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『ホワイトナイツ/白夜』 White Nights (1985)

ホワイトナイツ白夜 [DVD]

作品メモ

ひとつ前のエントリー『ロシア・ハウス』同様、実際のソ連レニングラード(当時)で撮影が行われた珍しいアメリカ映画。
こちらは正式にロケの許可を得たものではなく、フィンランドの撮影クルーが表向き紀行映像として撮影したものを使用しています(IMDbのトリビア)。
俳優たちが現地に飛んだわけではありませんが、スクリーンに映し出されたホンモノの街並みは、やはり目を惹くものがありました。

かつてソ連からアメリカに亡命したものの、飛行機の不時着により再び祖国に戻ってしまったプリンシパル、ニコライに、ミーシャことミハイル・バリシニコフ。前作『愛と喝采の日々』と違って完全に主役。亡命したプリンシパルというリアルそのものの役柄を熱演しています。
かつてアメリカからソ連に亡命したものの、思い描いた生活とはかけはなれてしまった失意のタップダンサー、レイモンドにグレゴリー・ハインズ。
レイモンドの妻ダーリャにイザベラ・ロッセリーニ。
ニコライを監視するKGBのチャイコ大佐にイェジー・スコリモフスキー。
ニコライのかつての同僚で、祖国にとどまる道を選んだガリナ・イワノバ・レイモンドにヘレン・ミレン。リアルでは父親がロシア系のようです。そういえば前年の『2010年』でもロシア人科学者役を演じていましたね。

見どころはやはり主演2人のダンスでしょうか。ベタベタの(そして当然アメリカ寄りの)お話に物足りなさを感じた方も、ダンスパートに関してはかなり盛り上がることができたのではないでしょうか。
特にバリシニコフは最初から最後まで踊りっぱなしの印象があり、様々なレパートリーと超絶的な技巧にバレエファンならずとも陶然とするものがあったかと思います。
両足揃えて爪先立ちでピョコピョコ跳ねるのは、マネしたくなる誘惑に満ちた危険な技?でしたね 😉

監督は後にヘレン・ミレンと結婚するテイラー・ハックフォード。
撮影デヴィッド・ワトキン、音楽ミシェル・コロンビエ。
音楽に関しては、劇伴よりもライオネル・リッチーが書いて自ら歌ったテーマ曲”Say You, Say Me”の方がどうしても印象が強いでしょうか。この年、”We Are The World”も手がけていて、絶好調。
またフィル・コリンズとマリリン・マーティンの”Separate Lives”もこの映画の挿入曲(ラブテーマ)で、やはり記憶に残ります。

ロケ地

IMDbでは、

Bristol Hippodrome, Bristol, England, UK (opening ballet sequence with Baryshnikov)
Dressing Rooms, Noel Coward Theatre, St Martin’s Lane, Covent Garden, London, England, UK
Elstree Studios, Borehamwood, Hertfordshire, England, UK (interiors)
Helsinki, Finland
Parainen, Finland (exteriors)
Portugal
RAF Machrihanish, Campbeltown, Argyll and Bute, Scotland, UK
Reposaari, Pori, Finland
St. Petersburg, Russia (second unit)
Teatro San Carlos, Lisbon, Portugal (Kirov Theater)

OPのステージ

Bristol Hippodrome, Bristol, England, UK (opening ballet sequence with Baryshnikov)

演目は、ローラン・プティの”Le Jeune Homme et La Mort”。

楽屋

Dressing Rooms, Noel Coward Theatre,

空港

緊急着陸したところ。
設定ではソ連領内ですが、撮影はイギリス、スコットランドのこちら。

RAF Machrihanish, Campbeltown, Argyll and Bute, Scotland, UK

“BRITISH ORIENT”は架空の航空会社。まあ事故起こして墜落する飛行機ですからね……。
外観は撮影用に偽装したホンモノの747を使っていますが、驚いたことにFlickrに画像がありました。
航空機ファンの方なのでしょうか??

Wikipediaによると、クラッシュの場面は模型ではなく改造した707とのこと。

ノリリスク ソ連防空基地

0:15頃。
Norilsk Air Defense Base, Siberia

オルニー島

0:22頃。
シベリア タイミル地区 オルニー島
Olney Island, Taimyr, Siberia

最初の街角のショットは、IMDbのリストにあるこちらで撮影。

Reposaari, Pori, Finland

具体的にはこの位置で、カメラ南向き。

おそらく角右側の建物が、ミュージカルが上演されていた劇場という設定でしょうか。
SVでも国旗が見えますので、公共の建物かと思われます。

モスクワ 米国大使館

0:30頃。
American Embassy, Moscow

調査中。

レニングラード

レニングラード(という設定で)の場面は、前述のように実際のレニングラード(当時)で撮影された映像と、その他の場所を組み合わせて表現しています。
特に最初住まいに行き着くまでの街並みを捉えたショットはホンモノの連続で、臨場感がたっぷり伝わってきます。

レーニン像のある広場

0:49。

『ロシア・ハウス』でも登場していたモスクワ広場(Московская площадь)Wソヴィエトの家(Дом Советов)W

Photo from Wikimedia Commons (public domain)

詳しくは『ロシア・ハウス』の同項目をご覧ください。

運河
エルミタージュ
走り抜ける車

カメラはこの位置で、東→南向き。

背後はストロガノフ宮殿W

キーロフ劇場

0:50頃。
外観は本物。現マリインスキー劇場W

後で出てくる内部は、リスボンのこちら。

Teatro San Carlos, Lisbon, Portugal (Kirov Theater)

橋と運河
グリフォンの橋

0:51頃(後ほど大事な場面でも登場)。
通過する車から見える(という設定の)橋。
『ロシア・ハウス』でも登場したこちら。

Bank Bridge (Банковский мост、銀行橋)W, No. 78, Tsentralny District, St. Petersburg, Russia

詳しくは『ロシアハウス』の当該項目をご覧ください。

住まい

これはサンクトペテルブルクではないと思われますが、不明。

稽古場

0:55以降。

日当たりの良い天蓋が特徴。多くの場面がここで撮影されています。
スタジオでしょうか?

円弧を描く寺院

1:05。
ガリーナが乗った(という設定の)車が通り過ぎるところ。
『ロシア・ハウス』でも登場していた、サンクトペテルブルクのこちら。

カザン聖堂W

キーロフ劇場(内部)

1:19頃。
リスボンのこちら。

Teatro San Carlos(サン・カルルシュ国立劇場)W

市場

1:31。

“Ploschad Mira Bazaar (平和の広場)”とテロップが出る最初のショットで、背後に特徴的な教会が写っていますが、ヘルシンキのこちら。

Uspenski Cathedral(ウスペンスキー大聖堂)W

おそらくその北側の埠頭で撮影されていると思われます。
SVで無理やり再現すると、このくらいのアングル。

領事館までの道

おそらくサンクトペテルブルクとヘルシンキを組み合わせていると思われますが、未調査。

領事館

調査中。

ロケ地マップ

サンクトペテルブルクで撮影された映画。
(他の地域の撮影ポイントは、『坂の上の雲』以外は省略しています)


より大きな地図で サンクトペテルブルクのロケ地 を表示

資料

更新履歴

  • 2014/05/16 「ロケ地マップ」追加

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