanbar.com/

ここは撮影当時は雑貨店でしたが、現在はホンモノのパブになっているそうです。

静かなる男・酒場の前にある道標? こちらの画像は、酒場の前、道路の真ん中に立っているもの。
映画でもアップで写っているショットがあります。

道標でしょうか?
何と書いてあるか読めません……

教会

外観はCongのSt Mary’s Church。
村からお城に通じるAbbey St.の途中にあります。

静かなる男・村の教会

  ちょっとわかりづらいですが、冒頭10分頃、鐘が鳴り子供たちが教会に向かって駆けていくロングショットはこんな感じ↓で、教会の左側から撮られています(カメラ南向き)。

この教会はアイルランド国教会(チャーチ・オブ・アイルランド)で、カトリック教会ではありません。
内部の撮影は近くのカトリック教会で行われましたが、外観はこちらの方がアイリッシュっぽいということでこちらを利用したとのこと。映画で外にあった聖水はカトリック教会から持ってきたもの。
内部の撮影に使われたのは、もう少し村の中心に近いこちら。

ティラン夫人の家

もう無くなっているようです。

ショーンの生家

White O’ Mornin’

設定では村外れ、川を渡った向こうにあるようですが、撮影場所はIMDbによれば、Maam, Galway City, County Galway, Ireland。
Maam CrossWのことでしょうか?

建物はもう残っていないようですが、レプリカが作られています。

レプリカその1

IMDbのトリビアにMaam Crossにレプリカがあると書かれていたのでチェックしてみました。
こちらでしょうか?

これは隣接するこちらのホテルの施設のようです。

Peacocke’s Hotel
Maam Cross, Connemara, Co. Galway http://www.peacockes.ie/

撮影に使われた建物もこの近くだったのではないかと思います。

レプリカその2

Congの村にもよく似た建物があります。

静かなる男・レプリカ

 

ミュージアム兼ギフトショップ兼観光案内所のようですね。

The Quiet Man Musuem & Gift Shop
http://www.quietman-cong.com/cong-museum.html

おそらく観光用に再現されたものでしょう。
映画の中でこの場所が写るところがありますが(ラスト近く自動車が走り抜けるところ)、建物はもちろんまだ建っていません。

ウィルとメリーの家

正装したミケリンがメリーの帰りを待っていたところ。
すぐ後、ショーンが赤い花束を持って挨拶にやってくる場面や結婚式の場面でも登場。

撮影場所はやはりCong……というよりは、アッシュフォード城の敷地のこちらのようです。

画像はたとえば、

牧師夫妻の家

静かなる男・牧師夫妻の家 Playfair(プレイフェア)牧師夫妻の家。
2人乗り自転車に乗っていってしまうところ。
 

 

撮影場所はやはりCong。
Abbey St.の酒場と教会の間。

レース

海岸で行われた競馬。
IMDbのリストにあるように、こちらで撮影。

Lettergesh Beach, Connemara, County Galway, Ireland (Horse racing scenes)

この場面、人物のアップはほとんどスクリーンプロセス。
アメリカのスタジオでの収録と思われます。

2人で馬車で出かけたところ。
設定ではCastletown。ここでは便宜上「町」とします。
馬車が川沿いの道をやってきて町に入っていく場面は、村のロングショットで使われたClifden で撮影。
場所はここ。

カメラは西向きで、北向きにパン。

町の中

馬車は”EMILY O’CONNOR”という店の前で止まりますが、この撮影場所は実はCong村です。
酒場から北へ150mほど戻ったところ。

ひとつの通りの両端を、向きを変えて別の場所に仕立てたわけですね。

……物語は進んで、クライマックスへ。
ここから先は映画をご覧になってからお読みください。
(ちょっと改行)





ファイト

川に飛び込むところ

老人の家

白髭の老人(役名Dan Tobin ダン・トービン)の家。
クライマックスで大いに笑わせてくれます。
この家もやはりCong村、川沿いの道から路地を数軒入ったところにあります。

SVでも確認できますが、今では映画とは違った色になっているようです。
(個人宅かもしれませんので、もし現地に行かれた時にはご注意を)

老人を演じたフランシス・フォードはジョン・フォード監督の実の兄。
サイレント時代の俳優・監督だったそうで、撮影翌年に亡くなっています(IMDbのトリビア)。

大団円

オーラスでメアリーがショーンにささやいた言葉は、2人と監督だけが知っている永遠の秘密のようです。
気になりますね。  

ロケ地マップ

資料

コメント

  1. ほりやん より:

    アマプラで久しぶりに鑑賞、モーリン・オハラって運動神経いいですね。ウェインに引っ張られて障害物を越えて行く軽やかさ、その後の引きずられながらもウェインについてゆく根性、すごい女優魂です。そして、ウェインを食ってしまった感のマクラグレンの暑苦しさ、「愛蘭土の強烈兄妹」とタイトルを変えたほうがええと手帳に付けておきます。それから、お祭りのような殴り合いも楽しいですね。

    酒場の前に立っているものに書かれている内容は、

    It reads “OR DO NIAHOL AG DO GILLIBERD O’DUBTHAIGH RABIH ABAIDDE AGT CUNGA”, which means “Pray for Niahol and Gilbert O’Dubthaigh, who were abbots in Cong”.

    らしいです。

    http://www.irishstones.org/place.aspx?p=900&i=5

  2. 居ながらシネマ より:

    ほりやんさん、コメントありがとうございます。
    碑文おかげさまでスッキリしました。
    13-14世紀頃の建立?で中世アイルランド語で書かれていると言うことですね。
    鎌倉時代の石碑が町の真ん中に立っているようなものでしょうか。
    てっきり「陰キャラと腕っ節の弱い男は入るを許さず」とか書かれているのかと思いました。
    全体的にどこが静かなる男やねん、というぐらいのボルテージですが、きっと石碑に刻まれたお二人も、殴り合いが始まったら一緒に盛り上がっていたことと思います。

    > モーリン・オハラって運動神経いいですね。ウェインに引っ張られて
    > 障害物を越えて行く軽やかさ、その後の引きずられながらもウェインに
    > ついてゆく根性、すごい女優魂です。

    引きずられる→放り投げられる→パンチ空振り→お尻を蹴飛ばされる
    ……のワンカットは、動きが見事なので毎回見入ってしまいますね。
    ここに限らず、計算し尽くされたコントのような動きが随所に見られるのがまた良いです。

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