『永遠の語らい』 Um Filme Falado (2003)

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作品メモ

2つ前のエントリー、『ダンケルク』でエルガーの「ニムロッド」をとりあげましたが、そこで思い出したのがこの映画。
え? 『永遠の語らい』で「ニムロッド」などどこにも使われていないですって??
そこが問題でして……

劇場で見たのかDVDの予告編として見たのかはたまたTVCMだったのか、まったく覚えていませんが、とにかくこの映画の予告編を見たとき、そこでは壮大に「ニムロッド」が流れていたのでした。それでぐっと映画に興味がわき、確か(劇場ではなく)DVDにて鑑賞。
マルコヴィッチのおでこを眺めながら「いつ来るか」と待ち構えていましたが、結局最後まで流れずじまいで、つまりは本編とは無関係の曲を流すという「予告編あるある」にすっかり引っかかってしまったのでした。

そんなこんなで、«「ニムロッド」が流れなかった映画»として記憶に残ったこの映画、監督・脚本はマノエル・デ・オリヴェイラ。
本国での公開時94歳、確か日本での公開時(2004年)には現役最高齢監督として「95歳」が強調されていたように記憶していますが、そのあともばりばり撮り続け、2015年に106歳で亡くなられるまで現役を貫いたという、まことに素晴らしき映画人人生でありました。

出演は……
リスボン大学の歴史学教授ローザ・マリアにレオノール・シルヴェイラ。娘を連れて夫のいるボンベイ(ムンバイ)まで船旅をするというのがメインのお話です。
その可愛らしい娘マリア・ジョアナにフィリッパ・ド・アルメイダ。8歳という設定のようですが1)1:13頃のセリフから、彼女が「なんで?」「どうして?」と素朴な疑問を大学教授に投げかけてくれるので、見ている自分はこっそり学習できてお得だったりします。
アメリカ人の船長ジョンにジョン・マルコヴィッチ。
マルセイユで乗船した実業家デルフィーヌにカトリーヌ・ドヌーヴ。ドヌーヴとマルコヴィッチは『メフィストの誘い』『家路』で監督作に出演。
ナポリで乗船した元モデルのフランチェスカにステファニア・サンドレッリ。
アテネで乗船した女優ヘレナにイレーネ・パパス。これがおそらく最後の出演作となりそうですが、歌を披露する場面も用意されていて花道っぽい感じ。
スフィンクスの前で声を掛けてきたポルトガル人の俳優ルイス・ミゲルは、ご本人。レオノール・シルヴェイラ同様監督作の常連。

前半は、教授と娘が寄港するたびに現地の名所旧跡を訪れ、長年にわたり文明の衝突や塗り替えが繰り返されてきた地中海の歴史を再確認します。
後半は、乗り合わせた女性客たちが船長を囲んで粋で知的な会話を繰り広げるという、2部構成。

ラストネタばれにつき折りたたんでいます。クリックで開閉します。
続くラストは唐突かもしれませんが、911を重ねているのでしょうね……。呆然とする船長はアメリカ人ですし、冒頭わざわざテロップで「2001年7月」と近い日付を示しています。

後半のトークは、各自がそれぞれの自国語を話していながらちゃんと通じ合うという不思議な空間が産まれています。作劇上のファンタジーーというよりは、リアルで十分あり得る状況でしょうか。2)母娘が参加してからは英語になります。
ポルトガル語原題の意味はいまいちよくわかりませんが、邦題はなんとかうまく着地させた感じ。
「永遠の語らい」と書いて「とわのかたらい」と読ませるようです。

こちら↓はオリジナルの予告編。「ニムロッド」は無し。日本盤DVDにはこちらが収録されています。ということで「ニムロッド」は日本版予告編だけのまぼろしでした。

ロケ地

IMDbでは、

Athens, Greece
Ceuta, Cádiz, Andalucía, Spain
Giza, Egypt
Istanbul, Turkey
Marseille, Bouches-du-Rhône, France
Pompeii, Naples, Campania, Italy

例によって、IMDbのリストとウェブマップを頼りに画面とにらめっこでチェックしています。
間違えていたらごめんなさい。誤りのご指摘大歓迎です。

出てくる街や物件はすべて登場人物が解説してくれるので、調べる必要の無い楽なエントリーとなりました。

リスボン

出航したのはリスボンのこの↓あたり。

発見記念碑

発見のモニュメントW

こちら↓は以前milouさんから提供していただいた画像で、『さらば夏の光』でも使わせていただいています。

©1976 milou

milouさんは4travelで旅行記をアップされていますが、この写真はこちら↓に掲載されています。

1976年 キャンベラ号でサザンプトンからマデイラ島 2/2 :クルーズ編
https://4travel.jp/travelogue/11617027

ということで撮影は1976年。
まるでこの映画のようにクルーズ船での旅行を楽しまれたようですね。

セウタ

0:05

セウタW

セウタの街を眺めながらジブラルタル海峡を通過、地中海に入ります。

「(セウタは)今はポルトガルのものではない」と母親が説明すると、少女の口から「カーネーション革命(Revolução dos Cravos)Wでなくしたのね」という言葉がさらりと出てきてびっくりします。
しかも時代が完全にずれているのもまた可愛らしいですね。少女にとっては、数十年前も数百年前も一緒くたなのかも。

マルセイユ

0:06

下船、タクシーで市内へ。

魚屋さん

母娘が横断歩道を渡ってきたのは、大通りLa Canebière が港にぶつかるあたり。

港に面したこのあたりは、2013年6月~13年10月の間に大きくリノベートされ3)Google Earthの時間スライダーで確認、ロータリーのようになっていた車道が狭くなり、代わりに歩道部分が大きく拡張されています。
2人が渡っていた横断歩道の位置は、今ではその拡張された広場に含まれています。

こちら↓はmilouさんが4travelの旅行記に掲載された画像で、転載させていただきました。
2002年の撮影とのことで、ほぼ映画と同時期、道路の方がまだ広い頃ですね。

こちら↓は、水際で引きずられそうになっていたワンちゃんに駆け寄るショットとほぼ同じアングル。
驚いたことに、背景の船まで映画と同じですね♪

SVではこういった感じ↓

魚屋さんと話したのは、この近く。
映画では道路際ですが、前述の通りその後広場が拡張されているので、現在ではだいぶ奥まったところとなります。

背景を通り過ぎる団体さんがちらちらこちらを見ているので、エキストラなしでふつうに町中で撮影しているようですね。

こちら↓もmilouさんが撮影された画像です。
映画と同じようにお魚売ってますね。位置関係もこのあたりと思われます。

船と違って、さすがにあの魚屋のオヤジは写っていません。……といいますか、俳優さんでしたか??

以上、milouさんの画像は4travel.jpのこちら↓の旅行記から転載させていただきました。
ありがとうございました♪

4travel milouchatさんの旅行記
2002年 パリ・ロンドン 4/7:友人夫妻と周遊 (マルセイユ・アヴィニヨン)
https://4travel.jp/travelogue/11466501

銘板

魚屋さんのすぐ近くにはめられています。

紀元前600年頃、ここに小アジアの港町フォカイアのギリシャ人の船員上陸す。

「この町は昔々ギリシャ人が見つけたと書いてあるの。ギリシャ人が他の国に文明を広めたということね」

ナポリ

城砦

0:12

Castel dell’Ovo(カステル・デローヴォ)W

親子が話していたのはこの↓あたり

ポンペイ

0:15

アポロン神殿W

ガイドさんの話をちゃっかり横から聞いたのはここ↓

悲劇詩人の家W

  • Google Maps ……映画のアングル
  • 40.750573,14.483871

«猛犬注意»は玄関の床にあるはずですが、SVではあまりはっきり見えませんね。
2009年7月では鉄格子が閉じられているだけですが、今では正面と左右がガラス張りとなり、3方から見学できるようになっているようです。

玄関から奥を見たところ↓  映画でも同じショットがあります。

アテネ

アクロポリスの丘で、ギリシャ正教の神父ニコラウスと話します。

パルテノン神殿

0:19

劇場跡

ディオニューソス劇場W

イスタンブール

0:30

大聖堂

ここでもガイドさんの説明をちゃっかり横から。

0:32

アヤソフィア(ハギア・ソフィア)W

この場所はどうしても『007 ロシアより愛をこめて』の印象が強いですね。

エジプト

ピラミッド&スフィンクス

0:39

母娘がいたのはこのあたり↓

こちらもmilouさんの4travelの旅行記から画像を拝借しました。
映画とほぼ同じアングルでしょうか。

旅行記はこちら↓です。カイロの映画館などとても面白い読み物となっていますので、ぜひご覧ください。

1990年 DST(地球の歩き方?)で 3週間の周遊 5/5 :カイロでも映画は見るよ
https://4travel.jp/travelogue/11574661

カイロのホテル

ルイス・ミゲルが「スエズ運河と縁の深いホテル」と言って連れてきたところ。

カイロ・マリオット・ホテル(Cairo Marriott Hotel)W

アデン

1:13
路地が写るだけですから、これはもう確かめようもなく……

資料

更新履歴

  • 2020/10/04 新規アップ

References   [ + ]

1. 1:13頃のセリフから
2. 母娘が参加してからは英語になります。
3. Google Earthの時間スライダーで確認

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